- KADOKAWA (2019年9月21日発売)
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感想 : 29件
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784041081990
作品紹介・あらすじ
愛する男を慕って、女の黒髪が蠢きだす「文月の使者」、挿絵画家と若い人妻の戯れを濃密に映し出す「青火童女」、蛇屋に里子に出された少女の記憶を描く表題作他、密やかに紡がれる8編。幻の名作、決定版。
感想・レビュー・書評
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美しかった。どこまでが現実でどこまでが幻想なのか分からない世界観。
文月の使者、玉虫抄が好きだった。 -
「桔梗闇」、「胡蝶塚」 よすぎた
耽美で妖しくて大好き。 -
久々の皆川博子。やっぱりとんでもないわ。寝る前に読むと確実に悪夢を見る。一番恐ろしかったのは「玉虫抄」かな。一人称や名前がころころ変わるから誰の台詞なのかが分からなくて、なんじゃこりゃと思ってたけど、最後にすべてが繋がって心の底からゾッとした。美しく残酷な物語たち。ただ現代を生きる女性読者としては、13歳で気色悪いオヤジに嫁がされたり、男の都合で不妊にされるなんて普通にあったんだろうなと思うと昔ってやっぱりクソだな……と冷静な感想を抱く自分もいた。
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皆川博子二冊目。前回読んだ『倒立する塔の殺人』よりも幻想色が強くて読みづらかったけど、それに退屈さを感じることは全くなく、重厚感のある短編をそれぞれ深く味わうことができた。
どのお話も戦前の近代日本を舞台にしたものだから現実味のない感じにはならない。むしろ現実の中に潜む異質がその幻想をより一層濃く仕立て上げている。とある中洲を舞台にした「文月の使者」から始まり、その後の数話は中州から離れるが、最後の二篇で戻ってくる。そして最後に収録されている表題の「ゆめこ縮緬」ではこの短編集がまさしく一つになるという仕掛けがあって思わずぞくりとしてしまう。
物語自体は純粋な美しさはない。登場人物たちは己の欲を満たすために動き、生死が交差する話が多い。けれど、皆川さんの紡ぐ言葉は美しい。語彙が豊かで艶っぽく、かつ繊細に一つ一つの描写を表している。その対比が、この物語の中毒性のような部分を生み出しているのではないかと思う。
中でも「影つづれ」と「桔梗闇」が好きだった。玉藻前は知らなかったけれど、その伝説について語る「影つづれ」には引き込まれた。 -
ずっと手に入らなかった短編集が18年ぶりの復刊!「文月の使者」はアンソロジーなどで既読だったけれど、何度読んでも鏡花風でとてもいい。というか解説にもあったけど全8編すべて泉鏡花風を意識して書かれていたように思う。大正~昭和初期の和洋混在の風俗、書生さんや女中さん、お金持ちには妾がいて当然、そして乳母やばあやのいる生活。
精神病院のある「中洲」が舞台になっているものがいくつかあり、どの短編でも医者はだいたい冷酷非道という共通点があるのだけれど、最終話の「ゆめこ縮緬」で全部が繋がって、鳥肌。連作短編というわけではなく独立した短編として読んでいたので、思いがけないオチがついて絶妙の構成だった。
「影つづれ」は玉藻前の物語が、「桔梗闇」「ゆめこ縮緬」は西條八十の詩が効果的に使われている。頽廃的でエロティックで残酷で、この「和もの」幻想譚は、多方向に展開する皆川ワールドの一方の頂点だと思う。世代的にももうこういう文章を書ける作家は今後出てこないんじゃなかろうか。
※収録
文月の使者/影つづれ/桔梗闇/花溶け/玉虫抄/胡蝶塚/青火童女/ゆめこ縮緬 -
耽美な短編集。時空を往還する話、男女の話が多い。『現代ホラー小説を知るための100冊』で知ったが、ホラーというとちょっと安っぽく感じてしまう。怪奇幻想文学。文体が特徴的で読むのに集中を要する。
「文月の使者」と「桔梗闇」が好み。オチの解釈が難しいのもあった。 -
雰囲気にぼうっとなってなんだったか分からないままに読み終わるという感じだった。
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彼岸と此岸の狭間にいるような、現実と夢のあわいにいるような読み心地。うっかり酔いそう
