- 本 ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041079706
作品紹介・あらすじ
「また高齢ドライバーの事故かよ」。猪狩雅志はテレビニュースに目を向けた。そして気づく。「78歳っていえば......」。雅志の父親も同じ歳になるのだ。「うちの親父に限って」とは思うものの、妻の歩美と話しているうちに不安になってきた。それもあって夏に息子の息吹と帰省したとき、父親に運転をやめるよう説得を試みるが、あえなも不首尾に。通販の利用や都会暮らしのトライアル、様々な提案をするがいずれも失敗。そのうち、雅志自身も自分の将来が気になり出して......。果たして父は運転をやめるのか、雅志の出した答えとは?心温まる家族小説!
感想・レビュー・書評
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良書確定。
地方少子高齢化、東京一極集中、地方過疎化、限界集落、
そして、高齢ドライバーによる危険運転、悲しい事故。
様々な立場の人間の想いに触れる事で、気づかされる事がたくさんあった。
現実、難しい問題だと思うが住民が支え合う新たなヒント、地方創生に向けた新たな価値観も詰まっていて、ホッコリした。
最後の展開が凄く良かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
久々の垣谷さん作品でした
やはり読みやすいタッチで
すぐに読めます(^^)
今回は父親の免許返納を説得する話かなと
読み始めましたが
それよりも中高年の生き様に
フィーチャーされていました
思春期の子育てのこと、
仕事のやりがいのこと、
田舎の不便な生活のこと、
自分のこれからの生き方など
考えされられますね
私が今ちょうど子育て中で
子供の将来のこととか、、、
息子の
「先生や母さんの言う将来って
いったいいつのことなんだろう」
っていう言葉は確かにと思いました。
いつも未来のために
努力したり、我慢したりしてますよね
悪いことではないんだけど、、、
私自身も
子どものため、老後のためと
将来に備えて暮らしてきたけど
今もきちんと楽しみながら生きないと
なんか、もったいないですよね
にしても
共働きで奥さんの収入も安定していて
田舎に立派な実家もあって
両親も健在で
新しい仕事について教えてくれる人もいて
新しいことを始めるには
雅志は結構恵まれてるよなーと
思ったりもしましたが 笑
自分も将来のことも
今のことを考えていきたいと思いました(^^) -
最初は どうやって父親を説得するのか
ということが気になってたんですが
話の本筋が どんどん雅志自身の
行く末に変わってきます
都会で生活に追いまくられ
お金のためにあくせく
やりたいことすべては
「定年後」
あ~耳が痛いわ
確かに 高齢ドライバーのことが
気になる子供世代の心を打つ内容です -
地方にいる年老いた親のことを心配しつつ、都心で暮らす50代のサラリーマンの心情が切々と伝わる物語。
垣谷さんは、団塊ジュニアと言われる世代の抱える問題を描くのが本当に上手だ。
日本列島の隅々に行き渡る、少子高齢化問題。
問題と言っても、解決策がそう簡単に見つかるわけでもなく、年々出生率が下がるのを政府も問題視しつつも、本当に問題だと思ってるワケ⁉︎と聞きたくなるほどの無策ぶり。
教育にかかるお金はハンパなく、親の介護が同時進行の人も少なくないはず。
過疎が進む地方に対しても、自治体任せな感は拭えない。
そう、この国はトップが変わっても「まずは自助」の国のままなのね。
そんな暗澹たる思いが、そのままこの本に現れている。
主人公の猪狩雅士53歳も、過疎化が進む地方で暮らす両親のことを心配しつつも、息子にかかる教育費と、マンションのローンのことを考えると、田舎に帰ることに二の足を踏んでしまう。
のっけから、この話のオチはどのようになるのか?
垣谷さんは、この問題にどのような解決策を用意しているのか?
とそれが気になって、手が止まらない。
うちの父も運転をやめません。
ここ数年、手を替え品を替え伝えているのですが。
この物語に出てくるような地方でもなく、そこそこ便利な所に住んでいるのに…やはり自由を奪われる感じなのかなぁ。
いやいや、そんな悠長なこと言ってられないんですが。
さて、物語の方は…
うーん、なるほどそういう結末ですね、納得です。
現実は、この物語のようにハッピーエンド、とは簡単にいかないだろうけど、こんな風になってほしい、と願いたくなる、そんな暖かい終わり方だった。2022.2.6
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あっという間に、読み終えた。
今回は主人公が50代の男性。
共働きで、高校生の一人息子がいる。
当てはまる家庭は多いだろう。
学歴があって大会社に就職したとて、
自分のやりたい仕事ができるわけではない。
特に雅志の職場はブラックに近い。
子供の学費も家のローンもあり、
辞めるに辞められずにただただ疲れ切っている。
田舎の高齢の父親の運転免許返納問題や、
どんどん過疎化が進む状態、買い物難民など、
現実にあちこちの地域で起きている事。
スーパーの移動販売に始まり、
地域の見守り、疎遠になった母と娘の間を取り持ち、
挙句に、助手席を開放するなど、
垣谷さんらしい、優しいアイデア満載。
妻と離れて暮らすことで、逆に毎晩話ができるようになり、息子は農業に目覚める、というオチ。
ハッピーエンド!
仕事も、勉強も、ある意味、楽しくなければ続かない。 -
色々なことを考えさせられた。自分の両親のこと、自分も老いるということ。
他にも都会と田舎のそれぞれの暮らしの問題が挙げられていた。難しい問題が山積みだ。
面白かったけれど、どこかスッキリしないまま終わってしまった。この家族、これで良かったのかな。 -
高齢ドライバーのことより、
むしろ過疎化が問題なのでは。
たぶんもともと雅志の両親だって、子どもに世話をしてもらおうなんて思っていなかったでしょう。
むしろ息子が東京で働いて幸せに暮らしていくことを望んでいたのだと思う。
でもまさかの著しい過疎化。
はげしい少子高齢化。
小さい商店どころか大きいスーパーも撤退。
交通の便も悪くなる一方。
そう思うと私たちだって、今描く老後のビジョンが
必ずしも実現するとは思えない
むしろ絶対思いがけない結果になるでしょう。
それにしても個人的には、農業をやめてしまう人が多くなると困るので、若い人の中に積極的に農業を始める人がいるとしたら、それは嬉しいこと。
消費者として応援します。 -
今、向き合わなければいけない事柄、課題を重くならずにポップに温かく向き合わせてくれますね。
垣谷美雨 王道スタイル。いつも楽しく読ませてもらってます。
プロレスで言えばストロングスタイル。
aikoでいう恋愛ソングですかね。
素敵な作品ですね。 -
高齢の父親の運転をやめさせることを中心に描かれていると思っていたのですが・・・。
物語は私の予想に反して、おもわぬ展開になりました。
日本の今の高齢化社会を象徴する高齢者の運転問題について投げかけていますが、運転の問題だけでなく、家族の生き方や様々な課題が浮き彫りになります。
過疎化の進む地方の生活実態から高齢者の免許証の返納は大変難しい問題です。田舎に住んでいる私の義父母も高齢で免許証を返納しているのですが、同居の家族がいるから出来ることです。
現在の高齢者社会の様々な問題を問う物語で、とても良かったです。
著者プロフィール
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