天上の葦 下 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041084151

作品紹介・あらすじ

失踪した公安警察官を追って、鑓水、修司、相馬の三人が辿り着いたのは瀬戸内海の離島だった。山頂に高射砲台跡の残る因習の島。そこでは、渋谷で老人が絶命した瞬間から、誰もが思いもよらないかたちで大きな歯車が回り始めていた。誰が敵で誰が味方なのか。あの日、この島で何が起こったのか。穏やかな島の営みの裏に隠された巧妙なトリックを暴いた時、あまりに痛ましい真実の扉が開かれる。――君は君で、僕は僕で、最善を尽くさなければならない。すべての思いを引き受け、鑓水たちは力を尽くして巨大な敵に立ち向かう。『犯罪者』『幻夏』(日本推理作家協会賞候補作)に続く待望の1800枚巨編!

感想・レビュー・書評

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  • 戦争の時代、そこで生きた人々の葛藤。時が流れても、ずっと残ったまま。それが、呼び起こすきっかけによって、再燃する。折り合いがつけれないもの、それをまた受け継ぐもの、自由の尊さを感じる。

  • 終盤、警察が曳舟島に迫ってきて島から逃げ出す事を決めた時に勝利・松林・喜重の過去が明かされる。鑓水の「ひとつ聞いてもいいですか」から語り始めたのだが、切羽詰まった状況なのに戦争の話が長く語られて少し違和感があった。戦時中の言葉や生活、戦況、歴史に無知な自分は内容を理解するのに必死になり、歴史物の違う作品を読んでるかの錯覚に陥った。

    しかし、『天上の葦』という作品を読み終えた時には見事なとタイミングで戦争の描写があり、成り立っていると感じました。

    作中の様々な表現全てが伏線で、後々にキレイに話が繋がっていくので世界が無限に広がっているかのよう。筆致が丁寧で、作品に対する思いがたくさん詰まっていて読んでいて伝わってきます。これもまた傑作!

    次回作はあるのか?3人のキャラクターがしっかりしていて面白いので期待して待ちます。

  • 渋谷スクランブル交差点で絶命した老人は、戦時下情報統制に関わっていた。そして、死の直前のメッセージは、かつての旧友、戦時中新聞記者として、公権力と闘いきれなかった男に向けられていた。
    下巻15章は、敗戦近い昭和日本がどの様に情報操作されていったか、新聞記者の視点で書かれている。参考文献に当時の新聞をかなり読まれている様で、当時の大本営の言論統制の状況がフィクションとは思えない趣です。そして、彼らは、不本意な戦況情報によって多くの子供達を空襲で失ってしまった事を生涯に渡り後悔していた。
    現代のマスコミに再び公権力が力を及ぼそうとする事に、最後の気力を持って阻止しようとしていた。
    そして、その意志を引き受ける鑓水ら三人。
    戦時下の報道機関としての役割を果たせなかった新聞。今、再び、メディアに圧力が増してきていると。それを確かめる手段が、普通の家庭の主婦にはないんですよねえ。
    太田さんの作品は、映像が浮かんでくる様な、スピード感と臨場感が際立っていると思います。
    そして、読む順番は、大切です。
    そして、登録する順番も大切です。

    • みんみんさん
      ウルトラマンシリーズもらしい笑
      あとガンダムも_φ(・_・
      ちょっとビックリだわ‼︎
      ウルトラマンシリーズもらしい笑
      あとガンダムも_φ(・_・
      ちょっとビックリだわ‼︎
      2023/01/05
    • おびのりさん
      ただいま帰りました。
      そうなのよ。そのまま、ドラマ化できる仕様。
      月村了衛さんもそうだよね。
      月村了衛さんの少女革命ウテナは知らないんだけど...
      ただいま帰りました。
      そうなのよ。そのまま、ドラマ化できる仕様。
      月村了衛さんもそうだよね。
      月村了衛さんの少女革命ウテナは知らないんだけど。
      2023/01/05
    • みんみんさん
      わたしレビューにキャスティングを載せてました笑
      滝藤賢一と柳楽優弥です( ̄▽ ̄)
      わたしレビューにキャスティングを載せてました笑
      滝藤賢一と柳楽優弥です( ̄▽ ̄)
      2023/01/05
  • 失踪した公安警察官を追って、鑓水、修司、相馬の3人が辿り着いたのは瀬戸内海の小島だった。そこでは、渋谷で老人が絶命した瞬間から、思いもよらないかたちで大きな歯車が回り始めていた。誰が敵で誰が味方なのか。あの日、この島で何が起こったのか。穏やかな島の営みの裏に隠された巧妙なトリックを暴いた時、あまりに痛ましい真実の扉が開かれる。すべての思いを引き受け、鑓水たちは巨大な敵に立ち向かう!

