臨床真理 (1) (角川文庫)

  • KADOKAWA (2019年9月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784041083116

作品紹介・あらすじ

臨床心理士・佐久間美帆が担当した青年・藤木司は、人の感情が色でわかる「共感覚」を持っていた……。美帆は友人の警察官と共に、少女の死の真相に迫る! 著者のすべてが詰まった鮮烈なデビュー作!

みんなの感想まとめ

臨床心理士の新人、佐久間美帆が主人公のサスペンス作品で、彼女が扱う案件は、他人の感情が色で見える少年との出会いを通じて描かれます。知的障害者施設の闇に踏み込み、強烈な事実を暴く彼女の姿勢は、求められる...

感想・レビュー・書評

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  • 柚月さんのデビュー作にして「このミス 大賞」という大評判となった作品。粗削りではあるが、確かに力作。
    臨床心理士の佐久間美帆は新人でありながら、救急隊員への暴力を振るった藤木司の治療を行うこととなった。「共感覚」という、人の感情が色で見えるという藤木に、最初は信じられなかった佐久間が徐々に信じて行くことから事件が動き出す。
    強引すぎる佐久間の事件への傾注や、障碍者に対する性的暴行などあり、読み味としてはスッキリしないが、事件の黒幕探しは楽しめた。
    犯人は途中から分かったが、この犯人の動機や佐久間への暴行がグロ過ぎる。新人の女性作家が良く書けたなと思う。

  • 柚月裕子さんデビュー作品。
    きれいな色彩の表紙が気になり手に取った。

    「共感覚」を持つ司は、誰にもその能力を信じてもらえず唯一慕ってくれていた彩も失い、孤独にすべての負を抱え込んで生きることを諦めているように感じた。次第に辛くても立ち向かう行動が多くみられるようになったのは、佐久間が司を信じ約束を守る行動を重ねたからだと司の佐久間に対する態度や思いの変化からもわかる。

    佐久間は過去からの後悔と司を救いたい一心でどんどん行動していくが、-後先考えない性格なのか- 思考と行動が暴走する場面が多くヒヤヒヤした。元同級生の栗原が冷静かつ強力的でよかった。いいコンビ。
    終盤、佐久間の安易な判断により大きな危機が訪れるも、佐久間の患者を思う強い意志と正義感からくる行動があったから真実が解明されたと思う。

    事件については、途中まで真相を追ってどんどん深く広がっていくように感じたが、真犯人はもしやという勘が当たって珍しくサラッとわかってしまった。
    自分の利益や欲しか考えない残念な大人たちの行動は本当に許せないし、被害者の子供たちを守るには佐久間や看護師:内田のような思いやりある大人が近くにいることって大切だと思う。

  • 他人の言葉が色で見えるという少年と、新人臨床心理士が障害者更生施設の闇を暴いていくサスペンス作品。

    中盤まではストーリーに惹き込まれるも、後半は22時35分あたりからのサスペンス劇場を観せられているような展開に失速。私には珍しく、早々に黒幕が分かってしまった(どんでん返しがなかった)ことが残念だった。

  • これ、デビュー作なんや!凄いな。
    知的障害者施設の闇って感じ。実際はどうなんか分からんけど、こんなんあったらツライな。何も分かってない子に酷い…
    その施設で、少女が自殺?
    ほんとに自殺なのか?
    臨床心理士の美帆、カウンセリングをした話した事がほんまかどうか色が見える人間嘘発見器の司が真実を…
    でも…何となく途中で怪しいヤツ分かる。
    まっ!王道って感じの犯人像やな。お前が施設に入っとけ!って思うわ( *`ω´)
    なかなか、生々しい描写で、活字なんでええけど、マンガなら電車では読めん…^^;

  • 展開は予想できるし、一部は胸糞悪い感じもあるが全体としては面白くて読みやすい。年齢と共に一線引いた感じで人と接してしまう事が多い自分に対して、相手に踏み込んで関わる事の難しさとそれを職業としている主人公が凄いと思った。

  • 面白かった!
    柚月裕子さんのデビュー作!
    ハードボイルドサスペンス&ミステリーってな感じ

    主人公は臨床心理士の美帆。この人すごい!心が強い!
    その美帆が担当するのは、人の言葉の感情が色で分かるという「共感覚」の持ち主の司。
    司を通して、知的障害者厚生施設で起きた彩の自殺の真相を明らかにするとともに、施設の闇を暴いていくという展開です。

    警察ではなく、美帆が事件の真相を暴くというところがちょっと面白い。
    もちろん、美帆の友人の警察官栗原がいろいろ助けてくれます。この関係も良いです。

    黒幕はなんとなく途中からわかってしまいますが、ラストのその黒幕との対峙シーンがまたすごい!

