皇室、小説、ふらふら鉄道のこと。

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041076682

作品紹介・あらすじ

あるとき、会議中に原さんが猛然としゃべりだした。とある鉄道の本について、熱く熱く語っているのである。「いや、そんな細かい部分、ここにいるだれもわからんがな」と呆気に取られつつ、私は深く納得した。
なーんだ、ただのオタクだ!
そこからなにがどうなって対談をすることになったのか、いまいち記憶が定かではないのだが、小説や天皇制や鉄道について、二人で好きなようにしゃべったのが本書だ。
私と同様、門外漢のかたにも、肩肘張らずにお読みいただける内容になったのではないかと思う。
――三浦しをん(「まえがき」より抜粋)
   *
三浦さんが女性作家として、時にびしっと本質を衝く意見や質問をされることに、思わずはっとさせられた。
「社会全体の中で女の人をどう位置づけるかは、学校教育も政治家も何も考えていないような気がします。」
「アマテラスは女性の神様ですが、その子孫であるとされる天皇家は、なぜ女系を採用しなかったんでしょうね。」
学者でない人々、とりわけ女性との対話を積み重ねることで、自らの学問が鍛えられてゆくことの大切さを、改めて思い知らされた次第である。
――原 武史(「あとがき」より抜粋)

感想・レビュー・書評

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  •  政治学者であり,なおかつ鉄学者である原武史さんと,小説家の三浦しをんさんの対談。
     哲学じゃないですよ。鉄学です。鉄道オタクです。
     三浦しをんさんも,オタク気質のある方です。

     5回の対談ですが,2016年6月から2018年8月までの間に,イギリスのEU離脱が決まったり,天皇が「生前退位」の意向を示されたりと,大変歴史的な出来事がありました。

     特に「生前退位」に関しては,原さんの専門分野でもあり,微に入り細に入り話されているのがとても印象的でした。一般庶民にはわからないことを,歴史的なことや,皇室のしきたりなど,様々な角度から話されていたのが印象的です。

     原さんの膨大な知識量と,その話を聞き適切な相槌を打ったり,ときには鋭く切り込む三浦さんの対談。お二方の丁丁発止のやり取りに,そうだったのか~と感心するばかりです。

     内容が濃すぎて,オイラの頭の中に入っていかないのは,オイラの頭が悪いだけ。
     濃さを伝えきれてないのも,オイラの語彙力が貧しいだけです。マジごめん。

  • 今まで読み逃していましたが、なかなか楽しく勉強になる本なので、お勧めします。

  • 原武史先生の自由なオタクぶりに感心した。同時に、専門家の話をきちんと受け止めつつ、自分の感覚や意見でしっかり渡り合うしをんちゃんって、なんてステキなんだろうと、あらためてファンになった。

    天皇について語ることって、週刊誌的興味以上のことはかなりデリケートだ。そこに果敢に踏み込んでいく対談なのだが、原先生が筋金入りのテツで、話はしばしばそっち方面に脱線、結果的にあまり構えずに読んでいける形になっている。我らがしをんちゃんがすごく勉強していることに感心するのだけど、あくまで実感から離れずに話が進んでいくのもいい感じだ。

    それにしてもまあ、皇室関連のエピソードで、え!そうなの?知らなかったーっていうことが次々出てきて驚く(昭和天皇が膵臓癌だったって周知の事実なの?)。「生前退位」をめぐる報道についての疑問など、言われてみれば確かに、ということも多く、考えさせられた。

  • もと日経新聞記者で、政治学者(皇室専門)、鉄学者(鉄道学)の原武史氏vs.よく読まれている作家・三浦しをん氏との平成時代終盤期における対談本です。昭和天皇崩御、「生前退位」の衝撃、「天皇陛下の象徴としてのお務めについて」のおことば(2016.8.8)、女系天皇と「国体」のこと、JR東武線の特急スペ-シアに乗って鬼怒川温泉での対談など、天皇の代替わりに当たって硬派の問答が展開されています。

  • 普段なら手に取らないテーマだが、三浦しをんちゃんが好きなので読んでみた。やはりわからないことが多々あったが知らない世界を垣間見れて良かった。

  •  意外と長い時間をかけて読了。三浦しをんさんと鉄道にひかれて手にとってみたものの、皇室関係が多くてなかなか容易に進まず……。
     そもそも昨年の12月に一般参賀に初めて行った時が皇居初めてだったので、あまり皇室関係ってなじみがなかった。だから、原さんの次から次へとでてくる皇室話がどれも新鮮で勉強になった。特に大正天皇=在位が短いという印象しかなかったので、逆に皇太子時代の、のびのびとしたエピソードに親近感がわいた(いや、もしかしたら今の上皇陛下もそば屋にふらりってことが?!)。

     4回目の鬼怒川遠足回が良い意味ではじけていておもしろかった。特に原さんの暴走(?!)の数々がw武里団地は大学時代に電車でしょっちゅう通過してたので、そんなにスゴいトコロとは知らず……。

     令和になってからの対談も少し気になるところ。

  • 皇室に興味なかったけど、歴史上の人物として見ると俄然面白くなるという発見。改元前に読めてよかった!

  • 2人のキャラは、面白かったけど、もう少し深く掘り下げて欲しかった。前に読んだ[松本清張で読む昭和史]の内容とよく似た部分もあった。

  • 『平成』天皇の生前退位と「おことば」に世の中(ワイドショー)が騒いだ当時の有り様を政治学者であり天皇研究の第一人者たる原武史と作家の三浦しをん(一般人として)の対談で振り返る。天皇制の明治、大正、昭和からの変遷を再認識する。東武ワールドスクエアに萌えたオマケもあり。

  • 政治思想史学者で鉄オタの原武史さんと三浦しをんさんの対談集。自分が皇室のことを本当に何も知らないんだなと思いながら読んだ。大本、日本会議、北朝と南朝、女性天皇と女系天皇などなど、三浦さんのツッコミと原さんのわかりやすい説明により、皇室と近代思想の知識が少しだけ深まった気がする。
    閑話休題的に随所にはいってくる鉄道話がおかしみ。

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著者プロフィール

1962年生まれ。早稻田大学政治経済学部卒業,東京大学大学院博士課程中退。放送大学教授,明治学院大学名誉教授。専攻は日本政治思想史。98年『「民都」大阪対「帝都」東京──思想としての関西私鉄』(講談社選書メチエ)でサントリー学芸賞、2001年『大正天皇』(朝日選書)で毎日出版文化賞、08年『滝山コミューン一九七四』(講談社)で講談社ノンフィクション賞、『昭和天皇』(岩波新書)で司馬遼太郎賞を受賞。他の著書に『皇后考』(講談社学術文庫)、『平成の終焉』(岩波新書)などがある。

「2023年 『地形の思想史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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