白衣の嘘 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041076521

作品紹介・あらすじ

苦手な縫合の練習のため、シミュレーターに向かう内科医の副島。彼が担当した女性患者はある秘密を抱えていた(「最後の良薬」)。バレーボール日本代表の彩夏と、医者である姉の多佳子。二人は実家に向かう途中でトンネル崩落事故に巻き込まれてしまう。運転席に閉じ込められた妹に対して多佳子がとった意外な行動とは(「涙の成分比」)。医療の現場を舞台に描き出す、鮮やかな謎と予想外の結末。名手による傑作ミステリ集。

感想・レビュー・書評

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  • 捻りが効いた医療ミステリ短編、6編!
    単なる謎解きではなくヒューマンドラマが盛り込まれて、どれも楽しめました。

    ■最後の良薬
    地方の個人病院に勤める内科医。末期がんを患った女性の担当になります。
    しかし、その治療には非協力的。
    そんな彼女の過去の犯罪歴が..
    ラストの驚く真相が..
    これは、びっくり。やられました。

    ■涙の成分比
    大学のバレーボール選手がトンネル事故に遭遇。同乗していた医者の姉は涙を流す彼女のほほにキス。そして、彼女を救いますが、結果、片足切断。
    自暴自棄になった妹は入院先で姉に当たり散らしますが..
    これも、刺さりました。

    ■小医は病を医し
    相部屋になった二人。それぞれの過去、正体が徐々に明らかになります。
    これは、あまり好きじゃない。

    ■ステップ・バイ・ステップ
    うつ病を発症した研修医が病院に来れる様に、病院までの道のりの目標を決めて、徐々にその距離を伸ばしていく。
    病院までのルートで明らかになる真相。
    いろいろ不自然さが最後に結びつきます。

    ■彼岸の坂道
    医療センター長の退職に伴って、後任のセンター長候補となる二人。どちらが後任となるのか?そんな最中にセンター長が大けが。誰がセンター長を傷つけたのか?
    これは、あまり好きじゃない。

    ■小さな約束
    腎不全の女性刑事。警察官の弟は腎臓を提供したいと彼女の主治医に申し出ますが、不一致。一方彼女は主治医とよい仲になりそうな感じ..
    しかし、弟と一緒に釣りに行った主治医は海に落ちてしまい..
    これはよかった。
    真相が明らかになるとともに、そういうこと!?って驚きました。

    ということで、
    最後の良薬、涙の成分比、小さな約束
    が好きな物語。
    こうしたベタな展開、わりと好きです。

    お勧めです!

  • 長岡弘樹『白衣の嘘』角川文庫。

    人間ドラマを色濃く描いた医療ミステリー短編集。6編を収録。

    いずれの短編もミステリーとしての捻りが効いた味わい深い人間ドラマという構成になっており、最後にはあの描写はこの結末のための伏線だったのかと驚かされる。さすがは名手。

    個人的には『涙の成分比』が最も良かった。他に『最後の良薬』『小医は病を医し』『彼岸の坂道』『小さな約束』を収録。

  • 短編6作収録
    医療系の短編でしたが警察絡みもあり
    いずれの作品も楽しめました
    ここまで数冊読んでますが人気作家なのもうなずけます

  • 医療とサスペンスが合わさった短編集。
    予想外の結末もあり、面白かった。
    私が好きだったのは、1話目と最終話。
    バレーボール選手のも良かった。

    ただ、もうちょい幸せ感が欲しいな~
    なんか切なすぎる。

  • 6つの短編。
    どこの病院でもあり得るかも?みたいな身近な話で、サラッと読めた。

    1番はじめの「最後の良薬」のオチ?で、あぁそういう感じの本なのね〜と後は一気読み。

    面白かった。

  • 苦手な縫合の練習のため、シュミレーターに向かう内科医の副島。彼が担当した女性患者はある秘密を抱えていた(「最後の良薬」)。バレーボール日本代表の彩夏と、医者である姉の多佳子。2人目はトンネル崩落事故に巻き込まれてしまう。運転席に閉じ込められた妹に対して多佳子がとった意外な行動とは(「涙の成分比」)。医療の現場を舞台に描き出す、鮮やかな謎と予想外の結末。名手による傑作ミステリ集。

  • 医者に限らず、嘘には様々な種類がある。

  • 医療ミステリー。
    最後の良薬:医者と患者、噓つきという共通の感情が良薬となるのか?問題だらけの患者が、最後に穏やかに逝く姿に救われる。
    彼岸の坂道:救命処置に自分を殺そうとした相手を指名する上司。部下を殺人者のままにしない。良い上司だ。

  • 医者と患者の微妙な関係、患者同士のやり取り を扱う短編が6本.読破の後、「白衣の嘘」という題名は少し違うなという感じを持った.登場する医師はどなたも素晴らしい技術を持ち、人間的にも優れており、「嘘」というより「葛藤」かなと思った.「小医は病を医し」が良かった.角谷の心を純真なものに変えた喬木の行動の背後にあるやさしさと仕事に対する誠意が絡み合った素晴らしい短編だ.どの作品も最後の最後に解答が現れる構成で、非常に楽しめた.

  • 最後の良薬
    オチがわかってしまった。
    分かりやすいヒントが沢山。

    涙の成分比
    涙についての少しの知識があれば、分かるくらいのオチ。

    小医は病を医し
    役場の職員になる前の話を聞かれたりしたときの、男の適当な言い訳も思いつかない不自然さがもったいない。「今は、右利きでも右腕にする人もいるんだぞ」「昔から、こうだったから、そういわれてもなぁ」とか、濁すような展開にしないと、この男、怪しいとバレバレ、残念。

    ステップ・バイ・ステップ
    外科部長の回りくどさ、何か含む感じ。疑ってください感、満載。今さらな感じの『正直な医療の5原則』との対比。患者の止まらないしゃっくりなど、オチが分かりやすい。

    彼岸の坂道
    犯人、すぐわかる。

    小さな約束
    『自殺者からの親族への臓器移植が、厚労省のガイドラインで禁止されている』という話から、家族の中に臓器を望む人がいるという流れで、だいたい想像できる内容で、流れは読めてしまう。医者の台詞も、わかりやすい伏線で。

    タイトルって大事。ほぼわかってしまうようなタイトルって、本当にもったいない。全体的に引っ掛かりがなく、すぐにわかってしまう展開と流れで、自分には物足りなかった。『白衣の嘘』というタイトルに合った、もっと濃い医療ミステリーが良かった。あらすじにある鮮やかな謎と予想外の結末はない。

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著者プロフィール

1969年山形県生まれ。筑波大学第一学群社会学類卒業。2003年「真夏の車」で小説推理新人賞を受賞し、05年『陽だまりの偽り』でデビュー。08年「傍聞き」で第61回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。13年刊行の『教場』は「週刊文春ミステリーベスト10」の1位、「本屋大賞」6位などベストセラーとなった。他の著書に『線の波紋』『波形の声』『群青のタンデム』がある。

「2022年 『殺人者の白い檻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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