医学のたまご (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041083307

作品紹介・あらすじ

中学生のぼくが、東城大の医学生に!?
天才少年(?)カオルが、小さな勇気を胸に大学病院に潜む悪に立ち向かう!

*イラストレーター・絵本作家、ヨシタケシンスケ描き下ろしの桜宮市地図、章扉イラスト収録*

曾根崎薫、14歳。
桜宮中学に通う、ごくフツーの中学生の彼が、ひょんなことから「日本一の天才少年」となり、東城大学の医学部で医学の研究をすることに!?
冷や汗と緊張の連続の中、ある検体をPCRで分析したところ、思いもよらぬ大発見をしてしまい教授も研究室も大騒ぎ。
学級委員の美智子、ガリ勉メガネの三田村、ガキ大将のヘラ沼と「チーム曾根崎」を結成して事態を乗り切ろうとするが、大学病院と医学研究の不正に直面して……。
お調子者のカオルの決意が、あなたの胸に勇気と希望の火を灯す。
賑やかで爽やかな医学ミステリ!

感想・レビュー・書評

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  • 中学生の曽根崎薫が、潜在能力試験で全国1位になってしまったことから、大学医学部の研究室に週2日通い、論文を巡るドロドロに巻き込まれていくストーリー。

    薫の受入研究室の藤田教授が、薫の名前で英語論文を書いたり、追試が間に合っていないことが外部から指摘されると、記者会見の場に薫を連れ出したり、薫の中学のクラスメートが医学の最先端の研究を理解できたりと、常識的にはあり得ない設定で、読んでいる途中で少し白けてしまった。
    しかし、最後に、薫と離れて暮らす父親が薫にアドバイスを与えたり、薫を守るために、薫の業務日記を証拠として効果的に見せる手はずを整えたりしたところは、ジンときた。

    薫が書き留めている、パパの言葉がいい。
    また、海堂さんの後書きにある、中高生に向けたメッセージがよかった。

  • 著者のあとがきによれば、中高生向けに書いたが医療関係者にも評判が良かったとのこと。
    内容は専門用語も多く、また東城大学が数多く書かれている諸シリーズに登場する人物や話題も多く、海堂氏好きの読者も楽しく読めるのでは。
    ズルのような形で一躍脚光を浴びた主人公が、強烈な名誉欲と出世欲を持った教授に振り回される姿は、中高生向けというよりはどこにでもある(?)大人の世界かも知れない。最後は勇気を出して敵に立ち向かう、という若者向けのメッセージではあるが、現実的には会社や医療の世界で主人公と同じことができるかどうかは、相当周囲への根回しや覚悟が・・!

  • 先日読んだ『医学のひよこ』の前作。なるほど、こんなことがあったんですねぇ。
    まー、藤田教授のえげつないこと。子供の読む本にこんなリアルなヴィランがでてきてええもんか?!と言うぐらい、トラウマティックな嫌さかげんですな。いい人もたくさん出てくるので、まあ救いどころはありますが、。藤田教授1人だけで、すべての気分を破壊する威力がありますわ。無理。
    ともかく、本作では、中学生のカオルくんが、いい実験結果をだしてしまい、追試もしていないのにネイチャーと騒ぎだしたワンマン藤田Pが、中学生のカオルくんに全部責任をおっかぶせてごまかそうとするのを、阻止するという、中途半端にリアル風味なアドベンチャー作品。この次の作品の医学のひよこにくらべると、SF味がすくないが、まあ、おもしろかった。
    ひよこの次作は貸し出し中だったので、返却待ち

  • ブクログ いるかさんの本棚で見つけ図書館予約
    興味深い医療ものを次々書かれている海堂尊
    これは中学生向けとか
    いえいえバアサンも十分楽しめました

    知らない医学界の闇
    興味は尽きません
    軽いタッチで描かれているけど
    なかみは重いです

    カオルの友だちはかっこよすぎですね
    それに比べて大人たち……
    パパは素敵です が

    作者のあとがき
    「未来は社会を大切に思う人たちの双肩に掛かっている」

    ヨシタケシンスケさんのイラストがいいですね

    ≪ たまごでも 大事なものは みな中に ≫

  • 大の大人が子供の発想力を悪にも善にも使用するってどうなの?

