君の想い出をください、と天使は言った (1) (角川文庫)

  • KADOKAWA (2019年8月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784041078662

作品紹介・あらすじ

河野夕夏は絶望していた。
急性の脳腫瘍で倒れて入院し、医師の態度から最悪の結果を察してしまったのだ……。
その夜、ひとりで泣いていると、目の前に、真っ黒な服をまとった不思議な青年が現れる。
彼は自らを「悪魔」と名乗り、夕夏に取引を持ちかけた。「君の命を助ける。その代わりに、君の最も大切なものを一つ奪う」と――。

目覚めると、夕夏の腫瘍は良性に変わっていた。しかし、彼女はここ2年間の記憶を失っていたのだ。
けれど、夕夏には頼れる人もいない。両親とは、夕夏が幼い頃に起きたある事件をきっかけに疎遠になっていた。
病院から報せを受け、夕夏を心配した両親は、長野から駆けつけるが、夕夏は心を開くことができない。

就職して3年になる銀行でも、仕事の内容が全く思い出せず戸惑う夕夏。後輩たちから何故か恐れられているのも気にかかる。
窓口に連日やってくるクレーマーの対処にも手間取り、夕夏は意気消沈する。

そんなある日。同僚の菊池から誘いを受け、心が浮き立つ夕夏。
時を同じくして、アパートの前に、あの夜、枕元に立った謎の青年が現れ――。

「私の一番大切なものって、何だろう……?」
小さな違和感が、大いなる感動とともにほどけてゆく。涙なしには読めないやさしいラストが待つ、極上の恋愛ミステリ。

☆感動の声、続々!!!☆
記憶に何らかの理由でアクセスできなくても、周囲の人たちの中に、自分の知っている自分よりずっとはっきりした輪郭を持って、自分がいる。それを再発見できるってこんなに幸せなことなんですね。
――大学生・20代男性

感想・レビュー・書評

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  • 急性の脳腫瘍で倒れた夕夏。目覚めると二年間の記憶を失っていた。
    2年間の記憶を失った夕夏が元の職場に復帰してからの話、一卵性双生児の妹星羅の話、謎の悪魔水上の話と3つの話が平行して進む。
    それぞれ進展があって面白い。

  • 周りの人々でなんとか解決していこうとしていたのがわかって、救われました。

  • 急性の脳腫瘍で入院している傍らで、「君の命を助ける。その代わりに、君の最も大切なものを一つ奪う」と悪魔と名乗る青年に言われる夕夏。
    悪性だった腫瘍が良性に転じて命が助かるが、2年間の記憶がなくなってしまう。
    ゆめさんお得意のインパクトの強い始まり。
    不思議な青年は本当に悪魔なのか、本当に記憶と命を取引したのか、謎めいた話にぐいぐい引き込まれる。
    2年間の記憶をなくしたことで、生活や仕事にマイナスになったことも確かだが、立場が変わることで今まで見えなかったことが見えてきて、自分と向き合い、家族や過去と向き合うことになる。
    いろんなことが交錯して重なっているような物語で、後半一つ一つ謎が解けていく。
    ただ、すべての謎が細かく説明されていくところが、私としては逆に興醒めかなと。
    最後の家族のシーンもそこまでやるか、いらないんじゃないと思ってしまった。
    読み手の想像で楽しむところを残していても良かったかな。
    タイトルと表紙の絵からどうしても漫画ちっくに感じてしまってそこも残念。
    でも面白かったので、星4。

  • この本の主人公、夕夏は、仕事中に急に倒れ、病院に搬送され手術を受けるも、脳に悪性腫瘍があると診断されます。絶望する夕夏の前に、黒ずくめの謎の青年が現れ、「大切なものと引き換えに、君の命を助ける」と持ちかけられます。彼女は、その取引を了承し、診断は、良性腫瘍になり命を取り留めますが、ここ2年間の記憶が失われていました。

    この2年間の大切な記憶とは?退院してから、夕夏の失われた記憶探しが始まります。病院、職場、家族、そして、契約を持ちかけられた謎の青年から、少しずつ記憶の断片が見えて来ます。本当に少しずつなので、前半は、ちょっと焦ったく感じるかもしれません。又、夕夏は、小学校の時のある事件がきっかけで、両親と断絶していました。その話も同時に綴られます。

    しかし、両親との仲違いが解決されると、そのことで、閉じていた夕夏の心が開いたのか、失われた記憶の話が、急速度で展開します。後半は、一気に読んでしまいました。

    最初は、ファンタジーかしら、と思ったのですが、ミステリー要素の多い恋愛小説です。あまり読まないジャンルだったので、新鮮でした。

  • ヒロインの夕夏が復職後、直近2年間の記憶を失っているために職場で味わう辛さが身につまされる。自分の頭では仕事を教わっている新人のつもりなのに、実際の職場ではすでに後輩の指導役というのはきついだろう。何より、おそらく必死で勉強して得た資格も、学んだ内容をすっかり忘れているのだから覚え直さなければならないわけで。2年分の経験がチャラというのはなかなか恐ろしいことだ。
    そして2年間に得た人間関係もチャラ。その間に大切な人と出会っていたなら、相手の絶望感はどれほどだろう。それをふまえた本作はいろいろと考えさせてくれた。
    記憶喪失ものは、ためにする感が強くて嫌いなのだが、これはこれ自体がテーマになっていて納得。