    国家権力に立ち向かっていくテーマがとっても深く深く、人間の持つ醜さと深い情の両方が余すことなく描かれていて胸がギシギシ痛かった。

    戦争の悲惨さが今までとは異なる形で胸に迫りまし
    た。
    情報統制の余りにも恐ろしさ
    まるで空気が薄くなるように自由がなくなっていったあの時代。
    気付いた時には誰も何も言えなくなっていた
    思ったことを口にしただけで犯罪者とみなされる時代。
    もし悪意でコントロールされていたら…想像するだけでゾッとしました。

    島の人々も良かったです。
    実際に小さな島で何もかも皆んなが知ってる状況で暮らすのは息苦しくて無理だろうけど、今の繋がりがどんどん希薄になって行ってる中では温かみを感じてちょっと羨ましさも感じました。

    あーやっぱり太田さんの作品は凄い
    一気に引き込まれてしまいました。
    素晴らしかったです。
    読み終えるのが辛かった

    • アールグレイさん
      しのさん(^_^)/こんにちは

      上下巻、お疲れさまでした
      (;・ο・;) ★5つの本は、なかなか出逢えないものです。羨ましく思います。
      (...
      しのさん(^_^)/こんにちは

      上下巻、お疲れさまでした
      (;・ο・;) ★5つの本は、なかなか出逢えないものです。羨ましく思います。
      (((^-^)))
      2022/09/14
  • ぬぉぉぉぉ~~~(*´▽`*)

    こりゃめちゃくちゃ面白い!!!
    序盤はゆっくり、そして終盤にかけてはスピードがアップ!!
    先日読んだ犯罪者より後味が何倍も良い!!
    ★が5個しかつけられないのがつらい!!
    ★10個くらいつけたい!!!


    このシリーズは頭っから3作、
    「犯罪者」「幻夏」「天上の葦」全部読んでください!!!
    自信を持って皆様にオススメできます!
    多分、男性でも女性でも熱中できるのではないでしょうか!!



    このシリーズは、興信所の鑓水七雄、繁藤修司
    刑事の相馬亮介の3人が主役なのだが、この3人の連携プレーもさることながら、
    場面の切り替えが本当に巧み。

    まるで映像を見ているかのような切り替え。
    一旦ココでCMでーすという感じで場面が切り替わる。

    そっちはどうなったんだよー!!!
    と気になるも、別の場面にも心は釘付けにされる!!

    上記主役の3人の他にも、彼らに協力してくれる人が次から次へ!
    昨日の敵も、明日には味方につける、まるでドラゴンボールのような設定も大好き!

    この本は会社の方からお借りしたのだが、もう感謝の気持ちしかない!
    こんな素敵な本を紹介してくださりありがとうございました~(*´▽`*)

    最高です(*´▽`*)

    • かなさん
      bmakiさん、こんばんは!
      今日、この作品、読み終えましたっ(^^)
      そして、bmakiさんと同じ感想を持ちました♪
      とにかくいいで...
      bmakiさん、こんばんは!
      今日、この作品、読み終えましたっ(^^)
      そして、bmakiさんと同じ感想を持ちました♪
      とにかくいいですよね!
      bmakiさんのレビューも
      私がこの作品を手に取ることを後押ししてくれました。
      素敵な作品に出会えました。ありがとうございます!
      2023/03/21
    • bmakiさん
      かなさん

      おはようございます!
      ほんと、このシリーズ最高ですよね!!
      もう一度最初から読み返したいくらいです。

      会社の先輩か...
      かなさん

      おはようございます!
      ほんと、このシリーズ最高ですよね!!
      もう一度最初から読み返したいくらいです。

      会社の先輩からお借りした本なので、家には無いのですが(^_^;)