    大人は自分がプラスと思えば自分の名前&研究に取り組んでいないのに論文に上げ

    大人は自分がマイナスと思えば助手に擦り付ける

    インタビューも編集でいい感じで編集してあたかも主人公が天才かと思える配列に並べ替える

    とても読みやすかったけどちょっとイラっとしました

    最後の最後に主人公の親が助けるのですがそれはお見事でございます

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  • チームバチスタ以来の海堂尊作品。
    表紙や題名から、医療機関の堅い内容から少し外れていて読みやすいかなと思い購入。

    対人関係の問題を解決する時に使うアクティブフェーズ、パッシブフェーズの話がまた出てきた。三国志での考えがもとになっているっぽい。三国志読もうかな

    医療機関の内部のことは知っておいた方が良いと作者が最後に言っていた。あまり興味がない分野の小設もたまには読むべきやなぁ

  • 潜在能力試験で全国1位になった主人公カオルが東城大学医学部に入り、レティノブラストーマの論文を発表し、その誤りを謝罪するというのがこの作品の大きな流れ

    藤田教授にそそのかされて論文発表から謝罪までしてしまうのだが、中学生カオルには頼もしい友達とゲーム理論の第一人者のパパがサポートして藤田教授の悪意を打ち負かすのは爽快。
    桃倉さんはとても良い人で、冷静にかつ総合的に何をすべきかを判断出来る。少しスピード感には欠けるが。こういう人が沢山医療関係者にいれば良いのにと思った。
    このような事は世の中にたくさんあって、本作品の登場人物のような人もいる。悪意に立ち向かう勇気を持ったカオルはすごい!

  • 男子中学生がひょんなことからスーパー中学生として医学部で研究することになる。友人の助けも借り、大きな発見をするも、大人達に翻弄される日々。次第に事態はよからぬ方向へ。パパの助言を元についに反旗を翻す!

    実際の医者だからこそかけるリアルな医学と幼き少年の葛藤にドキドキハラハラでおもしろかった。最後のパパの策略によって逆転するシーンは見ていて心地がよかった。

  •  中高生向けらしく非常に読みやすい。ヨシタケさんのイラストも可愛らしい。あの可愛かったアツシ少年がすっかり瑞人みたいになっていて、中盤までずっとアツシと瑞人を勘違いして読んでしまっていた。お調子者の薫が周りの狡い大人におだてられ翻弄されるが、最後にちゃんと自分の非を認め謝罪する潔さに成長を感じた。パパのアメリカからの援護射撃もかっこいい。今作は初読だが、あとがきに書いてあった既読の『ジーン・ワルツ』との関連性がわからなかったので桜宮サーガは途切れずに読まないと。

  • 2008年のあとがき、今こそ我々が読む内容。

    PCRという言葉がたくさん出てくるが、2008年当時には全く知らなかった言葉が、今、毎日聞く言葉になっている。これだけ医学が注目されなければならない未曾有の事態が起こっている時代。
    その時代を切り抜けるのに、生かせるかもしれない言葉にたくさん、出会えた気がする。

    『世の中で一番大変なのは、ゴールの見えない我慢だ』

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著者プロフィール

1961年千葉県生まれ。医師、作家。外科医・病理医としての経験を活かした医療現場のリアリティあふれる描写で現実社会に起こっている問題を衝くアクチュアルなフィクション作品を発表し続けている。作家としてのデビュー作『チーム・バチスタの栄光』(宝島社)をはじめ同シリーズは累計1千万部を超え、映像化作品多数。Ai(オートプシー・イメージング=死亡時画像診断)の概念提唱者で関連著作に『死因不明社会2018』(講談社)がある。近刊著に『北里柴三郎 よみがえる天才7』(ちくまプリマー新書) 、『コロナ黙示録』『コロナ狂騒録』(宝島社)、『奏鳴曲 北里と鷗外』(文藝春秋) 。

「2022年 『よみがえる天才8 森鷗外』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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