呪護

  • KADOKAWA
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感想 : 38
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041080801

作品紹介・あらすじ

常識では解決できない事件に、必ず現れる二人──。
都内の私立高校で、男子生徒の西条文弥が教師の中大路力也を刺す事件が起きた。警視庁少年事件課の富野輝彦は、事件の供述に違和感を覚える。女子生徒の池垣亜紀と中大路が淫らな行為をしているところを目撃した西条は、彼女が襲われていると思ったという。だが、亜紀は、西条とは食い違う奇妙な供述をしていた──。中大路が入院している病院に向かった富野は、そこでお祓い師の鬼龍光一と安倍孝景に再会する。彼らがいるということは、間違いない、この事件は常識では計れないところで起きているのだ……。

感想・レビュー・書評

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  • あれ?ちょっと上手くなってる?

    いやいやいや
    大大大ベテランの巨匠今野敏さんにワタクシ如きが大変失礼なもの言いですが、確実に上手くなってます
    但し、伝奇オカルト系の話についてです

    もともとあっしも伝奇オカルト系大好きなんですよ
    昔『ムー』定期購読とかしてましたしね

    って、出た!キラーワード出ました!

    "『ムー』定期購読してた"

    これを言うと立食パーティーとかで誰とも会話せず隅の方で黙々と料理を食べてた長髪ヒゲメガネに「なんだよ、あんたもこっち側かよ」って急に肩組まれるというキラーワードです(得しない)
    パーティーのど真ん中で大盛りあがりしてたのにズルズルと隅の方に引きずり込まれて、帰って来れなくなるというキラーワードです(ほんと得しない)
    結果、パーティーのど真ん中にいたときとは比べ物にならないくらい二人だけで盛り上がるキラーワードです(じゃあ良かったじゃん)

    まぁ、『ムー』の話はまたどこかでするとして、今野敏さんです

    以前より、今野敏さんの趣味全開の格闘モノや伝奇オカルトモノは、正統派の警察小説に比べるとイマイチということを言ってきましたが、その原因は興味を持ってもらいたい気持ちが強いゆえにコアな情報の説明がクドいところだと感じてたんですね

    そしてそのクドさが今野敏作品の最大の魅力である圧倒的な「読みやすさ」を損なってしまっていたんですよね

    それが比較的新しい著作だと
    説明は相変わらず多いんですが(本作なんかほぼ全編説明)、その説明のし方がちょっとスマートになってきてるんですね
    「読みやすさ」をそれほど損なってないような気がしたんです

    好きな気持ち全開を感じさせつつ、スマートさを出すってすごい高等技術な気がします
    さすが今野敏さん

    あと、その立食パーティーって結局なんの集まりやったん?っていうね

    • 土瓶さん
      ん?
      電気もの?
      といえば電人ザボーガーやな。
      ん?
      電気もの?
      といえば電人ザボーガーやな。
      2023/04/21
    • ひまわりめろんさん
      電人ザボーガーを操る大門豊は警視庁の秘密刑事なんですよね
      つまり電人ザボーガーは警視庁所属であり、『電人ザボーガー』は実は刑事ドラマなんです...
      電人ザボーガーを操る大門豊は警視庁の秘密刑事なんですよね
      つまり電人ザボーガーは警視庁所属であり、『電人ザボーガー』は実は刑事ドラマなんですね
      まさに今野敏さんの作品のレビューにピッタリです
      さすが今土瓶さんですね
      2023/04/21
    • 土瓶さん
      暴投した球がたまたまいいところに跳ね返って、飛び出してきた三塁ランナーをタッチアウトにした気分(笑)
      結果良ければ全て良し!
      暴投した球がたまたまいいところに跳ね返って、飛び出してきた三塁ランナーをタッチアウトにした気分(笑)
      結果良ければ全て良し!
      2023/04/21
  • お祓い師シリーズ。

    今回は校内で教師が女子生徒をレイプしようとしたのを見た男子生徒が逆上して教師を刺したというショッキングな事件から始まる。
    しかし調べてみると、全く違う構造が見えてくる。

