総選挙ホテル (角川文庫)

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  • KADOKAWA (2019年11月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784041083925

作品紹介・あらすじ

○著者の言葉「働く現場でしか学べないことがたくさんあると思っています。育った環境も、考え方も、年齢も違う職場の中で揉まれることが、人として成長させてくれると思っています。しんどいけれど喜びもある、それが職場。そこにある感動を小説にしたいと考えました。」桂望実
○単行本時帯推薦文より 「一丸となって」でも「勧善懲悪」でもない感動的な人間ドラマがここにはある。まさに極上のエンタテインメントだ。松田哲夫(編集者・書評家)

○内容紹介 ある中堅ホテルを立て直そうと、外からやってきた変わり者の社長が提案したことは「総選挙」! そう、ホテル内の従業員の配置を“選挙”で決めるという斬新な人材シャッフル案でした。しかもそれだけに終わらず、管理職の選挙まで! 果たして従業員の反応は? 今の日本の働く環境の閉塞感を打ち破るお仕事小説。さまざまな年代の男女が抱え働く悩みに答え、働くことの意味、働くことで成長できる喜びを読書で味わえる、お仕事エンタメ作品。

感想・レビュー・書評

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  • 売り上げが落ち込んでる中堅ホテルの新社長が社会心理学者。
    従業員同士で選挙をして、持ち場を変えてみたり、監視カメラの映像を見合って評価させ合ったり、斬新だけど、実際そのホテルで働く身になったら嫌だろうなって思ってたけど、良い方向に進んでくれてラストはすっきり。

    就活生がラストの従業員のインタビューみたら、とりあえずやってみよう!って気になれると思う。

  • この作品は一言で言えば、企業再生のために奮闘する会社員(ホテルの従業員)たちのサクセスストーリーです。どうすれば業績が上がるのか、どうしたら社員たちのモチベーションが上がるのか新しく社長になった元山の奇想天外な改善策をどう受け取るのか、合理的でもいいのかと感じられた作品です。

  • 売上が落ちこむ中堅ホテルを立て直すため、大学で社会心理学を教えていた教授が社長に就任!
    この社長、かなりの変わり者で、実は紙を食べたり壁を舐めたりするという噂がある!?

    そんな新社長は、「常識的なことやってきてどれも不発だったんだから、思い切ったことしないと」と、あの手この手を使ってホテルの改革をしていく。 

    "従業員総選挙"で従業員の配置替えをしたり、監視カメラの映像を見て、従業員の接客対応に点数をつけたり。



    自分の思うやりたいこと、得意分野と他人から見た輝ける場所ってけっこう違っていたりする。
    総選挙によってそれに気づけるから面白い。

    想像していなかった部署に配属され、最初はみんな混乱するが、仕事に対する気持ちが少しずつ変化していく。
    それに比例して、ホテルが少しずつ良くなっていく様子が見どころ。


    個人的には、もう少しボリュームがあっても良かったかなあと思った。

    けっこうシンプルに描かれている感じなので、サクッと読みたい方にはおすすめ。

  • チャプターズという本と人が出会うマッチングサービスをしている会社のYouTubeで、紹介されていた一冊です。

    売り上げが落ち込む中堅ホテル、フィデルホテル。
    経営改善のため着任した新しい社長は社会心理学者。

    人事が機能していないなら、
    従業員が選べばいい。

    会社の新陳代謝、適材適所、息し改革。
    360度評価?なのかなと。

    登場人物たちが、
    自分の希望していた職務と違う、
    と悩みながらも、
    ホテルがどうあるべきか、
    どんな場所であるべきかを考え、
    使命感というか自身の職務にやりがいを見出していく。

    現実は、自身の職務経験を大事にすることが多くて、
    スキルアップ、専門性を高められないならと
    辞めていくことの方が多いのでは、と。

    業界とそのホテルを好き、お客様が好きという、
    愛社精神みたいなのを感じたのが久しぶりでした。苦笑

    もし私がこのホテルにいたら落選するかも。苦笑

  • 「県庁の星」も「嫌な女」もおもしろかったけど、これもおもしろかったです。そして、泣けました。いろんな人の隠れた才能が適材適所で開花するんだけど、実は唯一ポジション変わってない支配人さんの能力がすごかった。石ノ森章太郎さんの「HOTEL」の支配人さんレベル。物語もHOTEL級だったと思います。

  • 適材適所って大事。流れに身を任せ、その時に自分ができること、その先に求められることは何か。今働いている場所でヒントになることがたくさんあった。1日で読了。

  • あり得ない話しに、そしてあまりにもすべて上手くいく展開になんか冷めた感じで読み終えてしまった。

  • 面白い!!

