狩人の悪夢 (1) (角川文庫)

  • KADOKAWA (2019年6月14日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (480ページ) / ISBN・EAN: 9784041078556

作品紹介・あらすじ

「俺が撃つのは、人間だけだ」
彼は、犯罪を「狩る」男。
臨床犯罪学者・火村英生と、相棒のミステリ作家、アリスが、
悪夢のような事件の謎を解き明かす!

人気ホラー小説家・白布施に誘われ、ミステリ作家の有栖川有栖は、
京都・亀岡にある彼の家、「夢守荘」を訪問することに。
そこには、「眠ると必ず悪夢を見る部屋」があるという。
しかしアリスがその部屋に泊まった翌日、
白布施のアシスタントが住んでいた「獏ハウス」と呼ばれる家で、
右手首のない女性の死体が発見されて……。

感想・レビュー・書評

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  • 対談相手で超売れっ子ホラー作家の白布施に誘われて、「そこで眠ると決まって悪夢を見てしまう部屋」に泊めてもらう羽目になったアリス。大きな落雷があった翌朝、白布施のアシスタントで2年前に病死した渡瀬信也が住んでいた家で、首に矢が刺さった死体が! 被害者・沖田依子は、渡瀬の高校の同級生で、その家に宿泊していたのですが、その目的は、そして殺された理由は? 真犯人との対決シーン、行き詰まる迫力はいつも以上です。
    悪夢しか見ないと言っていた渡瀬と沖田の関係を探るうちに、思いがけない「悪夢」が掘り起こされてしまい、心が痛みます。そして、悪夢といえば、火村英生が抱える秘密でもあることを思い起こされるけれど、それは次作以降に持ち越しです。

  • 斎藤工さんと窪田正孝さんが主演のドラマの原作シリーズで、懐かしくなって購読しました!
    はじめての有栖川有栖さんの作品で、なぜ殺した?よりもどのようにして殺した?を主軸にしたミステリーって感じでした。

    事件の謎について火村と有栖が喧々諤々している様子にほっこりしました。ファミレスとかでする友人同士の雑談みたいでなんとなくゆったりとした感じがありつつ、会話を読んでると謎の要点がわかりやすくて楽しく読めました。

  • 短編も好きだけれども、長編は読み応えがあっていい!
    最初は全く意味がわからない犯人の行動に頭を悩ませられた。
    意味深な被害者の状態や関係者とのつながり。
    少しずつ情報を集めて行くけれど、なかなか真相に辿り着けなかった。
    最後に火村先生の推理を聞いて、それぞれにどういう意味があったのか納得。
    そして最後の情報には驚いた!
    事件ではしんみりしちゃったけど、良い締めでした。

  • 火村さんのアリスさんのコンビでの作品。長編小説ですが、飽きることなく読み切りました。このふたりのキャラ、すごく好きです。

  • 火村シリーズの長編作品。眠ると必ず悪夢を見るといういわくつきな屋敷とその周辺で巻き起こる殺人事件に遭遇するストーリー。クローズドサークルっぽいがそんなことはない。殺された人物のバックボーンがある人物としか見えてこず(その人物も故人)ある意味、正統派な本格ミステリと化している。途中で火村が動機の検討はしない、それが分かれば後は警察の仕事、というセリフが印象的だった。本作は謎解きの論理としては結構脆弱で犯人の追い詰め方も甘いのだが、そこは有栖川さんらしい叙情的に描くことで様になっている。

  • 必ず悪夢を見る部屋っていうのが気になってたけどほとんど関係なかった笑
    悪夢というテーマに沿ってるといえば沿ってるけど、あくまで殺人事件の装飾という感じ。
    なぜ手首を切り落としたのかという推理はロジカルだった。
    有栖川さんが探偵のあり方や捜査に対してリアルに忠実なのは伝わってくるけれど、どうしてもその分少し地味目な作品かもしれない。


    アリスは他のワトソン君に比べて、ワトソンとしての自覚や役割を弁えてるなあ。

  • 火村シリーズで長編小説は珍しい~。

    悪夢がこう絡んでくるんだね。狩人は火村とナイトメアにかかってたのかなー。
    冒頭の悪夢は渡瀬の描写か、ナイトメアの冒頭なのか、、、。
    小説家同士の対談シーンで、有栖川が嫌な気持ちにさせるのは比較的易しいが、恐怖を与えるのは難しいと言っていて、お、有栖川から今流行りのイヤミスへの挑戦状か!?とドキッとした(笑)
    (自分にとって、一度読んだら怖くて怖くてもう読めない…という本は京極夏彦の魍魎の匣)

    はじめは亡くなった渡瀬信也の情報をマスコミにリークした人物が真犯人なのではと思ったけど、全然ちがった。
    でもカウダ・カウダじゃぁわからんー!!!
    おもわせぶりな火村の台詞にまんまと騙された…!!
    こそこそ電話してるんじゃないわよ紛らわしい…!!(まんまと引っ掛かった…!)

