- Amazon.co.jp ・本
- / ISBN・EAN: 9784041081693
作品紹介・あらすじ
若干19歳の新人覆面ミステリ作家の正体は、大富豪のご令嬢・新妻千秋。だが、担当となった若手編集者・岡部良介は、刑事の兄から聞いた事件の話をしたために、お嬢様のもう一つの顔を知ることに……。
感想・レビュー・書評
-
ミステリーの楽しさを満喫しながら、ほのぼのとした気分に浸れる、
北村薫さんならでは。
ただし、推理している事件は恐い。すなわち、殺人、誘拐、万引き。
原因は日常に潜む何気ない気持ちの動きなのに。
新妻千秋と岡部良介のキャラクターもさえてシリーズ第一作。
どういう風にさえているかというと、
外見は正真正銘楚々とした美しいお嬢様なんだけど、
内弁慶の反対「外弁慶」で、っていうところ。
つまり人格が内と外で変わり、それが世の常とちがい、
言葉つきもがらっと伝法、のびのびと羽目をはずすのである。
初出の平成3年頃は珍しかったのではと思わされる。
その後、こういうとっぴなお嬢様風がアレンジされて登場するも多々だもの。
加えて、文章のユーモアがいい。
硬くならず、柔らかすぎず、古めかしくも新しい。
いつも北村さんの作品を読むと思うのだが、
登場人物、とくに女性のファッションの彩りがきれいだ。目に浮かぶ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ホームズポジションが変わり者なのはよくあるけど千秋さんは特に個性強めで面白い
「二人いる」についての要素も物語を超えて考えさせられる。 -
二重人格的な作家と担当編集者の日常ミステリ。
表紙と挿絵の高野文子さんがまた良き。 -
キャラクターが魅力的。シンプルだがとても大切なこと。
-
なんだか昭和っぽいなという印象でしたが、内容は面白いです。
お嬢様と編集者の組み合わせ。そして編集者には刑事である双子の兄がいる。
この三人のキャラが素敵です。 -
2.5点
ライトミステリー。担当と警察のアクが強い -
※感想はシリーズ完結巻『覆面作家の夢の家』のレビューに。
-
覆面作家はお嬢様。ペンネームが覆面作家って!ライトなミステリー。さらっと楽しめる。
-
〇覆面作家はお嬢様!?破天荒謎解きバラエティ
推理小説にも、ヘビーかライトのだいたい2種類に分けられると思っている。
その別は特に作家や作品を不当に区別するものではなく、読後感や謎解きの過程がどのくらいのレベルなのか、ということでしかないのだが、この本はおそらくライトの部類に入る本だろう。
3編の中~短編からなる本書は、「覆面作家シリーズ」のはじまりの本で、文芸雑誌編集者の岡部が新鋭作家・新妻千秋の破天荒なスタイルの謎解きに翻弄されていく物語がベースとして据えられる。
「覆面作家のクリスマス」
岡部家の隣の女子高で殺人事件が起こり岡部と千秋が謎解きに潜り込む。殺された美良の手元からプレゼントが一個無くなっていることがわかると…千秋の発想力に舌を巻く岡部。
「眠る覆面作家」
夕子ちゃん誘拐事件はお金をとられず本人も帰ってきて一見落着…に思えたが不審な点が多く?日常の応用、随分頭のよい人たちの仕業。
「覆面作家は二人いる」
CDショップで警報が鳴りCDがなくなる事件で、容疑者はCDを持っておらず?意外なカラクリの連続。
このシリーズの魅力は、何と言っても新妻千秋と編集者岡部との掛け合いだろう。
千秋は、家の中ではおとなしいお嬢様であるが、一歩家の外から出ると男回りな声や振る舞いになってしまうのが見ていて面白い。そのメリハリの中に、岡部のとぼけた行動が入ってくるのでうまくキャラクターのバランスがとれていて頭に残りやすい。
直木賞作家である北村薫のイメージは、わたしのような年代だとミステリーアンソロジーの編者や文芸評論家のような像である。
今回読んだこの本は、1991年に単行本として出されたものを文庫化後、2019年5月に新装版として再出版されたものだ。この出版不況の中再出版されるということは、物語自体のライトさ、あるいは親しみやすさも相まって、多くの人に愛されていることに他ならないに違いない。
著者プロフィール
北村薫の作品





