三鬼 三島屋変調百物語四之続 (4) (角川文庫)

  • KADOKAWA (2019年6月14日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (672ページ) / ISBN・EAN: 9784041077610

作品紹介・あらすじ

此度の語り手は山陰の小藩の元江戸家老。彼が山番士として送られた寒村で知った恐ろしい秘密とは!? せつなくて怖いお話が満載! おちかが聞き手をつとめる変わり百物語、「三島屋」シリーズ文庫最新刊!

みんなの感想まとめ

心に響く恐怖と感動が交錯する物語が展開される本作では、語り手である元江戸家老が寒村で知る恐ろしい秘密が描かれています。シリーズ最高傑作との声も多く、宮部みゆきのストーリーテリングが光ります。各エピソー...

感想・レビュー・書評

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  • 抜群に面白い。シリーズ最高傑作!(前の作品の熱は忘れてしまっているが……)
    稀代のストリーテラー、宮部みゆきの本領発揮の作品だ。
    迷いの旅籠では、生者の未練が亡者の姿を借りて人を迷い恐怖させる。
    食客のひだる神は、とりついた神が肥えてゆく話で、人と神のホッコリする交流が魅力。
    三鬼はあの世の鬼が、人の役目を肩代わりする。
    おくらさまは、新たなキャラ二人を加えて、おちかの人生の覚悟を諭す。
    おくらさまの最後に勘一が上手いことを言う。「生身の人の語りは、生ものだけにあたる。読み物は生身の人からはもう離れていて枯れているので、あたりません。故に、読み物から知識を得られれば、肝っ玉が強くなり、語りにあたりにくくなり一石二鳥。」人の言葉に一喜一憂することはよくあるが、本から知識や経験を取り込んでいれば、強くなれる。

  • 「人は語りたがる。善いことも、悪いことも」。そうだ。だから、江戸時代に井戸端会議があって、現代にSNSがある。しかし、三島屋の〈黒白の間〉は特別だ。現代ならば、どこかに厳重にパスワードで守った告白の部屋を置くようなものだ。そしてどの時代にも、そんな秘密の物語も「ホントにあったことのように」伝えてくれる語り部のような人がいるものである。現代では、例えば宮部みゆきという。

    今年の宮部みゆきの「夏の文庫本」は、これ一冊で打ち止めのような雰囲気だ。仕方ない、仕方ないと思いながら読み終わってしまった。

    今回も、私の人生の何処かで、いつか出会った者たちや、これから出会いそうな者たちが現れては消えていった。「迷いの旅籠」のような、懐かしい人たちには、夢の中で何度も出会った気がするし、「食客ひだる神」は子供のころ仲良しだった気がするし、「三鬼」の怖い話は、私の遠い遠い祖先の話のような気もする。「おくらさま」ではおちかさんの若い将来を願い、あの若者と同様の言葉を送りたい。

    とは言っても、百物語、未だ78話が残っている。現代の語り部宮部みゆきさん、人生百歳時代、まだまだですよ。

  • 語って語り捨て。
    聞いて聞き捨て。
    三島屋変調百物語の第4弾。

    本作ではおちかの恋愛にも発展しそうな振りが出てくる。もちろんただの恋バナではない。心に深い傷を負い、もう恋愛感情を抱くのが怖くなっているおちかの成長を描いているのだ。この変調百物語シリーズがおちかの成長物語でもあるのは異論のないところだろう。

    今回はかなり怖い話も多い。「迷いの旅籠」「三鬼」「おくらさま」いずれも背筋が寒くなるような話で、日本古来の独特な宗教観が分かり易く伝えられていて興味深い。
    その中でとてもほっこりするのが「ひだる神」だ。貧乏神は知っているがひだる神というのは知らなかった。
    駆け出しの頃や下積み時代にお世話になった人を成功した後で粗末に扱うというのは現代でもよくある話だ。芸能人が糟糠の妻と離婚するのもそのケース。しかしここで語るだるま屋は違う。お世話になったひだる神のために商いも縮小し、いつまでもその恩を忘れない。恐ろしい話が多いこの本作の中で読んでいてほっこりするエピソードだ。

