デルタの悲劇 (角川文庫)

著者 : 浦賀和宏

• KADOKAWA (2019年12月24日発売)

作品紹介・あらすじ

人気のない池で10歳の少年の溺死体が発見された。10年後、犯行を疑われた幼馴染み3人組の前に謎の男が現れ自白を迫った。男の登場によって彼らの日常は狂い始める。事件に隠された驚天動地の真実とは？

感想・レビュー・書評

[ことぶきジローさんの感想 · 2020年1月21日]

浦賀和宏『デルタの悲劇』角川文庫。

文庫書き下ろしミステリー。

小学校時代に当時10歳のクラスメイトの少年を溺死させた悪童3人組の元に10年後、溺死した少年の幼馴染みを名乗る男が現れる……

著者自らが作中に登場し、あのお馴染みの桑原銀次郎までが解説を執筆するなど、手の込んだ仕掛と、随分と込み入ったトリックの割にはストーリーは単純で余り面白くは無い。

本体価格560円
★★★

[くろんさんの感想 · 2020年5月31日]

これでもかと詰め込んだ、重ね掛けされ、複雑なトリック。久しぶりに最後まで騙された作品。ただその複雑なトリック故に、ストーリーを完全に理解するのには、もう二回は読まなければならないかもしれない。好き嫌いが分かれそうな小説。悔しいので再読。

[eriさんの感想 · 2020年8月30日]

小学4年生の時にイジメられていた少年が池で溺死する事件が起きた。
警察は事故で片付けたが、その死に思い当たる人物がいた。悪童3人だ。
その後、何事もなく時は過ぎたが
20歳を迎えた成人式の日、溺死した少年の死の真相を調べる男が訪ねてくる…。

これフィクションだよね？と思ってしまう作品。
私は『叙述トリック』にはめっぽう弱いらしく（笑）
読んでるうちに『？？？？』と訳わからなくなりました。

お母さまの手紙から始まり、お母さまの手紙で終わる。
そんな構成も好きだな〜。
評価があまり高くないのは…
あまりにもトリックが巧妙過ぎちゃって〜
頭がついていけなかったからですね（笑）

これは再読したいと思う逸品。
また浦賀和宏さんの作品は読んでみたいです。
そして、浦賀和宏さんのご冥福をお祈りいたします。

[ニャ～さんの感想 · 2020年6月24日]

THE浦賀和宏！という感じのトリッキーな仕掛け満載の1冊。叙述トリックとひと言で言えど、性別、人称、そして時系列とこれだけの誤認要素を織り交ぜて、かつ物語として成立しているのがすごいとしか言いようがない。難を言えばその分制約が増え、こちらも違和感を感じやすいところだろうか。
桑原銀次郎が解説を書くという趣向も粋だが、「本作を書いた後で浦賀和宏さんは亡くなった」という部分には現実とのリンクを感じてしまい悲しくなる。

[minさんの感想 · 2023年1月28日]

めっちゃ複雑！笑
多分、もう一回読んでも理解できない笑
もっと私の頭が良ければ…！！笑
すごい叙述トリックだった。！

[caninhaさんの感想 · 2022年2月8日]

10歳の頃にクラスメイトをいじめていた3人組のところに10年後現れた八木。斎木、丹治、緒川はどう対処していくのか、そしてクラスメイトを殺したのは誰なのか。

途中で？？？となって、最後の「解説」で理解！思わず二度読みしてしまった。うまくできてる…。

[kaorukaeruさんの感想 · 2021年4月2日]

著者が書いた小説の前後に母親の手紙と解説(いずれも著者の手によるもの)があり、それすべてで一つの作品
子供時代の事故で片付いた人死が殺人だとする小説内の著者が関係者を回り追い詰める？
序盤から何か違和感を覚えながら読んでいましたけど、解説とエピローグがないと私には理解できませんでした
それを踏まえてもう一度読めばなお理解が深まるとは思います
著者得意のトリックでもうおなかいっぱいです

[ShindokuSpinさんの感想 · 2020年8月31日]

度肝を抜かれた。ゲームで「真のエンディング」というものがあるが、それを小説内で味わえた。記憶に残る作品を残してくれた浦賀さんに合掌。

[はむさんの感想 · 2020年8月26日]

ちょっと怖いけどめっちゃ面白かった。途中内容に違和感感じながら読み進めて、解説読んでやっと理解。2回読み直した。

[mamiさん · 2020/09/09]

気になる！

[higetanさんの感想 · 2020年3月11日]

先月急死された浦賀和宏氏の生前最後に発表された著作。「浦賀和宏というペンネームの小説家（本名八木剛）が命を落とした」というショッキングな書簡から始まり，続くその「浦賀和宏」が書いた「デルタの悲劇」は，小学4年生の溺死事件に関わったであろう同級生斎木・丹治・緒川の視点から交互に語られる物語。この3人に罪の自白を迫るのが八木剛という設定。読んでいる最中にある仕掛けに気づいたので，冒頭に戻って読み直し。その後，1日のあいだに唸りながら三度読み返した。41歳というのはあまりに早い。ご冥福をお祈りいたします。

著者プロフィール

1978年、神奈川県生まれ。1998年、『記憶の果て』で第5回メフィスト賞を受賞しデビュー。『時の鳥籠』『頭蓋骨の中の楽園』など、著書多数。2020年、急逝。

「2020年 『こわれもの 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」