      アニメになっても、ドラマになっても、映画になっても面白いだろうなぁ〜って思います。

      脚本家の先生の作品って、どうしてこんなに面白いんでしょうね(*^▽^*)
      そして、素敵な本に出会えた時って、本当に幸せな気分になりますよね!(*^▽^*)
      2023/03/22
  • 読み終わったー!
    冒頭の戦争の話は描写が浮かぶほど辛い。
    戦争の事の中でも全然知らぬ事など、かなり勉強なった…。
    中盤からはスピード感半端なく、
    終盤は、伊坂幸太郎のマリアビートル並みのドキドキ感に似たものがありました笑

    私も、3人と浜辺で飲みたい!!!
    おにぎりではなく、握り飯と表現されてるのも食べたい!登場人物みんな好き、それぞれの個性と連携が素敵だ。すごい世界観のスケールの大きなお話だった、太田さんすごいっ。


    ※日記メモ
    朝から読み始め、途中で中断したら物語忘れちゃいそうで読み続けたら、もう夜…。
    明後日、会社の健康診断だが、美味しいものとお酒を頂こーかなあ。2日前に足掻いても意味ない。←言い訳。

  • これは面白いと同時に、すさまじい作品。
    忘れられない小説になると思います。

    下巻は瀬戸内海の曳舟島から。
    排他的な島の人たち徐々に入り込んでいく三人。
    鑓水、修司、相馬が捜している人物はどこに?
    島の老人たちの姿が目に浮かぶような描写が秀逸。
    その一挙手一投足に、警戒心と親近感が揺れ動く。
    そして、島まで追ってくる公安の捜索隊。
    物語の最後までずっと続くハラハラドキドキ。

    すっとぼけているようで頭脳明晰な鑓水。
    軽妙なトークにクスッと笑わされながらも、
    作品の重さに押しつぶされそうになる。
    とりわけ、戦時中に行われていた報道統制。
    国民に本当のことが知らされることはなかった。
    「新聞は戦争が始まったと同時に死んでいた」
    という言葉がずしんと重い。
    世界には、今も戦火のもとで暮らす人がいる。
    本当のことは知らされない国の人々もいる。
    日本は絶対大丈夫、と言いきれる?

    点だった火と火が線になり、面になり、
    あっという間に巨大な火になる。
    そして生き物みたいに荒れ狂う。
    「常に小さな火から始まるのです」
    交差点で倒れた正光が残した言葉が耳に残る。

    正光が空を指さして何を見ていたのか。
    それを突き止めることを依頼した元政治家の磯辺。
    『犯罪者』で、スキャンダルの渦中にありながら
    永田町を去ることで無傷のまま政界から去った人物。
    今回は、利権のためだけに動いたのではなかったよう。
    そこに一筋の光を感じた。

  • なぜ正光秀雄はあの場所で空へ指を差し絶命したのか…
    下巻からは思ったよりも重く、苦しい内容が続きました。
    今生きている時代から何十年前の日本で起きていたことが恐ろしく感じ、正しいとは何か、生きるとは何かを考えさせられる場面が多くありました。
    そして、その時代に生きた人が背負ってきたものがどれほどのものなのか…
    情報が情報として成り立っていない怖さと、黒いものも”白”だと言われ続ければ、本当に”白”になってしまうことも恐ろしく思います。
    今回は読んでいて苦しいシーンも続きましたが、やはり修司・鑓水・相馬のトリオの掛け合いや、絆の部分がとても暖かく感じました。
    この三人には本当に幸せになって欲しいと心から思います…笑(でも続編を期待してしまいます・・・)

    • ゆーき本さん
      わたしも続編希望です!!
      相馬推しです!!笑
      わたしも続編希望です!!
      相馬推しです!!笑
      2023/01/06
    • もりひろさん
      ゆーき本さん

