- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041084267
作品紹介・あらすじ
炎に飛び込み自らの身を焼いた兎。盗みに失敗して親を殺した国王。図らずも三人を斬り殺してしまった男。「今は昔」で始まり、「となん語り伝えたるや」で終わる「今昔物語」。この日本最大の説話集を下敷きに、人間に巣食う欲望の闇を実際の事件・出来事を題材に語り直した、岩井志麻子版〈怪談実話〉新今昔物語が誕生。時代が変わっても、人間の愚かさは変わらない――。平安の世から令和の今に、遠く忌まわしき話の数々が甦る!
感想・レビュー・書評
-
タイトルとあらすじ書きでホラーだと思い込んでしまいましたが不思議な風味の混じったサスペンスみたいです。
それぞれの昔話をモチーフに短編のお話が展開されます。でもあんまり昔話に掛かってないしうまいのはタイトルだけと感じた…
売春やら麻薬やら未成年飲酒喫煙だらけな輩系のドロドロでちょっと苦手でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
かなり面白かった
チョイスしている物語も知らないものも多かった
そこからの着想として、意外な感じは特にないものの、じわじわくるホラー感があるのが良かった
この人の文章好きだ -
今昔物語集を下敷きに描かれた、じわっと怖い物語の数々。怪談実話といえばそうだけれど、サイコミステリっぽい雰囲気もあります。人間の様々な欲望がどろどろと絡み合う、だけれど、少しくらいは誰にだってこういう邪な思いはあったりもするんじゃないかな、と思えたりも。
お気に入りは「震旦の盗人、国王の倉に入りて財を盗み、父を殺せる話」。もともとの話もなかなかに凄まじいのだけれど、アレンジもそれ以上。「七階」がなんだか怖くなってしまいます。でも読後感はちょっとしんみり。 -
実際には未解決事件であっても
この小説では
必ず 因果は巡ってくる
悪事がそのまま・・ということはないんだと
これは 願望でしょうか?
いえ そうとは思わないんですけどね
きっと何年たっても 巡ってくるもんですよ -
今昔物語になぞらえて、現代と人の心の暗い闇が炙りだされる趣向は独特で背筋がうっすら寒くなる。現実の事件と虚構の筆の合間を漂う奇妙な浮遊感。このじとじとした6月の湿っぽさは、著者が描くちろちろ燻る男と女の情炎のもの悲しさにぴったり。
一話目の「三の獣、菩薩の~」と六話目の「人妻、死にて~」のラストのせつない後味が鮮やか。だから岩井志麻子は止められない。 -
岩井志麻子の怪談実話シリーズ最新作。
今作から『今昔物語』を元にした内容。『今昔物語』を現代風に語り直したストーリーは嘘っぽくもあり、生々しくもある。怖いというよりイヤな感じなのは流石だ。