文庫版 オジいサン (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 339
感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041084441

作品紹介・あらすじ

益子徳一(72)は独り暮らし。誰かに「オジいサン」と優しく呼ばれたことを思い出したり、ゴミの分別で悩んだり、調子に乗って妙な料理を作ったり。あるがままに生きる徳一の、ささやかであたたかな一週間

感想・レビュー・書評

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  • 主人公である益子徳一さんのモノローグがメインのお話です。近所の人との会話では多弁ではないけど、頭の中ではよく喋るオジいサン。
    深夜営業についての下りとか、”それでは徘徊老人である”の下りが個人的にツボでした。そして淡々と終わるのかと思ったら、終わり方があったかくてほろりとしました。

    京極氏の作品は百鬼夜行シリーズしか読んだことがなかったので、こんな平和なお話も書かれるんだとびっくりしました。会社で昼休みに少しずつ読みましたが、クスッと笑えて良い気分転換でした。

  • のんびり穏やかにくらす、益子さんの日常。
    目玉焼きとソーセージについて考えている様子がとても可愛いなとほっこりしました。
    驚くような大事件はありませんが、とにかく益子さんの脳内でひとりボケツッコミが繰り返されていて、思わずくすっと笑ってしまいます。
    最後に田中電気さんからのお願いが、これからの益子さんにとってプラスになって、さらに楽しく生きていくんだろうなぁと期待が持てました。

  • これだけ本を読んでいますが京極夏彦さんの作品は読んだことありませんでした。何しろ分厚いしなんだかめんどくさい感じがするというのが理由です。
    本書はほんわかな感じなのできっとめんどうではないだろうと踏んで読み始めましたが、ひたすら主人公徳一(72)の独白が続くのでこれはこれでめんどくさい・・・。
    独り者で結婚もしていない彼なので、一人でひたすら地味な日常を送っています。心の中に時折嵐はあれど、基本的には何も事件が起きない本です。
    実際に目の前に居たら理屈っぽいおじいさんで、話すのもおっくうに感じそうですが、人に寄り掛からず一人で平和に生きている所は、自分が独居老人なら理想とする所かもしれません。

  • 久しぶりの京極さん。おもしろかった。終わり方めちゃくちゃ良い。

  • 『遠野物語remix』以来、2作目に読む京極作品。
    聞くところによると、彼の作品の中では珍しく、かなり温かい雰囲気の作品らしい。

    主人公は、益子徳一という、リタイアした男性。
    公団住宅に一人で暮らしている。

    この人物の、何でもないといえば何でもない日々が、本人のとりとめのない語りで描かれる。

    地デジとやらに変えねばならないとやってくる「田中電気」二代目とのやりとり。
    スーパーでうっかり試食してしまい、欲しくもないウィンナーを買うことに、自分で追い込まれていく過程。

    きっと、自分に余裕があったら、こういう徳一さんにおかしみを感じたりするのだろう。
    が、今は時期がいけなかった。
    忙しくて、「だから何?」と思ってしまうのだ。

    お正月も三日目、もはやなにもすることがなくなった午後に、おもむろに読んだら、もっと楽しめたのかも。

  • 一人暮らしのちょっぴり偏屈なオジいサンの日常をここまでおもしろく描けるのはすごいと思った。

    緩やかな日常生活が細やかに描かれていく中で、オジいサン自身の感情、亡くなった人、生きている人への感情の表現が細やかで、読み飽きないどころか最後はほんのり温かい気持ちになる。

    ウインナーと格闘するくだりも大好き。

  • オジいサンの発音がね、なんともね。
    私にとしては、おじいちゃん、なんだけれど、まあ、なんとなく分かるかなとも思うような。
    独居老人の頭の中、というよりは一個人の頭の中をつらつら覗いたような、そんな感じだろうか。
    途中、ちょっと中弛みします。他人が日常で考えている、どうでもいいことが一冊分、ですから、そりゃあ、中弛みくらいするでしょうけれど、最後はちょっとほっこり。

  • あまりに淡々としていて物足りない…と思いながらも、あの独特な理屈っぽい京極節にクスクス笑える。最後はきっと物凄い何かが、そう期待しながら読了。・・・エッ?何だろうこの穏やかな心温まる感じは。何の事件も起こらない、奇想天外なトリックやアクロバティックな論理展開もない、毎日慎ましく暮らす独居老人の思考をただ繰り返すばかり。かといって、何か説教性があるかというと全く無く、不思議な小説という感触だけが手の中に残った。

  • 年末に本屋に寄ったら目についた、
    京極夏彦の文庫本。

    なんともゆるいタイトル、
    紙粘土のお爺さん、フォントの文字も気が抜けていて装丁がどことなくかわいらしい。

    鵺の碑で久しぶりに骨のある京極本を堪能したから、こんどはいかにも軽そうなのを読むか…、と手に取った。

    公団アパートでかれこれ40年一人暮らしをしている、72歳6ヶ月の益子徳一さんの1週間のとある時間を、端折ったり飛ばしたりせずにその時間のままツラツラと書き記すスタイルの小説。

    基本的に徳一さんのモノローグで話がすすむので、最後まで特になんのイベントも起きない。

    何日か前に「オジいサン」と呼びかけられたその記憶を、起き抜けに徳一さんが一生懸命思い出すモノローグだけで終わってしまう第1章。
    思考があっちへ行ったりこっちへ行ったり、忘れたかと思えば思い出したり、思い出しては腹を立てたり反省したり…、
    ずーっと徳一さんの頭の中の声で進むので、少し退屈に感じたりもするんだが、不意に描かれる徳一さんの人生哲学や老いや時間についての考えに、妙に納得したりする部分もあり、なんやかんやで読まされてしまう不思議。

    2章、3章も外に出て誰かと話したり、料理をしたり、なんてことない日常を徳一さん目線のモノローグで追っていくだけの物語なんだけど…、

    どんどん引き込まれるんだよなぁ。

    頑固で面倒くさいお爺さんのようなところもあるんだけど、それだけじゃない。
    人間にはいろんな側面があるんだなという結構不思議で当たり前のことに気がつく。そしてなんだか徳一さんを好きになる。

    何がいいって、定年退職してからはありあまる時間をなんの生産性もなく過ごしていて、地デジもわからないし、携帯電話もわからない。社会にこれと言った貢献してもおらず、生涯独身で妻も子もいないからもちろん孫もいない。ただただ面倒くさい一人暮らしの頑固爺だと自認しながら、自暴自棄にならず、自分なりの道徳を持って倹しく生きるその生活を、なんだかんだでちゃんと肯定しているところが本当に良い。
    本人は嫌だと感じている独り言のように、モノローグの中でふとしたはずみで出る、しあわせだな、の感情が、
    読んでいてめちゃくちゃ愛おしくなるのだ。

    一見ネガティヴに見える老いを描きながら、その実、あるがままの時間をあるがままに生きる、その清々しさ。

    とても好き。
    気持ちの良い小説でした。



  • とある老人の一週間。一週間の何気ないひと時をあの文量にするのが京極夏彦だなぁ…と思った。最後に電気屋の二代目が結婚するとは思わなかった…。

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著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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