キャプテンマークと銭湯と

  • KADOKAWA
4.13
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本棚登録 : 206
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041077054

作品紹介・あらすじ

「キャプテンは、」    耳の奥がきんとした。
「大地にお願いしたい」
 背筋は伸びきったまま、制止した。息も止まった。周りがかすかにざわついた。
そのざわつきを押さえるように、「はい!」
 威勢のよい声が、後ろからまっすぐ飛んできた。
「よし。大地、頼んだぞ」
「そうだ、周斗。キャプテンマーク、あとで大地にわたしといてくれ」
ずっとつけていたサッカーのキャプテンマークを、他のチームから移籍してきた大地に渡さなくてはいけなかった周斗。くやしくて、チームメイトからも孤立してしまう。自分がいやになっていた周斗が出会ったのは古ぼけた時代遅れの銭湯だった。あさのあつこ氏の推薦デビューの著者が描く、切なく温かい感動の物語。

「読んでいて、上質な児童文学ってこういうことだなあと、うならされました」(丸善 丸の内本店 兼森理恵氏)
「奥行きが深く、意外な物語展開が魅力的で素晴らしい作品だ」 (評論家 野上 暁氏 )

感想・レビュー・書評

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  • サッカー少年がキャプテンの座を奪われた上にチームメイトからも孤立し、練習をさぼるようになる。
    そんな時に亡き祖父が連れて行ってくれた思い出の銭湯を見つけ通うようになる。そこで銭湯の親父さん、女将さん、常連客と触れ合ううちに気持ちが癒やされ勇気づけられていく、心温まる話。
    この銭湯は、親父さんが薪で沸かしているので、とてもまろやかなんだそうだ。そんな体も心も温まるお湯だから、登場人物がそれぞれ、忘れられないお風呂を想う描写がある。
    私が思い出すのは、学生時代に友だちと入ったり、掃除をしたりして絆を深めた寮の共同風呂。中高生女子が休み時間に「トイレ行こ!」と誘い合うのと同じで、「お風呂行こ!」の声掛け。友だちが呼びに来たり、約束の時間に仲間が廊下にわらわらと集まってお風呂に向かったり。勉強やレポート、ホームシック等で張り詰めていた気持ちが和らぐ時間であった。お風呂には不思議な力があるもんだ。

    • yutakochiさん
      なおなおさん

      もともと絵本や児童書がとても好きで、出産後さらに拍車がかかっちゃった感じなんですが、ブクログに参加してからは、皆さんの感想を...
      なおなおさん

      もともと絵本や児童書がとても好きで、出産後さらに拍車がかかっちゃった感じなんですが、ブクログに参加してからは、皆さんの感想を読んだり、自分でも感想を書いてみたり、良い絵本と出会えたり、本当に楽しくて……ブクログ始めて良かったな~と実感する毎日です(^^)

      なおなおさんの本棚も、絵本や児童書はもちろんですし、ミステリーや古典関連の本や漫画など、色々心ひかれる本が多くて、すごく参考になります(*^-^*)
      そして、最近はインク本!
      今はなかなか趣味を増やせる余裕がないのですが、いつか私も!という気持ちで楽しく見させていただいています。

      これからもどうぞよろしくお願いします!
      遅くに失礼しました(^^)
      2022/08/07
    • hiromida2さん
      なおなおさん、こんばんは。
      素敵な思い出⁎ˇ◡ˇ⁎
      レビューを読んでるだけで、その頃の情景を
      想像して、心温まりました。
      いい湯だね♪(*´...
      なおなおさん、こんばんは。
      素敵な思い出⁎ˇ◡ˇ⁎
      レビューを読んでるだけで、その頃の情景を
      想像して、心温まりました。
      いい湯だね♪(*´꒳`*)ほっこりレビューありがとうございます♪
      2022/08/09
    • なおなおさん
      hiromida2さん、こんばんは。コメントでは初めまして!
      フォローといいね!をいつもありがとうございます。

      寮生活の楽しかったお風呂の...
      hiromida2さん、こんばんは。コメントでは初めまして!
      フォローといいね!をいつもありがとうございます。

      寮生活の楽しかったお風呂の話をしてしまいました^^;
      コメントでManideさんとyutakochiさんも盛り上げてくださいました。
      hiromida2さんの"いい湯だね♪"も聞きたいなぁ〜
      遅くに失礼しました。
      2022/08/09
  • 自分の心をざわつかせる人は、自分には手に入らないものを簡単に手に入れている人。子どもも同じなんだなぁ。

    その人の前では、ザワザワした気持ちが抑えきれず、嫌な自分になってしまう。キャプテンの座を奪われた少年の気持ちが痛いほどよくわかった。

  • スポーツ世界のシビアな競争。
    小学生出会っても、スポーツでのレギュラーの取り合いやキャプテンの取り合い競争はかなり熾烈だよね....
    競争に負けた時に、仲間に抱く気持ちを明確に言語化できないし、かと言って相手を殴ったり怒ったりして感情だけで発散できるような歳でもないし(思春期も相まって、みっともない姿は周りに見せたくないし。。)でも確かにどす黒い気持ちは積もっていくし... みたいな。
    自分も小学生の時スポーツをしていて、そんな経験があるからこの子の葛藤が懐かしかった。

    銭湯の話、すごくよかった。
    最後まで心があたたまった。今度、平日のお休みにゆっくり銭湯行ってこよ~っと(*´`)

  • 児童文学というのは基本子供に読ませたいと大人が真剣に書いているので、いい本が多い印象です。
    これも自分の傲慢さ、思いやりの無さ、友人と衝突しての心もとない感覚、新たな出会い、色々な人にそれぞれの世界が有ると気付く感覚。気が付かなかった友人の姿。人の芝生が青く見えるという事。失う悲しみと前の前に広がる未来。色々な事がちりばめられていて、すっと読めるけれど心に何かを残してくれる作品です。

  • もっといい選手にキャプテンマークを譲ることになった少年のサッカー物語と、彼をいやす銭湯の物語と。最後の事件などもりだくさんな感じもするが、登場人物がみんないきいきして入りこめた。

  • キャプテンマークを新しいチームメートに譲ることになり、チームメートとも溝が出来てしまう主人公。主人公を癒してくれるのは銭湯で……

  • よかった!
    「自分のてっぺんを目指す!」
    生きていて様々なことに嫉妬したり羨望があったり、
    でも、自分のてっぺんって、いい言葉だなあ。
    まだてっぺんじゃない!
    そう思って頑張る!
    いろいろ問題が語られていて、それは解決してないんだけど、まあ、いいか、
    一番大事なことは伝わる気がする。
    中学生か、多感な年ごろに響くと思う。

  • コナ大地姉弟よ、いい子たちだな。周斗の母の距離感がステキ。

  • キャプテンマークを奪われて、サッカー⚽️を楽しくなれないでいたシュートがコナや大地、ヒロ、そして銭湯などを通してまたサッカー⚽️界に戻っていき、仲間と共に頑張って勝ちを取り、中間と打ち解けていくところが面白かった。銭湯♨️とサッカー⚽️が繋がっている作者の発想がおもしろいと思った

  • 銭湯の思いでは、人との繋がりの思い出なんだな。
    確かに、そんな気がする。

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著者プロフィール

青山学院大学文学部卒業。IT企業勤務後、創作活動開始。『フリマでゲット!』で第30回日産童話と絵本のグランプリで優秀賞受賞。既刊に『駅伝ランナー』全三巻(角川文庫)、『キャプテンマークと銭湯と』がある。横浜市在住。

「2022年 『ソノリティ はじまりのうた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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