怖ろしい夜 (1) (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041078655

作品紹介・あらすじ

秋山は商事会社の平凡なサラリーマンだ。給料日、28歳になる恋人の明子に結婚を申し込んだところ、あと半年待って欲しいと言われた。半年したら叔母の莫大な遺産が入るというのだ。だが、彼女はその晩何者かに殺されてしまう。しかも彼女には叔母などいなかった。秋山は殺人犯の容疑をきせられ逃亡するが……。事件の裏には意外な事実が!!(「夜の追跡者」) 妖しい夜、寂しい夜、暗い夜。様々な夜をテーマにしたオリジナル短編集。

感想・レビュー・書評

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  • はじめての西村京太郎
    短編なのにみんな起承転結がすごい。面白かったです。
    後味の悪いお話が多い。江戸川乱歩と似てる。

  • ずっと積み本にしてた

    夜の追跡者
    泳がせたせいで井本死んでしまったし誘拐という余計な刑が追加されてしまったが大丈夫か?
    しかも殴ったのは公務執行妨害にはならないのだろうか?
    短編なのに2時間サスペンスのような重量があった。

    怠惰な夜
    クローゼットの中に拳銃が置いてあったところからもう始まってたのか⋯⋯。
    男の短気で衝動的な性格をわかった上で女の方が何枚も上手だったわけだ。着いてきた男の態度も確かに男よりは肝が据わってるかも。

    夜の罠
    美しい京子は怠惰な夜と同一人物か?
    上手くやっているように見えて全部手のひらの上だった。
    時代を感じた。今だったら60歳なら遺産を待つにはあまりにも長く感じて焦ってしまった、なんて考えるはずだと思う。
    今女が30だとして自由になる頃には下手したら70代なんだし。

    夜の牙
    安田刑事、ヤスさん、喋り方と言いThe刑事ドラマの刑事、って感じで好き。古典的な由緒正しい殺人課の叩き上げ刑事。でも刑事ドラマだと主役にはなれなさそうな。
    殺人の容疑をかけられて平然としているのは逆に怪しい、めちゃくちゃわかる。

    夜の脅迫者
    常々考えていたことだけど人殺しを脅迫すればぎゃくに殺される可能性を考えなかったのだろうか、を逆手にとった話。初版が昭和61年っていうのが信じられない。
    少しズレるけど、人殺しを夜中に人気のない所へ呼び出す、自分は誰に会うとはハッキリ言わない、殺せと言わんばかりの状況を作ればひとり殺したやつは絶対殺してくるだろ。と、2時間サスペンスを見る度に思っていた。
    それを利用して須貝太郎もとい他の鬱陶しいやつを殺させるところまで計算尽くだったのならアッパレ。
    その割には四方八方に手を出したせいであっさり殺されちゃったんだろうけど。
    それにしても距離を置いて心臓を撃ち抜いたら自殺に見せかけられないのでは?

    夜の狙撃
    最後の一文でコミカルにした⋯⋯のか⋯⋯?
    間違えて殺された京子が可哀想ではある。
    もちろん面白かったし矛盾もないけど男の方が狙われていて間違えて女は殺され男は何かしらの証拠になるものを持っている、までは序盤で読めちゃうのにも関わらずそこから先を読者が推理するのは難しいようになってるのはちょーーーっとだけアンフェアな気もした。ちょーっと、ね。
    それに結局殺さず空き巣に入っているし婚約者に関しては殺そうともせずいきなり空き巣に入っている。男の時に失敗したからなのだろうけどそれにしても最初から殺しなんてリスクをおわずに空き巣に入っているべきだったのでは?



    短編と言うだけあって一話一話がとても簡潔で短い。
    短いのに起承転結やミステリの要素はしっかり押さえられててさすがの西村京太郎だった。
    西村京太郎ってトラベルミステリー?時刻表トリックのイメージしか無かったから新鮮ではあったな。

    夜の脅迫者中の誰でも脅迫者になりうる、夜の牙の人は金のために人を殺す、や夜の追跡者で真犯人が言っていた人間は恐怖より欲望で動くものさ、みたいな西村京太郎の価値観みたいなものを感じた気がする。


  • ・古くもあるが人生とトリックが詰まった短編集

    どことなく古めかしさをこの作品の空気からは感じる。それもそのはず、1986年に角川書店から単行本が出ており、この本は文庫の改版本として出版された。しかし、感じる古めかしさはそれぞれの話の面白さ、そして恐ろしさによってすぐ打ち消されるのだ。
    六編の短編集だがそれぞれに濃密で一筋縄ではいかない、トリックと人生模様が表現されるのを見逃さないでほしい。

    ○夜の追跡者
    明子にプロポーズしたが「半年待って」の発言に、秋山はいぶかしがる。しかし誘った夜、明子のマンションに行くと明子の死体があって…明子の上司が犯人とにらむ秋山だが、事実はもっと奇なり。
    ○怠惰な夜
    川辺は恋人の京子と、気の弱そうに声をかけて遊ぶのが好きだった。あるとき、遊びのはずが京子が本気の素振りを見せてしまい…
    嫉妬し、逆上した男の哀れな結末は。
    ○夜の罠
    依頼した妻の素行調査に納得のいかない木村。困り果てた岡部はお金をふんだくろうと企むが。罠。
    ○夜の牙
    新人の三井刑事は安田刑事とコンビを組むことになり、早速連続パンマ殺しを追うことに。
    若気の判断とベテランの勘、どちらが勝つか。
    ○夜の脅迫者
    妻を殺したことのある山路は、ラジオで何者かに勘づかれたと気付く。犯人とおぼしき須貝を殺したのだがまだ脅迫は続き…
    よく考えればわかるのだがなかなか気づかない。
    ○夜の狙撃
    女にホテルに誘われて行く最中、女が撃たれた。その後空き巣に入られ、自分が原因だと刑事に気づかされる私だったが…
    原因と結果。結末も不運。

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著者プロフィール

一九三〇(昭和五)年、東京生れ。鉄道ミステリ、トラベルミステリの立役者で、二〇二二年に亡くなるまで六〇〇冊以上の書籍が刊行されている。オール讀物推理小説新人賞、江戸川乱歩賞、日本推理作家協会賞など、数多くの賞を受賞。

「2022年 『十津川警部と七枚の切符』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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