倒れるときは前のめり (角川文庫)

  • KADOKAWA (2019年9月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784041080320

作品紹介・あらすじ

『図書館戦争』『レインツリーの国』『植物図鑑』ほか映像化続々の人気作家・初のエッセイ集が文庫化。
日々の生きるつれづれ、創作の裏側、大好きな本や映画、敬愛する人びと、ふるさと高知のことなど、デビュー書籍刊行前から現在までに綴った90本超に、それぞれ振り返りのコメントを書き下ろし(単行本刊行時)。
現在入手困難な「ほっと文庫」に収録された短編「ゆず、香る」と、片想いがテーマの恋愛掌編「彼の本棚」の、小説2編も特別収録。
「文庫版のためのあとがき」を書き下ろし。当代一の人気作家のエッセンスがここに!

みんなの感想まとめ

日常の出来事や創作の裏側を軽妙に綴ったエッセイ集は、読者にとって心温まる体験を提供します。著者の独特の視点から描かれる数々のエピソードは、時事ネタや個人的な思い出を交えながら、共感を呼び起こします。特...

感想・レビュー・書評

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  • 『読書が趣味、と言うとかなりの高確率で返ってくる台詞がある』、『すごいねー』というものだ。これは物心ついたころから読書が普通に趣味である長沢英里子にとって、微妙に不本意なものである。『そんなことないよ〜』と答えるのももう食傷だ。最初のうちは『別にすごくないよ』といちいち答えていたが、最近はもう諦めた。世の中の人間は二種類に分けられる。本を読む人間と読まない人間だ。

    …と、このレビューを読んでくださっているみなさんには、恐らくとても気になるこの内容、こんな感じに始まるのは〈彼の本棚〉という意味深なタイトルのついた短編小説です。そんな短編小説を二つも含んで、
    短編小説 2編(有名な「ゆず、香る」を含みます)
    自作品の解説 8編
    おすすめ本 20編
    映画評 16編
    エッセイ 54編
    Q&A 8問
    絵日記 3編
    植物図鑑 17種
    …と、とても盛りだくさんな内容からなるこの作品。どう表現したらいいんでしょうか。有川さんのなんでも本、というそんな感じの作品です。

    まずは一番のお楽しみ。短編小説〈ゆず、香る〉。この作品、2011年8月に、な、なんと バンダイ!から、入浴剤と小説がセット!になってドラッグストアで販売になったという強烈な出自を誇る作品です。『父の田舎がゆずの採れる山里だった』という彼女。『都会に来るまで、ゆずがこんなに高いなんて思ってもみなかったのよねえ』と大学時代からの友人である彼に語ったのは冬至の頃のこと。『訪ねていける祖父母がいなくなり、父もいなくなり、一人でふらりと帰るにはいかにも遠い』という彼女の父の故郷。彼と『親しくなったきっかけはみかんだった。共通の友人にはみかん戦争と呼ばれて今となっては笑い種となっている』という彼と彼女の大学時代の英会話サークルでの討論の場面。『私の出身地で採れるみかんは、生産量は少ないですが、日本一おいしいみかんです(英文)』、その後続けようとしたら、『I object! (異議あり)』と『断固たる反論』をしたのが彼。『日本で一番おいしいのは、僕の出身地のみかんです(英文)』と言う彼の出身地は静岡。『みかんに関しては譲れない!』と言う彼。『みかんの論争は禁止!』と部長から仲裁が入るも、次に『僕の生まれ故郷の名物は鰻です。(英文)』、と言う彼の発言に、『I object! (異議あり)』と今度は彼女。こんな繰り返しに『お前ら「日本一」ってフレーズ禁止』と言われる始末。そんな中、サークルのみんなで『静岡に鰻を食べに行こうという日帰りツアー』が企画されます。しかし、蓋を開けると『金欠を理由に直前でドタキャンが相次ぎ』、『最少催行人数二名のツアーになった』という最後に残った彼と彼女。『どうする?』『やめる?』、そして二人の出した結論は…。わずか30ページほどの作品ですが、入浴剤とのセット商品であるという位置づけをとても上手く捉え、最後にふっと漂うゆずの香りにとても幸せな気持ちになれる逸品でした。これは、入浴剤に小説がついてきたというよりは、有川さんのファンなら、小説がメインであくまで入浴剤はおまけだと思うでしょうね。また、バンダイが販売しているということもあって、『ガンダム好きな男を陥落するには役立つぞ。俺なら初対面でランバ・ラルを語れる女子がいたら好感度アップだ』。なんて台詞がいきなり出てきて、これは分かる人には分かるニンマリなシーンだと思います。

