- KADOKAWA (2019年6月28日発売)
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感想 : 38件
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784041083291
作品紹介・あらすじ
■書評家から絶賛の声、続々!
「驚愕のラストシーンまで巻を措く能わずの傑作である。」
東えりか(書評家)「本の旅人」2019年7月号より
「『グアムの探偵』や『高校事変』等人気シリーズの傍ら、『ヒトラーの試写室』を始めとする歴史活劇でも気を吐く著者が満を持して放つ、日本人の出てこない異色の傑作だ。」
香山二三郎(コラムニスト)「週刊新潮」2019年7月11号より
脱北者の証言に基づく――
貴方が北朝鮮に生まれていたら、この物語は貴方の人生である
この国に生を受けただけなのに、希望はどこにある――
平壌郊外の保安署員クム・アンサノは11年前の殺人・強姦事件の再捜査を命じられた。犯人として収容されている男と面会し記録を検証するが、捜査の杜撰さと国家の横暴さを再認識するだけだった。実はアンサノの父は元医師。最上位階級である「核心階層」に属していたが、大物政治家の暗殺容疑をかけられ物証も自白もないまま収容されている。再捜査と父への思いが重なり、アンサノは自国の姿勢に疑問を抱き始める。そしてついに、真犯人につながる謎の男の存在にたどりつくが……。鉄壁な国家が作り出す恐怖と個人の尊厳を緻密に描き出す、衝撃の社会派ミステリ長編。
感想・レビュー・書評
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北朝鮮が舞台の社会派ミステリ。
言葉が出ない…。
出身成分=北朝鮮独自の階級制度。どの階層に属するかで全てを左右される人生にまず言葉が出ない。
そして過去の事件の再捜査に乗り出す主人公の保安員アンサノの目線と共に、言葉を喪うほどの現状が心にのしかかる。事件の真実に迫るほど、アンサノの心の葛藤、後半のミステリとしての展開が驚きと共に胸を打つ。
理事官の、日本も同じだという言葉に圧倒された。
もしかしたらそう思うことでこの国の人々は叫びたい思いを必死に押し殺しているのではないか、そう感じた。
託された想いに更に言葉が出ない。希望の光を願いたくなる。
こうやって他国の現状を知ることも、何かの小さなきっかけにつながるかもしれない。
手にして良かった作品だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
まず、帯の「貴方が北朝鮮に生まれていたらこの物語は貴方の人生である」と言う言葉が目に飛び込む
では、私は、北朝鮮に生まれなかったから、これは私の人生ではない。確かにその通りだ
でも、それでいいのかな、現代にこんな惨状におかれ、生きている人々がいるのを放っておいていいのか!という思いが最後までつきまとった
話は11年前に地方で起きた少女強姦と殺人事件。はじめは単なる片田舎の殺人事件と考えられたが、調べていくうちに話は思わぬ方向に展開していく
まるで、映画を見ているようだった
ミステリー小説としてのおもしろさもあったが、書いてあるすべてのことが信じられなかった
脱北者の証言に基づいて書かれた小説とのことだから、全くのフィクションではないだろう
いつの時代の話?と、前の方のページを振り返るが、21世紀、トランプやら携帯やらの言葉が出てくるから、まさしく今の北朝鮮の地方の現状なのだろう
タイトルの『 出身成分 』 北朝鮮の住民の政治的地位を規定する階層制度及び、その階層を指す言葉で、全国民が「核心階層」「動揺階層」「敵対階層」の3つに分けられる
主人公の保安署員クム・アンサノは、上司に問う
「社会主義は平等と教わりました。なぜ出身成分が取り沙汰されるのですか」
「社会主義は、人民の平等という究極の理想をめざすものだ。個は一枚の歯車として適正に機能せねばならない。
平等ゆえに区別が必要になる。差別ではなく、区別だぞ。平等な社会の一員に加えるには、適正を知らねばならん。部品を適材適所に配置するため、その仕様を明らかにするのと同じだ。部品の製造元と形状、それが出身成分と社会成分だ」
首都の平壌に住めるのは、核心階層のみ、大部分は、地方に住み
30世帯ほどずつ人民班に分けられ、人民班ごとに家も指定された色で塗られる。月に一度の生活総和と呼ばれる集会では、お互いの告発合戦!!