    お勧め!

  • 知的障がい者更生施設に入所していた少女、彩の死を巡り、彩と施設で親しくしていた司と、司を担当する臨床心理士、美帆が、その真相を解き明かそうとするミステリー。

    前半、彩の死の原因は施設長が彼女と無理やり関係を持ったのかなどと思ったが、真相はもっとずっと複雑で闇が深かった。途中から一気に引き込まれて読んだ。

    人の感情が声の色でわかるという特殊能力(共感覚)というものを初めて知った。
    そして、障がい者など社会的弱者の人も声をあげられる、そしてそういう声に皆が耳を傾ける社会の仕組みを作る必要があると改めて感じた。

  •  二00八年、第7回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。

     柚月裕子ファンなら、既読ではないかと思う反面、『孤狼の血』シリーズや検事「佐方貞人シリーズ」だけ読まれた方も多いはず、そういう僕も今頃になってデビュー作品を読んで良かったと思っています。未読作品は多数ありますが、この著書名から事件物ではないと思っていた。

    「女横山秀夫」の異名を持つ彼女なら当然かもしれませんが、『検事の本懐』の著書の帯に横山秀夫氏の推薦文を書いてもらえたことに感動したという。

     著作は臨床心理士の主人公・佐久間美帆が、知的障害者更生施設に入所していた藤木司を担当することになった。彼は、人の感情が色でわかる「共感覚」を持つという青年で、自殺を図った親しくしていた少女・水野彩は、自殺ではないと主張したことから物語が始まります。(動機の一部です)

     犯罪者の動機の心理が明確で分かり易く、ラストに至るまでの緊迫感が面白い。
    タブーに思える題材に若干閉口したが、型に嵌らない発想は奇想天外で、読後感はすっきりした印象でした。
     読書は楽しい。

  • これがデビュー作とはおもえないほど、のちの彼女の作品のスタイルが出来あがっている そして描写が容赦ない 今年に入って読書を再開して、ほかの作家の本も読んだが、いまは彼女の文章がいちばん好きだ ストレスなく入ってくる

  • このテーマにとても果敢です。読んでて本当に具合が悪くなるぐらいの筆致でした。

  • 柚月さんのデビュー作であるが、読みごたえがある。かたくて重いが話しの中に引き込まれ没頭して読んでしまった。
    ただ後半で性描写が頻繁に出てきて、なんだかスッキリしない。こういうのもありかな?
    でも柚月さんの小説は何度もいうように話に引き込まれ好きだ。

  • 「共感覚」、障害施設等、描写がえぐいところもありましたが、物語に吸い込まれていきました。

    支援者と相手の距離感ってむずかしいよなと改めて感じました。

  • 柚月裕子のファンとしてはイマイチな気もするが、これがデビュー作だとなれば流石だと思う。
    ミステリとしてはどんでん返しまで含めて途中で展開が読めるが、私たち読者がこういう展開の作品に慣れ過ぎて驚かなくなってしまったので仕方ない。「共感覚」という要素を取り入れたことで、読者への新しい知識を提供しながらも多少SF要素が感じられてしまう。
    本作はそういうミステリやSF要素はさておき、根底には精神を疾患した社会的弱者への作者の思いが溢れており、それを理解してもらうためにミステリという方法を採用したのではないかとさえ感じさせる。
    それにしてもこのクオリティのデビュー作の後、「最後の証人」「検事の本懐」という傑作を生み出す力量は驚くしかない。
    現在、最も好きな作家の一人だ。

  • 臨床心理士・美帆が、担当患者である“言葉の色が見える青年”司と共に、知的障害者更生施設で起こった少女の自殺の謎を解く話。

    序盤はスリルあるストーリーに引き込まれたが、事件の真相が早い段階で予測できてしまったのが残念だった。しかし、司の能力を巧みに物語に絡めた展開は非常に秀逸で、タイトルが“心理”ではなく“真理”にした点に著者のこだわりが感じられた。

  • 柚木裕子さんのデビュー作。
    題名が臨床心理でなく臨床真理になってるのも頷ける。
    リアル感満載で本に吸い込まれてしまう面白さ。

  • T図書館本

    デビュー作、このミス。
    色が見える子と、自殺したとおぼしい女の子、そして臨床心理士。
    このミス審査員のコメントにもあったけれど、途中から犯人わかってしまうけど、
    面白かった!