    ホテルだから登場人物も所属部署も多くて途中まで誰が誰だか混乱してしまった。

    でも鈴木みたいな嫌なやつは嫌なやつだし、
    女性人気がある中西はそれに気付いて隠さないし、
    後藤さんはお節介が面白くて、嫌味な主任にコーヒーのお代わり持って来させちゃう。

    みんな自然体でニヤニヤしちゃう。

    支配人も最初は仕事できなそうなおじさんに見えたけど、変わり者の元山の影響を1番受けているのか、頼り甲斐が出てきたみたい。

    ホテル従業員がお互いを選挙し、落選者は解雇!、抜擢されて異動もありえるなんて、社長の思いつきなのか熟考の結果なのか、当事者なら恐ろしい。
    まわりから見る分には面白すぎる。

    異動になった人達は最初は落ち込んでいたが、
    周りの助けと持ち味を活かして活躍しているところを見ると、

    自分が思っているほど周りは自分を見ていないが、
    見ていないようでよく見ているのかなと思った。

    私の職場だったらどうだろう?
    時短中で残業ほぼできない、出張できない、子供の体調不良で自分の意思とやる気とは関係なく連休になってしまう私は落選筆頭かもしれない。


    続編希望!

  • 売り上げが落ちている中堅ホテル。
    立地も規模もブランド力もある、じゃあ足りないのは?
    レストランメニュー、宿泊プラン、タイアップ、みんな改善したのに何が悪いのか?
    そこで元山社長が大なたを振るう。
    何をしたのか?
    従業員同士による総選挙だ。
    自薦他薦問わず、誰がどの部署にふさわしいかを従業員たちが決める。
    始まるまでは裏で「私に一票を」合戦。
    おかしいとの声も。
    しかし選挙後は、意外な場所で従業員たちが力を振るう。

    やりたい仕事と、個人の資質、向き不向きは違うこともある。
    でも、やりたい仕事も、もちろんあるし、それを目指して努力をしてきたはずだ。
    うーん、本作ではハッピーエンドだけど、実生活では、ちょっと、辛いところもあるかな。

    就活真っ最中の人が読むには、少し辛いところもあるだろうからお勧めはあえてしないが、
    256頁、「平凡な毎日の中にだって、数えきれないくらいたくさんの幸せの種があるってことに、早く気付きますように」
    は著者からの、働く人々へのエールだ。

    私は自分が特別優秀な社員ではないと思っているし、ミスもある。
    実際そうなのだろうとも思う。
    知らないことも多いし、努力も、姿勢も、いまいちだ。
    あと何年か後に、若い上司や先輩のようになれるかと言われれば自信はない。
    何だったら転職して、自分が好きなことを生業にしたい。
    でも、全然自分が思ってもみなかったところから気に入られて引っ張られることもある。
    人生はわからない。
    思い通りにいかない。
    だからこそ、日常を大切にしたい。
    人の良いところをみよう、悪口を言わないようにしよう、親切に、誠実に、美しく誇りを持っていよう、それがプライド、矜恃だ。
    そうすればいつかは自分で道が切り開かれる、そう思って、長い長い社会人生活を過ごしていかなきゃ。

    せめてそう思わなければ、やってらんない!でしょ?

