- 本 ・本 (496ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041076712
作品紹介・あらすじ
時は5世紀。倭の國の第20代大王、アナホが何者かに殺された。弟のワカタケルは、王位に最も近い2人の兄を殺害し、並み居る豪族をねじ伏せ自身が王位についた。それは、彼の血に塗れた治世の始まりだった――。
豊かな自然と神々とともに生き、未来を見る力を持つ女たちと國を束ねたワカタケル大王。暴君でありながら人々を惹きつけ、偉大な国家建設者であったひとりの天皇の驚きと波瀾に満ちた生涯を、力強く、抜群の面白さで描き切る、壮大な歴史長編。
感想・レビュー・書評
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弑逆と蹶起/服喪の日々/暗殺と求婚/即位と統治/
王國の構築/隣國と大國/文字の力/天と空/時は流れゆく
倭の二十一代大王のワカタケル。王位についた成り行きや彼の覚悟が見える。時には井斗が語る体を取りながら。
時は流れる、天皇も代を重ねながら続いていく。
さて 未来は 誰にも 見通せない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
第21代天皇の雄略天皇を綴ったもの。以前、日経新聞に連載されていたのですが、文庫本になったので購入。
「尊敬する人」を聞くと、その人の人柄もわかるのではと、何人かに聞いたことがあります。「雄略天皇」と言った人がおり、当時、まったく知らなかったので、Wikiで調べると、結構荒っぽい人生。その当人も同じような感じだったので、妙に納得しました。
NHKで「倭の五王」も放映され、古代史が見返されているのでしょうか(そのうちの「武」が雄略天皇と言われていますが「諸説ある」ようです)。この本では、雄略天皇の生涯を天照大神や卑弥呼などを盛り込ませながら記述しています。よって結構な分量になっていますが、冒頭に皇統譜もあって読みやすく書かれています。
古事記・日本書紀をベースに書かれたものと思いますが、閨の話も多く、昔の日本はこうだったんだろうなと思ったりもしました。 -
なかなか消化しにくい小説である。日本の国家統一を成し遂げたワカタケル=雄略天皇について、古代を舞台に、いつの時代の権力者にもあるの光と闇を描いたとも言える。しかし、この古代というセッテイング自体が読み解くに値する舞台設定なので、情報量ががぜん多くなる。しかも、通底には日本社会における男女の役割分担もあるように思う。
いくつもの仕掛けがされている小説である。 -
古墳時代、雄略天皇の生涯。土地の歴史、見通す力を持つ女性、上空を飛び回る鳥の群れ。他の池澤作品でも見られる好きなモチーフたち。登場人物の名前が難しかったが、カッコ内に漢字表記されたり、前にも出た説明が繰り返されたりと親切設計で助かった。ハードカバーで買って読んだけど、これ登録しようとしたら文庫出てるの知った。重くて手が疲れたので、文庫で読みたかった…。
【帯からメモ】
神話から歴史への
あわいの時代に
森羅万象を纏った、
若く猛る大王(おおきみ)が出現した
暴君であると同時に、偉大な国家建設者。
実在した天皇とされる21代雄略の御代は、
形のないものが、形あるものに変わった時代。
私たち日本人の心性は、このころ始まった。
『古事記』現代語訳から6年、
待望の小説が紡がれた
時は5世紀、言葉は鳥や獣、草木たちにも通じていた。歯向かう豪族たちや魑魅魍魎を力でねじふせ、國を束ねるワカタケル大王(雄略天皇)。樹々の合間から神が囁き、女たちは夢の予言で荒ぶる王を制御する。書き言葉の用意のない時代、思いを伝える歌と不思議な伝説、そして残された古墳の遺物や中国の史書……。作家は言葉の魂に揺さぶりをかけ、古代から現在に繋がる、「日本語」という文体の根幹に接近する。 -
雄略天皇のエピソードを小説化。
といっても古事記・日本書紀が下敷きになってそのままみたい。
いろんなエピソードが気になって、調べてみたら実際にあった(古事記・日本書紀に記述がある)エピソードだった、ということを繰り返しながら読み終わりました。
正直読むのに時間がかかった本ではありましたが、
雄略天皇即位後、飯豊皇女のエピソード以後など、話が走った気がしてワクワクしました。
このあと武烈、継体天皇へとつながるエピソードも読んでみたくなる。 -
僕が読んだ中でも、一番古い日本を舞台にした小説である。ワクワクしながら読んだ。最後まで読んで、この後、「継体天皇」に繋がって行くのだと思ったら、感慨深いものがあった。
著者プロフィール
池澤夏樹の作品





