准教授・高槻彰良の推察2 怪異は狭間に宿る (角川文庫)
- KADOKAWA (2019年5月24日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041081525
作品紹介・あらすじ
嘘を聞き分ける大学生・尚哉は、怪異大好き准教授・高槻に誘われ、小学校で噂のコックリさんの調査を開始。コックリさん、あなたは誰ですか?という質問の答えは、病気で入院している生徒の名前で――。
感想・レビュー・書評
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何だかお化けや幽霊なんて怖くなくなってくる。
本当に怖いのは人間だな。
それらの現象を利用したり、自分の都合の良い方へ誘ったり。
普通の人間の見ている世界とは少し違う景色。そんなところをずっとひとりで歩き続けてきた尚哉。高槻先生と出会ったことで、もしかしたら将来、自ら向こう側に飛び込むことになるかもしれない。でも、そんなことになってもちゃんとこちら側に戻ってこられるように、大切なものをたくさん見つけるんだよ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
シリーズ第二弾、の一冊。
本当にさらにハマった。
うん、今回は怪異よりも高槻准教授の魅力にハマったのが大きい。
あの 尚哉を心配して見舞うシーンがたまらなかった。
わけもなくドキドキしたのはもちろん、心まで見舞ってもらった尚哉にうらやましさと共に自分まで涙ホロリ。
そして高槻准教授の過去にまた一歩…こういう過去があるからこそ人の心に寄り添えるんだろうな。
尚哉の孤独、自分の役割に悩む心にもその都度せつなさを感じ前巻よりもグッと心揺さぶられた。
次巻もますます楽しみになってきた。 -
小学校のコックリさん。
映画の撮影所にでる幽霊。
人々に拝まれる奇跡の少女。
今作ではこの3つの怪異に、高槻・深町ペアが挑みます。
着実に仲が深まっていっている二人のやりとりが微笑ましいですし、高槻先生が難なく謎を解き明かしていく様がたまらなく気持ち良いです(笑)
嘘を聞き分ける耳を持つが故に、人と深く関わることを避けてきた深町くんが、高槻先生や健ちゃん(強面警察官)に徐々に心を許している様子が青春っぽいなぁ、、、としみじみ感じちゃいました。
好きなもの、楽しいこと、大事だって思える何か。
そういうものを、たくさん見つけられるといいよね。
人は、孤独じゃないんだよ。
そんな優しいメッセージも込められた、素敵な二作目でした…☆
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コックリさん……なつかしい。自分は小中学生の頃、コックリさんは低級のものを呼び寄せるとか、なかなか帰ってくれないことがあると聞いたので、より安全だと言われていたエンジェルさまをしていたが、今から思えば詭弁だなあ。そして今作も変わらず主要メンバーは魅力的。高槻先生の家庭の事情が思ったより早くわかったり、深町くんが絶不調になったりと、調査依頼に絡めて親交を深めていく展開が面白かった。
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ミステリーの部分は難しくないのですが、それがまた良き。民俗学、謎解き、完全にハマりました!!
この作品の世界観がとても好きです
今回は人の思いの切なさがよかったです。
また、少しずつ明らかになる高槻先生の過去や深町くんの心情の変化もよかったです。
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民俗学ミステリ第二弾。今回は学校の怪談、ホラー映画撮影での幽霊騒ぎ、奇跡的に生き残った流行神の少女というテーマの三作品が収録。高槻たちの関係も波乱があって見逃せない。
『第一章 学校には何かがいる』
高槻たちは小学校で噂の「五年二組のロッカー」という怪談の調査依頼を受ける。戻らなかったコックリさんの霊、「ちなつ」という名前、勝手に開いたロッカー。恐怖が伝染したクラスを高槻はいかに解決へと導くのか。
コックリさんの歴史もさることながら、学校の怪談がいかにして生まれるかという話が興味深かった。学校にある日常と非日常の境界線。光と影。その暗がりが想像力をかき立てていくんだよね。
ぼくも小学生の頃は怖かったし、学校が舞台のホラーマンガがトラウマだった。水洗式のトイレでも怪異は洗い流せなかったという話も好き。解決が鮮やか。まさに現象と解釈の実践かつどんでん返しという趣きがいいね。
『第二章 スタジオの幽霊』
深町の高熱と中耳炎が思わぬ異変を招く!そんな中、青和祭のイベントで共演した女優・藤谷更紗から、高槻へとスタジオの幽霊についての相談が持ち込まれる。ホラー映画撮影中の幽霊劇は本物の怪異なのか─?
