高校事変 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 456
レビュー : 63
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041083956

作品紹介・あらすじ

優莉結衣(ゆうり・ゆい)は、平成最大のテロ事件を起こし死刑となった男の娘。事件当時、彼女は9歳で犯罪集団と関わりがあった証拠はない。今は武蔵小杉高校の2年生。この学校に支持率向上を狙った総理大臣が訪問することになった。総理がSPとともに校舎を訪れ生徒や教員らとの懇親が始まるが、突如武装勢力が侵入。総理が人質にとられそうになる。別の教室で自習を申し渡されていた結衣は、逃げ惑う総理ら一行と遭遇。次々と襲ってくる武装勢力を化学や銃器のたぐいまれなる知識や機転で次々と撃退していく。一方、高校を占拠した武装勢力は具体的な要求を伝えてこない。真の要求は? そして事件の裏に潜む驚愕の真実とは? 人質になった生徒たちと共に、あなたは日本のすべてを知る!

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった!!
    これこそアクションエンターテインメント小説!久々にスカッとした小説を読んだな~☆

    実を言うと松岡圭祐先生の小説を読むのは初めてです。そうあの有名な『千里眼』シリーズも『万能鑑定士Q』シリーズも読んだことはないのです。

    では、なぜ本書から?という質問には、そうですね・・・。ヒロインのキャラ紹介が秀逸だったからでしょうか。
    この本書のヒロイン・優莉結衣(ゆうり・ゆい)は公立高校に通う高校2年の女子校生。平凡な女子校生かといえば、とんでもない。彼女は平成最大のテロ事件を起こし既に死刑となった男の娘という超いわく付きのJKなのです。

    この父親というのは読者が読めばすぐに分かるのですが、地下鉄サリン事件の首謀者がモチーフとなっていて、過去にはサリン事件だけではなく、数々の反グレ集団を束ね、日本中で国民を震え上がらせるような数々の凶悪事件を起こしたグループの首領という設定になっています。
    そんな優莉結衣は幼少の頃から、父親やその周辺の大人達から彼らの特技の数々を教え込まれており、言うなれば天才的暗殺マシーンに育て上げられてしまったのです。
    そんな彼女ですが、現在は、施設で穏やかに暮らしています。

    頭も良く、語学も堪能、そして銃器の扱いも格闘術も、身の回りの物を使って爆発物を作るのも大得意、そして当然のように超絶美少女(←男性読者的にはここ、一番重要ですねw)。
    そんな彼女が通う武蔵小杉高校では、彼女は当然浮いた存在、誰もが腫れ物を触るように、あるいは声高に『凶悪犯罪者の娘』というレッテルを貼られて、日々の高校生活を送っています。

    そんな武蔵小杉高校には、あるバトミントンのスタープレーヤーがいます。ベトナムから日本に帰化し、来年の東京オリンピックでは金メダルの有力候補となっている男子高校生。
    彼に会うという名目で総理大臣が武蔵小杉高校へ視察に訪れることになったのですが、総理大臣が武蔵小杉高校に視察へ訪れた際、謎の武装勢力がこの高校を占拠しまうのです。
    そんな状況で優莉結衣が取った行動は・・・・・・日々『迫害』とも言えるような状況におかれていた彼女にとって、この状況はまさに「水を得た魚」。
    彼女の胸がすくような活躍が繰り広げられます。

    これ、ホント面白い。
    特に今読むからこの小説、面白いんだよね。今の世相のパロディ満載。
    舞台はまさに今、この瞬間。来年2020年に東京オリンピックを控えている時期で、総理大臣は誰が見ても安倍首相そのもの、もちろん安倍首相という名前ではありませんが、山口県出身の65歳で、首相を連続3期勤めており、リオ五輪ではマリオの仮装をして、世界中を驚かせたというエピソードもそのままです。
    ただ、この本の中ではこの首相は、殊更「バカな総理大臣」とも、もの凄く「マッチョな総理大臣」だとも描かれてはいないので、読者はフラットな感じでは読むことができます。