    警察官でありながらトミ氏の末裔で自覚しないお祓い能力を持つ富野が白いお祓い師・隆景と黒いお祓い師・鬼龍と共に事件の真の姿を解明する。

    台密系と東密系の対立や、ダヴィンチコードのような怪しい儀式も、調べてみれば歴史のある話らしい。
    また平将門の力を利用して江戸の町を造り上げた天海の話も、それを崩そうとした明治政府の話も都市伝説かと思って調べたら結構有名な話らしく、ネットで検索するとその手の話がバンバン出てきた。なかなか興味深い。

    自然災害が多い日本では古くからこういう、悪い言い方をすれば呪い的なものに頼って来たのかなと思うが、小野不由美さんの営繕シリーズで感じたように、昔の人々がすることに意味が無いと全てを切り捨てることが出来ないのも事実。

    富野のように、自分が信じるか信じないかではなく、それを信じて動いている者がいる以上、警察官として出来ることをするというスタンスは、今野作品全般に通じる姿勢で好感持てる。
    ただその域に辿り着くのはそう簡単なことではないが。

    ただこれもまた今野作品全般に言えることだが、真相に辿り着くまでの行ったり来たりが長い。
    お祓い師の黒白コンビと、次第に力を付けてきた富野がお祓いをするシーンが最大の山場だが、その後は拍子抜けなくらいアッサリしているのも勿体無い気がする。
    現実世界ならそれで良くても、エンタメ作品ならもう少し楽しませて欲しかった。

    表紙が病院の廊下のようなところでお腹の大きな少女が立っているという、何だか意味深な図なのだか、作品の内容とどうリンクしているのか。

  • 高校で起きた生徒が教師を刺す事件。少年事件課の富野と有沢は、鬼頭と孝景に出会い、事件の深い謎に巻き込まれていく
    今野敏さんは、2作目。前作があるとは知らずに借りて読みましたが、それぞれのキャラの背景や性格もつかみやすく、違和感なく入っていって読めました。
    元々本の紹介に伝奇要素があるとあったので、興味を持って読んだのですが、いろんなネタが詰まっていて、なかなかに楽しかったです。東京を巡る結界の話なども土地勘弱くて、完全理解しているかと言われればというのはあるものの、やはりこういうのはおもしろいです。
    生徒が教師を刺した理由は、生徒が襲われていたからという理由だが、それをめぐって、富野は誰が被害者で誰が被疑者かという観点で考えを巡らす。合意ある行為ならよいのかどうかという観点でもあるが、判断の基準がぶれていく問題もある。時代によって判断基準が変わるというのも事実と思うが、ちょっと考えさせられた。
    ただ、いろいろイベントがあるものの話の進み方が淡々としているような感じがあって、すんなり読み進められるものの、少し物足りない感じがありました、事件は、二つの敵対する組織が絡むが、片方の登場人物が少ないのが、ちょっとこじんまりした感じをさせてしまうかもしれません。
    登場キャラが、なかなかおもしろそうなので、シリーズ作品も読んでみたいと思います。

  • 常識では解決できない事件、という異色の警察小説。

    いわゆる陰陽師系で、コテコテの警察モノが苦手な自分には想像以上に楽しめて満足。
    このシリーズのお約束なのか、淫の要素は要らない気もするけれど江戸幕府の平和のために利用した将門の北斗七星、それに対する魔方陣、山手線の意味を絡めながら展開するストーリーは興味深く最後までノンストップ。

    非現実的な物語でも、伝説、実在する神社、場所等が絡むと一気に現実味を帯びてくる気がした。東京は本当に守られているのか…しばしワクワクさせられた時間だった。

    • あいさん
      こんばんは(^-^)/

      私が読書好きって言ったら、知人から今野敏さん読むなら貸すよって言われたんだけど、警察小説ってちょっと苦手で…...
      こんばんは(^-^)/

      私が読書好きって言ったら、知人から今野敏さん読むなら貸すよって言われたんだけど、警察小説ってちょっと苦手で…
      借りたらすぐ返さないとって焦るし(^_^;)
      くるたんは面白いと思う?これは陰陽師系なんだ。
      2019/06/26
    • くるたんさん
      おはよう♪うわー!うれしい!私も基本警察小説は苦手〜、作家さんにもよるよね。

