- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041081907
作品紹介・あらすじ
山や里に現れるというわらい女の秘密、落ちている土塊を踏んではならない忌むべき理由、どこか歪んで見える羽化したてのヒグラシ……野山を歩きつくした生き物屋が遭遇する、奇妙でノスタルジックな物語。
感想・レビュー・書評
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怪談よりの民話、伝承。
おばあちゃんから聞いた話の延長で起きたような里山の怪異譚。
蛇を苛めると恨まれる。私も信じてたし、この本でも蛇に土をかけて虐めた子供が大怪我した。
なのにうちの祖母は蛇に熱湯かけて殺したのに98歳。まだまだいきてる。
ちょっと怪談には物足りない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
三作とも図書館で借りて読みました。
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怪談ではなく、里山の生き物(虫、動物、魚)をめぐる不思議な話。
虫は苦手だけど、各話での風習や言い伝え、怪談めいた話から伺えるその地の民俗が、気づきを与えてくれる点は良かった。
会話を追想する際の書き方が独特で、だれがしゃべっているのかわかりにくいものもあった。3人の筆者のうち誰かなのだろう。
学問的に検証しているわけではないが、怖がらせることを目的に書かれたものではなく、あくまで「里山」をめぐる伝承や昔の話の体験談、伝承なのでカテゴリは民俗学にした。 -
「土塊」のような存在は怖い。何気なくそこに存在しているものに、籠められた思いに気付いてしまったとき、その思いに恐怖が滲み出します。
能動的にこちらへ向けられているわけでないけど、誰かがこの思いのスイッチを踏むであろうこと。そして、その結果完成するであろう瞬間を静かに、ただし思いを途切れさすことなく待ち続ける執念。
そうだね、「土塊」に感じたものは執念だ。あれを仕掛けた存在が、どんな思いだったかはわからないけども、あれへの思いの執念です。
後半で語られるのは「土塊」への答えの一つ。
やはり、執念の怖さですよ。