疑心暗鬼、階層からの転落の恐怖、粛清、賄賂の横行
特に女性のおかれた地位は極めて低く、強姦など日常茶飯事、
党幹部への性上納!?
性上納などという言葉、はじめて知った。背筋が寒くなると同時に激しい憤りを感じる。女性を何だと思っているのだ!
「この国では女性が虐げられている。人権は皆無に等しい。正しいことを信じるのなら、脱出して窮状を訴えて欲しい。外からでなければ、この国は変えられない」
自らの危険を顧みず、アンサノの脱北を手配する人民保安局理事官ミョ・インジャ(女性) の言葉が胸に突き刺さり、痛かった -
北朝鮮保安署員クム・アンサノは過去の強姦事件の再捜査を命じられる。アンサノは父の影響により、南(韓国)や世界に目が向き、絶対的な北朝鮮の思想に反する考えを持っていた。北朝鮮の身分に関することを絡めた社会派推理小説。
証言に基づいて書かれていたようであり、北朝鮮での日常、仕組み、しきたり等、初めて知ることもあり、驚きながらページを進めた。真実は絶望的な内容だったなあ。どの国に生まれても同じだ、と書かれているところもある、確かにどこに暮らしていても苦しいことがあるが、主人公の苦しみ、生まれながらのもの、身分による苦しみは私では決して想像がつかないもの。しかしながら北朝鮮のこととしてではなく、人としてのものも見ることができ、悲しさが見えてくる。そして、どんでん返し、罠ばかり、物語を考えるのに感心するが、そんなことがありそうな国、北朝鮮の一片をみれる、怖いなあと感じた一冊。 -
北朝鮮の片田舎という殆ど情報のない場所を舞台にして、過去の事件を調査し直す保安員の目から見た市民生活・日常生活を描いているのかと思いきや、途中から完全なミステリーや国家体制の要素も加わってエンターテインメントとしても読み応え十分な作品。中盤から一気に面白くなり夜読んでると眠れなくなります。
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謎の国、北朝鮮。
実際の国民の生活がどうなっているのか未知の世界だけど、この本のような事件が本当にあるとしたら本当に衝撃。
たまたま自分は日本人に生まれたけれど、北朝鮮に生まれていたらどんな壮絶な人生になったんだろう、としみじみ考えさせられた。
ただ、ちょっと文章が読みにくくて苦戦した。 -
北朝鮮の郊外の、政治に関わりのない人々がどんな暮らしをしているのか、報道で知る食糧難や社会主義からくるイメージと大きく外れないなと最初は思っていた。
しかし殺人事件捜査を通して、そんな想像できる程度の話ではないと知った。日本でしか暮らしたことのない私には思いもよらない事態だ。
自分が北朝鮮に生まれていても、きっと周りで行われていることに何も気付かず、噂で聞く外国のように自国ももうすぐ豊かになると思っているだろう。
でもその日は遠いんじゃないか、と感じてしまった。 -
読み終わってないんだけど、途中で断念。
なんかもう悲惨過ぎて読むのが辛い。
主人公がどんな決断をしてどうするのか?を知りたいというよりも、こんな世界が有る事をこれ以上知りたくないという思いが強くなって読みたくなくなった。
いやあ日本に生まれて良かったよホント。
日本に生まれたってだけで世界の勝ち組に自動的に入っているんだと思いました。 -
最後のどんでん返しには、久しぶりに正直びっくりした。何だかんだ言ってもこの主人公は偉い。見習いたいぐらいだ。身分差別もだけど、女性に対する性的な扱いが、もし本当なら全くもって許せない!