  • 序盤の下ごしらえの部分はどうしても人物の把握とか状況説明になるのでページが進みづらいけれど、そこを越えると一気に面白く感じた。
    また、上手く行き始める中にもちょっとした躓きや悩みなどブレーキ部分も散りばめてあるのでより現実味があって話に入っていきやすかったと思う。

    しかもそういう悩みへの助言だったりメッセージだったりが現実に悩んでいる人への助言やメッセージにもなりえていて、様々な状況に参考になりそうなんて思った。

    人がどう考え行動するかに大きな関心を持っていても人の心がどう動くかはあまり分かっておらず理解して行動しようとも思っていなさそうな元山社長が、結果だけ見ると狙ってやったのかと思うほど人の成長に賭けたやり方を取って成功に導いているのがなんだか某医師を思い起こさせるななんて思った。

  • なるほど選挙!適材適所!それで、どうなるのかなとワクワクしながら読めました。面白かったです。支配人と社長の徐々に打ち解けていくそのやり取りもまた良かったです。

  • 選挙で自分の働く所が変わって合うかどうか不安だろうに、そこから自分の良さが出て来て合ってくるのが素敵でした。皆の意識が変わっていくのがとても良かった。どんどんホテルが良くなっていくお仕事小説でした。

  • ちょっと期待はずれだった。

  • ホテル再生の物語。
    かつて利用した老女へのサービスのシーンにほろっと来た。
    ホテルで働きたくなる小説。

  • 最初、選挙や監視カメラ映像って聞いて、支配人の様に『うわ。面倒臭い職場』と思って、フラワー課が良くて転職までしたのに、向いてそうで投票されて花形ではあるものの、全然望まない職場にかえられたり。
    資格を持って仕事が決まった私からすると、正直私は辞めるかも…と思ったり…。
    でも、最終的には、ホテルの為に必要な人材が残って、何故だかチームワークが良くなって、縦のみならず横の繋がりも広がると言う。
    ホテルの長くからのファンもいて、ハコが良かったというのもあるだろうけど、人が良い方向に変わっていくのは楽しかった。

  • お仕事系がすき!ほんわかしてるけど読み甲斐がしっかりあって面白かった

  •  赤字を垂れ流し経営破綻寸前のホテルを立て直すため投資ファンドより派遣された新社長の意向により、全従業員の総選挙が実施されるとなったところから物語が始まる。てっきり総選挙の行方を面白おかしく描くのかと思ったら、そこは潔くばっさりカット。本人のやりたい仕事ではなく、適材適所に割り振られてからの各人の仕事への向き合い方や心境の変化、ホテルの評判等が主に描写されているのが斬新だった。もちろん小説なので綺麗にまとまっているのだが、決して作り話じみておらず説得力がある点が共感できるし好ましい。自分のことは周りの人の方がよく知っているものだ。

  • 20250830読了

  • 「相続レストラン」に続き「総選挙ホテル」と似た名前の全く違う作品。自分には思いも寄らなかったところでそれぞれが能力を発揮する。サービス業って難しくて素晴らしいと思った。

  • 老舗ホテルの再生を通じて、ホテルの様々な部門で働く人々の仕事ぶりや成長、悲喜交々な人間模様も描く。
    ホテルを舞台にした作品は、ドラマが作りやすく面白い傾向にあると思うが、本作はその中でも企業再生などビジネスの部分に軸を置きつつ、きちんと人間ドラマも描いていて、他にないユニークさがあった。特に「総選挙」によって担当部門を移ることになった4名の従業員たちは、それぞれに個性的でいいキャラクターで、移った先での仕事ぶりを見るに、このホテルの人たちは見る目があるのではないかと思える。彼らがバトンをつなぐようにして、ある一人の女性客の「40年前の結婚式の思い出をたどる旅」のサポートをするエピソードはとても爽快で心温まるものであった。「こんな仕事がしたい」と思えた。

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著者プロフィール

一九六五年東京都生まれ。大妻女子大学卒業後、会社員、フリーライターを経て、二〇〇三年『死日記』で「作家への道!」優秀賞を受賞し、デビュー。著書に『県庁の星』『嫌な女』『ハタラクオトメ』『頼むから、ほっといてくれ』『残された人が編む物語』『息をつめて』など。

「2023年 『じゃない方の渡辺』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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