    次は、えっ?絵っ?と絵日記がいきなり登場するコーナーです。『昔は旅行に行ったりすると、スケッチブックに旅行記を描いてアルバム代わりにしていました』と語る有川さん。『36色の水彩色鉛筆を持っていました』!と本格的です。小夏やフルーツトマトのとても味のある絵がとてもいい雰囲気なのですが、『黄色い皮を包丁でりんごみたいにくるくるむいて、桃みたいにそぎ切りにカットする…』という感じでその絵につけられている日記の部分がさらに味を感じます。作家さんは何を書いても絵になる、というか文字で絵を表現していけるんだな、と感じました。

    それから、これも気になったのが『湊さんへの返信お手紙』という湊かなえさん宛に書かれた手紙の全文掲載のコーナー。『今だから白状しますが、初めて湊さんの「告白」を読んだとき、あまりのストーリーテリングに「化け物か!」と慄きました。そして「この人とは新刊の時期かぶりたくねぇなあ」と。』という有川さんと湊さんの出会い。今では『近いうちにまた一杯やりましょう』という間がらのお二人。そんな湊さんに関する記述がこんな風にも出てきます。『友人の湊かなえは印税ではなく個人の資産から寄付したそうだが、それも震災後に決行した「豆の鎖」のサイン会で募金を集め…』という記述。東日本大震災に作家は何ができるのか、という有川さんのとても熱いエッセイが登場します。震災や、何か国全体が沈むような不幸な出来事が起こった際に言われることでもありますが、『自粛は被災地を救わない』という考え方。『震災後、友人の湊かなえと話をすることが多かった。お互い阪神・淡路を経験しており、今作家となり、関西に住んでいる』という共通点から、被災地をどう支援していくのかということに対する有川さんの強い思いが切々と書かれているのはとても印象に残りました。

    また、ちょっと下世話な興味をくすぐるのが、『印税』について書かれている〈小説家になりたいあなたへ〉というエッセイ。『小説家になるにはどうしたらいいですか?』という質問を子供たちから受ける有川さん。『本音を言うなら「やめとけ」だ。今の出版業界で専業作家としてやっていくのは非常に難しい』と答えられます。『作家の収入は基本的には原稿料と印税だけだ』と、ここで『印税』の登場。『原稿料は雑誌などに原稿を渡したときに発生し、印税は本を出したときに発生する』のだそうです。あくまで収入のメインは『印税』ということで『単行本一冊につき定価の十%が著者に入る印税だ。定価千六百円の本なら一冊につき百六十円、かけることの出版部数が作家の収入になる』、ということは『運良く一万部の作家になれたとして、一冊の本につき、百六十万円の稼ぎ』になるという計算。一方で『筆の速さは人によるが、年間三冊書けたら相当速いほうだ。すると、かなり順調な作家で年間の収入は四百八十万円ほどということになる』えええっ!そうなんだ!というビックリなお話。作家の世界も甘くない、というか超売れっ子にでもならないとかなり厳しいんですね。これは知らなかった。そして、有川さんは最初の『小説家に…』という質問にこう答えます。『それでも、とおっしゃる子供さんには、「学校できちんと勉強してください」、「あなたのそばにいる人たちとのふれあいや生活を大事にしてください」』と答えるそうです。『自分の身の回りの人を疎かにする人間の書く物が他人の心に届くわけがない』とピシャリとおっしゃる有川さん。下世話な興味で読みましたが、とても興味深いお話を聞かせていただきました。

    『「倒れるときは前のめり」この本のタイトルになった言葉です。坂本龍馬が好んで引用していた言葉だという説もある』、そんな言葉を自らの作品のタイトルとされた有川さん。書かれる小説のバラエティの豊かさ同様にこの作品で取り上げられる内容も、アレもコレもと、とても盛りだくさんでした。かつてライトノベルというジャンルに憧れ、受賞もされた有川さん。『影響を受けたあの日の子供として、今こういう機会を戴けて、これからどこまで行けるだろうか』と自問される有川さん。『どこまで行けるか分からないけど、行けるとこまで頑張ろう。倒れるときは前のめり。やるだけしかありません』という有川さん。素晴らしい小説を数多く書かれてきた有川さん。そのお考えの背景を少し垣間見ることのできた、なかなかに興味深い作品でした。

