今昔百鬼拾遺 河童 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 752
レビュー : 84
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041080450

作品紹介・あらすじ

美しく蛇行する夷隅川に次々と浮かぶ水死体。第一発見者の呉美由紀、研究家の多々良勝五郎らは、「奇譚月報」記者・中禅寺敦子とともにその謎を追う。やがて薔薇十字探偵社が抱える案件との繋がりが――。

感想・レビュー・書評

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  • 本書は今昔百鬼拾遺シリーズ3部作の第2作目。
    そして僕が読む京極夏彦先生の作品としても2作目
    なんとなく京極ワールドの感じが分かってきた。

    すごく不思議な魅力を持っているよね。この本は。
    冒頭の女学生達の「河童」についてのおしゃべりが延々と続き、この話はあまり本編には関係ないのじゃないかと思い始めるころに、タイミング良く事件が発生していく。

    本作品の主人公も前作と同じ、記者の中善寺敦子と女学生の呉美由紀のコンビ。まったく、関係のない場所で行動していたと思いきやひょんなところで合流し、河童にまつわる事件に巻き込まれてしまう。
    僕としては初めてとなるが、ここに登場する多々良先生のキャラクターが強烈だ。
    京極ファンならお馴染みの多々良先生なのだろうが、初めて目にすると(いや、文章で読んでいるだけなので実際には目にはしていないのだが・・・)その強烈なキャラに圧倒される。
    「今昔続百鬼シリーズ」では多々良先生が主人公だそうなので、そちらのシリーズもちょっと気になってしまう(笑)。

    本作は、フーダニット・ハウダニット系のミステリとなるが、前作と同じようにミステリとして楽しめるとともに日本古来の妖怪怪異への知的好奇心をも満たしてくれる。これが京極ワールド。妖怪好きにはたまらないのだろう。

    本作は戦後まもなくの時代が舞台なのだが、前作と同じように全く古さを感じさせない。ぐいぐい物語に引き込まれてしまう。このあたりが京極先生の筆力の凄いところなのだろう。
    本作もいろいろと楽しめた。
    次作は遂に本三部作最後の『天狗』なので気合いを入れて読みたい。

    • くるたんさん
      kazzu008さん♪
      こんにちは♪

      河童図鑑が作れるんじゃないかっていうぐらい、地方によって違いがあることに驚きました♪

      多々良センセ...
      kazzu008さん♪
      こんにちは♪

      河童図鑑が作れるんじゃないかっていうぐらい、地方によって違いがあることに驚きました♪

      多々良センセイ、濃すぎますよねー(笑)。

      多々良先生行状記 なる作品はまるごと多々良センセイを味わえました。イラっとしますが憎めない…そんなセンセイの魅力を楽しめました♪
      2019/09/19
    • kazzu008さん
      くるたんさん。こんにちは!
      コメントありがとうございます!
      本当に河童って地方によっていろいろあるんですね。全然知りませんでした。緑色で...
      くるたんさん。こんにちは!
      コメントありがとうございます!
      本当に河童って地方によっていろいろあるんですね。全然知りませんでした。緑色で頭にお皿を乗っけてるっているイメージしかないと思ってましたよ。

      そうそう、多々良先生は面白いですね。もし本当に話をしたらイラッとくると思いますけどね(笑)。『今昔続百鬼 雲』が多々良先生スペシャルなんですよね。今後読みたいリストに入れました。

      この三部作もくるたんさんのおすすめシリーズで当たりでした。ありがとうございます。今後ともよろしくお願いします!
      2019/09/19
  • 昭和29年。団子屋で七年前に、宝石略奪の密議を凝らしていた五人組のうちの三人が、次々と夷隅川で変死している。
    死因は溺死で三人共、ズボンが引き裂かれて無くなっていた。人間のお尻を出して中の臓物を食べるという河童のいい伝え。
    中尊寺敦子と三人目の死体の第一発見者の呉美由紀は、妖怪研究家の多々良勝五郎らと謎を解こうとします。
    五人組の残りの二人も殺されるか、又は共犯、犯人ではないかと推理します。
    果たして河童の迷信はもう信じられる時代ではないはずなのに、まるで河童の仕業のような死体のズボンを下すという仕業は一体、誰が、何のために。

    最後は、とても哀しくも美しい真相が敦子により解明されます。

  • 河童と奇妙な水死体事件に敦子と美由紀が挑む。

    お尻、尻子玉…河童についてのガールズトークで幕開けの今作。
    前作よりもさらにライトな印象で読みやすく面白かった。

    キャラの濃い多々良さんのトーク、河童談義が熱いのも楽しめたのも大きなポイント。
    別作品に登場しているのかなぁ…多々良さんに興味がわいた。
    相変わらず終盤に誰もが放つ言葉が気持ち良くて良い。

