- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041085493
作品紹介・あらすじ
福井県で高齢ドライバーによる死亡事故が発生。加害者は認知症の疑いがあり、責任能力を調査している。ライターの俊藤律は、事件を調べるうちに加害者の住む村へ辿り着く。住人たちは団結して何かを隠していて……
感想・レビュー・書評
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社会派サスペンスです。
フリージャーナリストの俊藤律37歳は隔週誌ホリディの編集長に命じられ東京から福井まで六時間かけてバイクで福井入りしました。
認知症をわずらった86歳の落井正三が、軽トラでコンビニに突っ込みコンビニの店長の石橋昇流(のぼる)28歳が即死。
店にはアルバイト店員の内方七海17歳が事故の時一緒に勤務していました。
律は高齢者の運転問題についてルポをまとめるつもりでした。しかし律はこの事件に何か裏があるのを嗅ぎつけます。
加害者の正三とアルバイトの七海が共にコンビニから二時間ほどの埜ヶ谷村から来ていることに気づき事件性を感じたのです。
そして律は、コンビニのオーナーで被害者の父の石橋宏から、村の人間まで次々に当たっていきます。
加害者の正三は本当に認知症があったのか疑いを持ち正三の入院している病院にまで潜入します。
そして、村全体で隠している大きな秘密をみつけてしまいます。村の人間はみなで嘘をついていました。
七海が店でアルバイトをしていたのも、正三が軽トラで突っ込んだのもすべて偶然ではなかったのです。
村の人間たちに、律は真実を問います。
そして律は記事を書くべきか逡巡します。
書けば大スクープです。
私は律には記事を書いて欲しくないと思いました。
真実を報せるより大事なこともあるのだと思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今、1番ハマってる作家さん。
今回は・・・まあまあかなー。
とある「村」を舞台に繰り広げられる
高齢者による過失運転致死事故がテーマ。
果たしてこれは「事故」なのか?
それとも故意の「事件」なのか?
ミステリー仕立てで読み応えありました。
ここから【少しネタバレ⚠️】
結局、真実は闇の中・・・
だったのが少し不満というか、まあでも
オチはそれしかない気もするし。
主人公の律と元妻の里美の掛け合いが
なかなか面白かったです。
これ、ドラマにしてもいい作品かも。 -
認知症老人の誤運転による死亡事故に関わる社会派小説だと思っていたらトンデモない!!
被害者家族、加害者の暮らす村、事故に至る真相·····
事故なのか?事件なのか?
巧妙に語られるジャーナリストの推理と決断。
重いテーマのはずが、楽しく読めたエンタメ作品でした!! -
染井作品「悪い夏」「正義の申し子」からの「震える天秤」
人間の「強さ、弱さ、醜さ、良心」のような心の動きがありありと描かれていて、一線を超えた人間の怖さを感じる作品でした。フィクションですが。
3作品の名で、1番登場人物が皆まともでした笑 -
なんか面白かった。
律と同じところで違和感を覚え、同じところでもっと知りたいと思う。読者の感情を置いてけぼりにしないどころか、全く同じ目線で読み進めていける。取材中の強引な律の言葉に、頼り甲斐があるなぁ、なんて感じてしまうほど。
最後の最後まで、まさにタイミングもぴったりに佐久間と一緒に「えーっ。なんだよそれー」と叫んでしまった。
読後に著者のプロフィールを見たら舞台のプロデューサーだった方のようで、なるほど納得。
見せ方がうまいわけだ。
他の作品にも触れてみたい。 -
震える天秤。まさに、このタイトルです。凄いです。切ないです。現代社会の問題です。
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著者の作品を読むのは3冊目だがテイストがそれぞれ違っていてなかなか読んでて楽しい作家だ。最初に読んだ「正体」で堂場瞬一さん風を感じたが、この作品の方が先だけど、これもやはり堂場さん風を感じた。いい意味です。この作品も最初は訳の分からんような話がきれいにまとまって行って感心する。主人公の気持ちもよく分かるし、関係者も。今後も注目していきたい作家さんだ
著者プロフィール
染井為人の作品






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