うちの父が運転をやめません

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 327
レビュー : 46
  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041079706

作品紹介・あらすじ

「また高齢ドライバーの事故かよ」。高齢者ドライバーのニュースに目を向けた雅志は、気づく。「七十八歳っていえば……」。父親も同じ歳なのだ。親の運転をきっかけに家族が新たな一歩を踏み出す、感動家族小説!

感想・レビュー・書評

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  • 高齢ドライバーのことより、
    むしろ過疎化が問題なのでは。

    たぶんもともと雅志の両親だって、子どもに世話をしてもらおうなんて思っていなかったでしょう。
    むしろ息子が東京で働いて幸せに暮らしていくことを望んでいたのだと思う。

    でもまさかの著しい過疎化。
    はげしい少子高齢化。
    小さい商店どころか大きいスーパーも撤退。
    交通の便も悪くなる一方。

    そう思うと私たちだって、今描く老後のビジョンが
    必ずしも実現するとは思えない
    むしろ絶対思いがけない結果になるでしょう。

    それにしても個人的には、農業をやめてしまう人が多くなると困るので、若い人の中に積極的に農業を始める人がいるとしたら、それは嬉しいこと。
    消費者として応援します。

  • 昭和一桁生まれで共に既に亡くなっている私の父と夫の父が、そもそも免許を持っていなくて本当に良かったと思っている。
    もしあの人達が免許と車を持っていたとしたら、私達世代がいくら免許を返納させようとしても絶対に聞き入れなかっただろうから。
    不便だからとかプライドだとかではなく、単にオレ様的性格なのと、子供が親に意見するな!タイプだったから。

    本書の題名通りの問題で頭を抱えている子世代は沢山いることだろう。
    ただ、本書のように地方だと、車の無い生活はきっと大変だろうなとも思う。
    また、高齢者の踏み間違いによる事故は多くマスコミに取り上げられていた同時期に、歩道を歩いていた高齢者が若者のスピード違反の車に突っ込まれて亡くなった事故の記事は扱いが小規模で、それもどうなんだろう?と思ったこともあった。

    しかし便利な都会で暮らしていて、タクシーに乗るお金にも困らないような生活をしていながら悲惨な事故を起こし、その後の対応も問題ありの、例の事故は許し難い。

    そういうご時世においてこの題名の小説。
    垣谷美雨さんの作品は、毎度題名が切実に心に響いてくる世代として、楽しみだ。
    今回もどういう風にこの題名の問題が語られていくのか楽しみだった。
    (楽しみという言葉は、あくまでもこれが小説だから使っている)

    物語の主軸と展開は思っていたのと違い、そう来たか、という感じ。
    垣谷美雨さんは優しい方だなぁ。
    最後のページでは、ふっと笑ってしまった。

    全く逆の環境のお年寄り達や買い物難民対策を書くことによって、例の事故と一括りにしてくれるなよというメッセージであればいいなと勝手に思う。


    ちなみに地方出身の親友が以前言っていた。
    「田舎に住みたいなんて言うのは田舎に住んだことの無い人だけだよ」

  • タイトルを見た途端、「あ〜あるよね〜!!!」と、入りやすい。

    猪狩雅志(いのかりまさし)は家電メーカー研究職。給料は多くないから、同い年の妻・歩美(あゆみ)と共働き。
    遅く出来た一人息子の息吹(いぶき)は、中高一貫の私立の男子高一年。
    最近、話しかけづらい。
    二人とも忙しくてずっと疲れていた。
    もっと息子のことを見てやれば良かった、と今になって反省することしきりの雅志。

    そんな時、高齢者が交通事故を起こしたというニュースを見て、そういえば故郷の父親も79歳だった、と思い出す。

    田舎は車が無ければ生活できない、という問題が一つ。
    自分は大丈夫、と言い張る年寄りというお約束が一つ。
    どんどん過疎化して、路線バスがなくなり、近所に点在していた個人医院も無くなると、問題だらけ。
    この辺りは、世の中の人も、読者も、大体共通して頭に入っている、今の日本の状況だと思う。
    しかし、田舎なのに人の繋がりが薄れている、という事態は初めて知った。

    雅志のように、故郷を遠く離れて東京に出て家庭を持っていれば、そうそう両親の買い物や病院のために車を出すことはできない。
    自分が帰るか、親を呼び寄せるか、福祉に頼るか、概ねその辺に分けられる。
    どれが正解というものはないと思うので、この作品は、「猪狩雅志さんの場合」という読み方をするべきだろう。
    皆が皆、こういう風にうまくいくとは限らない。

    また、都会に出てきた夫婦の子供が学校に馴染めず、祖父母の田舎に行って跡を継ぎたがる、という話も、デ・ジャ・ヴだが、読んだ作品は皆、選んだ結果が違っていた。

    妻の歩美の両親は東京住まい。
    雅志の両親を東京見物に招待してくれる場面の、両家の親の対比が童話「町のネズミと田舎のネズミ」みたいだった。
    人は、自分に合ったところで暮らすのが一番なのだ。