  • 目を背けたくなるようなシーンもあるが、実際に介護施設等で起こった事件など痛ましい事件はある。
    弱みと言ったら語弊があるが、そこにつけ込むようなことは絶対に許せないし、あってはならない。
    犯罪はなくなることはないだろう。ただ、一つでも痛ましい事件が起こらないよう、厳しい処置を願う。

  • 大好きな柚月裕子作品で本作がデビュー作。

    これがデビュー作...

    柚月作品は何冊か読んできましたが、全ての作品が読み応えじゅうぶんで、改めて今更ながら「うまいなぁ」と納得。


    本作の主人公は臨床心理士の佐久間美帆。

    彼女が担当することになったのは人の感情をその人が発した言葉と共に色で感じることが出来る「共感覚」を持つ少年・藤木司。

    知的障害施設で司が妹同然に可愛がっていた彩がリストカットをし意識のない状態で発見され、搬送中の救急車の中で息を引き取ってしまうところから本作は始まります。

    彩は自殺なんかじゃなく、殺されたという司。

    司を信じ、彩の死の謎を追う美帆は友人の警察官の力も借りながら真実を追う。

    説明
    内容紹介
    これぞ柚月裕子の原点

    臨床心理士・佐久間美帆が担当した青年・藤木司は、人の感情が色でわかる「共感覚」を持っていた……。美帆は友人の警察官と共に、少女の死の真相に迫る! 著者のすべてが詰まった鮮烈なデビュー作!
    内容(「BOOK」データベースより)
    人の感情が色でわかる「共感覚」を持つという不思議な青年―藤木司を担当することになった、臨床心理士の佐久間美帆。知的障害者更生施設に入所していた司は、親しくしていた少女、彩を喪ったことで問題を起こしていた。彩は自殺ではないと主張する司に寄り添うように、美帆は友人の警察官と死の真相を調べ始める。だがやがて浮かび上がってきたのは、恐るべき真実だった…。人気を不動にする著者のすべてが詰まったデビュー作!
    著者について
    ●柚月裕子:1968年、岩手県生まれ。山形県在住。2008年、『臨床真理』で『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、デビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞を受賞。16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞を受賞。丁寧な筆致で人間の機微を描きだす、今もっとも注目されるミステリ作家の一人。他の著書に『最後の証人』『検事の死命』『蟻の菜園‐アントガーデン‐』『パレートの誤算』『朽ちないサクラ』『ウツボカズラの甘い息』『あしたの君へ』『慈雨』『合理的にあり得ない 上水流涼子の解明』『凶犬の眼』などがある。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    柚月/裕子
    1968年岩手県出身。2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。18年『盤上の向日葵』で「本屋大賞」2位(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • めちゃくちゃにヘビーな内容でド深夜に読んだのを後悔している今日この頃(笑)。

    もしも自分の大切な人がこの作品の彩のようになっていたら、自分のことを信じてもらえないどころか精神異常者と思われたら。
    考えるだけでゾッとするし悲しくなる。

    何度も言うがヘビーな内容なので一概に「あー面白かった!」とスッキリできないが(イヤミスではない、、、はず)、衝撃や心に残る重さなどは群を抜いていると思う。

  • 柚木裕子氏のデビュー作。

    臨床心理士の佐久間美帆が担当する青年、藤木司。
    彼は「共感覚」という特殊能力があり、人の発する言葉に色彩が見えると…その色によって嘘や真実、喜びや怯えの感情が分かると。にわかには信じ難い話ではあるが。

    知的障害者施設にいた司。彼の想い人:水野彩の死の真相が絡んできて、謎解きに引き込まれていく。

    障がい者の人権、精神科という分野がテーマ。
    ちょっと胸くそ悪い描写もあり手放しで推せない。。。

    著者の飛躍のステップ作品だ。
    柚木裕子氏はやっぱり、中年男性が主人公の方が、生き生きとしていて上手い!

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著者プロフィール

1968年岩手県生まれ。2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、デビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。同作は白石和彌監督により、18年に役所広司主演で映画化された。18年『盤上の向日葵』で〈2018年本屋大賞〉2位となる。他の著作に『検事の信義』『月下のサクラ』『ミカエルの鼓動』『チョウセンアサガオ咲く夏』など。近著は『教誨』。

「2023年 『合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柚月裕子の作品

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