    そしてスマホを使うシーンが登場して、時代の流れを感じた。
    初期作品は家電使ってたのに。
    気づけばアリス達と同年代になっていたけど、彼らは年を取らないなぁ、、。
    いつか火村の過去も明らかになるんだろうか。

  •  今回の推理シーンは火村とアリスだからできた推理だなあ、と思います。火村の精巧な推理で獲物である犯人をじっくりと追い詰め、アリスの情念がトドメを刺す。それは確かに狩りに近いものを感じます。

     必ず悪夢を見るという部屋がある、人気ホラー作家、白布施の家にお邪魔することになったアリス。その部屋に泊まった翌日、かって白布施のアシスタントが住んでいた家で女性の遺体が見つかる。さらにその遺体は、首に矢が刺さっている上に、右手首が切り落とされていて……

     かなり派手な遺体ながら、推理の過程は本当に丁寧! 殺人犯が異常なわけでもなく、あくまで必要に迫られて右手を切り落とすのはどういう理由か。容疑者たちから地味に証言を集め、当日の状況を整理し、第二の事件も加味し、そしてたどり着く真相。

     かなり頭を使いましたが、猟奇的な遺体のインパクトに逃げることなく、丁寧にロジックを積み上げる火村の推理は、有栖川さんのミステリの真骨頂だと思います。

     そして今回はアリスもいい仕事をしました。火村がロジックで攻めるなら、アリスは情念、そして怒りを込め犯人に迫ります。作家アリスシリーズの中では、トップクラスの犯人との対決だったと思います。

     そして、推理とは関係ないですが、シリーズ読者にはラストにサプライズもあります。火村とアリスの二人はもちろん、この二人での再登場も期待したいところ!

  • 前にドラマ化されたのを見ていて、その原作だったことを読み始めるまで気づかなかったf^_^;
    個人的に、中弛みが苦手。いや現実社会では警察の尋問なんかは何回も同じことを聞かれる、ってテレビでやってたけどもね…
    何回も何回も繰り返して同じ人に話を聞いてる印象。ドラマを見ていて犯人は知ってたから余計に、かなぁ。
    でも最後の、狩りのシーンはちょっと怖かった。追い詰めるところがハンパない。
    渡瀬くんは可哀想でシンミリ…なんだけど、沖田がしゃしゃり出てくる話ではない。こういう人嫌い。

  • 火村先生と有栖川先生は互いに良い友人となり続けているんだな…と思ってしんみりした。
    ミステリー要素としてはこちらも混乱することもあり、作者の思う壺になっていた気がする。。

  • 最後の犯人を前にした火村さんはまさしく狩人。動機設定がまさしくミステリー。知りたい本当のことは謎のまま。
    火村さんとアリスがいい塩梅でコンビのバランス最高でした。

  • 『鍵のかかった男』もそうだったように、「あの人は何者だったのか?」も核になる話。この系統が好きなことに気づいた。
    散らかっていた事件がまとまっていく様はもはや快感。そして火村の緻密な論理もさることながら、アリスの作家ならではの矢が効いたのが自分のことのように嬉しい。アリス頑張れ、と応援しながら読んだ。
    渡瀬は白布施に感謝していたかもしれない、というのが切ない。それでいて、渡瀬の才能を世に知ってほしかった沖田の気持ちも理解できる。誰も彼を傷つけようとはしていなかったし、彼さえも望まない糾弾が殺人を招いたのがやり切れない。
    短編の鮮やかさももちろん好きだけど、長編のゆったり浸れる余韻がとても好き。次に火村が飛び起きるのは「アリスが煙草くれって言ったから」だといいな。

  • 突飛な犯罪なのに、推理はあくまでも論理的で地味。
    淡々と推理される最後の犯人との対峙が良い。

    そして相変わらず有栖の女性を見る目がありすぎて笑ってしまう。
    やっぱり進展はないんだけどね。
    サプライズの二人も番外変とかで読みたいなー。

  • 作家アリス、久々に長編を読んだ。安定の面白さ。でも犯人がちょっといただけない・・・早く犯行を認めてしまえ、と。往生際がとにかく悪いのだ。ミステリをある程度読み慣れてくると「犯人」にもある種の高潔さを求めてしまう…。
    ただ、それを補って余りある"サプライズ"があった?!それによりモヤモヤ感は完全に払拭されました。○○○○○。星三つ半。サプライズを含めると四つ。

    P.S.このシリーズは刊行順に読んでいて長編に関していえば、今のところ最高傑作は『鍵の掛かった男』。次点で『マレー鉄道』か『乱鴉の島』です。

  • 人気ホラー作家の家に招待されたら殺人事件が!通れなかった道、手首を切られた死体、犯人と思った人物も殺され、突然現れた急逝したアシスタントの謎が…?!「まさに正統なミステリ。そう、これが本格ミステリ」という作品読んだな~という思い。火村と有栖の掛け合いもこんなんだったな~。編集者の鳩子ちゃんいいキャラだった。