    そもそもファンタジー設定だと思っていた導入部分だけを読んだときは、「悪魔との取引」について自分だったら、と考えたりもして。

  • 急性の脳腫瘍で入院している夕夏は、医師の態度から最悪の結果を察し、絶望していた。
    その夜、目の前に男が現れて言う、「君の命を助ける代わりに、大切な物を奪う」と。目が覚めると夕夏は、ここ2年間の記憶を失っていた……。

    不運ではありながら、優しく幸せでドラマチックな恋愛小説。
    2年間の記憶がない夕夏は、任されていた仕事も思い出せず、最近の人間関係もリセットされてしまっており、最初は戸惑いながら手探りで何とかしようとするのですが、記憶を消した男や、疎遠だった家族、職場の仲間と交流を深めるうちに徐々に立ち直っていきます。
    恋愛・親愛・家族愛と、様々な愛に溢れたラストシーンは素敵でした。
    また、”彼”の行動・言動のひとつひとつに隠された、愛情や恐怖、祈りを考えると、一途な気持ちにぐっときます。

  • 脳腫瘍で余命わずかと思ったら

    悪魔と名乗る男が「君の寿命伸ばす代わりに君の大切なものを奪う」と承認した主人公から奪ったのは2年前までの記憶

    銀行員として働いている彼女直近2年分の記憶が飛んでいるのでミス連発
    それでも必死で思い出そうとするが…頭痛が

    悪魔と名乗る男はちょこちょこ自分の前に姿を見せる
    けど姿かたちは「普通の人間」にしか思えない
    段々と心惹かれてい行く彼女、しまいには悪魔とデートしてしまった

    数回デートしたのちに悪魔から想像を超えた答えが返ってきた

    紹介文は「涙溢れる、ミステリアス・ラブストリー」なのか?
    最後はそうなのかと思いましたけどね面白かった

  • SF混じりの恋愛ライトノベルかと思ったら、思いのほか真っ直ぐで、謎解き要素もあるヒューマンドラマだった。タイトルで損してる気がする。すごく良い物語。

  • 実際にある地名や流行語などを使用しているため現実味を帯びてとても飲み込みやすい文章です。
    ファンタジー要素のある作品なのかと思いましたが、全てにおいて現実味があり、ファンタジーだと思われたことも最終的に全ての辻褄があいます。

    とても悲しく、幸せなお話でした。

  • 種明かしがされた時の「彼」のことを思うと、本当に胸にグッと来るものがありました。
    本編中では見えなかった彼女の言葉にどれだけ心を揺さぶられていたか分かった場面は特に。
    ファンタジーだった世界はくるりと回って現実味を取り戻し、悪魔は人間に、そして天使になる。
    物語の雰囲気も、ここで沈鬱さを感じる暗さから、希望の持てる明るく軽やかなものに変わるのも素敵。
    目の前がぱあっと明るく広がったのを確かに感じました。
    この場面に辿り着くまでに、非常に丁寧に丁寧に描写もされていたし、伏線も張られていたので、より感動が際立ったと思います。
    「彼」の想いが報われて本当によかった。
    最後の最後にも、さらっと種明かしその2も用意されていて、序盤に感じた違和感もちゃんとフォローしてくれているところも見事でした。
    素敵なラブストーリーでミステリでした。
    神様どうかこの先は、この二人が大切なものを無くさずに済むように見守っていてください。
    そう祈りたくなる物語でした。

  • 奇想天外なお話かと思わせて、実は、、、ハッピーエンドなラストがいい。

  • おもしろかった。
    2年間の記憶を失った主人公と、その職場の仲間や恋人、家族のお話。最後に明かされる真相は、正直ちょっと予想ができてて意外性はなかったけれど、ストーリーとしては心温まるいい話だった。

  • 事前情報をあまり入れずに読み始めたので、最初はファンタジー作品なのかと思いながら、悪魔の正体についてさまざまに想像を巡らせていました。

    たとえば、「双子の妹が夕夏を幸せへと導くために、男性の姿で彼女の前に現れたのでは?」など、いろいろ考えながら読み進めていました。

    しかし、悪魔の正体が明かされてからの展開は、涙なしには読めませんでした。

    夕夏が記憶を取り戻せるように、周囲の人々がそっと手を差し伸べていたこと――その温かさに心を打たれた、とても素敵な物語でした。

    また、作中ではずっと「悪魔」とされていたのに、なぜタイトルでは「天使」なのか不思議に思っていましたが、読み終えたとき、その意味に深く納得しました。

    結末については、人によってはバッドエンドと捉えるかもしれませんが、個人的には、それを超えるハッピーエンドだったと感じています。

  • 今まで読んだ本の中で上位ランキングに入るくらいストーリー性が好き。
    ストーリー展開やばい!最後の方ドキドキして読めた、なんだか自分まで恋をしてしまったかのような感覚になりました。感動ハッピーエンドです。