    さて、第5弾はおちかが更に一歩踏み出す姿が見れるかもしれない。次回作も期待大だ。

  • シリーズ第四巻。

    今日もまた面妖な話を携えて、語り手が黒白の間にやってくる。

    今作はどの語りも心の奥深くにもぐりこんでくるような印象だった。ひだる神には可愛いらしさを、三鬼には村の仕来りが生み出した人の心の闇を存分に見せられた。

    長い人生、出会いもあれば別れもある。

    おちかの心と重ね合わせた「おくらさま」は特に心の奥底まで届いてくるほどの味わい。

    季節はまたひとつ、うつろう。
    おちかの心もきっとまたひとつ、うつろう。

    人は語ることで心の重荷を下ろすことができる、それをヒシと感じた巻でもあった。

  • バラエティに富んだ百物語。現段階でシリーズ史上最高です。
    おちかの色恋が予想外の展開になって悲しくて苦しいけれど、希望の新参者がまた素敵。
    おちかの恋の行方、引き続き楽しみです。

  • 三島屋百物語の4巻目。このシリーズは 3巻目まで読んで止まっていたのだが、先日ふと9巻目を読んでしまい、物語の展開に驚いて続きを手に取ったもの。客が三島屋の黒白の間を訪れて怪奇を語る…というと各話の最初と最後はマンネリになりそうなものだが、稀代のストーリーテラー宮部みゆきがその愚を犯すはずもなく、「おくらさま」ではあっと驚く仕掛を見せる。孤立して暮らす村の不気味な雰囲気が何とも言えない表題作「三鬼」も佳作だが、怪奇談らしくない明るさと何とも美味しそうな料理の数々が魅力的な「食客ひだる神」が秀逸。

  • 親友に勧められて読んだ。親友が、おもろいで、三鬼とか後味悪いのもあるけどな、と言ったから覚悟して読み進めた。そのせいか、三鬼が一番、印象に残った。作中でも指摘されてたが、主人公の弱い人に寄り添う気持ち(それが仇になることも)が救いのある展開に繋がっていると思う。

  • 不思議や神様と密着した生活をおくるこのお話の中の登場人物たちの、「受け入れる」能力というか懐の深さが当たり前のように描かれているけれど、それこそ凄いことなんじゃないかと感じる。
    個人的には登場人物の設定や人柄にこれくらい細かく描写されている物語がとても好き。
    この先、おちかの人生も大きく動きそうなのがたのしみ。

  • 今回も色々な方が語りに来ます。13歳の女の子だったり、仕出し屋の亭主だったり、元武士だったり。

    1編200P超えのお話しもありましたが、楽しく読めました。地方の農村の人々の暮らしを垣間見れた気がします。

    おちかの縁談にも変化が・・・。
    でもね、でもね、、、次の本のタイトルを調べようとして出版社のHP見てたら、三島屋シリーズの相関図が出て来て思いがけず結末をしってしまいました・・・。

    『迷いの旅籠』
    『食客ひだる神』
    『三鬼』

  • 三島屋おちかの黒白のまでの百物語、4巻。
    鬼が出てきたり、生き霊が出てきたりと、怪しさが増してきてますが面白い!
    読み始めたら気になって止まらない。
    別れもあった4巻。でも新しい出会いもあり、今後が楽しみです。

  • いうなれば、三島屋変百物語、大転換点!

    人の業物(旅籠)、憎めない隣人物(ひだる神)、ホラー物(三鬼)、ミステリ物(おくさらま)
    好みの話物が豪華もりもりもりだくさん。

    青野先生の旅立ちと共に、新たなキーパーソンを迎え、次巻も期待膨らむ。

  • こちらも心にじんわりと染みていくような、そんな作品でした。
    怪異を描くことを通して、「人の心」を描き、生きる道筋のようなものを示してくれているような気がします。
    最終話の「おくらさま」でのおちかの決意には涙が溢れました。

  • 豊作祈願の祭りを禁止された貧しい村の娘が語る不思議な話ー迷いの旅籠
    美味くて美しい弁当をつくるだるま屋が夏に店を休む理由ー食客ひだる神
    ある武士が山番士だったころの悲しく恐ろしい話ー三鬼
    不思議な老女が変わり百物語にやってきたがーおくらさま
    以上の4本を収録。

    どれも面白かったですが、二つ目のひだる神さんが微笑ましくてニコニコしながら読んでしまいました。
    「おくらさま」で初登場の貸本屋さん、いいですねぇ。富次郎従兄さんもいい感じ。
    いつも思いますが、どうなるのか楽しみでどんどん読んでいくのに、読み終わる時がこなければいいなぁという矛盾した思いを抱えます。
    それでも三島屋の変わり百物語は22本。
    まだまだ先は長くて安心しました。

