縁切寺お助け帖 姉弟ふたり (角川文庫)

  • KADOKAWA
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041084434

作品紹介・あらすじ

離縁を望む女が駆け込む縁切寺、鎌倉・東慶寺。
夜明け前の深い闇の中、若い男が美しい娘の手を引いて走ってくる。
二人は、役人の妾にされた美しい姉・梓と、姉を想う以上の気持ちを隠して梓を守る弟・辰五郎だった。
多くの駆け込み女を守ってきた東慶寺だが、梓を囲った「役人」は東慶寺にとってまずい相手、寺社奉行で――。
東慶寺を守るには、姉弟を見捨てるしかないのか?
寺を統べる水戸徳川の姫・法秀尼の下、女剣士・茜や寺飛脚の梅次郎をはじめとする寺の仲間が、駆け込み女達と寺のため奮闘する。
人情と絆のシリーズ第2弾。

感想・レビュー・書評

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  • <縁切寺お助け帖>シリーズ第二作。

    今回は老女とその嫁、二人が離縁を求めて東慶寺にやって来る話と、寺社奉行の妾にされた姉を救うために弟が東慶寺へ連れてくる話。

    老女とその嫁の話は、家族が商売でも生活でも常に一緒にいることの難しさとそこを越えられる絆の強さとを感じるもの。秋山尼の口のきつさが印象に残る。同時に家族を持たない茜の寂しさも印象に残る。

    姉弟の話は副題にもなるだけあってページの三分の二を占める。
    姉は寺社奉行の妾、弟は盗賊一家の跡継ぎという複雑な組み合わせ。更には血の繋がらない姉を弟は密かに慕っている。

    口では勝てる者がいない秋山尼、薙刀の腕をどんどん上げている桂泉尼、荒事に探索事はおまかせの茜、韋駄天の梅次郎、寺役所を取り仕切る喜平治というバラエティに富むメンバーで悩める女性たちを助ける東慶寺。その東慶寺を統べるのが水戸徳川藩の元お姫様の法秀尼なのだが、この法秀尼、普段はおっとりしているがいざという時は譲らない強さと周囲を威圧するほどの威厳がある。

    今回は相手が寺社奉行で東慶寺もそうそう無下には出来ない。しかも姉を助けるために盗賊一家を裏切った弟を追って盗賊一家までが東慶寺を付け狙う。

    なかなかスリリングな展開で茜の武闘シーンも度々出てくる。それ以上に探索も度々あって、鎌倉と江戸の行き来で忙しい。
    一方で梅次郎の前身が明らかになる。遊郭の会所で男衆をしていたらしい。苦界から逃げ出そうとする女たちと仕事の合間で悩み苦しんだ過去を持つ梅次郎。東慶寺でやっとそんな葛藤から救われたと思ったら、今回の事件で再び板挟みにあってしまう。やはり優しい男だ。

    最後はスッキリ大団円。法秀尼のいざという時の頼もしさもあったし、茜の活躍もあった。だが一番は水戸の徳川様の力。やはり後ろ盾は必要だ。
    姉弟の関係については、茜も思うようにこれで良かったと思った。東慶寺は女性たちだけでなく男性たちの様々な思いや事情を包み込む、懐の深いお寺なのだ。

    ※「縁切寺お助け帖」レビュー
    https://booklog.jp/users/fuku2828/archives/1/4041077931#comment

  • シリーズ第二弾。

    縁切寺・東慶寺を舞台にした、このシリーズ。寺の警固と院代の守護を任されていて、女性ながらに滅茶苦茶強い茜が主人公です。
    2話目と3話目では、梓と辰五郎の姉弟を守るため、寺社奉行を相手にしなくてはいけなくなった東慶寺でしたが、茜の隠密ばりの探索と、東慶寺を統べる院代・法秀尼の実家である、水戸家の協力もあり、乗り切ることができました。
    東慶寺の仲間たちの、絆の深さは見ていて気持ちが良いですね。読後感も良かったです。

  • みんなの気持ちが
    とても真っ直ぐでステキだなぁ。

  • 2022.05.11

  • 「働きに対して多すぎる金子は、あの駕籠かき達の為にも、よろしくないのですよ」

  • 鎌倉 東慶寺。
    縁切寺の2作目。

    姉弟ふたり。というタイトルがまさに全てを物語る。
    幸せの形にも色々あるのだなと。

  • 東慶寺の院代法秀尼が整備した縁切寺の寺法
    駆け込んできた女の幸せのために、何が一番良いかを考えて解決する。

    今回は、寺社奉行や水戸藩まで巻き込んだトラブルを解決する。

    東慶寺の面々の過去も少しずつ明らかになってきているが、法秀尼が東慶寺の院代になった経緯もなにかありそう。

  • 町人・商人のお家騒動と違って侍が絡むと物騒。そのぶん茜や頭の切れる人たちの活躍ぶりが気持ちが良い。

  • 痛快です。

  • 茜が格好良いのは変わらず。
    困っている人達に手を差し伸べつつ、悪い態度の人にはきっちりとしかる内容で、痛快。

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著者プロフィール

作家

「2022年 『鯖猫長屋ふしぎ草紙(十) 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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