    なんにせよ、ここは優莉結衣の活躍を何も考えないで愉しむのが、読者のスタンスでしょう。

    「戦う美少女ヒロイン」と言えば、古くは『風の谷のナウシカ』まで遡ることができるでしょうか。その後は、セーラームーンやプリキュアなどの魔法少女系ヒロイン、そして『エヴァンゲリオン』の綾波レイやアスカ・ラングレーなどのパイロット系ヒロインに繋がると思いますが、いずれのヒロインも『正義の味方』的立ち位置にいると思います。
    いや、戦うヒロインの元祖は『キューティーハニー』だとか『リボンの騎士』だとかというような声も聞こえてきそうですが、ここはそれを論争する場所ではないので「その話は今日はやめておきましょう」(笑)。
    話を戻すと、いずれも『正義の味方』的位置に立つ戦うヒロインですが、この優莉結衣はまったくもって『正義の味方』的位置にはいません。まさに生まれながらにして「ダークヒロイン」の名を欲しいままに活躍してくれるのが、この『優莉結衣』というJK。いままでいそうでいなかったヒロイン像です。

    まあ、当然ですよね。
    いかに極悪人とは言っても、父親は日本政府に処刑され、子供の頃から自分のことを実の親以上にいろいろと世話してくれた幹部連中も一緒に死刑。そんな彼女に「日本政府を恨むな」とか「品行方正に暮らせ」と言ってもそれは酷というものです。

    ですので、この日本政府の一大事に優莉結衣に「総理大臣を助けよう、救おう」というモチベーションはまったくありません(笑)。「自分にちょっと優しくしてくれた同級生を助けてあげよっか」というくらいの価値観と「死ぬべき人でない人を殺すのは良くない」というごくごく普通の常識、そして自分の能力を存分に発揮できる喜びという感情だけで武装集団と戦います。

    「3歳から楽器の演奏を習っていた子供が成長するたびに大舞台で演奏したくなるのと同じように、自分が3歳の時から習得した技術を披露したくなるのと同じ気持ち」とこの状況を優莉結衣が楽しんでいるのをみて「異常」を通り越してもはや「天晴れ」と言いたくなります(笑)。

    そして、この小説内で繰り広げられるアクションの数々と本作品がオマージュした『ダイ・ハード』や『トイ・ソルジャー』といった映画への評論など、ちょっとしたアクション映画ファンなら「にやり」とする場面がちりばめられています。

    荒唐無稽なアクション小説と言ってしまえばそれまでですが、本書は一度読み出したら一気読みするのは確実です。
    戦う女子高校生が主人公ですので、読む前はエログロ描写が酷いかなと思ったのですが、意外に微グロ微エロ程度の描写で、そういった描写が苦手な人にも安心です(笑)。

    僕はもう、本作1作で完全に優莉結衣ファンになってしまいましたよ。
    もう既に2作目、3作目が刊行されているので、ぜひ続編も読んでみようと思います。

  • パラレルワールドかと思える背景。
    時の総理は名こそ違い、彼の住まいは渋谷区松濤、子どもはいない、総裁任期3期目!来年にオリンピックを控えている。最近消費税が10%に引き上げられ、出入国管理法も成立したばかり。今現在の日本に酷似。
    何ともタイムリーかと思ったら、今年5月に文庫本書下ろしだった。
    そんな最新の現実的なコンテンツを散りばめながら、物語は荒唐無稽の側面も。
    ヒロインは、17歳の女子高校生。高校に襲い掛かった武装集団に果敢に戦いを挑む。
    武器は、工夫加工した校内にある日常道具。
    さらに、敵の武器を奪い次々となぎ倒す様は、めっちゃカッコいい!
    ノンストップバイオレンスアクション小説の醍醐味を味わえる。
    それにしても、殺される敵の何と多いことか!

  • 爽快感がたまらない!
    話の設定的には絶対あり得なくても話にちゃんと入り込める!
    優利結衣みたいなヒロイン、ヒーローに憧れた人も少なくないのでは…??

  • 面白かったです。ぐいぐいぐいぐい読みました。
    総理の極秘訪問の日に武装勢力に占拠された高校で、テロ事件を起こし死刑になった男を父に持つ女子高生が武装勢力鎮圧の戦闘を行う。アツい。
    女子高生・結衣の銃器の扱いと武器の知識が半端なくて格好いいです。学校にあるもので攻撃。これ、いけない知識もあるのでは…と思ってしまいました。EMPおこすやつとか…こういうのがあることを初めて知ったのですが実現すると現代社会ではかなりダメージ食らうやつ。電子機器ダウンするので。。
    結衣の冷静沈着なところも良いです。クールビューティーなのですが、助けたい人は助ける。クラスメイトとか総理、警部、教師。喧嘩して一度は心筋梗塞起こさせたクラスメイトの爆弾も外す。冷静に人を殺しまくるけど、格好いいと思ってしまいます。
    てか色々と、大人より高校生の方がこの異常事態に順応が早いし、肝が座っています。若いってすごい…。
    「いつどんなふうに死ぬのか、自分じゃきめられねえ。でもどう生きるかはきめられる」っていう吉田くんの言葉、残りました。できることをやり抜く。できないことを悔やむのではなく。。

