- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041084335
作品紹介・あらすじ
森名幸子から見て、母の鏡子は完璧な会津婦人だった。江戸で生まれ育った母は教養高く、武芸にも秀でており、幸子の誇りで憧れだった。
薩長軍が城下に迫り、白装束を差し出して幸子に自害を迫った時も、母の仮面が崩れる事はなかった。しかし、自害の直前に老僕が差し出した一通の手紙が、母の、そして幸子の運命を大きく変えた。手紙から視線を外し、再び幸子を見た母は、いつもの母とは違うものに変わってしまっていた。その視線を見て、幸子は悟った。
――母は、この美しい人は、いまこの瞬間、はじめて私を「見た」のだ、と。
薩摩藩士の青年・岡元伊織は昌平坂学問所で学ぶ俊才であったが、攘夷に沸く学友のように新たな世への期待を抱ききれずにいた。そんな中、伊織は安政の大地震の際に燃え盛る江戸の町でひとりさ迷い歩く、美しい少女と出会う。あやかしのような彼女は聞いた。「このくには、終わるの?」と。伊織は悟った。「彼女は自分と同じこの世に馴染めぬいきものである」と。それが、伊織の運命を揺るがす青垣鏡子という女との出会いであった。魂から惹かれあう二人だが、幕末という「世界の終わり」は着実に近づいていて――。
稀代のストーリーテラーが放つ、幕末悲劇、いま開幕。
感想・レビュー・書評
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幕末の討幕に向かう薩摩の青年と徳川家に忠誠を尽くす会津の女性。この時代の歴史を知らなくても、登場人物の視点からドラマチックにわかりやすくのめり込んでしまった。
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安政の大地震の災禍の中で出会った二人。
薩摩藩士の岡本伊織、会津藩士の娘鏡子。
互いの中に、この世に馴染めず、ほんの少しずれている場所から眺めているという「同じ人間」を見出し、強く惹かれあう。
敵対する立場にある両藩に属するゆえ、この世では共に生きられない。それは、白百合の花言葉=純潔や穢れなき心ととに「死者に捧げる」から、ラストは想定内といえるだろう。
詳細に綴られる激動の幕末に重点を置き、歴史小説と読むか、けっして結ばれない二人の運命の恋愛小説と読むか・・・
『また、桜の国で』もそうだし、本作『荒城に白百合ありて』も、その魅力ある題名に思わず手に取ってしまい、著者の巧まざる技に感服する。 -
最後のシーンではロミオとジュリエットが思い浮かんだ
私の好みの作品かと問われれば…好みでは無かったー泣
幕末辺りの歴史はめっぽう弱く、自分の中で上手く消化しきれなかったなと思う
でも、物語の最後にかけてとても惹かれる
なんとも言い難いこの読了感
ハッピーエンドでも、バッドエンドでもないのかなって
鏡子さんも伊織さんも若干悔いが残るのかなと思いつつ、でも最後には自分が選択した道を歩もうとしたから悔いなんてものは無かったかもしれないと彼らの気持ちを推し量る
鏡子さんの少し歪に感じる性格が、彼女の姿が印象深く残っている -
読み応えのある物語りでした
この人は文章が本当に上手いと思う
大した中身ではないはずなのに
物凄く重厚な物語に変えてしまう
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会津と薩摩という2人を中心に進む幕末。
生きづらい世の中で出会い、惹かれ合いながらも、結ばれぬ時代。
美しい最期の瞬間。
生きづらいと感じる今の時代、
共感できるところが多かった。
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フォローしているshintak5555さんが読んでて
おもしそうだから、読んでみたよー!!
幕末って、いろいろな登場人物がいて、
分からないことが多かったんだけど、
興味深く読めたよ。
尊皇攘夷ってなんだっけ?という私が、
いろいろと調べながら、幕末にも少し
詳しくなれた気がします。
会津藩の森名鏡子と薩摩藩の岡元伊織の話。
うまく言えないけど、この2人は、
同じような存在。
引かれ合いつつも、お互いの本心の想いを
最後の最後まではっきりと伝えない。
この時代、男性、女性と役割が明確になりすぎて、
考え方によっては生きづらい。
今の世の中を知ったら、この時代を生きた人は
どう感じるのかな。
羨ましいと思うのか、それとも、
改革がまだ必要と思うのか。
そんなことを考えてしまったよー。-
そう言って下さるとめちゃくちゃ嬉しいデス。
Facebookを始めた2011年からノート機能を使って記した備忘録(同じ本を買ったり借りたりし...そう言って下さるとめちゃくちゃ嬉しいデス。
Facebookを始めた2011年からノート機能を使って記した備忘録(同じ本を買ったり借りたりしないように)540本の中にも読んでみて欲しい作品がいっぱいあります。
うずうず。笑
2021/04/15 -
2021/04/17
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