- Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041076729
作品紹介・あらすじ
左眼を傷付けられ、死者の魂を見る力を失った八雲。そんな中、唯一の肉親である妹の奈緒が幽霊に憑依された状態で行方不明になる。奈緒を探す鍵はマンションで多発する心霊現象にあるらしいのだが!?
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
できることができなくなる。
そんな自分は、誰からも
必要とされないのかもしれない…
「見えないということは、こんなにも不安なことだったんだな」(261ページ)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
七瀬美雪の攻撃により、左眼を傷つけられてしまった八雲。
眼球自体に損傷はなかったものの、八雲の視力は未だ回復していなかった。
そんな折、八雲の唯一の肉親・奈緒に霊がとりついてしまい、奈緒は失踪する。
しかし霊を見る能力を失ってしまった八雲は、自分の存在価値を見失い、浮上できずにいた…
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
心霊探偵八雲シリーズ、本編10作目です。
今回は事件そのものの謎解きよりも、能力を失ってしまった八雲の葛藤がよく描かれていて、そちらの方がおもしろかったです。
“能力“がある状態でないと、自分は誰からも必要とされないのか…?
この“能力”は、なにも霊を見る力だけとは限りません。
ここの部分を、自分がいままで当たり前のようにできていたことに置き換えてみると、八雲の苦悩がより身近に感じられると思います。
そして八雲ははじめて、自分にとっての当たり前が当たり前でない状況にも直面します。
霊が見えない、ということは、他の人にとってはむしろ普通のことです。
八雲は自分がそうなってみて、そんな人たちの不安さ、恐れがどうして生まれるのかに気づくことができました。
できなくなってしまった、そのことで気づくことがたくさんあります。
できなくなってしまったことで、得るものもあります。
もし今、八雲とおなじような悩みを抱えている方がいたら、八雲と一緒に悩み、八雲の出した結論を見てみるといいかもしれません。
八雲の出した結論は、すでにいろいろなところで見かけられるものではありますが、八雲が自分でこの結論にたしたということが、いちばん大事なことなんだなと感じました。
今回のお話では、両眼の赤い男の過去が、さらに詳しく書かれています。
けれど彼の過去をどんなに知ろうとも、それを理由に他の人をこんなにも傷つけていいはずがありません。
そしてそれは両眼の赤い男のまわりにいる人、いた人にも言えることです。
過去を言い訳にしない生き方を、ひとりひとりが見つけていくこと。
しんどい道でもありますが、その道にしか、本当の幸せはないのだと思いました。 -
自分の価値を失った時。
これまで誰もが彼の目を頼りに事件解決への道を辿っていたのだから、彼がそう錯覚してしまうのも無理は無いのかもしれない。
人と本気で向き合う時は、嫌われる覚悟も時には必要であり寄り添うだけが全てではないんだよな。 -
何かができなくなる。その他には何もないと思っていると、なんにもできない人間だと落ち込む。下を向いて生きていきたいならそれでもいいかもしれない。でも、前を向いて、 少しは上を向いていた方が楽しいよ。
たまたま生きている今を元気に泳いでいたい ♡ -
んええぇ…?
八雲と晴香の関係がどうなるかはやや気になるので本編は最後まで読もうかなと思うけど、どんどん好きじゃなくなるなぁ。
最初の3巻くらいまではよかった。「幽霊は八雲にしか見えない」「幽霊は想いを伝えるしかできない」「幽霊は生きてる人間に影響できない」を徹底して、人怖ミステリーを貫いてほしかった。 -
八雲と晴香の距離が縮まった一冊。クライマックスに向かっているのが分かる。この先2人がどうなるのか気になる。
-
15周年らしいが相変わらずの文章力。周りが面白いとおだてているのか?本人のためにならん。ようやく終わるのか、七瀬美幸は「ミレニアム」の双子と被る。