流浪の大地 (1)

  • KADOKAWA
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041077702

作品紹介・あらすじ

この国に、未来はあるか。

統合型リゾート(IR)をめぐる、情報操作と機密漏洩。黒く塗りつぶされた資料の真実とは。
『ミッドナイト・ジャーナル』『傍流の記者』の著者が放つ、渾身の国家謀略サスペンス。
熱き仕事人たちの誇りを賭けた物語。


大手ゼネコン鬼塚建設の新井は、国内外で数々の工事を成功させてきたが、2年前の談合事件以降、現場を外され閑職に追いやられていた。そんななか、日本初の統合型リゾート(IR)の工事責任者を任され、汚名返上のチャンスと意気込む新井だったが、かつての部下、根元からの不穏な電話に不安を覚える。同じ頃、中央新聞の那智は、伝説の調査報道記者と呼ばれ病に倒れた叔父が残した謎の建設工事資料の解明に取り組んでいた。次第に明らかになるゼネコンの闇と、政財界を巻き込む大きな陰謀。国家プロジェクトとなったIR建設をめぐり、新たな事件が起ころうとしていた――。


「カジノ」「IR」が話題になり始めた頃から、どんな問題が我々の未来に待っているのか、ずっと考えてきました。構想から5年をかけて書き上げた自信作です。
――本城雅人


目次

第1章 不穏  
第2章 工作
第3章 接触
第4章 因縁
第5章 密会
第6章 照合
第7章 改竄
第8章 王国
第9章 人質
第10章 連鎖
第11章 入札
第12章 再生

感想・レビュー・書評

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  • 『新聞記者の力なんてものは、さざ波を立たせる程度だよ。』『それでもこの世界にはそういう仕事をする者が必要だと思う』

  • 元新聞記者というスキルを活かして新聞記者小説を書き続けています。そのブレなさ。好きです。今回はゼネコンと談合がテーマです。
    今回も高潔な報道記者が社会正義を貫く方向性なので、安心して読める内容になっています。主人公となる疑惑のゼネコンマンもまた人品正しい人物なのでとても安定しています。
    個人的に安定感のある登場人物が出てくる話が大好きなので、本作も僕にとっては良作でしたが、ドロドロの経済小説を好む向きの方には物足りないかもしれません。
    カジノ法案や森本・加計問題を彷彿とさせる物語で、社会派小説を読んでいるという充実感を味わえます。
    大名作とは思いませんが、外れの無い作家として信頼できる内容です。

  • ラストのどんでん返しは凄いと思ったけど出来過ぎかな。
    面白かったんですけどね。
    力作ですね。
    読んでいて感じました。

  • これは本城氏の懇親の一作だと感じた。ゼネコンマンと新聞記者の矜持をそれぞれの立場で鮮やかに描いていて、力のある作品。

  •  失敗を認める。その、大切さ。
     政治家の話や、汚職の話ではなく、生き方の本として読んだ。 
     謎解きの部分や、人物造形にも巧みさを感じる。

  •  新聞における調査報道の真価と意義をわかりやすく提示してくれた作品でした。

     国有地払い下げや公共事業入札に関わる不正は、小さいものまで含めると枚挙に暇がありません。明らかになったものだけでもそうなのだから、発覚しなかった件数はいかばかりでしょうか。特に政・官の利権が絡めば露骨な隠蔽が行われることは周知の事実です。

     的を絞って調査と取材に時間をかけ、問題提起することで、世論にさざ波を起こす。
     暴れん坊将軍のようなヒーローが快刀乱麻のごとく不正を暴き悪を断罪することなど有り得ない現実では、調査報道の地道な活動こそ重視されるべき仕事だと思います。

     新聞どころか社会情勢に関心の薄い若者が増え、大人たちもネットニュースでよしとする現代。新聞社の収益悪化による人員削減の波は、速報性の薄い調査報道班を直撃することになります。だからこそ、本作のような作品は必要だと信じます。

     幸い、本城雅人さんのほか、塩田武士さんなど、新聞記者を経た作家たちは社会の木鐸たる新聞調査報道の重要性に着目した作品を発表してくれています。これからも注視していきたいと思いました。

  • サラリーマンの悲哀。しっかり読みました。

  • 丁寧に作られていたが、話がとっつきにくく読みにくかった。

  • 88ネタ記者かブンヤばっかりと思っていたけどゼネコンのお話しもキレが良く一気に読めた。でもなあ、こんな正義漢が組織に5%でも居たらなあって思うけど。現実と違うから小説が面白いということにしておきましょう。航一くん主人公の続編も期待したいですね。

  • ゼネコンの談合問題を取り上げた社会派小説。

    主人公は大手ゼネコンの担当者と政官財の癒着を追う三人の記者で、記者サイドは著者の強みが出ていますし、ゼネコンサイドは念入りな調査をした結果がうかがえました。
    談合事件に関しては裏事情が良く分かり、特に保証金の話は知らなかったので勉強になりました。
    また、各主人公の過去や人間関係も物語性を高めていて、なかなかの傑作だと思います。
    ラストの理想的な決着はきれいすぎる感じもありますが、人間を信じたい気持ちにもなりました。

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著者プロフィール

1965年、神奈川県生まれ。明治学院大学卒業。産経新聞社入社後、スポーツ紙記者として活躍。2009年『ノーバディノウズ』が松本清張賞候補となりデビュー。2017年『ミッドナイト・ジャーナル』で吉川英治文学新人賞を受賞。2018年『傍流の記者』で直木三十五賞候補。著書に『四十過ぎたら出世が仕事』(祥伝社刊)『友を待つ』(祥伝社文庫)など多数。

「2023年 『あかり野牧場』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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