新・入り婿侍商い帖 二つの祝言 (3) (角川文庫)

  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041085486

作品紹介・あらすじ

善太郎との間に設けたお珠を久実に見せるため、五月女屋敷に向かっていたお稲は、何者かに襲われる。さらに、大黒屋に、大口の仕事が舞い込んでくる。善太郎はお家存続のため、事件解決に向けて奔走する!

感想・レビュー・書評

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  • 入り婿侍商い帖シリーズの19作目
    「二つの祝言 ー 新・入り婿侍商い帖」シリーズ(第二期)の3作目
    2020.02発行。字の大きさは…中。

    小十人組の頭を務めていた家禄千石の旗本棚岡右近は、五月女家と縁戚に当たる勝田家を陥(おとしい)れるために、米問屋和泉屋仁次郎と謀って札差羽黒屋が扱う直参の給与である切米を無役の御家人らに奪わせた。その指図が明らかとなって、右近は切腹、棚岡家は御家断絶と決まった。

    棚岡家の知行地には、新たに小十人組の頭となった日置(ひおき)錦次郎が千石の役高で入った。日置家は6百石であったから4百石の加増である。その加増になった新領地に百俵の米が倉庫に残っていたのが、これが行方不明となる。

    大黒屋に加増分の扱いを依頼してきた。その時に、行方不明の米百俵の探索の依頼もあった。百俵の探索に大黒屋の手代・銀次郎が出向いて見つけたところに切腹した棚岡右近の実父佐橋内膳の家臣が現れて、この百俵は、佐橋家の米であり探していたのを、そこに居た銀次郎らが盗んだと言い出す。
    佐橋内膳は、息子を殺された報復に出て来た、この先どうなるか…。

    米問屋・羽前屋のお稲は、350石・勘定方の五月女善太郎との間にお珠を授かる。
    その女の子を善太郎の祖母久実に見せるため、五月女家へ向かうところを無宿者ふうの10人に襲われる。その時に助けに入った家禄6百石の新御番組の組頭市居(いちい)駒右衛門の跡取り駒之進に丸太が当たり頭と肩に傷を負う。

    この丸太は、無宿者が手にして駒之進を殴ったのであるが、周りに居た者たちが五月女家の家臣が殴ったと証言した、これにより助太刀に入った者を殴って怪我させた事となり目付の調べを受ける事となる。この事により善太郎は、勘定奉行から出仕の差し止めを命じられる、このままではどうなるか…。

    米問屋羽前屋の主人・恒右衛門が長い闘病ののち亡くなった。
    五月女家の久実は、善太郎とお稲の祝言を挙げるのを見ながら、亡くなる。
    同時に五月女家は、縁戚の勝田昌右衛門の息子・昌三郎が五月女家の侍女もゑと祝言を挙げて継ぐことが決まる。
    高砂や この浦舟に 帆を上げて……

    【豆知識】
    『高砂』(たかさご)は、能の作品の一つ。相生の松(あいおいのまつ、兵庫県高砂市・高砂神社)によせて夫婦愛と長寿を愛で、人世を言祝ぐ大変めでたい能である。古くは『相生』(あいおい)、『相生松』(あいおいまつ)と呼ばれた。

    高砂や この浦舟に 帆を上げて
    この浦舟に帆を上げて
    月もろともに 出潮(いでしお)の
    波の淡路の島影や 遠く鳴尾の沖過ぎて
    はやすみのえに 着きにけり
    はやすみのえに 着きにけり

    四海(しかい)波静かにて 国も治まる時つ風
    枝を鳴らさぬ 御代(みよ)なれや

    あひに相生の松こそ めでたかれ
    げにや仰ぎても 事も疎(おろ)かや
    かかる代(よ)に住める 民とて豊かなる
    君の恵みぞ ありがたき
    君の恵みぞ ありがたき

  • 2023.02.02

  • お家を潰してまでも恨みを晴らしたい?

  • 一人で何とかしょうとは思わない。人には向き不向きがあり、必要によって助けを求めることは恥ではないと教えられている。それは甘えとは違う。ただ相手と状況を見る目は養えと告げられていた。

  • 米問屋、羽前屋の孫娘、お稲は善太郎との間にお珠を設けた。五月女家の跡取りとして生きなくてはならない善太郎だったが。

    大黒屋と、早乙女家に恨みを持つ棚岡家と和泉屋。和泉屋は捕まり、棚岡家は減俸、お役御免となる。

    善太郎の娘、お珠を五月女家の久美に見せに行く途中を襲われる。それはまさに大きな陰謀の始まりだった。。。

    今回も親子二代、侍と商人の二足の草鞋を履く角次郎、善太郎親子の店を守るお家を守る戦いだった。

  • 2020年2月角川文庫刊。書き下ろし。シリーズ3作目。通算19作目。ここまでたどり着けて良かったです。祝です。

  • 千野隆司 著「二つの祝言」、新・入り婿侍商い帖シリーズ№3、2020.2発行。佐橋内膳からの嫌がらせが延々と続く中、我慢に我慢を重ねる大黒屋角次郎・お万季とお波津、五月女久美と善太郎、羽前屋恒右衛門とお稲・お珠たち。危機は治まり、善太郎とお稲、昌三郎ともゑ、二つの祝言で、このシリーズも完結か。

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著者プロフィール

1951年、東京生まれ。國學院大学文学部卒業。90年、『夜の道行』で第12回小説推理新人賞を受賞し、選考委員から“第二の藤沢周平”と賞賛される。以後、時代小説を中心に活躍中。「入り婿侍」シリーズは、評論家の縄田一男氏から「著者の新たな頂点」と絶賛を受けた近年の代表作。他の主なシリーズに「おれは一万石」「出世侍」など。

「2023年 『新・入り婿侍商い帖 お波津の婿(三)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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