  •  三鬼を読み終え、とりあえず☆5をつけたとき、ふと思い立って今までに登録した三島屋シリーズの評価を確認しました。全部☆5つけてました。

    やっぱりこのシリーズ好きだなあ。
    というわけでレビューを。三島屋シリーズ4作目。収録作品は四編です。

     収録作品の完成度は言わずもがな。怖い、切ない、哀しい、愛おしい、そんな感情をこの一冊だけで味わったような気がします。

     一話目「迷いの旅籠」
     登場人物たちの死者への思い。あるいは執着と言えるのかもしれませんが、それがときに恐ろしくもあり、哀しくもあり、切なくもあり……

     一話目から200ページ以上ある作品ですが、それをボリューミーだと思わせない巧みな筆裁き。何より村に突然やって来た絵師の目的が分かる場面の怖さたるや……

     それでいて、話が進むうちにその感情が、切なさに変わっていくんです。宮部さんの妙技が炸裂した作品だと思います。

     二話目「食客ひだる神」
     一話目とはうってかわって、どことなくユーモラスで、ひだる神の可愛さが印象に残ります。人の影から姿を覗かせて、うんうん、とうなずいているひだる神の姿を想像してしまいます。

     さらにすごいのは、ひだる神に取り憑かれる主人の人生が目に浮かぶように描かれていることだと思います。登場人物に命を与えるのはもちろん、宮部さんの場合は、登場人物に人生を与えるのです。

     三話目「三鬼」
     閉ざされた村、行方不明になった藩士、何も語ろうとしない村人たちと、いかにもホラーっぽい雰囲気。謎が謎を呼び、作中全体に漂う不気味な雰囲気を相まって、どんどん読み進めてしまいます。

     明かされる真実、そして『三鬼』の意味。重苦しさでいうと、作中一番の作品ですが、それだけでない希望も描かれます。

     怖さ、やるせなさの中に、希望と優しさが同居する、宮部さんらしい話だったと思います。

     四話目「おくらさま」
     今までのシリーズ作品とは一転して、話手の正体を探っていく話です。そしてこれがシリーズのターニングポイントとなりそうな話でもあります。

     シリーズ一作目の『おそろし』からこの『三鬼』までで、おちかはゆっくりとではありますが、確実に前を向き始めているように感じます。そんなおちかに訪れる新たな出会い、そして別れ。

     宮部さんの作品は良くも悪くも長いです(苦笑)。おちかがこの心情に至るまでも、四巻費やされました。

     でもだからこそ、前を向くことを考え始めたおちかの姿には、読者である自分にも感じるものがありました。おちかのたどり着く結末を、見届けてあげたい。いや、見届けなければならない。そんなふうに強く思いました。

  • 「三鬼 三島屋変調百物語四之続」(宮部 みゆき)を読んだ。
    
第二話の「食客ひだる神」がとても良い味わいだな。
    
第四話の「おくらさま」に関しては少し込み入ったむずかしいところがあってさ、『うーむ・・・』と暫し固まる。
    
わたし的には《そろそろおちかさんを放免してあげてもいいのでは?》なんて思うんだけど、まぁそれは出来ない相談だわな。
    
(って、本当に百物語すんの?)

  • 三島屋おちかの不思議百物語、第4作。
    「食客ひだる神」は、語り手の力量も相まって終始微笑ましい話。逆に「三鬼」は現代にも通じる、極限状態の人々が辿る悲しき性が恐ろしかった。
    また、レギュラー陣に少し変化もありますが、安定の不可思議譚でした。
    黒白の間での、「聞いて聞き捨て語って語り捨て」の形式は変わりませんが、おちかは聞き手としても人間としても成長が見られ、また周りの人々も時の流れで変わっていきます。
    百まではまだ当分あるので、大事に追いかけていきたいシリーズです。

  • 何でこんなに不思議な話を思い付くのだろう? 今回も、おもしろかったです。
    死者を呼び戻そうとする話 気持ちはわかるけど辛さの上塗りになってしまうよね。
    ひだる神って 餓鬼とはちがうのかな?神だからお店が繁盛したんだね。
    山奥の貧しい村の話 これわ怖かった! 貧しさゆえのしきたりなんだろうけど 誰も救われない話。
    最後はおちかのこれからを、考えさせられる話 ちょっとキュンと、しちゃったです。
    たしかに 居候って良くしてもらっているのは十分わかっているけど 何だかやっぱり家族じゃないところでの意思の疎通がうまくできずモヤモヤがたまるんだね。
    すぐに続きが読みたいなぁ。

