震える天秤

  • KADOKAWA (2019年8月30日発売)
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本 ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784041085493

作品紹介・あらすじ

北陸のコンビニで高齢ドライバーによる死亡事故が発生した。86歳男性の運転するトラックが店舗に突っ込み、店員を轢き殺したのだ。アクセルとブレーキを踏み違えたという加害者は認知症の疑いがあり、警察は責任能力を調査している。事故に違和感を覚えたライターの俊藤律(しゅんどう・りつ)は加害者の村を訪ねるが、村人の過剰な緊張に迎えられて――「この村はおかしい。必死で何かを隠している」。取材に乗り出した律は、目撃者の少女をきっかけに、続々と予想外の事実を知ることに……。横溝賞出身作家が放つ最先端の社会派サスペンス!

感想・レビュー・書評

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  • 社会派サスペンスです。

    フリージャーナリストの俊藤律37歳は隔週誌ホリディの編集長に命じられ東京から福井まで六時間かけてバイクで福井入りしました。

    認知症をわずらった86歳の落井正三が、軽トラでコンビニに突っ込みコンビニの店長の石橋昇流(のぼる)28歳が即死。
    店にはアルバイト店員の内方七海17歳が事故の時一緒に勤務していました。

    律は高齢者の運転問題についてルポをまとめるつもりでした。しかし律はこの事件に何か裏があるのを嗅ぎつけます。

    加害者の正三とアルバイトの七海が共にコンビニから二時間ほどの埜ヶ谷村から来ていることに気づき事件性を感じたのです。
    そして律は、コンビニのオーナーで被害者の父の石橋宏から、村の人間まで次々に当たっていきます。
    加害者の正三は本当に認知症があったのか疑いを持ち正三の入院している病院にまで潜入します。

    そして、村全体で隠している大きな秘密をみつけてしまいます。村の人間はみなで嘘をついていました。
    七海が店でアルバイトをしていたのも、正三が軽トラで突っ込んだのもすべて偶然ではなかったのです。

    村の人間たちに、律は真実を問います。
    そして律は記事を書くべきか逡巡します。
    書けば大スクープです。
    私は律には記事を書いて欲しくないと思いました。
    真実を報せるより大事なこともあるのだと思いました。

  • 高齢者がアクセルとブレーキを踏み間違えた。
    コンビニに突っ込み、人が亡くなる。
    最近、時々にする事故。
    ジャーナリストの律が聞き込みを始める。
    高齢者の運転問題を記事にするため。
    ここまでは、あとが予測できるストーリー。

    ところが、です。
    この事故には、複雑に絡み合う深~い根が…。
    加害者は、山奥の小さな村の住民。
    そこは特別な事情がある村。
    一方、被害者には真っ黒な過去が。

    閉鎖的だけれど平和な村の人々。
    村の掟と村人の優しさが事故の真相を曇らせる。
    取材を進めるうちに明らかになる驚愕の事実。
    律の判断の天秤は、平衡を保てなくなる。

    軽くない内容だけど、力を入れずに読める作品。
    とりわけ、律と元妻との電話越しの会話は軽妙。
    彼女の言葉には容赦がない。
    けれど、必要な協力は惜しまない。
    そして何より言葉の端々に優しさが溢れる。
    離婚する必要あったのかな、この二人。
    と、余計なことが気になってしまった。

    昨日たまたまテレビで見かけた染井氏。
    社会派ミステリーを書く作家さん。
    難しい話をするのかと思いきや…。
    時に答えに窮して、笑顔でモゴモゴ。
    柔らかく、可愛らしくさえ思える方でした。

  • アクセルとブレーキの踏み間違い、認知症の高齢者の運転事故を題材にした話しかぁ…ん?!?(⊙ө⊙)

    あらすじは、ジャーナリストの律が高齢者の事故を記事にするため聞き込みをするのですが、だんだんと取材を進めていくうちに真相が事故から事件へと迫っていくドキドキの展開におもしろすぎてほぼ一気読み。なかなかおもしろかったです!
    なんとなく東野圭吾さんの『沈黙のパレード』を思い出しました。