    戦争、戦後という時代背景、そこに絡められた感情がちょっとしんみりくる。人たるもの、河童たるもの…見事に最後まで河童が描かれた作品、大満足。

    • kazzu008さん
      そうなんですね!
      では安心してこの今昔百鬼拾遺シリーズ、機会を見て読んでみたいと思います。今まで京極先生の本はあの分厚さでちょっと手に取る...
      そうなんですね!
      では安心してこの今昔百鬼拾遺シリーズ、機会を見て読んでみたいと思います。今まで京極先生の本はあの分厚さでちょっと手に取るのを躊躇していたんですよね(笑)

      こちらこそ、いつも「いいね」をしていただいてありがとうございます。
      そうですね。最近レビューした本はどれもみな面白かったです。特に「動物農場」はオーウェルの傑作ですし、あのゾクゾク感はたまりませんでした。今度は「一九八四年」に挑戦しようと思っています。
      あと、今日の「泥の銃弾」もあまり話題になっていませんが、これもおすすめですよ。

      まだまだ読みたい本がたくさんあるので、読み終わったらその都度、また詳しくレビューさせていただきますね!
      2019/06/26
    • cowbell01さん
      くるたんさん、こんばんは。
      多々良先生ですが、「今昔続百鬼――雲」という作品に出ています。副題が「多々良先生行状記」ということで、メインで出...
      くるたんさん、こんばんは。
      多々良先生ですが、「今昔続百鬼――雲」という作品に出ています。副題が「多々良先生行状記」ということで、メインで出ていますよ。
      京極夏彦さんの笑わせ系で、厚いですが、気楽に読める本です。
      2019/06/26
    • くるたんさん
      cowbell01さん♪

      コメントありがとうございます(*´∇`*)
      そして情報ありがとうございます♪多々良先生行状記とは!それは面白そう...
      cowbell01さん♪

      コメントありがとうございます(*´∇`*)
      そして情報ありがとうございます♪多々良先生行状記とは!それは面白そうです♪

      あの熱いキャラ、お気に入りです♪

      楽しみがまた増えました✧*。(ˊᗜˋ*)✧*。
      2019/06/26
  • 本書の説明やブクログのレビューで、多々良先生が出ると知って、これは読まねばと思い、読みましたが、やはりおもしろい。薔薇十字探偵社の益田くんも飛ばしまくりで、前半は笑いながら読み進めました。
    後半は事件の真相にもつながっていくため、深刻さが出てくるものの、やはり二人が絡むと和みます。
    しかし、キチンと問題はぶち込まれている。例えば、地域の特性があるはずの川辺の妖怪の意匠が、テレビが一気にイメージを伝播させることで、河童のイメージに固定されると、この時代に起き始めた事象と絡めて問題視される。かつて『妖怪馬鹿』で嘆かれていたガラッパもなんでもかっぱイメージにまとまってしまっている話だが、反面イメージ自体が時代によって、塗り替えられてきたものでは?という考えも示されたりして、その議論だけでもおもしろい。
    事件の真相につながるところが、そもそもの河童などの出自にもつながるかと思うと、考えさえられるし、女性の社会進出も、警察の話に絡まって出てくる。色々と考えさせられる。時代も大きくかわっていく雰囲気が、ところどころにあり、シリーズ自体にも影響していくんだろうと感じた。
    あと、各種これまでの事件に話がちょいちょい出てくるものの、『邪魅の雫』だって、いつ読んだかという感じなので、どれだっけ?誰だっけって感じでした。

    • くるたんさん
      cowbell01さん♪
      おはようございます♪
      この作品、面白かったですよね♪
      くだけた雰囲気からしっかり時代背景を絡ませた事件の真相、三作...
      cowbell01さん♪
      おはようございます♪
      この作品、面白かったですよね♪
      くだけた雰囲気からしっかり時代背景を絡ませた事件の真相、三作品の中で一番印象に残りました。
      cowbellさんから教えていただいた、多々良先生行状記も楽しく読みました♪
      スピンオフものもほんと、キャラにグッと近づける感じが良いです♪
      ありがとうございました✧*。(ˊᗜˋ*)✧*。
      2019/07/27
    • cowbell01さん
      くるたんさん
      こんにちは。ホントにおっしゃる通りでくだけた感じで進んでいくと、オッという感じで考えさせてくるのが、にぎやかな面白さのみならず...
      くるたんさん
      こんにちは。ホントにおっしゃる通りでくだけた感じで進んでいくと、オッという感じで考えさせてくるのが、にぎやかな面白さのみならずという感じで、よかったです。
      多々良先生が出てくるとニヤニヤしながら読んでました。
      キャラが、グッと近づく感じって、ホントにそうですね。今回は多々良先生と敦子さんの組み合わせで、よりそれぞれの良さが見えた感じがしました。
      2019/07/27
  •  なんか、河童がブームになってたとか、さう言はれる昭和二十年代後半。の日本、第五福竜丸に関するいろいろが出る中出た、謎の出歯亀事件と謎の尻、尻、尻が出てくる水死体。
     個人的に「小山田刑事」と言ふ人が出てくる京極作品につられる体質があるらしく、謎の河童懲罰刑事小山田が出てくる本書を買ってしまった。
     その、河童駒引伝承とか、いろいろが水木しげるファンの手で、ごちゃごちゃと展開する。
     犯人の関係と、重要なアイテムの関係はしっくり来た。