  • 暑さが続き食欲減退。心身ともにグロッキーな状態が続いている。こんな時はやはりスッキリクッキリとした、いや、小刻みに読めるエッセイだ、と思いブクログでフォローさせていただいている読書家の皆さんの感想を漁っていて見つけたのがこの作品。表題の「倒れるときは前のめり」という言葉が刺さった。

    本作は2010年ごろから様々な新聞や雑誌に掲載されたエッセイをまとめたもの。少し昔の時事を扱っていることも多いので、2016年に単行本にまとめられるに当たって「振り返って一言」というコメントを入れておられる。このコメントが、タイムリーヒット。

    時事ネタが多いが、幼い頃の面白い話、東日本大震災にちなんだ話、表現の自由に関わる話、他にも様々な話が盛られている。私が思っていた以上に?(失礼な話だ)正論を明確に述べておられると感じた。一般社会で発生している様々な事象に対して、有川さんが感じたことを素直に述べておられるのだが、私の感覚は「そうだよね!」と頷いている。

    色んな作家さんのエッセイを読むのだが、エッセイで得られたその作家さんの日常や様々なことに対する考え方が少しでもわかると、その作家さんの他の作品が多少深く理解できるような気がする。

    そのエッセイのターゲットがどのような人たちを対象としているのかに大きく依存するのだが、本書のように新聞が中心だと時事ネタで少し硬めになりそうなのだが、ちょうど良い具合。有川さんご本人の考え方が色濃く滲み出ているように感じられた。

    時事ネタだけではなく、「なるほど!」と唸ってしまったのは「木綿のハンカチーフ」。私は有川さんとは少し世代が異なるのだが、松本隆さんの詩の解釈ついて、「そうだよなぁ、男の方も心を痛めていたんだな」という感覚が新鮮だった。

    後は、児玉清さんの話、湊かなえさんとの交友。ついつい納得しながら読んでいた。向田邦子さんの作品への想いも綴られており、どうにも数十年ぶりに読み返してみたくなった。(ついつい向田邦子さんのベストエッセイやその他の数冊を衝動買いしてしまいました。)

    最後にオマケのように載せていた「ゆず、香る」。商品の販売に合わせて創作した小編であることはわかって読んだのだが、最後にグッと来てしまった。さすがだな〜

    ゆずの香りで暑さが少し凌げたように思います。

  • 雑誌や新聞等に掲載されたエッセイをまとめたもの。
    有川浩のエッセイが珍しいから読みたかったのもあるけれど、私は特に『図書館戦争』の裏話が読みたかった。


    ・活字戦線異常あり
    活字のライバルは活字じゃなく、映画やテレビや漫画やレジャーやコスメか…2008年ならそうか…今は圧倒的にスマホ。ちなみにテレビはオワコン化しつつある。
    あと読者が思っているより何倍も出版社って古くて固いのかも。中の人の考え方や構造が。

    ・木綿のハンカチーフ
    こんなに切ない歌詞だったなんて知らなかった。良いなぁ、この世界観。メロディーも歌声も好き。

    ・書店はテーマパーク
    五千円あれば単行本なら三~四冊、文庫やコミックなら十冊…買えてたかも、2008年なら。今や文庫でも五冊ぐらいが限界では。本体価格もだけど、消費税も恐ろしく上がった。

    ・恋する気持ちは変わらない
    『大きな森の小さな家』シリーズが面白そう、読みたい・・・!以前から開拓時代のアメリカに興味があったということもあって。

    ・愛する映画作品たち
    宮崎アニメで一本選ぶならナウシカだそうで、私も!!と嬉しくなった。子供の頃からなんか陰のあるかっこいい女の子が大好き。自分ではなれないからこそ、憧れるというか。

    ・児玉清さんのこと
    稲嶺指令のモデルが児玉清だってことを、亡くなる直前まで本人に言っていなかったことが意外だった。
    映画館で見たよ、写真。


    エッセイの並び順、テーマごとより時系列順の方が良かったなぁ。同じ話題が続くとしんどいのと、作者の思想の変遷を見たいから。
    あと各エッセイについて一応作者の補足はあるけれど、どんな媒体で、どんな特集で掲載されたのか毎回気になっていたら、巻末に初出一覧があった。
    私はいい加減このパターンに慣れるべきw