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北朝鮮ってどんな国なんだろう?そんな興味から手に取った1冊。北朝鮮にあまり良いイメージはなかったけど、想像以上にひどくて衝撃的だった。自由・人権は皆無。賄賂や嘘が当たり前。
事実を元にしているとのことだが、お隣の国では今なおこんなことが当たり前に起きているの??とショックを受けました。
この国どうにかならないものか、、、
今この瞬間も苦しんでいる人はたくさんいるんだろうな、、、
少しずつ人権などは見直されてきてるとのことなので、本当に北朝鮮の人々が解放されることを願ってやみません。 -
なにげなく、手に取った本である。
それなのに、衝撃的な内容ばかり!
もし、北朝鮮に生まれていたら、、、、、この人生は、自分へ降りかかっていたのだと・・・・帯に書かれてあったのだが、、、、
読んでいて、実際にこのようなことが、日常的に行われていたら、人を、どのように信頼していいのだろう。
軽い気持ちで、手に取った本だが、途中でで、何度も小説で、フィクションでは・・・・と、思いながらも、脱北者の証言に基づく・・・と書かれてあった事を考慮すれば、事実なのだろうか???
第一に、題名の、出身成分とは、核心、動揺、敵対の3階層に分かれており、親の階級が、子へと引き継がれていく。
住む場所も、就職先も、給料も、、、、、進学も、、、、
全て、敵対階層は、反動分子とされてしまう。
日本も、拉致問題が、なかなか、解決へとは、向かっていない。
めぐみさん事件も、日本だったら、誘拐犯で、逮捕されそうなものなのに、死亡説迄でて、無かったかの如く処理してしまう国もあるのだと、知ったのは、何十年前になるのだろうか?
本では、保安職員アンサノが、主人公で、強姦事件の再捜査を命じられるのだが、、、昔の事件は、不確かな事ばかり、、、、逮捕されている容疑者も、無実であっても、牢から出られない。
段々賄賂を与えながら、核心へと、、、、それが、医師であった父親が、政治家の暗殺事件で、容疑者になり逃亡していたことに、たどり着く。
自国の体制に不満を持ちながらも、父親を、犯人に差し出さないといけないのか?
でも、父親を犯人にしたら、身分は、、、、自分だけでなく、妻も子も、敵対階級へと落とされてしまう。
どうすることも出来ないアンサノは、、、、、
被害者だと思っていたのが、、、、そうでなく、相棒と思っていたのも、違っていたら、誰を信用すれば、良いのだ!
妻と子も、薄給の父親に愛想を尽かせている。。。。。
にっちもさっちも動けないアンサノ。
人を信用していいのか、疑惑的であったが、脱北を期待するアンサノ、、、、そして妻と子も、、、、
読んでいて、何と酷い情勢なのか?
ある国が、民主主義的な行動に出たら、逮捕されることも、最近テレビで、報道されており、自国だけでなく、米国に住んで居ても、その法律は、執行してしまうとの事。
この本を読んでいて、日本に生まれ、そして、日本国籍で、日本で、育ったという当たり前の事が、何て、素晴らしいのだろうと、感じてしまう。
だが、自分だけ、そして、民主主義の国の民だけが、甘んじていいのだろうか?
