- Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041081563
作品紹介・あらすじ
育児未経験者による“いきなり介護”の日々は、他人事ではない!―酒井順子(エッセイスト)
31歳で結婚し、仕事に明け暮れた日々。33歳で出産する人生設計を立てていたけれど、気づけば40代に突入! 出産するならもうすぐリミットだし、いろいろ決断し時だな――と思った矢先、なんと義父母の認知症が立て続けに発覚。
仕事の締め切りは待ったなしだし、なんとなくはっきりしない夫の言動にやきもきするし……。そんな現実に直面した著者が、ついに立ち上がる。
久しぶりに会った親が「老いてきたなぁ」と感じた人は必読。
仕事は辞めない、同居もしない。いまの生活に「介護」を組み込むことに成功した著者の、笑いと涙の「同居しない」介護エッセイ。
感想・レビュー・書評
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noteに掲載されたエッセイを書籍化。
ライターで編集者の著者はおなじくライターで編集者の夫とふたり暮らしの40代半ばの女性。子供はいない。
ある日、滅多に交流のない、遠方に暮らす義母から電話が掛かってきたが、様子が変。
家に知らない女性が居着き、自分の大事なものを盗っていくという。
さらにその女性は窓から入ってきて、天袋を通り抜けて2階に上がっていったと話す義母―――。
もちろん、ホラーではない。
認知症の代表的な症状『もの盗られ妄想』と『幻視』である。
このエッセイは育児未経験の著者が、義母の認知症(その後義父も認知症だと発覚)に向き合う中で起こったすったもんだを分かりやすく、親しみやすい文章で綴ったもの。
でも、身近な人が、ある日突然つじつまの合わないことをしゃべり出すって十分ホラーですよね。
慣れて来るとコントですけど。
と、言うか、コントみたいと思わなければしゃーないというか。
著者の島影さんと夫さんは、頭を使い、工夫を凝らし、事態に立ち向かっていると思う。
家の祖母も認知症だけれども、こう対応すればよかったのか!の発見の嵐。
何事も臨機応変に対峙するって大事ですね。
様々な介護サービスを使い倒し、自らの負担を減らしてもらいつつの遠隔介護。
大変さは伝わって来るけれど、重くは全然ない。
介護に疲れた方におすすめです。
親の老いを感じはじめるお年頃の方にも。
気負いが減り、楽になるかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
リアルでテンポよく読める介護エッセイ!
親の介護が目の前にせまった方の心を励ましてくれる1冊。
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やや遠方に住む、これまで年1~2回しかやりとりのなかった2人暮らしの義父母の介護について書かれたエッセイ。
びっくりするくらい読みやすく、これまたびっくりしました(大事なのでびっくりを2回言いました)。
やや遠方、親の介護というだけでもしんどい前置きなのに、さらに義父母2人とも認知症だなんて…
この本には、そういた局面に著者がどう対応していったのかが、うまくいったこと・いかなかったこと両方とも、リアルに書かれています。
よく「介護が必要になったら」なんて手続きのチャートは目にしますが、そんなチャート通りにうまくいったら相談窓口なんていらねえぜ!という感じですよね。
著者の事例を通して、そうした窓口に行くときにどの点を整理して相談したらよいのかがわかるので、「そうそう、そこが知りたかったの!」と思いました。
わたしは病棟看護師をしていたことがあるのですが、看護師目線から見ても、家族はこんなところを不安に思ったり困っているのか、という目線で読むことができました。
そして時々繰り出される困りごとエピソードへの著者の鋭いツッコミに、思わず笑ってしまいました。
「やれることをやれる範囲でやればいいだけ。」(119ページ)
「これまで、医療・介護チームから『どうしましょう?』と相談されたら、即座に対応しなくてはならないと無意識に思い込んでいた。」(169ページ)
介護は医療・介護チームだけではできませんが、家族だけの力でも、できないものです。
お互いがお互いにすべて丸投げするのではなく、なにに困っているのか、そしてできること・できないことは何なのかを明確にし、数え方・医療介護チームで対応していけばいいのですね。
この本は特に、とても思いつめてしまう介護者のかたには、心の支えになってくれます。
そして介護者のみならず、介護相談に携わる方にもオススメしたい1冊です。 -
筆者はフリーランスのライター兼編集者をしながら、大学院に通う女性。夫も同業のフリーランス。
結婚を決めた時、33歳で出産すると決めていたが、仕事の忙しさ楽しさが先行してどんどん先送り。気が付いてら夫婦で40代になっていた。
そして、夫の父母、筆者にとっては義父母に認知症の疑いが浮上する。
最初はちょっと物忘れが多いかなと思いつつ、物忘れ外来を受診してくださいといっても、やんわりと拒否され、そのままにしていたら義母の認知症がかなり進行していた(家の中に知らない女性が住み込んでいるという幻想を見るくらい)。
そして、義父にも少しその可能性が、、、。
そこから始まる義父母の介護という現実。
というか、実際には義父母を説得して、介護認定を受けさせ、さらには生活に支障をきたさないように、介護する自分たちの負荷が過剰にならないように、二人に介護サービスを受け入れさせるまでの体験談。
自分は丁度2021年から母の認知症の介護が始まった。作者の体験は自分の体験と一つ一つリンクする。
認知症の初期の人たちは認知症である事を認めないし、うまく取り繕って、本人をあまり知らない人たちには気づかれないように行動できる。
そうそう、そういうのが大変だよなと思う。
介護は誰かがキーマンとなって、介護士、訪問看護師、地域包括スタッフの人たちなどに希望を伝え、先方からの提案に対する判断を行わなければならない一方で、キーマンになるとそういう全部が来るので、親戚からも「まかせた!」みたいに言われてしまう。
そう、僕はまさにキーマンでした。カミさんは支援してくれましたが、やはり義母なので、僕に対する遠慮あるし、僕にとっては実母なので自分が決めないといけないと思っていた。
兄は基本的に僕にお任せモードだった。
この辺りの思いも合い通じるものがあった。
そして、本書では要介護1〜3までの記録。
うちの場合も母は要介護3になったのが4月だった。
そういう点でも経験内容が似ている。
同調できる部分の多い内容でした。 -
『#子育てとばして介護かよ』
ほぼ日書評 Day623
Day620で紹介した「昼スナ(昼だけ営業しているスナック)」で知り合った方の著書。
旦那さんのご両親が、同時に要介護(認知症)状態となった。その発覚(双方が"おかしなこと"を言うために、状況を把握するだけでも相当の困難・混乱があった)というところから始まり、お役所仕事の超"塩対応"や、義父母が認知症の診察でも医師を煙に巻いて「異常無し」の診断結果を貰ってくる等、"冗談"とも思えるエピソードがこれでもか、と語られる。
結論からすると、各困難は都度周囲の助けを得て解決される(そうでなければ、今がないとも言うが)てプチ・ハッピーが訪れるのだが、その行間に隠れた苦労は、未経験者の想像の全く及ばないものなのだろう。
介護など、まだまだこれから…の層にも、こんな兆候がでたら黄色信号、そんな時にはこんな対応方法もあるのか、といったレベルで読んでおいて損はない1冊。
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私は親とは離れた遠方に住んでいて、ちょうど今、親の介護認定申請をしている所で、著者の置かれた状況に共感するところが多くて勉強にもなりました。
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偉い嫁さん。旦那、自分の親なんだからもっと動けばいいのに、軽蔑。