    『ゆず香る』、当時バンダイで発売された「ほっと文庫」をリアルタイムで購入していて、入浴剤だけ使って短編小説は読まずに放置していた。
    内容は有川浩の良さがよく出ていて、笑えるしキュンとするしでとっても好みだった。『彼の本棚』と共に続きが気になる終わり方。

    そうそう、何年か前に久しぶりに最近の有川浩作品を調べてみようと検索したら、改名されていてびっくりした…。その経緯がエッセイ第二弾に書かれているらしいので、読むか。

    20260715

  • 有川さんのお考えがダイレクトに文章から伝わってくる。
    各作品の裏話は、既読のものはニヤニヤするし、未読のものは読みたくなる。
    有川さんのお好きな小説や映画はほぼ触れたことがなかったけれど、有川さんの筆致に引き込まれて、触れてみたくなる。というか、絶対私も好みだ。

    「振り替えって一言」が単行本を既に読んでいた方にも嬉しくて美味しい。

    2つの短編も素敵でした。

    Twitterではついつい「嫌い」とかマイナスの言葉で、ある事柄やら物やらを貶めてしまうのを猛省。「好き」の公言私も心がけたいです。

  • エッセイ集。好き勝手書いててめちゃめちゃ面白い!
    小説ではないが、どんどん読めて、いちいち納得して、しばしば爆笑!
    本人も書いているけど、こんな性格の人が、巻末の『ゆず、香る』みたいな純愛が書けるって凄い!
    笑顔になれる1冊です。
    続編があるらしいから、そちらも楽しみ♪

  • 2004年から2015年にかけて、新聞や雑誌などに掲載されたエッセイ集。
    時事ネタに対するご意見は、何年も前のことなので、頷いたり憤ったりするよりも懐かしいというのが正直な気持ちだ。
    作家がするどんなことに対しても、色々と言ってくる人がいるのだなあ。

    収録されている小説「彼の本棚」は、淡くて可愛らしい。
    ただ、本を読まない人間の描写に違和感を感じた。「すごいねー」を連発して頭悪そう、もしくは性格悪そうって、偏っている気がする。
    読書が趣味だと聞いて「すごい」なんて返す人に出会ったことがないので、ちょっと引っかかってしまった。

    同じく小説「ゆず、香る」や、高知に関するエッセイからは、地元愛とその魅力が伝わってくる。
    高知、いいなあ。行きたい。

  • 有川さんのエッセイ?集なんですかね。
    すごーく人となりがわかって、共感できて、楽しくて、とーっても良かった。
    存在をすごく身近に感じさせてくれる文章。
    執筆当時を[振り返って一言]、これがまたニヤっとさせてくれます。

    くしくも3.11が最後に会った日となったお話し「児玉清さんのこと」。素敵でした。

    こういう、エンターテイメントを創造する人ってどんなこと考えて生きてるんだろう、って本、好きなんだなぁ。

    また馬路村にも行きたくなっちゃった。
    有川さんの本、お薦めされてた本、読んでみよう。




  • 日常の出来事、自身の作品、ふるさと、好きな物、や児玉清さんの事や、最後には小説2編も収録されている。
    読み応えがあるエッセイ集だった。
    児玉清さんは読書家で本を紹介する番組にも出演されていた事を知り見た事をが無かったので残念。
    作者の作品に対する思いと、彼女自身の作品を知る事が出来て楽しい読書時間になった。

  • 題名に比べて軽妙なエッセイ集。
    児玉清さんのエッセイが一番素敵です。

    高知県・土佐の愛もあふれていて
    小夏・文旦が出てくるのがいいです。

    私の今年のふるさと納税返礼品は佐川町の「司牡丹」。

    仁淀川町の親戚の家で土佐流の飲み方「返杯」で
    司牡丹を延々と飲み続けたのはいい思い出です。

  • しっかりした女性。
    このエッセイを読んでまず感じた著者の印象。

    異例のライトノベル作家、とライトノベル出身であることを強調する謳い文句は確かに店頭で見たことがあった。
    でもその後に角川で売り出された文庫本を読んで感動したことを考えると、ライトノベル枠でなく、通常の小説として発表することを決めた担当者の人は本当にグッジョブなことをしてくれたものだ。

    有川作品との最初の出会いは図書館に置いてあったハードカバーの図書館戦争だったのだが、
    ライトノベル=小中学生向けというイメージが強い私達の世代だと、ライトノベルやマンガが好きと言うと、幼稚/オタクだというレッテルを貼られる不安から、堂々と図書館戦争が好きだ!と言えなかった後ろめたさも覚えがある。
    でもその後いろんな作品がヒットして、映画化アニメ化がバンバンされるようになり、有川浩=ラブコメ要素がある面白い小説を書く売れてる作家、というイメージが定着して、やっと好きな作家として名を告げられるチキンな自分がいたという…残念な過去と向き合う必要のある人でもある。