  • オカルトかと思ったら真っ当な物語だった

     それほど無理のない設定でかなり楽しめた。サクッと読める簡単でわかりやすい文書にスピーディな展開でお昼休み一気読み。そっか、家族もか。伏線に全く気づかず、ハッピーエンドまで楽しめたよ。

  • 題名が今風で、ちょっと、、、と思ってましたが、凄く良かった~!中々の感動恋愛ミステリーでした。最初は他の辻堂ゆめの作品みたいなSFファンタジーなのかなぁと読み進める中で、徐々に謎が明かされて行きますが、最初の何気ない日常会話がヒントになっているとは全く気付かず、気付いた時にホッ~~!と関心させられました。緻密に計算された展開にあっぱれ(^^♪

  • やはりこの作家の発想はすごい
    思いもよらない展開に驚かされた
    あっという間に読み終えてしまった
    この作品の題名、天使は誰か
    ちょっと考える

  • 文庫書き下ろし。

    銀行勤め3年目の河野夕夏は脳腫瘍で倒れ、緊急手術後の深夜、病室に現れた悪魔を名乗る黒ずくめの青年に「命を助ける代わりに大切な物を奪う」という取引を持ちかけられて承知すると、良性腫瘍の診断に変わって2年分の記憶を失っていた。
    とファンタジーっぽく始まるが、たびたび青年が「アフターケア」と称してアパートの前で待っているので、読者はだんだんこの青年が記憶にのこっていない恋人だったのではないか、また事故に遭ったという岡看護師の弟ではないのかと気づく。
    夕夏は小学生の時に土砂崩れにあって、なんでもよくできた双子の妹を失っていて、大学に入ってから実家と連絡を絶ってきていて、職場でも仕事はできるが、後輩に厳しかったが、職場復帰して新人同様となり、そのことに気づいていくという人物像も見えてくる。果たして夕夏は幸せになれるのか、と読者は気をもむ。
    終盤は予想どおりの展開でハッピーエンドになるのだが、わかっていても涙がこぼれる。ただ実家に一緒に行ったのが2回目だったというオチは、夕夏が結婚を控えていたことを家族が一言も言わなかったことに違和感を感じてしまうので、どうかと思う。

  • 図書館で見つけて、表紙に惹かれて借りてみた作品。
    気になっていた作家さんではあったが、読むのは初めて。
    紹介文では「涙溢れる、ミステリアス・ラブストリー」となっていたが、特に泣けもしなかったし、そこまでミステリアスって感じでもなかったかな。可もなく不可もなくといった感じ。というか、全体的になんだか中途半端に感じた。ファンタジーやSFではないんだろうけど、現実味にも欠けていて、なかなか小説の世界観にはまらなかった。
    文体とかは嫌いではないので、他のミステリー重視の作品なんかも読んでみたいと思う。

  • 急性脳腫瘍で倒れた女性が目を覚ましたら、悪魔と名乗る男から命を助ける代わりに大切なものを奪う取引を持ちかけられる話
    ファンタジー設定に見えて実はリアルな真相だったりする

    河野夕夏が失ったものは2年間の記憶
    ヴァイオリン弾きが魂の曲と引き換えに片足を失った小説が対比されている

    悪魔と名乗る男はアフターフォローと言って夕夏の様子を見に定期的に訪れる
    この男は本当に悪魔なのか?それとも人間なのか?何故夕夏の前に現れるのか?現れたのか?

    どうして夕夏は記憶を失ったのか?
    大事なものとは何だったのか?
    実家の長野で暮らす家族とは高校卒業以来疎遠になっている理由とは?
    星羅という名前の双子の妹の存在
    職場の銀行ではなぜか自分を怖がっている後輩がいたり


    この設定はアノ小説だなーとか、有名ショートショートのアレかとか、色々と思い当たる設定があるものの、物語全体を読んだ後には既存の作品とは違う読後感になっている不思議
    ありきたりな設定を盛り込んで組み替えてこんなストーリーを作る能力がすごいと思う
    ま、まったくツッコミどころがないわけじゃないけどね

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著者プロフィール

神奈川県生まれ。東京大学在学中の2014年、「夢のトビラは泉の中に」で、第13回『このミステリーがすごい!』大賞《優秀賞》を受賞。15年、同作を改題した『いなくなった私へ』でデビュー。21年、『十の輪をくぐる』で吉川英治文学新人賞候補、『トリカゴ』で大藪春彦賞受賞。

「2023年 『東大に名探偵はいない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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