    個人的には、運転免許を与える時には年齢を決めているのだから、返納の年齢も法律で決めて運転をやめさせるべきと考えている。
    赤信号をそのまま突っ切る高齢者の車を実際に目にしてヒヤリとしたこともあるからだ。
    ただし、その代わりの交通をどうするか、病院の問題をどうするか、生きがいである運転や外出を取り上げた後の楽しみをどうやって見つけてもらうか、それは早急に考えなくてはいけない事だと思う。
    この本の中でも提起されている。
    あらためて考えさせる。
    読みやすさもさすが。

  •  垣谷さんは同世代なので、免許返納はもちろん、地方の暮らしや生活の感覚、老いていく親をどうするのか、自分の第二の人生など題材が他人事とは思えません。
     とくにタイトルの高齢者の免許返納問題は本人のプライドにも関わり大変難しいと思います。この問題を(小説として荒唐無稽でも)どう解決するのかと思い読み始めました。意外な解決でしたしうまく行き過ぎる感はありますが、面白かったです。




  • 内容紹介 (Amazonより)
    お父さん、何歳まで運転するつもり? 「わしは死ぬまで運転する!」

    「また高齢ドライバーの事故かよ」。猪狩雅志はテレビニュースに目を向けた。そして気づく。「78歳っていえば......」。雅志の父親も同じ歳になるのだ。「うちの親父に限って」とは思うものの、妻の歩美と話しているうちに不安になってきた。それもあって夏に息子の息吹と帰省したとき、父親に運転をやめるよう説得を試みるが、あえなも不首尾に。通販の利用や都会暮らしのトライアル、様々な提案をするがいずれも失敗。そのうち、雅志自身も自分の将来が気になり出して......。果たして父は運転をやめるのか、雅志の出した答えとは?心温まる家族小説!




    この題名を見て 去年亡くなった義父を思い出し読んでみることにしました。
    義父の場合、車ではなく原付きでしたが...
    若い頃にタクシードライバーだったこともあり 運転には自信があったようで なかなか運転をやめませんでしたが 故障したと言って乗れなくしたので いつの間にか乗ることを忘れたのか 次は自転車で移動するようになりました。
    自転車もそこそこのスピードを出していたようなのでヒヤヒヤしてました。
    この本では主人公の雅志が実家へ戻りますが そう出来る人は本当に少ないと思います。
    高齢者が増えて これからの大きな課題です。

  • 高齢者ドライバーの問題だけじゃない、
    限界集落だって、買い物難民だって
    我々が直面している問題は、いつだって今まで誰も経験して来なかった未知の難題ばかりだ。
    法律を作ったり、お年寄りが安全に運転できるような車を開発するより早く、
    90歳にもなろうとする人たちが、あちこちで車を運転する社会が現実にやってきてしまった。
    これは単に、お年寄りから免許を取り上げればよいという問題ではないことが
    小説を読み進めるにしたがってわかってくる。
    現実はままならないことは承知の上で、
    小説の中だけでも幸せな答えが見つけられてよかったな~。

  • 主人公が高齢の父親の運転をやめさせようとする話。年老いた両親と離れて都会で暮らす主人公。妻は共働きで都会育ち。社会問題になっている高齢ドライバーを採りあげた話だが、内容はそれだけにとどまらない。過疎化した田舎では、鉄道やバスなどの公共交通機関も縮小・廃止の方向にある。車がないと買い物や病院にも行けないのだ。あと何年運転できるか?と思うと身につまされる話です。
    免許返納の話をメインに親子の断絶や夫婦の考え方の違いなども絡めて話は展開します。
    ラストは、著者らしいハートウォーミングなものになっていますが、現実にはなかなか…。

  •  高齢者の免許返納問題のすったもんだの物語・・と思いきや、それだけではなく五十代半ばの男性が今までとこれからの生き方や、仕事、子育て等に悩み、考え、自分の今後の人生を切り開いていく物語。垣谷さんの本は相変わらず読みやすい。
     ひとごとじゃなく親の事や、日々の暮らし方等考えさせられた。

  • この自粛生活でいったん棚上げにされてるような気がするこの問題。
    でも、やっぱり高齢化のこの社会ではとても重要なこと。

    何かあってからでは 遅いものなぁ、
    こればっかりは。

    私自身はそもそも運転が下手なので、
    多分もう乗らないなぁ。
    でも、返納はしてない。これがダメなのか!

    それにしても、垣谷さんはこういうデリケートな問題をうまく取り上げる。
    つい、読んでみたくなるもの、一気読みでした。

  • 高齢事故や免許返納について改めて考えさせられるお話。
    実際に近々で考えないといけない事案。

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著者プロフィール

垣谷 美雨(かきや みう)
1959年生まれの小説家。兵庫県豊岡市出身、明治大学文学部文学科(フランス文学専攻)卒業。ソフトウェア会社勤務を経て、2005年『竜巻ガール』で小説推理新人賞を受賞し、デビュー。代表作としてテレビドラマ化された『リセット』『夫のカノジョ』の他に、文庫化されてベストセラーとなった『老後の資金がありません』、『ニュータウンは黄昏れて』『子育てはもう卒業します』『避難所』『農ガール、農ライフ』『あなたのゼイ肉、落とします』『嫁をやめる日』『後悔病棟』『女たちの避難所』など著作多数。『結婚相手は抽選で』が2018年10月に野村周平主演でドラマ化された。

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