    2011年の掲載記事なので、序盤は3.11の震災の話が多く、阪神淡路震災を経験した著者の被災者としての経験から、自粛は被災地を救わない、という持論を崩さないのがかっこいい。

    そしてこの人は堂々と番宣を記事に入れる(笑)
    娯楽の種類が増えたことによる活字離れ、そして少子化によって出版業界は苦しい、という話はよく聞く。
    映画やテレビ、ゲームやインターネットなどを押さえて書籍費用に割く人はそりゃ少ない。
    のに、ケータイ小説はーweb小説は邪道だーと、一般文芸の崇高さにこだわって変わろうとしない人たちが多い、活字はすでにそんなに立場の強いエンタメ媒体ではない、出版業界の未来のために客層の開拓を行うべきだというはっきりとした現場の意見を述べている。
    ここまで堂々と言いきられると、後の映画化の番宣もいっそすがすがしく読める。
    なぜ映画と原作で内容が変わるのか、映画化すると何かいいのか、など、映画化における小ネタや裏エピソードを教えてもらえて、理解が深まって楽しい。


    あと、恥ずかしながら、東京都青少年の健全な育成に関する条例が10年以上前にすでに制定されていたことも読んで知った。読んでみたが確かに記述が抽象的で確かに解釈によっては発禁だ!とできそうでもある。
    でも、はだしのゲンは描写がグロイから貸すな!とどこかの図書館にクレームが入ったニュースを見て、そういう風潮に日本はなっているのか、、、と思った。
    汚いもの、あいまいなものを子供から遠ざけたい気持ちがあるのかもしれないが、本当に子ども達の為になることなのか、自分が見たくないから価値観を押し付けてないか、考えたほうがいいと思う。


    この人の記事になぜ凛々しさを感じるのか考えたけれど、おそらく、自分の意見を述べる時は断定しているからだ。事実を述べる時のように、
    私は~である。その時~だった。
    という断言するような書き方をしている。
    自分の考えや気持ちを述べる記載に
    ~だったと思う。とか、~と感じる。
    など曖昧な書き方をしていない。

    p67の『悔み続ける「けっこう」』という記事に、
    自分のインタビュー記事で好きな映画を答える際、あんなに大好きな映画なのに、無意識に「けっこう好きですね」と言っていたことにショックを受けたそうだ。
    けっこう、まあまあといったクッション言葉は自分の感性を否定された時に逃げ場を作ろうという計算がある。
    「え~こんなものがいいと思ってるの?」というバカにされる不安から、作り手を傷つけてまで仮想の否定から守りたいほど自分は大層なものなのか!と自戒している。
    ”「嫌い」よりも「好き」を躊躇なく主張する人のほうが素敵だと思うし、そういう人を見習いたい。”
    この一言が本当に刺さる。それを実践されているのかと思うとさらに頭が下がる。

    色々と学びが多いエッセイでした。

    そしてそんなサバサバした文の後、最後の柚子にまつわる小話が甘酸っぱく、胸キュンさせられて読了。

  • この人の文章からは、好きなものに対する愛がビシビシ感じられるから良い。
    特に、児玉清さんの話はちょっと泣きそうでしたね。
    読書家でスーツの似合う穏やかな雰囲気を含め、私も好きだったので。
    映画の図書館戦争で稲嶺司令として写真で登場された時は嬉しかったもんなあ。
    天地明察も気になって買ったし、高知にも行ってみたい欲がムクムクと湧いてくる。
    なんというか、読むと自分の世界が広がるエッセイだったわ。

  • 大好きな作家さんのエッセイです。
    作品の裏側などや、作者さんの思いがすごくストレートに伝わってくるエッセイでした。

    エッセイの中ですごく印象的に残っているのが、
    震災での自粛。
    ありましたね。

    テレビ全てのCMがぽぽぽぽーん。
    になってましたね。
    自分が落ち込んでる時に一緒になって落ち込む友達より、私は励ましてくれる明るくしてくれる友達がいい。
    被災地とそうじゃない地域もそういう関係が素敵なのではないのかな。と。
    エッセイ含めて、改めて思わされました。

    後は、実写に関する作者の考え。
    私も好きな本や漫画が実写化される時、とても構えます。原作に忠実かな?イメージ壊れないかな?
    など。
    やっぱりイメージしていたものと違うと、
    (なんか違うな。。。とがっかりしちゃう。。)

    図書館戦争の実写は、私にとってはとても素敵な映画&ドラマでした。

    このエッセイを読んで、イメージしてたものと違うのは当たり前で、それを楽しめる器量が私には足りなかったのかも。。と!