  • 前作かな?『鍵のかかった男』が個人的に好きだったので…今回も決して悪くなかったんだけど、ちょっといろいろ物足りなかった気がした。ので4よりの星3。

    でもアリスがいろいろなひとと時間をとりながら、少しずつ事件の解決に近づいていくのは相変わらず面白い。
    ミラクルとかなしに、奇抜なトリックとかもなく。

    生前の姿を一度もアリスと火村に見せなかったのに、中心人物な渡瀬くん。
    白布施さんも、沖田さんもふたりとも渡瀬くんと良い関係が築けてたのに、でもふたりが納得できなかった気持ちもわかるからどうしようもない。
    人は積み上げてきたものをどうしてもゼロにはできない。

  •  これぞ火村シリーズの真骨頂……! 話に深く没入したいがために、この長さを二日で一気読みしてしまいました。

     密室物でもなく、完全なクローズドミステリでもないので、絞り込みが厄介なのは確かなのですが、犯人や動機は雰囲気的に割と早い段階で察しがついてきます……勘で(笑)
     が、状況や心情的に納得がいく犯行の顛末に、動機からの推測や偶然に頼らない論理的な推理の組み立てで、犯人も読者も射貫くこの手腕、見事です。
     いやしかし、ページ数が増えると、そのぶん話のこんがらがり具合も増し増しですね。幾度犯人と同じく、「ちょっと整理させてください」と割り込みたくなったことか(笑)
     そして禁句かもしれませんが、落雷って、本格ミステリにはたいそう便利な自然現象だなぁ(笑)

     火村→アリスへと狩人役をバトンタッチしての終盤の追い込みは、アクションがあるわけでもないのに緊迫感抜群。今作はいつにもまして、火村の犯罪に対する憎悪が激しくにじみ出て、近寄りがたさすら感じます。そんな中、アリスの最後の「カウンセリング」が思いやりに充ちて暖かく、火村だけでなく読者にとっても、この作品という悪夢からの目覚めのきっかけになるような……あれ、なんかポエムみたいになってきた、アリスの影響か?(笑)

     それにしても、このコンビのシリーズ、もう二十七年も続いているのか……いつの間にか二人とも、スマホを使いこなすように……火村のベンツはいつまで現役でいられるやら……(しみじみ)

  • 必ず悪夢を見る部屋、片手のない死体、倒木によって陸の孤島となる山荘などなど、本格ミステリ的な趣向満載。
    なのだけど、あんまり有栖川有栖入門書にはオススメしがたい。このタイプだと『双頭の悪魔』という傑作があるので。

    とはいえ火村シリーズをキャラ小説として読んだ時にけっこう重要な1作。
    悪夢がテーマなので、当然火村の悪夢の話になるが、相変わらず根本的なことはわからないにしても、2人で一歩踏み出したように見える。
    読者としてめちゃくちゃ知りたいわけじゃないのだけど、火村がいつかアリスに語る気があるのかは知りたい。

    終盤、作家としてのアリスの言葉が重くてよい。
    作家が助手(あるいは探偵)のミステリーは多いけど、ちゃんと作家として生きてる感じがするのが有栖川有栖のいいところ。

    作中人物の年齢変わらないので大きな変化はないこのシリーズにしては珍しく片桐さんに大きな出来事が起こる。

  • 火村の悪夢にわりとずけずけ踏み込んでくるようになったなアリス。と思ってたら終盤の畳みかけが凄かった。火村の方もかなり受け入れてるし、犯人への追求を後半任せてしまうのがもうー。事件の方は多分あの人、と思ってたけど、最後の対峙でずっとしらばっくれてるのでアレ?違うの?てなってた。あそこまで丁寧に解きほぐされてるのを聞いてて客観的な感想言えてるのすごいよ。決定的なこと言われてやっと怒る反応だし。さらに最後のサプライズ。あとがきによれば作者本人まで、えそうだったの?て(笑)いやーそうなんかー!おめでたい!

  • 推理の最後の大詰めを任されるアリスに興奮してしまった。火村と犯人との対峙の緊迫感はマレー鉄道を思い出させたけど、火村が追い詰めた犯人を仕留めるのがアリスだったというのは新鮮。

    渡瀬と白布施、ほんとうに江沢さんとアリスが語るような仲であったならいいな…じゃないと渡瀬の人生があんまりにも報われなさすぎる…でも本当に合意の上での共著であったなら沖田が殺されたことについて渡瀬はあの世で後悔してそうだしどうあっても救いがない…

    で、殺人事件とは別枠で海のある奈良に死すからずっと続いてきた火村の悪夢についてもこれで一段落ということでいいのかな。
    結局火村の悪夢がなんだったのか、どうしてそんな夢を見ているのかはわからないままだけど、「そんなのはどうでもええわ」でぶった切ったアリスは最高〜!
    「私たち人間が歩いている道はなんと暗いのだろうか。踏み出す足の先すら見えないほどに。」がすごい印象的だったんだけど、踏み出す足の先すら見えないほどに暗い道でも梟は鳴くし光はあるということでしょう…すごい救い方だ…

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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