  • 最初の河童談義はなにか落語っぽい。益田の口調のせいか多々良先生のせいか。
    と思っていたら、戦争や被差別部落やと、なかなか重いテーマになり…でも最後は美由紀が救ってくれるんだろうな、と期待しながら。

  •  3ヵ月連続刊行の『今昔百鬼拾遺』シリーズの第2弾。前作の「鬼」に続いて、今回は「河童」だという。「鬼」と同様に、「河童」も日本人には馴染みがあり、ステレオタイプのイメージが出来上がっているが…。

     序盤から、呉美由紀と級友たちの河童談義が延々と続くが、どうやら覗き魔が出没しているらしい。男が男の尻を覗くのだという。その理由は読み進めばわかるが、本題に入るまでが長いなおい。一応、河童談義にも意味はあったわけだが。

     一方、中禅寺敦子は、薔薇十字探偵社の益田から相談を受けるのだが、増田の話がとにかく要領を得ない。キーワードは、「宝石泥棒」と「尻」?ん?「尻」でさっきの話と繋がったのか?千葉県の川で、尻を出した男性の遺体が発見されたとか…。

     河童の話なのか尻の話なのかどっちやねん。河童が尻小玉を取るという伝承は聞いたことがあるけども。美由紀が木更津に帰省中、従姉妹を訪ねると、そこになぜか多々良勝五郎先生が現れる。京極堂シリーズっぽくなってきたじゃない。

     多々良先生は「稀譚月報」の取材で来ていたため、結局敦子も千葉へ出向き、そこで美由紀と会うことに。事件の発端は、戦後の混乱に乗じた悪巧みにあるようなのだが、尻を出した死体ばかりがどんどん増えていく。いや、笑っちゃいけないのだが。

     すべての真相は、ある場所にあった。戦時という時代背景があるにしろ、現代にも置き換えられるテーマだろう。このような境遇にあって、彼の心の根底にあったのは…。偶然の産物とはいえ、これは肝が据わった悪党でも驚いただろうなあ。

     今回の舞台装置は、京極堂シリーズ本編用にアレンジすることも可能だったのではないか。手ごろな文庫にまとめたのは、嬉しいような惜しいような。前作よりもシリーズの「らしさ」が増えている感があり、今後がますます楽しみになってきた。

     それにしても、夷隅川って本当にものすごく蛇行しているな。

  • 百鬼夜行シリーズのスピンオフ三部作第二弾。ややこしいな。
    なんかこう、尻まるだしにされた男性という奇妙な水死体が発見される事件が連続。というかなりキャッチー・・ではないけども、「この尻まるだしにちゃんとした整合性のある結末はあるんだろうか?」という部分ではとても気になるお話ではありました。そこにまあ、「尻子玉を抜く河童」とからめてうんぬんではありますが、当たり前ですが河童はでてきません。河童をひたすら語り続ける女子高生というのもある意味ではとても趣深いものがありましたが。
    個人的にはもっと馬鹿馬鹿しいくらいのお話が三部作で一つくらいあるといいなあと期待したんですが、下品下品言われ続けた前半を裏切るかのようにちょっと物悲しいちょっと綺麗なラストで・・・

  • このシリーズ「鬼」に続いては「河童」です。
    物語の冒頭から、お嬢様たちが河童について語らい盛り上がっております。
    そこから奇妙な事件が始まり、多々良先生まで登場し、事件は川のように流れ解決するのですが…。

    京極夏彦氏の作品で屍蝋というと、すぐに「姑獲鳥の夏」を思い出してしまいますね。

  • 個人的には前の「鬼」よりこっちの「河童」の方が面白かったかな。やっぱりこの「河童」のが事件が入り組んでいるというか関わっている人物が多くて複雑化していて最後にすっきりするところが京極夏彦の作品らしくて良く感じられた。美由紀ちゃんの啖呵も良かったしね。

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著者プロフィール

京極 夏彦(きょうごく なつひこ)
1963年、北海道小樽市生まれ。小説家としてだけでなく、世界妖怪協会・世界妖怪会議評議員(肝煎)など妖怪研究家であり、他にも装幀家、アートディレクター、俳優など様々な顔を持つ。
広告代理店を経てデザイン会社を設立。1994年、そこで暇つぶしに書いた『姑獲鳥の夏』を講談社に送ったところ極めて評価を受け、同年、即出版・デビューに至る。瞬く間に執筆依頼が殺到する人気作家に上り詰めた。
1996年に『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、1997年『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花文学賞、2002年『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、2004年『後巷説百物語』で第130回直木三十五賞、2011年『西巷説百物語』で第24回柴田錬三郎賞など、数多くの受賞歴がある。
代表作に「百鬼夜行シリーズ」「巷説百物語シリーズ」「豆腐小僧シリーズ」など。

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