- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041080375
作品紹介・あらすじ
幼女の遺体が休耕地で発見された。船橋署刑事課主任・香山亮介は、ブルーシートをかけられた遺体の様子が、7年前の田宮事件と酷似していることに疑念を抱く。事件は、犯人とされた男が無実を訴えたまま拘置支所内で自殺して終わったはずだった。香山は模倣犯を疑うが、真犯人による再犯の可能性を示す“あるもの”により、事態が急展開し……。刑事の執念が過去に隠された思いもよらぬ真相を暴く、圧巻の誘拐ミステリー!
感想・レビュー・書評
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色々な刑事小説を読んでいるせいか、途中まではよくある刑事小説と同じか。と思ったりもしたが。
後半に進むに従って少しずつ空気が変わり始め、真相はそうでしたか!と。
ただ、少し中弛みしてしまったのでもう少し短くてもいいのでは?と思ったのと、人物の視点で書いてあるその人物が割と多くいるので少し読みづらい気がする。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
シリーズ 4作 衝動買いしてしまった。
「面白くなかったら…」そんな事 全くの杞憂でした♪
派手さはないものの 警察組織とは? 地道な調査とは?が 詰まった作品でした (時々 誰が主人公か分からなくなってしまいましたが…)
7年前の幼女誘拐殺人事件 犯人の自殺で幕を閉じたかに思えたが、しかし、酷似した事件が発生 模倣犯か?7年前の事件の真犯人か? 自殺した犯人は冤罪だったのか? 事件の真実は?
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捜査する刑事の視点が次々と変わり、誰が主人公なのか、戸惑ってしまうが、刑事たちの群像劇として読めばよいのだろう。
7年前の事件と類似した幼女誘拐殺人事件が発生し、所轄の刑事たちが捜査に当たる。
7年前の犯人は拘置所内で自殺している。彼は冤罪だったのか?それとも模倣犯が起こした事件なのか?
読者の興趣も最後まで削がれることはない。
誘拐ミステリーではあるが、作家の巧緻を身代金の受渡に注がれる作品とは、一味違うミステリー。
巻末に、シリーズ第2弾の冒頭部分が掲載されているのは、意表を突いた名企画(営業戦略?笑)。
ファンの読書欲が掻き立てられるのは間違いない(笑) -
翔田寛『冤罪犯』角川文庫。
幼女誘拐殺人事件を描いた警察小説。同名の単行本を加筆修正、文庫化。シリーズ化されるようだ。巻末にシリーズ次作の『黙秘犯』の冒頭試し読みを収録。タイトル通りなら冤罪なのだろうが、読み進むうちに模倣犯の線も見えてくる。果たして、真相は……
捻りに捻ったことで、不自然さを感じる事件の真相が少しマイナスのポイントだろうか。執念の捜査を続ける香山亮介、三宅義邦、増岡美佐、香山と衝突する入江正義の警察の面々の人物造形は非常に良い。
千葉県の休耕地で発見されたブルーシートをかけられて半裸で遺棄された幼女の絞殺死体。死体の遺棄状況は7年前に犯人逮捕で解決した田宮事件に酷似していた。拘置所内で自殺した田宮事件の犯人は冤罪だったのか……
本体価格760円
★★★★ -
幼女の遺体が休耕地で発見される。
船橋署の香山・三宅・増岡など、刑事達の捜査は続くが、容疑者は見えて来ない。
やがて、7年前の連続幼女誘拐殺人事件との関連が出て来る。
田宮事件と言われたその事件では、容疑者の田宮龍司が逮捕され、二審後、拘置所内で自殺した。
果たして、今回の事件は、田宮の模倣犯なのか、それとも田宮は冤罪で、真犯人が別にいるのか?
過去と現在が交錯する複雑な事件。
警察上層部は、田宮事件との関連を否定し、捜査を中止しろと言う。なぜか?
やがて、現れる真実の謎、そこには、誰も想像できない闇があった...
最後に、『黙秘犯』の冒頭付きで、お得です。 -
平成29年7月の夜、千葉県船橋市米ヶ崎町内の休耕地で、5歳の女の子の扼殺遺体が発見された。上半身は赤いTシャツに首を通しただけ、下半身は裸、そこにブルーシートがかけられた状態で。船橋市夏見の、自宅近くの児童公園で夕刻近くまでひとり残って遊んでいた姿を最後に目撃されてから、わずか3時間あまり。船橋署刑事課の巡査部長・香山は、部下の三宅巡査長や増岡巡査などとともに犯人検挙に向けて捜査を開始する。見出される状況証拠は、かつて同じ千葉県内で起きた事件との奇妙な類似性を示し、彼らの脳裏にひとつの疑念が浮かびあがる。
田宮事件。平成22年春から夏にかけて発生した連続幼女誘拐殺人事件。幼女を誘拐し、裸にして悪戯し、容赦なく殺害し、無残にその体を遺棄した。やがて容疑者として田宮龍司という青年が逮捕される。田宮は容疑を否認し続けたが、勾留期限が切れる間際に劇的に発見されたある証拠により自供。裁判は一審、二審で死刑の判決が下った。しかし判決後、田宮は拘置支所内で自殺してしまう。
増岡は捜査会議で田宮事件の模倣犯である可能性を主張が、捜査一課係長たち上層部はその筋を否定した。模倣犯でなければ、もうひとつ、田宮事件の真犯人が逮捕されておらず、再び動き出したという可能性も浮上する。はたして、かつての田宮事件で犯人とされた青年は冤罪だったのか否か。
香山たちは現在の事件の捜査と同時に、密かに田山事件の物証や証言をあらためて探る。やがて過去と現在の事件が不思議な相似をもって重なってゆく。怪談めいた不気味ささえ孕みながら――。
模倣犯罪と冤罪説。現在と過去、ふたつの事件を同時に操作することで、それぞれの事件がもっていた違う顔が見えてくる。7年という、まだ誰の記憶も鮮明なままの時間経過が生々しい。事件を追う警察官や一般の目撃者が7年前を回想するその心の動きが、読んでいてリアルに伝わってくる。いったいふたつの事件はどういう展開になっていくのかという緊張感のなかで、一気に最後まで読んでしまう。
強く伝わってくるのは「罪を犯したものを過たず、必ず検挙する」という香山たち警察官の矜持だ。間違えば無実の人に濡れ衣を着せることになる。真犯人を逃せば、犠牲者は浮かばれることなく、さらに次の犯罪が生まれてしまう。いくつもの葛藤をかかえながら役割を全うしようとする警察官たちがたどり着く、それぞれの事件の真相に注目してほしい。描かれる事件は重々しいけれど、ラストシーンは至極爽やかな警察小説だ。
KADOKAWAさんの文芸情報サイト『カドブン(https://kadobun.jp/)』にて、書評を書かせていただきました。
https://kadobun.jp/reviews/789.html -
やはり警察ものは面白い。
著者プロフィール
翔田寛の作品