    色々考えさせてくれるエッセイでした!

  • 小説家のエッセイ?のような本は、自分でも意外だか結構好きだった。作者も同じ人間であるということが分かる。失礼なのかもしれないが小説をよんでいるだけでは本人像が分からないので、自分の好きな作家のことを知れる本は面白い。

  • 有川先生初のエッセイ集!
    好きなものは好きと言うのは本当に大事ですね!
    そしてやっぱり主義がハッキリしてる有川先生を見習いたいです。優柔不断は1番厄介かも…
    最後の短編の「彼の本棚」は人を好きになる気持ちが分かりすぎるほど微妙なとこまで書かれてて読んでて甘酸っぱくなった(笑)

  • ずっと読みたかった有川さんのエッセイ第1弾。
    雑誌の連載だったらしく、様々なテーマで書かれていてとても面白かったです。
    印象的だったのは東日本大震災の頃に書かれたエッセイ。
    自粛は被災地を救わない。無事でいたことや楽しむことに罪悪感を持たずに、エンタメをこの1回分で経済も回ると思ってちゃんと楽しんで欲しいと。
    こういうことを阪神淡路大震災を経験された身としていち早く発信されていたこと、凄いと思います。
    特別収録の短編小説もすごく良かった

  • 著者の漢気に触れられる一冊。読めば他の作品をより楽しめることは間違いない。エッセイ他、ショート2編が秀逸。ぜひ長編化を! 読みたい本や観たい映画が増えてしまうので、積ん読増やしたくない方は触れないことをオススメします!

  • この人の作品には、とっても真っすぐで、前向きで、理想に燃えて青臭かったり、甘ちゃんだったり、不器用だけど、自分の心を守り、それより相手を思う心を大事にしたり、芯に熱があり、芯がいいキャラクターが多く登場し、物語は時に甘く、時にほろ苦く、でも希望を捨てず温かい気持ちにさせてくれるものが多い、と感じていて、よい気持ちになるために安心して読めると思っていたが、エッセーを読んでいるとなぜそれらが生み出されたかわかるような気がする。
    作品の魅力を生み出す筆者のエッセンスが詰まった一冊。

  • 有川ひろさんの初エッセイ。

    どんな事を考えてる人なのかが分かるエッセイでした。
    自分の作品についてあーだこーだ色々言われながら自分の考えを固めてきたんだな、と思いました。
    我が強いのかな?と思ってしまいそうだけど、ネットなどの意見を浴びなくてはいけない立場であれば、これくらい強く自分の意思を持たないとやってられないのだろうと思います。
    タフだな。

    色々なお話の中で、「ネガティブな言葉は自分の魂にダメージが蓄積し、ポジティブな言葉は自分にパワーを蓄積してくれる」という言葉が印象的でした。

  • 有川浩初のエッセイ。雑誌か何かの過去のエッセイの連載に何年か後の感想を自分でつけたもの。作品やキャラクターの解説も多いので、有川浩の代表作を何冊か読んだ方向き。一冊も読んで無い人にはつまらないと思うけれど、彼女のエンタメ小説が大好きな人には、裏話が盛りだくさんで楽しいし味わいが深まる。図書館戦争の稲嶺司令のモデルが児玉清さんであった、など、なるほどがいっぱい。

  • けっこう我強そうな人なのかな
    エッセイ読みなれていないので、どう感じればいいのか分からなかった
    他の方のエッセイも読んで勉強する

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著者プロフィール

高知県出身。第10回電撃小説大賞『塩の街 wish on my precious』で2004年デビュー。2作目『空の中』が絶賛を浴び、『図書館戦争』シリーズで大ブレイク。『植物図鑑』『キケン』『県庁おもてなし課』『旅猫リポート』『三匹のおっさん』『阪急電車』『空飛ぶ広報室』『明日の子供たち』『イマジン?』など。2019年「有川浩」から「有川ひろ」に改名。

「2023年 『私たちの金曜日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

有川ひろの作品

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