イシイカナコが笑うなら

著者 :
  • KADOKAWA
3.47
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本棚登録 : 294
感想 : 60
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041077573

作品紹介・あらすじ

どの生徒にも慕われ、保護者対策もぬかりない、同僚にも羨望の眼差しを送られる有能教師の菅野。しかし、彼の内心に
はいつも虚しいものが渦巻いていた。自分には、教師に必要な他人への共感や思い入れが全く存在しない。それなの
に天性の要領の良さだけで周りをたらし込み、日々を凌いでいるのだ。そんな彼の前にかつての同級生の幽霊、イシイカ
ナコが現れる。「ねえ、イシイカナコの「人生やり直し事業」に参加しない?」--そして菅野は、17歳の自分が生きる時
間軸へと飛ばされた。ただし、菅野本人ではなく、同級生の依田として。
イシイカナコの手違いに怒り狂う菅野(依田)だが、なんとか高校生の自分を説得して進路を変えさせようと試み始める。し
かし、同じクラスには生前の石井可奈子がおり、幽霊のカナコには何やら別の思惑があるようで……。
屈託を抱えた大人のためのほろ苦く、やがてあたたかい「二度目の成長」ストーリー。

感想・レビュー・書評

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  • 菅野京平は高校教師
    ある日幽霊のイシイカナコに飛ばされて
    高校時代の知り合い達になる
    カナコからのやり直し事業
    別の人間にいれかわることで京平は人生をやり直せるのか

    人には人生の分岐点がある
    後悔もある
    後悔をどう乗り越えるかが未来に繋がる
    忘れなくていい
    でも飲み込まれるな、踏ん張れ
    私は私のカッコ悪い人生を生きてやれ
    とこの小説を読んで思った

  • やり直しの時間をくれる幽霊。
    17歳の自分が生きる時間軸にタイムトラベル?をする31歳の男性教師。未来がわかるわけではないけど少しだけ後悔が減る。自信をくれるなら、私も体験してみたい。
    けど、自分に戻るわけじゃないから恥ずかしい自分を見ることに、同級生になりきるのに耐えられるかな?

  • 文学YouTuberのベルさんがオススメしていたので、買って読みました。自分の人生をやり直すことができたら皆さんはやり直したいと思いますか?
    この作品はそういった人生をやり直したいもしくは、過去を振り返ってみたい方にオススメしたいです。進学、就職、出産いろいろな岐路に立つ場面があると思いますが、その都度どう進むのか、どう悩むのか、やり直しのきかない人生をどう選ぶのか、ぜひ読んでみてください。

  • …ん?
    額賀澪さんの新刊通知を見て、タイトルは違うけどこれ読んだよなぁ…と振り返ってみたら、感想書いてなかった。

    でも、星はふたつ。
    ほとんど何も思い出せない。
    どうやら今ひとつだったようだ。

  • よくあるタイムリープものだが、普通は過去に戻る時、自分に・・・なのだが、クラスメートにというのが鍵。色んな人に乗り移り、途中女子に入り自分に告白してしまう。おもしろかった。読みやすいし、展開も読めないが、それは中盤まで、最後は何となくわかったし、結局、運命は代えられないわけで石井加奈子は死ね。でも、あの死に方はないと思う。少し工夫すれば名作になったかもという惜しい作品。ラストは、少し余韻を残して、ばっさり切って欲しかった。

  • 教師10年目の菅野は、母校の星高に赴任した。
    母校では、自分が高校3年の冬に自殺した同級生石井加奈子が幽霊となってさまよっているという噂が立っていた。

    タイムスリップもの。
    過去に戻ってやり直せるか、という話ですが、戻るのが自分の身体ではないのが特殊かも。
    同級生の男子ならまだいいけれど、女子に入ってしまうのはどうなの?という感じはありました。
    その手の話は、家族との齟齬がないようにと苦労するシーンがありますが、そこは端折られてして、違和感なく溶け込んでいる様子が何となくしっくりこなかったです。

    この話の中では、過去が変わっても、未来は何も変わっていません。ただ、『やり直しは出来ないけれど、失敗が許されない訳では無い』という大切なワードに行き着きます。

    とは言っても、菅野が今の自分で頑張ると吹っ切れたことと、幽霊となったイシイカナコが、自分の死の理由を知るための時間だったのかも、と思ってしまい、最後は今ひとつスッキリせずに読み終えました。

