- 本 ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041085028
作品紹介・あらすじ
いずれ本屋は町から消えてしまうのか? 訪れるお客様を待つだけの商売はジリ貧のご時世。全国区の名物書店の外商員が手掛けたのは「本とのタッチポイントを町中に多数作ること」だった――。
「店舗勤務ではなく外商部所属になっている私は、およそ書店員らしからぬことを日々行うようになりました。イベントに関していえば、さわや書店が開催するイベントを仕切るだけでなく、盛岡市内の公共機関や企業が主催するイベントのコーディネートまでを引き受けるようになりました。新聞に書評を書いたり、ラジオに出演したりもしています。醤油の商品開発に携わったこともあります。その醤油は、さわや書店の店頭で販売しました。(略)もっとやれることがあるのではないか? 簡単に妥協はしていないか? そう考えてみたなら、これでもういいと納得できるポイントなどはなくなります。まだまだやれることはある。やらなければならない。そう考えながら私は、日々、あちらこちらを駆けずり回っています。書店員の姿らしくないと思われるかもしれませんが、私自身はこれがこれからの書店員の姿ではないのかという気がしています」(「はじめに」より)
感想・レビュー・書評
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いつか行ってみたいなあと思っている書店の一つに岩手のさわや書店が有ります。
全国的に有名になった切っ掛けは「文庫X」の件でしょうか。「殺人犯はそこにいる」を手に取る切っ掛けになったわけですが、一書店、一書店員がこういうことを仕掛ける事が出来るんだと驚愕しました。
毎年楽しみにしていた「サワベス」がいつの間にか更新されなくなり気になっていたのですが、方針転換でそういうスタープレイヤーが退社して、そういう遊びの部分がやりずらくなってしまったんですね。なんとも残念です。
そしてそのスタープレイヤーたちの下支えをしてきた筆者が、今さわや書店でどうしているのか、これからどうするのかが書かれている本です。
今書店が日本全国で8000件くらいしかないらしいですね。全盛期の三分の一。もう紙の本が消える事は明白で、僕が生きているうちに書店は無くなりそうな気がします。寂しくて体の中を北風が吹き抜けます。
書店は本だけではやっていけないというのは大分前から言われていて、雑貨やカフェ、イベントなんかと一緒にやっていかないととてもではないけれど利益もあがりません。
ヴィレッジヴァンガードも行く度に本が減って、ほとんどサブカルドンキーホーテのようになっています。
遠い土地なのでなかなか行く機会も有りませんが、岩手に行ったら必ずさわや書店に行こうと決意を新たにしました。
そして何より地元の本屋を大事にしないとな。。。と強く感じた次第です。
本書の本筋とは関係ありませんが、本好きは読んでいる時エンターテイメントとして読んでいるのですが、本苦手な人はたまには難しいことしてみようか、と思って読んでいる事が多いような気がします。
なので読書をしていない人に限って、突然読む本が太宰治とか宮沢賢治とか夏目漱石とかなんですよね。読書初心者はお笑い芸人のエッセイとか、ライトノベルや分かりやすい感動系から初めて頂きたいです。面白い笑える本とか、のめり込んで感動の涙を流すような分かりやすい本をを読んで「本もなかなか面白いな」と思って欲しいのであります。 -
ラジオクラウドでいつも拝聴しています。
番組のはじめにさわや書店のランキングが紹介され、この本が入っていること、アナウンサーの方が根強いですねぇーと言うと、担当の著者がはにかみながら答える・・・このやりとりが好きです!
もちろん、栗澤さん担当のときがお気に入り。
本屋と地域をこよなく愛する著者を知ることが出来ます。書店や地方を取り巻く環境は厳しいけれど、こんな志がある人がいることに頭が下がります。
全国の本屋さん、頑張れ~!!!
そして、地元の図書館、古書店、本に関わるすべてに。 -
感想
本屋とは何か。抽象度を高めた回答はこれからの新しい姿を示唆する。ライバルはAmazonだけではない。テーマパークとの競争も待っている。 -
地方の本屋でもアイデア次第でどうにでもなる。
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2023.3.24
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盛岡市の書店員による奮闘記。出版・書店業界、とりわけ「町の書店」といわれる小規模店の現状は厳しいものがあるが、書店が持つ公共性を武器に地域とあらゆる面で接点を持っておけば希望はあるのかもしれないと思わせてくれる。ここに書かれてある事例が地方都市の店舗への処方箋になるとは言い切れないが、同じ境遇や問題意識を持っている人が読むと得られることはあるのではないか。
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POP展開や文庫Xなど、名企画を繰り広げてきた盛岡のさわや書店で、外商部から本と街をつないでいくことを生業とした著者のこれまでの歩みをまとめた本。書店が街から消えていくことを嘆く暇はない。これまでの書店の枠を壊すような数々のアクションは著者ならではのアイディアとフットワークの賜物であるが、書店がいい方向に変化できるヒントや可能性の大きさも感じられるようで読んでいて元気が出る。
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文庫本Xより前から知っているさわや書店。その前からポップも多く、カラフルで楽しい賑やかな雰囲気だった。レイアウトなど他とは違う魅力を感じてましたが、最近はすごく普通になってしまったなぁと言う印象だった。そしたら名物のような方々が辞められていたのですね。
図書館の数が減っている事は気になっていました。紙ベースのものはやっぱり好きなので、物的本を読みます。
そんな中で、書店員さんの仕事の求めるられることの多さに脱帽です。生き残るためには、クリエイティブも必要なんですね。
伊藤さんが館長になって、一関市立図書館での年間貸し出し者数が、県立図書館などを超えた県内1位になったのは、やはり手腕なのでしょう。
北上書房も気になります。 -
地元の本屋さんの話で、懐かしい景色の表紙絵に惹かれて読みました。
本屋さんの仕事ってこんなにも多岐にわたるのかと感動し、この方のcreativeな仕事の姿勢に同じ会社員として尊敬します。
実家に帰った際には必ず立ち寄ります!
https://gentos...
https://gentosha-go.com/articles/-/50581