宮廷神官物語 七 (7) (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041084038

作品紹介・あらすじ

王位継承者は、2人いる。衝撃の事実に激震が走る、麗虎国宮廷。
天青は敬愛する藍晶王子と、兄と慕う武官の曹鉄が、
王位継承者として争うことに心を痛める。
鶏冠も、仕えてきた藍晶王子の手前、曹鉄に肩入れすることもできない。
孤立した曹鉄の前に現れたのは、亡き母に似た婚約者。
彼女の助言により、曹鉄と藍晶王子は密談を行うことに。
しかしその場は恐るべき罠があり……。
大人気アジアン・ファンタジー、波瀾の第7弾!

感想・レビュー・書評

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  • 王位継承者がふたりとなり、混乱と不穏さでいっぱいの宮廷。
    天青が対立に胸を痛める中、曹鉄には美しい婚約者が現れて……。

    根が純真だからこその、曹鉄の危うさ。
    海千山千の苑遊相手では、手のひらの上で転がされてしまうよね、と半ばあきらめの境地。

    このシリーズで、色仕掛けネタは異色で、新鮮ではある。

    あれほど仲のよかったメンバーがぎすぎすしていくのは、切ない。
    それでも、最後まで消しきれない絆の片鱗が見えて、よかった。

    誰もが王宮の仕組みの中でもがき苦しむ中、苦汁をなめた櫻嵐だからできる言動が、清々しい。

  • 曹鉄が王家の血筋を引くことがはっきりしたことにより、藍晶王子と曹鉄は、心ならずも「いずれがより王位継承者として相応しいか」を争う立場に置かれ、自由に会うこともままならなくなってしまう。
    藍晶王子の立太子を支持する側の鶏冠、様々な手段で惑わされ孤立する曹鉄、そして慧眼児として迂闊に動けなくなってしまった天青。
    旅を共にしあった仲間たちの絆が試される。


    うんうん、安心の面白さ。
    ラストも…まぁ、そんなことがあるんじゃないかと予測はしてたけど…だからこそ、『麗虎国物語』『慧眼児物語』ではなく、『神官物語』なのね。
    素直にやきもきハラハラ楽しませてもらおう。

  • 山の中で育ったただの男が実は王だった。
    なんて、普段だったら「なんて定石な・・・」って思っちゃうんだけれどあまりにも物語がドラマチックに進みすぎて、面白くてやめられない。

  • 鶏冠逃げて〜〜!!!って感じで終わりましたね(笑)曹鉄もようやく自分で考えられるようになったようだし、これからの話に期待! 九巻も発売されるけどあと2冊しかないと思うと……十巻はいつ発売になるかな〜!

  • 動の6巻から、静の7巻へ。

    渦巻く大きな流れを感じながら、話としては大盛り上がりですが、その動きは「静」の7巻で話が進んでいきます。

    ひたすら、「静」として、それぞれが身動きが取れないような、心の内側に向かうような、そんな「考える」ことが多くなる1冊。

    これまでの6巻では、比較的動くことが多くて、考え込むよりも、動いてわかりやすい物語だったので、この考え込むような1冊があることで、また宮廷神官物語の深みが生まれたように思います。
    こういう内内の気持ちに向かっていくような書き方が多いのも好きなので、読むのが楽しかったです。

    より登場人物たちの心情を理解する1冊は、これまで6巻の話があったからこそ、また引き立てられるものがあります。


    そろそろネタバレです。

    少し話は変わりますが、私は小野不由美さんの『十二国記シリーズ』が好きです。
    十二国記はどちらかといえば中華系ファンタジー、宮廷神官物語はどちらかといえば韓国系ですね。

    7巻148ページの鶏冠と天青のやりとりで、
    天青が「……曹鉄は鶏冠を、もう信じてないかもよ?」と問い、
    それに対して鶏冠が「相手がどうかは関係ない」「信じるとは、そういことだ」
    と答えます。

    この言葉に、十二国記シリーズ『月の影 影の海』での主人公の言葉に、
    「世界も他人も関係ない。私は優しくしたいからするんだ!信じたいから信じるんだっ!!」
    というものがあります。
    この言葉を思い出しました。

    十二国記は私が多感な青春期に出会った話で、この主人公と同年代として読んだ物語です。
    そのため、この『信じる』ということに対しての言葉は、私に強く印象付けられたのですが、その時の気持ちを宮廷神官物語で思い起こされました。

    時として『信じる』ということは、馬鹿を見ることもあります。

    鶏冠は、物事を冷静に正しく見ようという気持ちがあるから、信じる人と信じない人とを区別としなければならないと理解している人だと思います。
    が一方で、信じる人に一度入れてしまったら、そこから信じてはならない人だと判断するまでが遅かったり、信じる人に入れるための門戸が緩いこともあるのかもしれません。

    そのような場合に、「何もなくてよかったね」で済めばいいけど、「馬鹿を見る」ことも多い人なのだと、ちょっと読んでいて思いました。
    そして、それは曹鉄にも共通するところがあって、そんな共通点のある2人の仲違い(というには深い亀裂)が切なくなります。


    さらに、今回は藍昌王子もまた『信じる』に翻弄されています。
    これまでも鶏冠や天青・赤烏にも櫻嵐にも、「信じる」という言葉を用いてきたけど、今回はさらに深く「信じる」と使っています。

    これだけ多くの人生を翻弄とさせられる出来事でも「信じる」という実態のないものでしか、担保にできないんだなと思うと同時に、「信じる」ことの強さや「信じる」ということ以上に真実につながるもはないんだろうなとも思います。

    こうやって感想として書くと、途端にチープになってしまうけどね。

    苑遊は誰も「信じられない」けれど、自分の信念というものが何か明確にあります。
    「信じる」ことの誠実さ・正しさ・強さは、「=信念・信条」とも言い切れないことの寂しさもありますね。

  • 藍晶王子の兄となった曹鉄が皇位継承する動きに
    元々ツレとして困難に立ち向かっていたのに分断
    され反発し合う立場に追い込まれる(/・ω・)/

    敵役がイイ!
    急に表れた婚約者春鴻
    正体を現した虞恩賢母
    まだ謎を秘める考苑遊

    悪のシナリオがイイ!
    野望も智謀も備えた春鴻
    境遇故に思込む慮恩賢母
    旧恩から陰謀企む考苑遊

  • 分かりやすくはめられて、もどかしく思っているところで櫻嵐の言動にちょっとすっきりした。

  • 記録

  • 今までは一丸となって敵に立ち向かっていたのに、仲間割れをさせられどんどん罠に嵌っていくのが辛い。
    操られている様をみているのもしんどい。
    賢母、身分にこだわりがあるのなら、最初の正妃は認められたんだろうか。
    ましてやその子を王位につけようとするのは理屈はわかるが釈然としない。
    賢母も操られているというか、誘導されているんだろうな。

  • いやぁーこの巻は読んでて辛かった。今までも苦難の連続だったけど、今回のは段違い。

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著者プロフィール

東京都出身。おもにライトノベルにて活躍する気鋭。代表作は「カブキブ!」シリーズ、「魚住くん」シリーズ(角川文庫)、「妖き庵夜話」シリーズ(角川ホラー文庫)、「宮廷神官物語」シリーズ(角川書店ビーンズ文庫)など。榎田尤利名義でも著書多数。

「2023年 『妖奇庵夜話 千の波 万の波』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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