総理に告ぐ 新橋署刑事課特別治安室〈NEO〉 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041079652

作品紹介・あらすじ

ノンフィクションライターの小林は、脳梗塞で療養中の元与党幹事長・佐竹の回顧録のゴーストライターを引き受ける。売れないライターからの一発逆転を狙い、小林は過去のスキャンダルを告白させようと試みるが、国の行く末を憂う佐竹が語り出したのは、戦争のできる国家へと大きく舵を切る現総理大臣のスキャンダルだった。しかし、佐竹の告解が終わった刹那、公安警察が現れて乱闘になり、脳梗塞を再発した佐竹は死亡してしまう。佐竹の告白と乱闘の一部始終が録音されたレコーダーを手に、現場から命からがら逃げ出した小林は、旧知の警察官の助けを得て、マスコミを巻き込んだ大勝負に出るが――。

感想・レビュー・書評

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  • 永瀬隼介『総理に告ぐ 新橋署刑事課特別治安室〈NEO〉』角川文庫。

    非常にリアリティがあり、恐怖を感じると共に何とも痛快なサスペンスだった。政界の裏、警察組織の恐ろしさ、政界とマスコミの癒着など、危ない情報がたっぷり詰まった異色の警察小説である。『経済的徴兵制』……今の総理大臣ならやりかねないだろう。

    脳梗塞で政界を引退した元与党幹事長の佐竹は現政権の暴走と極端な右傾化を憂い、自身の回顧録のゴーストライターを務めるフリージャーナリストの小林に驚愕のスキャンダルを告白する。折しも、佐竹を監視する公安にスキャンダルの暴露が知られ、小林は現政権はおろか警察組織をも敵に回すことに……

  • 現代のマスコミの状況に対し、「もはや新聞社に木鐸としての存在は期待できない」とか、「硬派のキャスターも反骨のコメンテーターも官邸の圧力に負けて次々に降板に追い込まれ」とか、あるいは現代日本の政治状況を暗喩し「中国韓国を挑発して強い日本をアピール」とか、作中人物に言わせ、ノンフィクションライターだった著者の本領が発揮されるサスペンスフルなエンタメ。
    右傾化を隠そうともせず独裁者への道を歩む総理大臣。
    経済的徴兵制を計画するその総理に一矢を報いんと、彼のスキャンダルを手にしたフリージャーナリストが立ち上がる。
    婚約者にも逃げられた臆病者で弱気な彼を支援するのが、結成されたばかりの新橋署刑事課治安室(NEO)。
    「警察官に正義のひとがいなきゃ、この国は終わりだ」と、NEOの黒沢。
    副題ともなっているNEOは、シリーズ化されるとみていいのだろうか。

  • カリスマ総理大臣を告発する売れないライターと警察の特別組織の物語。
    免許制度に骨抜きにされているマスコミが気骨を見せるシーンは良かったけれど、今のテレビ局の様子を見ていると、とても現実には起こりそうにないな。。
    仕事には志を持たなければと思わせられる一冊でした。

  • こんな風に国のトップをメディアが忖度なしに
    報道出来たらニュースも見る気になるんだけどなぁ。

    チョット・・・有り得ない??警察と公安の行動だったから
    現実味がなくて余り引き込まれなかったかな。

    警察小説愛好家としては、う~ん・・・かな。

    結局は総理のベッドスキャンダルという
    小さな方をぶつけてたけど・・・そこが残念だったな。
    人の死が絡んでるなら、大きなスキャンダルで
    ガツンと奈落の底に突き落としてくれたら
    スッキリしたかも。。。

  • 怒濤の展開と圧倒的リアリティ。政界の闇をめぐる緊迫のサスペンス!

    ノンフィクションライターの小林は、脳梗塞で療養中の元与党幹事長・佐竹の回顧録のゴーストライターを引き受ける。売れないライターからの一発逆転を狙い、小林は過去のスキャンダルを告白させようと試みるが、国の行く末を憂う佐竹が語り出したのは、戦争のできる国家へと大きく舵を切る現総理大臣のスキャンダルだった。しかし、佐竹の告解が終わった刹那、公安警察が現れて乱闘になり、脳梗塞を再発した佐竹は死亡してしまう。佐竹の告白と乱闘の一部始終が録音されたレコーダーを手に、現場から命からがら逃げ出した小林は、旧知の警察官の助けを得て、マスコミを巻き込んだ大勝負に出るが――。

  • 多少無理な設定で有りましたが 非常に楽しく読めました 特に設定が現在の状況に似てるのが より面白くしました

  • 現政権が進めてきた様々な制度改正、政権に対するマスコミや国民の姿勢に対する作者の思いが色濃く滲んでいる。物語は、ありそうだと思わせるリアリティがあり、最後の対決シーンも、そこに至るまでのスピード感と緊張感があり面白かった。
    主人公の刑事と元妻で上司のキャリア警官の関係がいいアクセントになっている。

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著者プロフィール

永瀬隼介

1960年鹿児島県生まれ。國學院大學卒。週刊誌記者を経てフリージャーナリストとなり、祝康成名義で『真相はこれだ! 「昭和」8大事件を撃つ』を刊行するなど事件ノンフィクションを中心に活躍。2000年『サイレントボーダー』で小説デビュー。事件現場で培った取材力を活かし、現代の深部を抉る骨太のサスペンスや犯罪小説を発表している。近著に『帝の毒薬』『カミカゼ』『三日間の相棒』『白い疵 英雄の死』『12月の向日葵』など。ノンフィクションに『19歳 一家四人惨殺犯の告白』などがある。

「2022年 『殺し屋の息子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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