    ボス戦での台詞「きょうはそこそこ楽しかった」、痺れました。
    シリーズ続きも楽しみです。
    結構、現実世界を思わせるところも多々あり、リアリティーありました。

  • 著者買いで、新しいシリーズ、3冊まとめて購入

    高校が舞台と安心していたけど、千里眼シリーズよりも
    バッタバッタと人が死んでしまいます。
    まとめ買いを当初少々後悔しつつ、でも結局ほぼ一気読みでした。

    あり得ないような、でも世相を映しているような
    しかし、黒幕の先生や大臣の動機が安っぽい気がしました。

  • 総理大臣が訪問に来る高校が武装集団に占拠される中で、大規模テロ事件の首謀者の娘である主人公・結衣が戦っていく。結衣の無双ぶりと黒幕の目的などに、アクション映画等を思い出させるが、作中でそれらフィクション作品のお約束と嘘を挙げて物語の中ではそういった解決方法を使わせないところが良いし、彼女が縦横無尽に動き、人を狩り、ときに友人や巻き込まれた人間を守る描写は読みごたえがあった。また、武器も校舎内の中にあるものを使用して、武装勢力と渡り合うというのもご都合主義が無く面白かった。
    この高校で起こったことがもし、国家単位で起こったとしたら…という問題提起や政治等の批判的な面があるように感じた。結衣の兄弟達の消息や父親が率いていた組織との話もその後のシリーズで描かれるような予感がしてならない。

  • 荒唐無稽のあり得んお話だが、面白い!
    やっぱ、松岡さんにはこの手のヒロイン物が真骨頂かな。

  • 劇画です!

    作中、映画の様にはいかないと所々伏線が置かれていたにも関わらず、終わってみれば『沈黙…』シリーズばりにピンチらしいピンチが全く見当たらない! 沈黙よりは無敵!といった方が良いかな。

    もちろん現役高校生にここまで出来る筈はないと思いつつ、そこを文章力でカバーして、400ページ程度にまとめた上、更に現実味を与えてしまう手管には感服至極!

    ただシリーズ化にあたり、『探偵の探偵』同様の後半戦の『急ぎ働き』はやめて頂きたい!
    高校生だけに大事に育てて欲しいなぁ(笑)。

    アッシュみたいでカッコいいや!

  • なかなかのダークヒーローの誕生である。普通の論理感や正義のモノサシだと完全にアウトな小説だが、主人公のブレない行動力に最後は喝采を叫びたくなる。いろんな意味で問題作だが、続編は是非読みたい。

  • 最近、こういったスピード感のある小説を読めていなかったので、とても楽しく読むことができました。
    主人公の優莉結衣(ゆうり ゆい)は平成最大のテロ事件を起こし死刑となった男の娘で、結衣の通う高校(武蔵小杉高校)を総理大臣が訪問したところ、武装勢力に占拠されて、というドタバタした展開のストーリーです。
    バトルロワイヤルとダイ・ハードと、悪の教典がまじったようなハードアクションですが、どことなく現代日本の社会の抱える様々な問題を寓意的に描いているような印象もありました。
    悪役(黒幕)の犯行動機は、事件そのものがもつ影響にくらべて安っぽく(そういった部分も「ハリウッド映画的」と言えるのかもしれませんが)感じる部分はあったものの、主人公への周囲の視線や、特殊な生い立ちを背負う彼女の「醒めた」視点から見た社会の歪みなどは印象的であったように思います。

    武装勢力が学校を完全に占拠した後の結衣の活躍は目覚ましく、頼りになる(ダーク)ヒロインとして、いかなる場面においても冷静に行動し、窮地を切り拓く様子や、特殊な生い立ちゆえに相手の行動パターンを見抜きながら暗躍する場面は、アクション小説の主人公として申し分ないものがありました。単純に、「かっこいい」と思える主人公でした。

    どうやら来月(7月)には続編が刊行されるようで、そちらも今から楽しみです。

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著者プロフィール

松岡 圭祐(まつおか けいすけ)
1968年生まれの作家。1997年に出した小説デビュー作『催眠』がヒット作となりシリーズ化される。1999年の『千里眼』も人気を博し、シリーズ化。
一番著名なのは『万能鑑定士Qの事件簿』をはじめとした「Qシリーズ」で、「面白くて知恵がつく 人の死なないミステリ」というキャッチコピーで人気を博し、映画化された。

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