深町くんの高熱に駆けつける高槻先生がいいよね!「また明日様子を見に来ます。鍵は郵便受けに入れておくね」って恋人か!ってなる。中耳炎から発展した異変で、雨降って地固まるというか、二人の絆は深まったように感じる。ただ、その源流は怪異の体験者という明るいものではないけれど。
依頼者・藤谷の女優という職業と深町くんの嘘を見抜ける能力と、本当と嘘がテーマな一作。ドラマとそのテーマが噛み合って、なんとも因果な物語だなと。観てもらいたい映画と、見えない幽霊の対比が奇麗。
『第三章 奇跡の子供』
両親が「奥多摩の奇跡の少女」という宗教らしきものにハマっている。調査してくれないか。という依頼を受けた高槻たち。バス事故で唯一生還した少女・愛菜。彼女にあやかろうとする人々。そこに高槻は何を見出すのか。
流行神という存在は、現在だとアマビエもそうだろうか。そう考えると思った以上に身近な存在であると感じる。生還したという現象をどう解釈するか。奇跡に隠された母子の関係性のドラマといじめや流行神というテーマ、そこに高槻自身の特別な思いも重なり、読み応えがある一篇。他人はいつも勝手な善意や悪意を振りまく存在ではある。しかし、他人と繋がるからこそ、傷が癒されることもある。その境界線の上をぼくたちは歩いている。 -
民俗学が専門の準教授、高槻彰良に依頼された3つの案件を謎解きながら高槻の過去も徐々にわかり、またまた続きが読みたくなる1冊です。
第1章 学校には何かがいる
高槻の「学校という場所は、子供達にとって、日常と非日常が常に表裏一体で同時に存在する場所じゃないかな」という言葉に強く同感。
私が通っていた小学校にも「24の便所」という怪談がありました。
理科室の隣のトイレに真っ二つに割れた便器がありました。(本当に割れてた)
そのトイレで数を24まで数えると白い影が出てきて、108まで数えるとポンポンと肩を叩かれるという話です。
小1のとき、理科室での実験中にトイレに行きたくなって…普段使わない理科室は非日常で、授業中にトイレに行くことも非日常で、しかも便器が真っ二つで…
何十年もたった今でも怖かったことを覚えています。
第2章 スタジオの幽霊
柳田国男がお化けと幽霊を定義していたなんて知らなかった。
幽霊を見たと語る女優。本当に幽霊か。それとも嘘をついているのか。
この章では人が嘘をつくと音が歪んで聞こえる尚哉の特性がなくなり、尚哉のアイデンティティーを考えることになるのが読みどころです。
第3章 奇跡の子供
この章は遠足バスが転落し、唯一生き残った小学3年生の女の子が『奇跡の子』として崇められ、高槻がその真相を突き止める話。
『人はいつだって神様がほしいのだ。すがって祈って満足できる、都合のいい神様が』という尚哉の心の声。
今、宗教のことでワイドショーが色々騒いるので、この言葉はすごく突き刺さりました。
謎解きだけではなく、民俗学の知識、登場人物の心の揺れが絡み合う面白い1冊でした。
私自身の学校の怪談、幽霊を感じるか、友達が宗教に入ってしまった体験など考えながら読めて考えさせられるものもありました。
第3巻も読みます。 -
シリーズ2冊目。
彰良と尚哉の関係がいい感じになってきた。
彰良の授業内容がとても興味深い。
コックリさんや人面犬等、
若者にはきっと新鮮で、
若者じゃない人には懐かしく(笑)
私も青和大学で受講してみたい〜!