三鬼 三島屋変調百物語四之続 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
4.32
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本棚登録 : 776
レビュー : 62
  • Amazon.co.jp ・本 (672ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041077610

作品紹介・あらすじ

此度の語り手は山陰の小藩の元江戸家老。彼が山番士として送られた寒村で知った恐ろしい秘密とは!? せつなくて怖いお話が満載! おちかが聞き手をつとめる変わり百物語、「三島屋」シリーズ文庫最新刊!

感想・レビュー・書評

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  • 「人は語りたがる。善いことも、悪いことも」。そうだ。だから、江戸時代に井戸端会議があって、現代にSNSがある。しかし、三島屋の〈黒白の間〉は特別だ。現代ならば、どこかに厳重にパスワードで守った告白の部屋を置くようなものだ。そしてどの時代にも、そんな秘密の物語も「ホントにあったことのように」伝えてくれる語り部のような人がいるものである。現代では、例えば宮部みゆきという。

    今年の宮部みゆきの「夏の文庫本」は、これ一冊で打ち止めのような雰囲気だ。仕方ない、仕方ないと思いながら読み終わってしまった。

    今回も、私の人生の何処かで、いつか出会った者たちや、これから出会いそうな者たちが現れては消えていった。「迷いの旅籠」のような、懐かしい人たちには、夢の中で何度も出会った気がするし、「食客ひだる神」は子供のころ仲良しだった気がするし、「三鬼」の怖い話は、私の遠い遠い祖先の話のような気もする。「おくらさま」ではおちかさんの若い将来を願い、あの若者と同様の言葉を送りたい。

    とは言っても、百物語、未だ78話が残っている。現代の語り部宮部みゆきさん、人生百歳時代、まだまだですよ。

  • シリーズ第四巻。

    今日もまた面妖な話を携えて、語り手が黒白の間にやってくる。

    今作はどの語りも心の奥深くにもぐりこんでくるような印象だった。ひだる神には可愛いらしさを、三鬼には村の仕来りが生み出した人の心の闇を存分に見せられた。

    長い人生、出会いもあれば別れもある。

    おちかの心と重ね合わせた「おくらさま」は特に心の奥底まで届いてくるほどの味わい。

    季節はまたひとつ、うつろう。
    おちかの心もきっとまたひとつ、うつろう。

    人は語ることで心の重荷を下ろすことができる、それをヒシと感じた巻でもあった。

  • 2019.10.08 読了
    今回も読み応えあり。あやかしを描きつつ、人の本質に迫る。特に『迷い旅籠』と『三鬼』が顕著だった。やっぱり一番恐ろしいのは人なのか。

  • 何でこんなに不思議な話を思い付くのだろう? 今回も、おもしろかったです。
    死者を呼び戻そうとする話 気持ちはわかるけど辛さの上塗りになってしまうよね。
    ひだる神って 餓鬼とはちがうのかな?神だからお店が繁盛したんだね。
    山奥の貧しい村の話 これわ怖かった! 貧しさゆえのしきたりなんだろうけど 誰も救われない話。
    最後はおちかのこれからを、考えさせられる話 ちょっとキュンと、しちゃったです。
    たしかに 居候って良くしてもらっているのは十分わかっているけど 何だかやっぱり家族じゃないところでの意思の疎通がうまくできずモヤモヤがたまるんだね。
    すぐに続きが読みたいなぁ。

  • 久しぶりの読書。宮部みゆきはやっぱりイイね。

    というわけでいつものごとく、一篇ずつのレビューをば。

    【迷いの旅籠】
    ばりっばりの宮部節。いいねえ。
    ……といいつつ……名主の夫婦の親不孝に憤りを感じつつ、自分にもそう遠くない未来に訪れるであろう介護問題を思うと心が塞ぐ・・・(苦笑)。

    昨日まで元気で庭の草むしりとかやってたのに、朝になって家人が寝所へ呼びに行くと・・・・っていうような逝き方をしたいものだなぁ。娘や妻のことを想うと。

    ……と、我が親にもそうであって欲しいな…とも。

    【食客ひだる神】
    なんと可愛らしい“あやかし”なのだろう(笑)。終始にこにこしながら読み進めた。
    三島屋変調百物語シリーズのなかで、今時点ではこれが一番好きかも。

