今日も町の隅で

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 590
感想 : 70
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041083031

作品紹介・あらすじ

リードギターを降格された悠太が初デートで訪れたのは「ツリー」ではなく「タワー」だった……。10代のみずみずさが詰まった「逆にタワー」など、それぞれの「選択」をする男女を描いた10編。著者初の短編集!

感想・レビュー・書評

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  • みつば市での日常の出来事を集めた短編集。
    離婚する人がたくさん登場するので、その人達がどこかで繋がっているのかと思って見返したけど、全く関わりはなし。
    すごく大きな盛り上がりがあるわけじゃないけど、こういう静かな物語もいいなと思った。
    「君を待つ」が一番良かった。

  • オムニバス、

    誰かが誰かとであったり

    誰かが1歩踏み出したり
    気づきがあったりほんの一瞬の出来事かもしれない

    でも明日は違う。

    他人から見たら取るに足らないことかも
    けれども昨日とはもう違う。

    中でも、
    *小説家を目指し、投稿を続ける主人公、
    *レジ打ちパートの主人公、
    *たまたま、その電車を乗り過ごした主人公の話が印象に残りました。

  • 小野寺史宜さんの本には”人と人のつながり”の大切さがある。

    その”つながり”は偶然のように訪れても
    そこには特別なものがある。
    大切なものだと気づかせてくれる。

    『今日も町の隅で』の舞台はお馴染み「蜜葉(みつば)市」
    全10話の短編集。
    その数だけ、”出会い”と”つながり”がある。

    小野寺さんの作品、
    『みつばの郵便屋さん』シリーズから
    私自身が”みつば”を訪れているような気持ちで
    長いお付き合いだ(笑)

    ”みつば”は優しい町だ…
    この町の物語を読み続けたい…

  • 短編集。読みやすいページ数。
    どれも読み終わった後に爽やかさが残る。
    特に「君を待つ」は良かった。
    主人公、いただけないところはあるけどそれが人生に作用するからわからない、というのはうなづける。

    だんだん登場人物の年齢が上がってくるにつれ、共感できるポイントも違ってくるんだけれど、最後の短編が苦い味なのは人生の妙味というやつだろうか。

    今回はどの話の登場人物もちょっとクセがある。
    人間らしいと感じるか、読んでいて「うーん」となるか。
    後者も含めて人間らしいというべきか。

    手軽に読めて人と人の情を感じる素敵な作品。

  • 初めての短編集ということでしたが、小野寺作品らしさは健在でした。

  • 他の小野寺作品にもよく出てくるらしい三葉市という架空の町を舞台にした短編集。

    かなり近い地域を舞台にしているものの、各話につながりはなく、登場人物も重複するようなことはない(他の方のレビューによると別の作品に登場する人物はいるらしい)。まずはその潔さに好感を持った。山本幸久、辻野深月らの諸作品、MCUなど、最近は作品や登場人物のつながりを楽しませる小説や映画やアニメなどが多く、世界の広がりを感じさせてくれて楽しい趣向ではあるのだが、だれもかれもがその手法を使いだして少々飽きてきだしていた。

    この本では、あえてそのつながりを持たせず、短編一つ一つで物語を独立させることで、タイトルの(町の隅)感を出している。あえて人のつながりを整理していくことで、つながり間を際立たせる。断捨離や「引き算の料理」に通じる手法。素晴らしいと思う。

    物語の一つ一つも、派手さや大きなドラマがあるわけではないが、なんとも優しく温かくて、人生をきちんと生きてみようかなと思わせる作品ばかり。気持ちをお風呂に入れたような温かさとすっきりさを味わえる。

    どれも良い短編だが、強いて上げれば「君を待つ」と「10キロ空走る」、おそらく意図的に対極の物語にしたこの2つ。前者の圧倒的熱量の愛情と、後者の敗地にまみれてからつけるけじめ。どちらもいざというときに必要になる心の持ちようを予習(場合によっては復習)できるお手本作品、

  • 街の片隅で生活する人達に少しだけ立つ波の波紋を見ているような短編集です。
    毎度事件が起きそうで起きないという安心設計で、人によっては物足りないと思うのですが、人が不幸になり過ぎない普通さ加減が僕はとても精神が安定して好き。
    心の中では嵐はあれど、世の中そんなに捨てたものではないよねと思える本です。

  • 「君を待つ」のお話が良かった。
    過去のトラウマを抱えた那美が、そっと寄り添ってくれる人に出会って出産を通して強くなれた。
    自分の不安や悩みを話せる人ができる事で、少し楽に生きられるようになったなら嬉しい。
    小野寺さんらしく、淡々と書かれていていましたがほのぼのとしました。

  • 10編の短編集。お馴染みのみつば市なので他作品のあの人が登場したりはするけど、この一冊の中では絡み合ったりしない。

    日常の隅にあるような、隣の誰かのような物語。
    心が軽くなるお話したち。
    人に優しく、ヨネオにはならないように心がけよう。

  • みつばの郵便屋さんでも出てきた会社やお店も登場してなんだかほっこりする。
    上手くいかないのかなと思ったらとてもほっこりして、上手くいきそうと思ったら少し切なくて、さりげなく裏切られるお話たちでした。どの話も短すぎず長すぎずで好きな長さでした。

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著者プロフィール

一九六八年千葉県生まれ。二〇〇八年『ROCKER』で第三回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞し同作で単行本デビュー。著書に「みつばの郵便屋さん」シリーズ、『ひと』『ミニシアターの六人』『レジデンス』『タクジョ!』『銀座に住むのはまだ早い』『君に光射す』などがある。

「2023年 『片見里荒川コネクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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