      こんばんは!!また三人の活躍見たいですよね…!!
      僕は修司と四郎推しです!!笑
      ゆーき本さん

      こんばんは!!また三人の活躍見たいですよね…!!
      僕は修司と四郎推しです!!笑
      2023/01/06
    • ゆーき本さん
      修司 ヤンチャだけど優しくていいですよね!
      四郎…… 誰だっけ?笑
      ちょっと読み返してみます!
      修司 ヤンチャだけど優しくていいですよね!
      四郎…… 誰だっけ?笑
      ちょっと読み返してみます!
      2023/01/07
  • 本作もとても素晴らしい作品でした。上下巻1000ページほどの超長編作ですが、一気に読み進めることが出来ました。鑓水、修司、相馬達の第三作品目です。相変わらず皆さん本当に良いキャラです。複雑難題もこの3人が絡むとわかりやすく事を進めていってくれます。つまりは太田さんの文体がとても読みやすく、作中世界観に惹き込まれていくわけで、彼らの行動やその場の情景が目に浮かびます。
    内容的には、国家思想、公安、報道メディア、言論のあり方といった人が生きていく上で正しく守られ維持されなければないならないものが、戦中、戦後の観点を主軸とし、では今現在がどうであるか、どういう方向に向かおうとしているのか、重く一石を投じている作品です。太田節が炸裂しているわけで、この作品を通じて伝えたいとするその主張に大変感銘を受けました。且つとても勉強にもなりました。特筆すべきは、大本営、戦中の情報操作や隠蔽、報道規制や言論統制のあり方は、現代のようなSNS時代では到底制御しきれないであろうと推測するわけですが、実は現代においてもある一定のレベルで統制された情報や隠蔽または忖度によって真実が見えてこない事が多いということ。つい先日の裏金問題然り。いつの時代も誰が何を守る事を前提に、どれだけ国民のためとなる情報が全方位的に届けられているのか、油断禁物という事です。改めて考えさせられる作品であると感じました。このシリーズはいずれも素晴らしい作品です。次回作にも大いに期待したいと思います。

  • スロウハイツは3階建てです!(どした急に?)

    さて言いたいことが言えたのでw(流して下さい)『天上の葦(下巻)』です

    良く出来た物語は最後の最後に最初に戻ってくる

    なにやら名言のようなことを言っておりますが、ま、そういうことです

    読後いや読んでいる途中から感じていたのは焦燥感、焦りです
    早く!早くなんとかしないといなくなっちゃうよ!という焦りです
    太田愛さんも同じように感じたんじゃないでしょうか?いや太田愛さんが感じたことを自分もちゃんと受け取れたんじゃないでしょうか?そんなふうに自惚れてます

    「あの戦争は二度と繰り返してはいけない!」誰もがそう願い、そう言います
    本当にそうでしょうか?
    あるいは本当に誰もがそう思っているのかもしれません
    そう思っていながら気づかずに、あるいは別の目的を持って、戦争になんかならないよとたかをくくって小さな火をおこしてるいる人たちがいるような気がします
    その小さな火が放っておくと大きな炎となり誰も止められずに日本を焼き尽くしてしまうことを身を以て知っている人たち
    小さな火を見て心の底から叫び声をあげ警告する人たち
    その人たちはこの社会から次々と立ち去っていっています
    人は永遠には生きられないからです

    ただその想いは魂は引き継ぐことができるのではないか
    いや引き継ぐために作られた物語それが本作『天上の葦』だったのだと思います

    正光さんや時枝さん、善重さん、松林さん、勝利さんに代わって闘うことが出来ますか?
    鑓水や修司、相馬のように
    この物語はあの戦争で亡くなった人たち、生き残り間違いを繰り返さいよう声をあげ続けた人たち
    そんな人たちから戦争を知らない世代に出された宿題なのかもしれません

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著者プロフィール

香川県生まれ。「相棒」「TRICK2」などの刑事ドラマやサスペンスドラマの脚本を手がけ、2012年、『犯罪者 クリミナル』(上・下)で小説家デビュー。13年には第2作『幻夏』を発表。日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)候補になる。17年には上下巻の大作『天上の葦』を発表。高いエンターテインメント性に加え、国家によるメディア統制と権力への忖度の危険性を予見的に描き、大きな話題となった。

「2020年 『彼らは世界にはなればなれに立っている』 で使われていた紹介文から引用しています。」

太田愛の作品

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