    ……と、棟金藩って・・・「さくらほうさら」の舞台になったあそこかしら?とか考えたらニンマリしてしまった。

    さ、続けて「三鬼」を読もう♪

    【三鬼】
    表題作。
    鬼がいるのですーーーーー。
    なかなかに緊迫した謎に迫る物語。
    短気で勝ち気な利三郎が、語り手の妹に惚れ上がるというくだり、好きだなぁ♪

    ※読みが浅いのかしら・・・「三鬼」の「三」の意味が分からなかった(苦笑)。

    一は、黒い籠のモノ、
    二は、語り手自身、
    三は……???

    誰しもの人の心に棲む「鬼」のこと???

    【おくらさま】
    なんともとっ散らかった話だなぁ今回は。。。
    というのが、読みはじめから中盤までに抱いた印象。
    従兄弟が出てきて、不思議な登場の仕方の老女が語り……と思いきや不可思議な去り方をし…。

    貸本屋の若旦那が唐突に現れたかと思う間に、青野利一郎が江戸を去る??

    話があっちこっちに行きすぎて、ついてゆくのが間に合わない……と。

    それでも最後はきっちりとまとまって、納得のゆく結末となるのが、プロの作家さんの凄いところ。宮部みゆきの好きなところ。

    ★4つ、7ポイント半。
    2019.09.28.新。

    ※青野センセとの距離感が心地よかったシリーズなだけに、彼の退場が、ちと寂しい。

    ※古本屋の若旦那・・・初登場の折りに女中お勝が語った
    「お嬢さんとはご縁がある方…」の意味深さが気になりすぎる。彼女は何かを知っている??

    ※頼り甲斐のある従兄弟さん、、シリーズの今後にいい味を出してきそうな予感。

    ※「三鬼の“三”の謎」・・・上に書いたものの、巻末解説文を読んだら、分かってしまった(笑)。
    (東の村でも西村でもなく)
    “三番目のあの世に近いところからくるももの話だから”
    ……なるほど、納得。

    ※単行本版の帯にだったか…「シリーズ第一部完結」と銘打たれたコピーを見かけた記憶があるのだけど…文庫には書かれてない。気のせいだったか ?それとも次作との勘違い?

  •  三鬼を読み終え、とりあえず☆5をつけたとき、ふと思い立って今までに登録した三島屋シリーズの評価を確認しました。全部☆5つけてました。

    やっぱりこのシリーズ好きだなあ。
    というわけでレビューを。三島屋シリーズ4作目。収録作品は四編です。

     収録作品の完成度は言わずもがな。怖い、切ない、哀しい、愛おしい、そんな感情をこの一冊だけで味わったような気がします。

     一話目「迷いの旅籠」
     登場人物たちの死者への思い。あるいは執着と言えるのかもしれませんが、それがときに恐ろしくもあり、哀しくもあり、切なくもあり……

     一話目から200ページ以上ある作品ですが、それをボリューミーだと思わせない巧みな筆裁き。何より村に突然やって来た絵師の目的が分かる場面の怖さたるや……

     それでいて、話が進むうちにその感情が、切なさに変わっていくんです。宮部さんの妙技が炸裂した作品だと思います。

     二話目「食客ひだる神」
     一話目とはうってかわって、どことなくユーモラスで、ひだる神の可愛さが印象に残ります。人の影から姿を覗かせて、うんうん、とうなずいているひだる神の姿を想像してしまいます。

     さらにすごいのは、ひだる神に取り憑かれる主人の人生が目に浮かぶように描かれていることだと思います。登場人物に命を与えるのはもちろん、宮部さんの場合は、登場人物に人生を与えるのです。

     三話目「三鬼」
     閉ざされた村、行方不明になった藩士、何も語ろうとしない村人たちと、いかにもホラーっぽい雰囲気。謎が謎を呼び、作中全体に漂う不気味な雰囲気を相まって、どんどん読み進めてしまいます。