      これは警察小説というよりもエンタメお祓いモノ、将門とか絡めて...
      おはよう♪うわー!うれしい!私も基本警察小説は苦手〜、作家さんにもよるよね。

      これは警察小説というよりもエンタメお祓いモノ、将門とか絡めて興味深く読みやすかったよ。
      でも 淫らなことも絡めてあるからそこがこのシリーズのマイナスかな。

      今野敏さんは隠蔽捜査とかコテコテの方が人気あるよね♪
      そっちを楽しんでいる人にはこのシリーズはイマイチらしいよ。
      私はこの陰陽師シリーズしか読んでないから、楽しんじゃったよ(o´ェ`o)ゞエヘヘ
      2019/06/26
  • <亡>

    本書は「鬼龍光一シリーズ」らしい。今敏先生の本は あえて ”なんとかシリーズ” などと本の表面(おもてづら)にはほとんど謳っていない。 まあそのシリーズの途中から読んでもちゃんと理解できて面白いように今敏先生は書いているので特に問題は無いのだが。。。(だが しかし,鬼龍光一はほとんど活躍はしないし なんなら出番もほとんど無いのだが。ww。)

     興味のある記述が有った。”私服警官は刑事と呼ばれる事が多い”  ふーむ僕等は100%私服警官=刑事だと思っていた。警察が私服で訪ねて来るとそりゃ すわっ刑事か! と思ってしまうよな。 まだ僕とこには来たことないけどw。

    この作品は,何をおいても読みたくなる本である。 普段の通勤電車中,僕は読書とi-Fone+ブルーツゥースイヤホンでの音楽鑑賞を交互にやっているのだが,本書を読んでいる期間は間違いなく 読書 の一択であった。そのくらい面白かった。

  • 今日は元年10月13日。昨日は関東直撃の台風19号が各地に被害をもたらしたが、東京はそれ程被害がなかった。この本を昨日から今日にかけて読んだことに因縁めいたものを感じてちょっと怖い?

  • 「鬼龍」シリーズ(のようです、今までのは読んでない。お祓い師シリーズ)。少年事件を担当する富野。高校生男子が学校で先生を刺してしまう。先生と女生徒が不適切なことをしていたというが、事件に背後にあったものは…。
    亡者祓いを請け負う鬼龍のお話。平将門のお話とか、「ふ〜ん」そういうことがあるのね、とです、今野さんは呪術風のも書くのね、と知りました。読みやすいことは読みやすい。しかし、あんまり山場がなかったかな。よく知らぬこともあるし、そういったことで興味を得た、鬼龍の人となり、どういった人なのかも気になるので機会があれば、他の作品も読んでみようかなと。

  • なんだかこんな小説を書くのはこれまで読んだ著者の作品を見てもないんではないか?不思議なそして納得せざる負えないようなそんなお話。古代の歴史も重なり合って証明づけている部分もあるので興味深い。

  • 初めて読んだシリーズ。霊力とか法力とか、どうかな?と思いながら読み始めましたが、これがなかなか面白く、引き込まれてしまいました。読み進めていると、東京の地図が欲しくなります。シリーズいうことなので、他の作品も読んでみようかな?

  • シリーズのなかでは一番おもしろかったのではないかと思います。前作「豹変」では、それまでの亡者を祓うというパターンからの脱却が見られましたが、本作ではさらに新しいかたちへと進化しており、読み応え十分でした。。

    台密教と東密教の対立を軸としながら、時代をさかのぼり平将門の登場と江戸幕府が利用した結界、さらには明治政府がその結界を破ろうとして施した新たな結界、その流れを汲むとされる山手線の謎まで、ストーリーにうまく組み込み、物語のスケールアップに成功していると思います。

    個人的には首都圏に災害をおこすことで政府の災害対策が本気になる、という見立ては的を得ていると思っています。その最たるものが原発ですね、安全と言いつつ首都圏に建設されることってありませんしね…。

    また最初は富野たちと対立するかと思われた神田署の橘川がいい味出していたと思います。”あっち”側の話しに目がないとカミングアウトするくだりは読みながら思わずニヤリとしながら二度読みしてしまいました。

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著者プロフィール

1955年北海道生まれ。上智大学在学中の78年に『怪物が街にやってくる』で問題小説新人賞を受賞。2006年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を、08年『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。

「2023年 『脈動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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