目を見て話せない (1)

  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041084250

作品紹介・あらすじ

藤村京はいわゆるコミュ障。対面で人と喋ることが苦手だ。大学入学早々、友達作りに出遅れ落ち込んでいると傘の忘れ物を見つける。だが人に話しかけられない藤村は忘れ物をした状況を推理して持ち主捜しをするが!?

感想・レビュー・書評

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  • コミュ障の藤村京は、大学の新入生の顔合わせの場に忘れられた傘を見つけて、持ち主を推理し、教授とその姪の加越美晴と知り合うことになる。幼馴染という里中がしゃべりかけてきて、彼とも行動を共にすることになる。そのうちに、いろいろな事件の謎を解くことになり、最後はとんでもないことも解決してしまうのだ。コミュ障なので、いろいろ相手の思惑ばかり勘ぐってしまって、京の心の中は大変なのだが、彼なりに頑張って、推理を繰り広げていく。「京、頑張れ!」と応援したくなってしまう。日常の推理という形だが、なかなか読ませる。最後の事件の解決も鮮やかで、京のコミュ障がちょっと改善されそうで、希望を抱かせる。京の仲間になる里中君、加越さん、皆木さん、みんな個性があり、うーんとてもいいやつばかりだ。温かな気持ちになれる。

  • 「コミュ障」というのは一言で言い表せないことだと思いますが、本来のコミュニケーショ障害の方に関わる仕事をしている身としては、違和感を感じてしまいます。「口下手」じゃダメなのか、と。
    言葉の意味って時代とともに変わっていくので仕方ないとも思いますが。

    内心描写が多く大学で起きる日常ミステリーかと思ったら、最終話はあり得そうな少し重たい話でした。
    良き理解者もいるようなのでシリーズ化したらもう少し内心描写も減るのでしょうか...。

  •  ラングドシャに全部持ってかれた……なんてことだ……。そもそも、ラングドシャは、ラング・ド・シャなので、ドは一呼吸置くみたいな働きを持っているし、プチのチョコラングドシャはおいしいので、好き。※個人的な見解です

     最近はやりのコミュショーをメインテーマにした推理小説で、連続短編集。主人公・藤村はコミュショーなので、いろんなことをぐるぐる考えてしまって、何もしゃべれなくなってしまう性質。小学校の知り合いらしい里中や、ある出来事をきっかけに<つながり>を持つこととなった加越さん・皆木さんに助けられながら、様々な出来事に挑んでいく。最後の話は、法学部だからこそ強く突き刺さるものがあったし、藤村の気づきと成長も良かったと思う。大学ってそういうところだ。それにしても、里中いいやつすぎる……。

    余談、自分も大学時代、一度同じ学科の人に誘われて後ろの席に座ったことがあったが、全然講義の内容が入ってこなかったので、それ以降加越さんと同じように前の席に座るようになった。先生と親しくなることもあったので、個人的に良かったと思っている。

  • 面白い小説に当たると頁をめくるのがもどかしくなる。次はどうなるのだ、早くしろ読ませろとなるのだ。
    本作の最終章、ある一節で思わず涙がこぼれた。驚いた。推理小説を読んでいたはずなのに青春のもどかしさの中でまっすぐに闘う者達の話になっていたからだ。
    ド陰キャで目を見て話せない。その癖推理能力は抜群という主人公の設定が面白いのはもちろんだが、彼を囲む友人たちの設定もまたいい。友人とは鏡だ。その人がどんな人間で、どんな事をするのかは周囲の人間を見ればわかる。まっすぐさに乾杯。面白い。

  • 読んでいて、自分の黒歴史も思い出し「うぉぉ!」と頭を抱えた場面もありますが、似鳥さんはキャラクター作りが本当に上手い方だなと。

    日常に潜むちょっとした謎を解きつつ、青春を自分なりに謳歌する主人公が見ていて楽しいです。
    本人は大分ネガティブですが、1周回って笑えて来ます。

  • 文芸カドカワ2019年5月号:論理の傘は差して濡れる、6月号:西千葉のフランス、7月号:カラオケで王を歌う、8月号:団扇の中に消えた人(縁日捕物帳改題)、カドブンノベル2019年9月号:目を見て推理を話せない 、の5つの連作短編に書き下ろしのあとがきを追加して、2019年10月角川書店刊。18才のコミュ障学生が解決する事件が楽しい。工夫のある謎なおもしろい事件ばかりで、これを解決に導くなんて、ちっともコミュ障じゃないじゃんと思います。

  • こういうのを書かせたら似鳥鶏さんは抜群にうまい。「人とうまく付き合えない」とか、「そこそこやってるけど、無理してるかも」とか思いがちな若い人に是非読んでほしいなあ。シリーズ化を期待してしまう。

  • 何より藤村君のコミュ障っぷりに共感してしまう。自己紹介の時、あったあったこんな逡巡。よく知らない人と会話するとき、こんなこと言ったら変なやつと思われるんじゃ、相手は内心ではどう思ってるんだろう、変に気を回しすぎて却ってその場の空気をおかしくする…なんかぐさぐさとナイフが刺さってくるんですが。

  • 目をみれなくなってなんとかなるさ〜。
    あたしは、ガン見しすぎで問題ありかもしれないけれど。
    相手とコミュニケーションを取るつもりはありますというのがわかればOKよ。

  •  話が進むごとに周囲を巻き込み規模が大きくなっていった。だが、オチがどれも弱い。あっさりしていた。"青春日常ミステリ"と帯の紹介文にあったが、ミステリにしては謎の解明までが短調だと思った。
     私もコミュ障だと自認しているので、藤村君の考え故に挙動不審になる点は、よく分かる。里中君が良いフォローをしていると感じた。だが、結局どういう経緯で藤村君を認めたのかは描かれていない。
     日常で起きた些細なことが題材である為、現実的な真実に結びつくのは致し方ない。しかし、2話と4話は無いなと感じた。
     藤村君の推理に魅入って仲間になった子たちの個性が被らなかったのは良い点であった。キャラがたっている。法律学部という設定もしっかり生かしていた。そこを評価して星は3つです。

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著者プロフィール

1981年千葉県生まれ。2006年『理由あって冬に出る』で第16回鮎川哲也賞に佳作入選しデビュー。「市立高校」シリーズ、「戦力外捜査官」シリーズ、「楓ヶ丘動物園」シリーズなどの人気シリーズの他に『難事件カフェ』『迫りくる自分』『きみのために青く光る』『シャーロック・ホームズの不均衡』『レジまでの推理~本屋さんの名探偵~』『101教室』『彼女の色に届くまで』『100億人のヨリコさん』『名探偵誕生』『叙述トリック短編集』『そこにいるのに』『目を見て話せない』『生まれつきの花 警視庁花人犯罪対策班』などがある。

「2023年 『育休刑事 (諸事情により育休延長中)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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