  • 面白かった。高齢者が車でコンビニに突撃して死亡事故を起こした事故。真相に迫るにつれ揺れ動く主人公の気持ちが伝わってくる。究極の選択を迫られた時に自分ならどう考えるかと感じされられた。

    • アンシロさん
      のりてばさん、はじめまして。いいね、ありがとうございます。

      本棚を拝見してまだ知らない作家さん作品に溢れていて、本を選ぶ参考にさせて下さい...
      のりてばさん、はじめまして。いいね、ありがとうございます。

      本棚を拝見してまだ知らない作家さん作品に溢れていて、本を選ぶ参考にさせて下さい。染井為人さんは『悪い夏』を買ってまだ読めていません。

      今後ともよろしくお願いします!
      2023/11/17
    • のりてばさん
      コメントありがとうございます。
      こちらこそよろしくお願いします。
      コメントありがとうございます。
      こちらこそよろしくお願いします。
      2023/11/17
  • ただの高齢者ドライバーによる死亡事故の話かと思いきや、加害者の住んでいる村の住人たちの証言によって話がどんどん違う方向に向かっていく。
    帯には社会派サスペンスってあったけど、村が特殊で怪しすぎて、途中ミステリーとかホラー読んでたっけて気になってくる。最後の七海の態度も怖かったー。

    確かに高齢者がブレーキとアクセルを踏み間違えた事故ですって言われたら、それ以上の詮索はあまりされない気もする。

    ラスト全てがわかってスッキリではないけれど、面白かった。

  • 認知症老人の誤運転による死亡事故に関わる社会派小説だと思っていたらトンデモない!!
    被害者家族、加害者の暮らす村、事故に至る真相·····
    事故なのか?事件なのか?
    巧妙に語られるジャーナリストの推理と決断。
    重いテーマのはずが、楽しく読めたエンタメ作品でした!!

  • おすすめ度 ★★★★☆
    切ない度 ★★★☆☆

    悲しい話ではあったが、全てが繋がっていき
    真相が明らかになっていくにつれて面白くなってきた。
    本当の意味での真相は分からなかったが、加害者を突き止めていく主人公が良かった。
    ラストも納得の行く終わり方やった

  • 今、1番ハマってる作家さん。
    今回は・・・まあまあかなー。

    とある「村」を舞台に繰り広げられる
    高齢者による過失運転致死事故がテーマ。

    果たしてこれは「事故」なのか?
    それとも故意の「事件」なのか?

    ミステリー仕立てで読み応えありました。

    ここから【少しネタバレ⚠️】

    結局、真実は闇の中・・・
    だったのが少し不満というか、まあでも
    オチはそれしかない気もするし。

    主人公の律と元妻の里美の掛け合いが
    なかなか面白かったです。

    これ、ドラマにしてもいい作品かも。

  • 真相に辿り着くまでが長くて、先が気になるというより、イライラ、モヤモヤが勝つ

    高齢者ドライバーの問題に解決はないし、
    分からない、とかどうしたらいいのか、がずっと続くだけなので面白くなかった。

  • 老人の運転する車がコンビニに突っ込み、店長が犠牲となった。
    昨今の社会問題となっている高齢者ドライバーを扱った作品…裏には悲しい過去が隠されていた。
    ジャーリストとしての矜持の中で揺れ動く主人公の正義。途中、元妻との軽快な会話を挟みながらも硬派な作品でした。
    これから滅びゆくだけの小さな村だからこそ起きた事件だったのかなと思いました。

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著者プロフィール

染井為人(そめい・ためひと)
1983年千葉県生まれ。芸能プロダクションにて、マネージャーや舞台などのプロデューサーを務める。2017年『悪い夏』で横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞しデビュー。本作は単行本刊行時に読書メーター注目本ランキング1位を獲得する。『正体』がWOWOWでドラマ化。他の著書に『正義の申し子』『震える天秤』『海神』『鎮魂』などがある。


「2023年 『滅茶苦茶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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