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作者に関わらず長編大好きマンなので
大好きな皆川博子といえど短編はなかなか進まないのだけど、だんだん慣れてきたなあ すっと読めた
『胡蝶塚』のお兄様がよすぎる…イメージはゴールデンカムイの勇作殿。
お話としては『玉虫抄』が印象深かったかなあ
耽美で、恐ろしくて、目を逸らしたいのに読んでしまう 皆川博子らしい作品ですね -
「文月の使者」が印象的だ。中洲の煙草屋で話をしているだけなのに、男なのか女なのか、生者なのか死者なのか、境界が分からなくなってきて、どうにも妖しい。
他の話も、ただぼんやりと読んでいても話が頭に入ってこない。流れるような美文なものだから騙されているような気分になってくる。なんとも妖しい一冊だった。 -
耽美。好き。
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脳をフル稼働させて必死で読んだ…
幻想小説と時代小説が融合した風のこの作品集、中々骨が折れました。
暗喩がたくさんで理解するのに一苦労。この台詞は誰?と行きつ戻りつ。
それぞれ独立した短編のはずだが、一部共通して登場する「中洲」という場所を通じて連作っぽい感じもある。
川はあの世とこの世を分かつ象徴だが、では中洲はどちらに属するのか?虚実あいまいでない混ぜになった異界めいた物語「文月の使者」に蛇の生臭さと不誠実さ漂う「ゆめこ縮緬」、中洲を通じ捩れた時空が繋がる「青火童女」。
シャガの根が湿気った家の畳の下に蔓延っている様子に寒気がする「胡蝶塚」、古代中国の妖狐伝説を題材に取った「影つづれ」、切った指が玉虫に変化するという衝撃「玉虫抄」…あたりも印象深い。
地蔵が生えるという未知の描写ではじまる「桔梗闇」は艶かしく息苦しい。
「花溶け」は漆喰で壁に塗り込められたように身動きが取れず、登場人物がみんな嫌な感じ。
「影つづれ」の壁の向こうの声は誰だ?
これまでに読んだ皆川博子先生の作品とはまた違った、格調高く嫌らしい魅力が詰まった一冊に感じた。
1刷
2021.6.30 -
夢見る子のより合わせた糸の紡いだ織物は、禁忌と官能の香り立ち込める幻想と悪夢の紋様を描く。
「文月の使者」皆川文学に出る黒髪を惚れた男に伸ばす化生は女とは限らない。これは試験に出ます。
「影つづれ」玉藻の前に惹かれる少年は、無垢か魔性か。
「桔梗闇」愛憎入り混じる疑似母子?姉弟の心中ってのも皆川文学ならでは。
「花溶け」愛されはしないし、愛しもしない。こんなにも壊し尽くされてしまったのだから。
「玉虫抄」収録作で一番好きな雰囲気だったな…。何度死に直しても、あなたの小指が、欲しい。
「胡蝶塚」異母兄の親友、絶対同性なんだろうな。
「青火童女」皆川先生にしてはドストレートにSMってか…性に対して貪婪な少女ものでびっくりした…。
「ゆめこ縮緬」虚構に逃げ込み、目を瞑って、燃え尽きるように、消えてしまいたかった。そんな女に、誰がしたのか。 -
魅了される色濃く美しい文章で、昏く深いところから浮かび上がってきた見たくない気持ちをまざまざと見せつけられた気がしました。
厭ではなく、深淵を覗いているように。
じわじわと染み込んでくるものから、ラストでくるっと世界が変わるものまで様々。
皆川さんの世界は、今より前の時代を舞台にしていても普遍的な感情の気がします。でもそれがこんなにも美しい物語に昇華されているので読みたくなります。身体的にも精神的にも、残酷だけど。 -
甘い毒を含んだ、絢爛な幻想短編集。どれをとっても酔いしれるような気分にさせられる作品ばかりです。作中に引用されている西城八十の詩などもまた雰囲気をより一層引き立てて、くらくらしそう。一気に読んでしまうのはもったいないし、毒が回りそうでもあります。少しずつ読むのがおすすめかも。
全部好きだけれど、強いてお気に入りを選ぶなら「青火童女」かなあ。玉緒の魅力にもやられてしまったのですが。過去と現在と未来が絡み合う物語の中、どこをとっても凄まじいばかりの情景。そこに居並ぶ人形たちが美しくも恐ろしく、ひどく魅せられました。なんだかもうここから抜け出せないような心境です。 -
文月の使者/影つづれ/桔梗闇/花溶け/玉虫抄/胡蝶塚/青火童女/ゆめこ縮緬
皆川博子は面白い。と聞いたばかりの時に見つけた文庫新刊。しばらく迷ったけど読んでみた。
読み終わるのに思ったより時間がかかる。文章がスッと入ってこない?
なぜだろう
著者プロフィール
皆川博子の作品