  • NetGalleyにて。あぁ「イシイカナコ」なんだなと納得した読後。今がどうあれ、きちんと向き合った結果の今ならそれで良いと思えるのだろうと思う。「イシイカナコ」が京平にもたらしたのは今を変える事ではなくて、今を生きるための「過去」を変える事だったんだろう。どんな道を選んでも諦めず自問自答して足掻いて選んだ道であるように。そして今を違和感持って生きる大人達も、振り返ってきちんと選んだと思える今ならば、決して間違いではないと思う。私もそうだと思う。石井加奈子じゃない「イシイカナコ」。上手いな、と思います。

  • タイムスリップモノなんですが

    ちょっと 違うんですね。

    本人に 戻るんではなく 同級生。

    男性 女性。

    でも 現実は 変わらない。

    最後 過去で カナコを 救うんだけど

    現実は やはり。

    わかっていながら 期待してしまいました。

  • 3.5ってとこかな

    タイムスリップして過去の自分、いやその周りの人になって、現在の自分が後悔しないように人生をやり直す
    そして石井加奈子の過去も。。。

    それほど話にのめり込まかなったのは、主人公が自分で思うほど教師に向いてないとは思えなかったからかな
    充分にいい先生なんじゃないかと思えたし、他にやりたいことがあった訳じゃないなら、そんなに後悔するもんかなぁと。。


    「勝手に自分の人生のハードルを上げて、勝手に挫折して、勝手に自分のせいにしている」

    そうか、理想を高く設定し過ぎたのかな


    「やり直しなんで出来ないけど、失敗が許されないわけじゃない」

    そだね、失敗しない人生なんて。

    最後、納得いかないわけでもなかったけど、キレイな終わり方で良かった(✩´꒳`✩)

  • 作品紹介・あらすじ
    どの生徒にも慕われ、保護者対策もぬかりない、同僚にも羨望の眼差しを送られる有能教師の菅野。しかし、彼の内心に
    はいつも虚しいものが渦巻いていた。自分には、教師に必要な他人への共感や思い入れが全く存在しない。それなの
    に天性の要領の良さだけで周りをたらし込み、日々を凌いでいるのだ。そんな彼の前にかつての同級生の幽霊、イシイカ
    ナコが現れる。「ねえ、イシイカナコの「人生やり直し事業」に参加しない?」--そして菅野は、17歳の自分が生きる時
    間軸へと飛ばされた。ただし、菅野本人ではなく、同級生の依田として。
    イシイカナコの手違いに怒り狂う菅野(依田)だが、なんとか高校生の自分を説得して進路を変えさせようと試み始める。し
    かし、同じクラスには生前の石井可奈子がおり、幽霊のカナコには何やら別の思惑があるようで……。
    屈託を抱えた大人のためのほろ苦く、やがてあたたかい「二度目の成長」ストーリー。

    かつて自殺した同級生の幽霊に過去に飛ばされ、高校生として過去の後悔と対峙する男性教師の話です。タイムスリップ、タイムリープものとしては特別新奇な事柄は無いのですが、この男性が教師という仕事に就いた事を根本的に後悔しているという所が一番面白いところで、案の定ネガティブな青春作家の本領発揮という所でしょうか。
    コミカルで割と明るい雰囲気でありながら、明るい展望が全然出て来ないのが何とも不思議です。
    幽霊は死んでからの記憶しかなく、死ぬ前の自分が何を考えたのかは全く分からないというのが新しい概念です。何で自分が死を選んだのか分からないというのは、話を面白くする為に非常に有効でした。
    額賀澪さんは僕的にはかなりの期待株なのですが、安易な感動話に流れて行かないクレバーさが、いまいち大ブレイクに至らない要因だと思っています。しかし、むしろそこがいい。このままの哲学で書き続けて大名作をものにして頂きたいと思っています。

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著者プロフィール

1990年、茨城県生まれ。日本大学芸術学部卒業。2015年、「ウインドノーツ」(刊行時に『屋上のウインドノーツ』と改題)で第22回松本清張賞、同年、『ヒトリコ』で第16回小学館文庫小説賞を受賞する。著書に、『ラベンダーとソプラノ』『モノクロの夏に帰る』『弊社は買収されました!』『世界の美しさを思い知れ』『風は山から吹いている』『沖晴くんの涙を殺して』、「タスキメシ」シリーズなど。

「2023年 『転職の魔王様』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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