- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041077665
作品紹介・あらすじ
★第20回本格ミステリ大賞<小説部門>&第73回日本推理作家協会賞<長編および連作短編集部門>にWノミネート!!★
“最高”のクラスで起きた“最悪”の事件
彼らは何故、『自殺』をしたのか――新世代・青春本格ミステリ!
私立北楓高校で起きた生徒の連続自殺。ひとりは学校のトイレで首を吊り、ふたりは校舎から飛び降りた。
「私は教室で大きな声を出しすぎました。調律される必要があります」という、同じ文言の遺書を認めて。
垣内友弘にとって三人の死は疑いようもなく自殺――のはずだった。白瀬美月の言葉を聞くまでは。
「三人とも自殺なんかじゃない。みんなあいつに殺されたの」
最高のクラスで、何故『自殺』は起きたのか。『犯人』の目的は何なのか。
証明不可能な罪。裁くチャンスは、一度きり。
最も孤独な謎解きの幕がひらく。伏線の狙撃手が贈る、慟哭の本格青春ミステリ!
感想・レビュー・書評
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◆感想
『六人の嘘つきな大学生』がかなり面白かったので浅倉さん作品ローリングしようと思いこちらの作品も読了。
個人的には、『六人の〜』で期待値がはね上がっていた分、落差が大きくて残念。
もちろん小説だし、フィクションだけれど、同じ校内で立て続けに生徒が亡くなっても、ニュースにならなかったり平気でレクリエーション企画を続行するというのはあまりにもリアリティがなく、"特別な能力"という設定以前の段階で物語に入り込めなかった。
うーん、残念だ…。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
自分を殺してまで調律なんかされたくたくない。
コミュニティに煩わしく感じるが、寂しがり屋の一人好きな方にオススメです。
特殊能力を代々受け継がれる高校が舞台。
その能力を受け継ぐ者は受取人と言われる。
校内で起きた連続自殺を、後に特殊能力のもった者の犯行とわかる。その能力を無効にさせる為、主人公の垣内らのファンタジーミステリである。
発端はスクールカーストである。タピオカ屋ののり子さんの話しがまさにその通りにの経緯だ。
集団行動に馴染めない人、一人行動が好きな人には学校は、違う動物が檻に入れられた空間である。とても共感できる。
読後、教室が、ひとりなるまで、この題名の後に続く言葉をひとりごちた。
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安全ピン
アコースティックギター
人を好きになる
ネクタイの色
カースト
なかなかに若くて切ない
図書館から借りた本 -
立て続けに自殺者を出した高校を舞台にした学園ミステリー。
何かの本の後ろで広告を見て気になり、読んでみた。
校内で代々継承される4つの特殊能力。誰かが何らかの能力を使って自殺に導いたのではと考え、クラスメイトとともに探る主人公。
犯人は中盤でわかってしまい、犯人の能力が何かと、自殺させる方法が焦点。
能力の真相は、私には思いつかず(でもこんなことができる力なんて、本当恐ろしい!)、序盤で何か怪しいと思った人は全然関係なく、がっくり…(推理力のなさ)
学園モノを読むと毎回思うけど、スクールカーストって、怖いし嫌だよなぁ。自分が学生のときは呑気に過ごしていたけど、そんなものあったのかな。すべての学生さんが、穏やかに学生生活を過ごせることを祈る。
余談。ある主要人物と私の名前が同じで、なんか変にドキドキした。 -
6人の嘘つきな大学生から知った作家だけど、これが本格ミステリと日本推理作家のW候補になった小説。
立て続けに3人も自殺する生徒が出る学校には、特殊能力を持つ4人の生徒がいた。主人公垣内もふいにその能力者になったが、発動条件と能力についてバレると失効する。残り3人は誰か、どうやって自殺に見せて殺されたのか、どうやって解き明かしていくのか、その動機、その学校で何が起きているのか。
トリッキーな内容だったけど、その年代の表に出さない本心、生きづらさに当時読んでたら深く刺さってたかもなと思えた。物語はそこで終わりだが、色んな意味でその後も続くんだよな。
365冊目読了。
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『初期浅倉作品の集大成』
始まりから衝撃。短期間で同級生が3人も自殺したところから物語は始まる。クラスメイトは悲しみに打ちひしがれるが、4人目の"予告"があったことで事態は急変。事件か、事故か…。主人公が謎解明に奔走する青春学園ミステリーだ。
この作品の肝となるのが"受取人"の存在。受取人とは秘密裏にこの高校で代々受け継がれる超能力者のこと。なぜ秘密裏かというと、能力の効果と発動条件がバレると受取人の資格を失ってしまうからだ。なお受取人は校内に4人いるという。ファンタジー色が強いと思われるかもしれないが、リアルとうまく融合させて物語を組み立ててある。決して万能ではないこの超能力を駆使して謎を追うことになるのだ。
実は超能力を用いたミステリーは、浅倉先生のデビュー作である「ノワール・レヴナント」でも描かれている。そして超能力の発動条件や失効条件といった緻密な設定、またその設定の制約を逆手に取った伏線回収は「フラッガーの方程式」のようであり、初期の浅倉作品の集大成とも言える。その後の「六人の嘘つきな大学生」や「俺ではない炎上」の人気ぶりは言うまでもない。
"教室がひとりになる"の意味がわかった時には、ゾッとすると同時に妙な納得感も覚えた。調律はやりすぎであるが、歪んだ正義感が一線を越えたときに現実でも凄惨な事件が起こるのであろう。疾走感のある青春学園ミステリーが好きな方にはぜひおすすめしたい。 -
特殊能力×ミステリーって信用ならんって思ってたけどこれは面白かった。分かり合えないもの同士だとしても、分かりたい、仲良くしたいと思うのは悪ではないと思う。彼が最後に人殺しにならなくてよかった。