     明かされる真実、そして『三鬼』の意味。重苦しさでいうと、作中一番の作品ですが、それだけでない希望も描かれます。

     怖さ、やるせなさの中に、希望と優しさが同居する、宮部さんらしい話だったと思います。

     四話目「おくらさま」
     今までのシリーズ作品とは一転して、話手の正体を探っていく話です。そしてこれがシリーズのターニングポイントとなりそうな話でもあります。

     シリーズ一作目の『おそろし』からこの『三鬼』までで、おちかはゆっくりとではありますが、確実に前を向き始めているように感じます。そんなおちかに訪れる新たな出会い、そして別れ。

     宮部さんの作品は良くも悪くも長いです(苦笑)。おちかがこの心情に至るまでも、四巻費やされました。

     でもだからこそ、前を向くことを考え始めたおちかの姿には、読者である自分にも感じるものがありました。おちかのたどり着く結末を、見届けてあげたい。いや、見届けなければならない。そんなふうに強く思いました。

  • シリーズ4作目。これまで以上に、いろんな感情が詰め込まれた1冊だった。死者を恋うる気持ち、親しんだ相棒?を懐かしむ気持ち、人の恐ろしさ、ねじれた感情。新しい展開もあり、改めて読み直すと、フィナーレへの伏線が張り巡らされた1冊でもあった。飽きない。

  • これまでの三島屋百物語シリーズでいちばん読むのに時間がかかりました。「先を先を」とページをめくる手が止まらない、ということがあまりなく、よく言えば安定感のある4巻目でした。
    唯一ぐいぐいと読んだのが最後の「おくらさま」。黒白の間から忽然と消えた語り手を探すというこれまでにない展開がよかった。語り手のお梅さんが最期におちかに伝えた「お礼の言葉」が胸を打ちます。
    おちかにとって辛い別れがあった今作ですが、新しいキャラが登場して、新たな展開が楽しみです。

  • 豊作祈願の祭りを禁止された貧しい村の娘が語る不思議な話ー迷いの旅籠
    美味くて美しい弁当をつくるだるま屋が夏に店を休む理由ー食客ひだる神
    ある武士が山番士だったころの悲しく恐ろしい話ー三鬼
    不思議な老女が変わり百物語にやってきたがーおくらさま
    以上の4本を収録。

    どれも面白かったですが、二つ目のひだる神さんが微笑ましくてニコニコしながら読んでしまいました。
    「おくらさま」で初登場の貸本屋さん、いいですねぇ。富次郎従兄さんもいい感じ。
    いつも思いますが、どうなるのか楽しみでどんどん読んでいくのに、読み終わる時がこなければいいなぁという矛盾した思いを抱えます。
    それでも三島屋の変わり百物語は22本。
    まだまだ先は長くて安心しました。

  • 82

    なんだか集中できなくて、読み進めるのに時間がかかってしまった。間違いなく面白いんだけど、やるせなさとか人の業とかが多い話だった。
    その中で食いしん坊の神様の話は救いだったなぁ。
    人生において出会いと別れは必然だけど、やっぱり別れとなるとホロリと来る。
    おちかが幸せになるといいな。

    次の作品も早く文庫化にならないかな~。

    20191110

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著者プロフィール

宮部 みゆき(みやべ みゆき)
1960年、東京都生まれ。1987年に「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、デビュー。1992年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、1999年には『理由』で直木賞、2002年『模倣犯』で司馬遼太郎賞、2007年『名もなき毒』で吉川英治文学賞など、数々の文学賞を受賞。大沢オフィス所属。日本推理作家協会会員。日本SF作家クラブ会員。直木賞、日本SF大賞、小説すばる新人賞、河合隼雄物語賞など多くの文学賞で選考委員を務める。『模倣犯』や『ブレイブ・ストーリー』など、多くの作品がドラマ化や映画化などメディア・ミックスされており、日本を代表するエンターテインメント作家として人気を博している。2019年7月10日『さよならの儀式』を刊行。

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