  • 久しぶりの読書。宮部みゆきはやっぱりイイね。

    というわけでいつものごとく、一篇ずつのレビューをば。

    【迷いの旅籠】
    ばりっばりの宮部節。いいねえ。
    ……といいつつ……名主の夫婦の親不孝に憤りを感じつつ、自分にもそう遠くない未来に訪れるであろう介護問題を思うと心が塞ぐ・・・(苦笑)。

    昨日まで元気で庭の草むしりとかやってたのに、朝になって家人が寝所へ呼びに行くと・・・・っていうような逝き方をしたいものだなぁ。娘や妻のことを想うと。

    ……と、我が親にもそうであって欲しいな…とも。

    【食客ひだる神】
    なんと可愛らしい“あやかし”なのだろう(笑)。終始にこにこしながら読み進めた。
    三島屋変調百物語シリーズのなかで、今時点ではこれが一番好きかも。

    ……と、棟金藩って・・・「さくらほうさら」の舞台になったあそこかしら?とか考えたらニンマリしてしまった。

    さ、続けて「三鬼」を読もう♪

    【三鬼】
    表題作。
    鬼がいるのですーーーーー。
    なかなかに緊迫した謎に迫る物語。
    短気で勝ち気な利三郎が、語り手の妹に惚れ上がるというくだり、好きだなぁ♪

    ※読みが浅いのかしら・・・「三鬼」の「三」の意味が分からなかった(苦笑)。

    一は、黒い籠のモノ、
    二は、語り手自身、
    三は……???

    誰しもの人の心に棲む「鬼」のこと???

    【おくらさま】
    なんともとっ散らかった話だなぁ今回は。。。
    というのが、読みはじめから中盤までに抱いた印象。
    従兄弟が出てきて、不思議な登場の仕方の老女が語り……と思いきや不可思議な去り方をし…。

    貸本屋の若旦那が唐突に現れたかと思う間に、青野利一郎が江戸を去る??

    話があっちこっちに行きすぎて、ついてゆくのが間に合わない……と。

    それでも最後はきっちりとまとまって、納得のゆく結末となるのが、プロの作家さんの凄いところ。宮部みゆきの好きなところ。

    ★4つ、7ポイント半。
    2019.09.28.新。

    ※青野センセとの距離感が心地よかったシリーズなだけに、彼の退場が、ちと寂しい。

    ※古本屋の若旦那・・・初登場の折りに女中お勝が語った
    「お嬢さんとはご縁がある方…」の意味深さが気になりすぎる。彼女は何かを知っている??

    ※頼り甲斐のある従兄弟さん、、シリーズの今後にいい味を出してきそうな予感。

    ※「三鬼の“三”の謎」・・・上に書いたものの、巻末解説文を読んだら、分かってしまった(笑)。
    (東の村でも西村でもなく)
    “三番目のあの世に近いところからくるももの話だから”
    ……なるほど、納得。

    ※単行本版の帯にだったか…「シリーズ第一部完結」と銘打たれたコピーを見かけた記憶があるのだけど…文庫には書かれてない。気のせいだったか ?それとも次作との勘違い?

  • これまでの三島屋百物語シリーズでいちばん読むのに時間がかかりました。「先を先を」とページをめくる手が止まらない、ということがあまりなく、よく言えば安定感のある4巻目でした。
    唯一ぐいぐいと読んだのが最後の「おくらさま」。黒白の間から忽然と消えた語り手を探すというこれまでにない展開がよかった。語り手のお梅さんが最期におちかに伝えた「お礼の言葉」が胸を打ちます。
    おちかにとって辛い別れがあった今作ですが、新しいキャラが登場して、新たな展開が楽しみです。

  • 82

    なんだか集中できなくて、読み進めるのに時間がかかってしまった。間違いなく面白いんだけど、やるせなさとか人の業とかが多い話だった。
    その中で食いしん坊の神様の話は救いだったなぁ。
    人生において出会いと別れは必然だけど、やっぱり別れとなるとホロリと来る。
    おちかが幸せになるといいな。

    次の作品も早く文庫化にならないかな~。

    20191110

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著者プロフィール

宮部 みゆき(みやべ・みゆき):一九六〇年東京都生まれ。八七年「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。『火車』で山本周五郎賞、『理由』で直木三十五賞、『名もなき毒』で吉川英治文学賞、ほか多数の文学賞を受賞。『霊験お初捕物控』『ぼんくら』『三島屋変調百物語』シリーズ、『きたきた捕物帖』シリーズなど著書多数。


「2025年 『東海道綺譚 時代小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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