狩人の悪夢 (1) (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041078556

作品紹介・あらすじ

「俺が撃つのは、人間だけだ」
彼は、犯罪を「狩る」男。
臨床犯罪学者・火村英生と、相棒のミステリ作家、アリスが、
悪夢のような事件の謎を解き明かす!

人気ホラー小説家・白布施に誘われ、ミステリ作家の有栖川有栖は、
京都・亀岡にある彼の家、「夢守荘」を訪問することに。
そこには、「眠ると必ず悪夢を見る部屋」があるという。
しかしアリスがその部屋に泊まった翌日、
白布施のアシスタントが住んでいた「獏ハウス」と呼ばれる家で、
右手首のない女性の死体が発見されて……。

感想・レビュー・書評

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  • 斎藤工さんと窪田正孝さんが主演のドラマの原作シリーズで、懐かしくなって購読しました!
    はじめての有栖川有栖さんの作品で、なぜ殺した?よりもどのようにして殺した?を主軸にしたミステリーって感じでした。

    事件の謎について火村と有栖が喧々諤々している様子にほっこりしました。ファミレスとかでする友人同士の雑談みたいでなんとなくゆったりとした感じがありつつ、会話を読んでると謎の要点がわかりやすくて楽しく読めました。

  • 短編も好きだけれども、長編は読み応えがあっていい!
    最初は全く意味がわからない犯人の行動に頭を悩ませられた。
    意味深な被害者の状態や関係者とのつながり。
    少しずつ情報を集めて行くけれど、なかなか真相に辿り着けなかった。
    最後に火村先生の推理を聞いて、それぞれにどういう意味があったのか納得。
    そして最後の情報には驚いた!
    事件ではしんみりしちゃったけど、良い締めでした。

  • 火村シリーズの長編作品。眠ると必ず悪夢を見るといういわくつきな屋敷とその周辺で巻き起こる殺人事件に遭遇するストーリー。クローズドサークルっぽいがそんなことはない。殺された人物のバックボーンがある人物としか見えてこず(その人物も故人)ある意味、正統派な本格ミステリと化している。途中で火村が動機の検討はしない、それが分かれば後は警察の仕事、というセリフが印象的だった。本作は謎解きの論理としては結構脆弱で犯人の追い詰め方も甘いのだが、そこは有栖川さんらしい叙情的に描くことで様になっている。

  • 火村さんのアリスさんのコンビでの作品。長編小説ですが、飽きることなく読み切りました。このふたりのキャラ、すごく好きです。

  • 必ず悪夢を見る部屋っていうのが気になってたけどほとんど関係なかった笑
    悪夢というテーマに沿ってるといえば沿ってるけど、あくまで殺人事件の装飾という感じ。
    なぜ手首を切り落としたのかという推理はロジカルだった。
    有栖川さんが探偵のあり方や捜査に対してリアルに忠実なのは伝わってくるけれど、どうしてもその分少し地味目な作品かもしれない。


    アリスは他のワトソン君に比べて、ワトソンとしての自覚や役割を弁えてるなあ。

  • 火村シリーズで長編小説は珍しい~。

    悪夢がこう絡んでくるんだね。狩人は火村とナイトメアにかかってたのかなー。
    冒頭の悪夢は渡瀬の描写か、ナイトメアの冒頭なのか、、、。
    小説家同士の対談シーンで、有栖川が嫌な気持ちにさせるのは比較的易しいが、恐怖を与えるのは難しいと言っていて、お、有栖川から今流行りのイヤミスへの挑戦状か!?とドキッとした(笑)
    (自分にとって、一度読んだら怖くて怖くてもう読めない…という本は京極夏彦の魍魎の匣)

    はじめは亡くなった渡瀬信也の情報をマスコミにリークした人物が真犯人なのではと思ったけど、全然ちがった。
    でもカウダ・カウダじゃぁわからんー!!!
    おもわせぶりな火村の台詞にまんまと騙された…!!
    こそこそ電話してるんじゃないわよ紛らわしい…!!(まんまと引っ掛かった…!)

    そしてスマホを使うシーンが登場して、時代の流れを感じた。
    初期作品は家電使ってたのに。
    気づけばアリス達と同年代になっていたけど、彼らは年を取らないなぁ、、。
    いつか火村の過去も明らかになるんだろうか。

  •  今回の推理シーンは火村とアリスだからできた推理だなあ、と思います。火村の精巧な推理で獲物である犯人をじっくりと追い詰め、アリスの情念がトドメを刺す。それは確かに狩りに近いものを感じます。

     必ず悪夢を見るという部屋がある、人気ホラー作家、白布施の家にお邪魔することになったアリス。その部屋に泊まった翌日、かって白布施のアシスタントが住んでいた家で女性の遺体が見つかる。さらにその遺体は、首に矢が刺さっている上に、右手首が切り落とされていて……

     かなり派手な遺体ながら、推理の過程は本当に丁寧! 殺人犯が異常なわけでもなく、あくまで必要に迫られて右手を切り落とすのはどういう理由か。容疑者たちから地味に証言を集め、当日の状況を整理し、第二の事件も加味し、そしてたどり着く真相。

     かなり頭を使いましたが、猟奇的な遺体のインパクトに逃げることなく、丁寧にロジックを積み上げる火村の推理は、有栖川さんのミステリの真骨頂だと思います。

     そして今回はアリスもいい仕事をしました。火村がロジックで攻めるなら、アリスは情念、そして怒りを込め犯人に迫ります。作家アリスシリーズの中では、トップクラスの犯人との対決だったと思います。

     そして、推理とは関係ないですが、シリーズ読者にはラストにサプライズもあります。火村とアリスの二人はもちろん、この二人での再登場も期待したいところ!

  • 前にドラマ化されたのを見ていて、その原作だったことを読み始めるまで気づかなかったf^_^;
    個人的に、中弛みが苦手。いや現実社会では警察の尋問なんかは何回も同じことを聞かれる、ってテレビでやってたけどもね…
    何回も何回も繰り返して同じ人に話を聞いてる印象。ドラマを見ていて犯人は知ってたから余計に、かなぁ。
    でも最後の、狩りのシーンはちょっと怖かった。追い詰めるところがハンパない。
    渡瀬くんは可哀想でシンミリ…なんだけど、沖田がしゃしゃり出てくる話ではない。こういう人嫌い。

  • 火村先生と有栖川先生は互いに良い友人となり続けているんだな…と思ってしんみりした。
    ミステリー要素としてはこちらも混乱することもあり、作者の思う壺になっていた気がする。。

  • 最後の犯人を前にした火村さんはまさしく狩人。動機設定がまさしくミステリー。知りたい本当のことは謎のまま。
    火村さんとアリスがいい塩梅でコンビのバランス最高でした。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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