何か、考えさせられる本であり、人を信用できない世界で、人生を送らなければいけいないという辛い本でもあった。 -
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生まれたときに決まった身分から変わらないとなるとその後の生活に希望を見いだせない。
そんな身動きのとれない人生ってどうなの? どうにかして逃げ出したいと思う。
でも、周りはみんな信用できない……。 -
北朝鮮の一地方の殺人事件捜査を題材にしたものは聞いたことがなかったので興味深く読めた。北朝鮮に警察のようなものがあるのは意外な気がするということ自体がこの国の異常性を物語っていると思う。そしてどこまでも欺瞞に満ち溢れていることが恐ろしい。ここで常識を保つということは極めて難しいと感じた。
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マスコミに登場する北朝鮮は、首都平壌に限られる。だがこの物語は、郊外におけるごくふつうの殺人事件とその捜査を、初めて描いている――
11年前、平壌郊外で起こった殺人・強姦事件。事件の再捜査を命じられた保安署員クム・アンサノは当初の杜撰な捜査を目の当たりにしながら、真相を求め捜査を進める。
脱北者の証言に基づき、非常に近い出来事をモチーフに事実を踏まえて描かれる地味で複雑なミステリーで、普段目にすることのない北朝鮮の社会システムや人々の考え方が垣間見える。
作品のタイトルにもなっている「出身成分」とは、住民登録上人民を区別する「核心階層」「動揺階層」「敵対階層」の3つの階層のこと。「親の不始末子の始末」という言葉が幾度となく語られるように、父親が不始末をしでかすと、その子、孫にまでも階層の不利益が及ぶという。
平壌に住めるのは「核心階層」のみだから、この事件が起こった場所はそれ以外の階層の者たちが住む下層の村。同じ集落の隣人による密告、相互監視、村八分、父親からの性虐待・・・重苦しい雰囲気のまま話が進む。
自国への疑問を訴えるアンサノに対し、日本も南朝鮮も同じようなものだと言い切る人民保安局の幹部とのやり取りは息がつけない。
普通のミステリーのように、事件の真相を知ることがこの作品の肝ではない。
二転三転する事件の様相のなかで、アンサノはこの希望なき国で生きることの意味、人権、人としての尊厳について悩み、考え続ける。この国に、たまたま生まれついたがために自由を奪われ、尊厳さえ失い生きることを強いられる人々の姿。
「貴方が北朝鮮に生まれていたら、この物語は貴方の人生である」という帯の言葉が重く響く。
これまで、国家という枠組みとしてしか思いを及ぼせなかったこの国の一人一人の国民の姿が思い描けるようになるいいきっかけとなる作品でした。 -
最後のどんでん返しが、松岡作品らしい。
これが北朝鮮の現状なのか
社会主義国の特権階級とそれ以外
賄賂
外から見るのと、中にいるのでは違うかもしれない。
我々も日本という国の中に居るので、見えないことも多々あるかもしれない。 -
朝鮮はこんな感じなんだろうか?
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北朝鮮が舞台のミステリー。普通なら一気に読んで読書の喜びを得られたはずだが、今の私の気分に全く合わず…すみません。
また落ち着いたら読み直したい。 -
★3.5
「出身成分」とは、北朝鮮における住民の政治的地位を規定する階層制度のこと。所属する階層によって、職業や暮らす場所、平壌への立ち入り可否等が決まる。そんな中、保安署員アンサノに与えられた任務は、11年前の殺人・強姦事件の再調査。過去の杜撰な捜査と逮捕、被害者女性に対する村八分、日常的な賄賂の横行に、ただただ唖然とするばかり。が、もし自分が北朝鮮に生まれていたら、彼・彼女たちと同じ生活を送っていたことに恐怖を感じる。それにしても、終盤の大どんでん返しが秀逸!希望に託された、悲痛な願いが遣る瀬無い。 -
北朝鮮を舞台にした社会派ミステリ。過去に起こった片田舎の殺人事件の捜査を命じられた保安員が調査を進めるうち、とてつもない真実に突き当たってしまうという衝撃の物語。どうしようもない閉塞感と圧迫感、そして理不尽な恐怖がひしひしと襲い来る作品です。
と、こういうのを読むと「平和で自由な日本で良かった」などと思ってしまいがちですが。果たして本当にそうなのだろうか、と思わないでもなく。何も知らないふりをして、唯々諾々と社会に則って生きていくのが幸せ……なのでしょうかね。考え出すとどんどん怖くなります。
とにかく重苦しさいっぱいの作品だったけれど。少しは希望もあるのだと思いたいなあ。 -
真実に近づいたと思ったらそれが罠だったと知らされるの繰り返し。
1984とそっくりの二重思考。
いつ転落するかわからない恐怖、集落の怖さ、理不尽が罷り通る。これが現実に近いことなのか?と思うと気がめいる。だけど、程度の差はあれど、排除されて虐げられている人々はいる。。
これが事実からそう遠くはない話、というのが本当に。。。
著者プロフィール
松岡圭祐の作品
