Dの殺人事件、まことに恐ろしきは (角川文庫)

  • KADOKAWA (2019年10月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784041085516

作品紹介・あらすじ

"歌野晶午×江戸川乱歩――貴方を「非日常の興奮」に導く、超ミステリが誕生!

カメラマンの「私」が渋谷の道玄坂で出会い、交流するようになったのは、賢いが生意気な少年・聖也。その日も私は道玄坂のダイニングバーで聖也と話していたが、向いの薬局の様子がおかしい。駆けつけた私たちが発見したのは、カーペットの上に倒れた、上半身裸の女性だった。その後、私と聖也は事件を探り始める。しかし、私はあることに気がついてしまい、元の世界には戻れなくなっていた――(表題作)。

長崎港を訪れた「私」は、ビデオ通話で恋人に風景を見せながら旅する奇妙な男と出会う。男に誘われた路面電車での観光の車中、「私」はその恋人が、人気アイドルのヴィーナスだと明かされる。だが、2人の馴れ初めを語る男の話には、明らかにおかしな点があり……(「スマホと旅する男」)。

「人間椅子」「押絵と旅する男」「D坂の殺人事件」「お勢登場」「赤い部屋」「陰獣」「人でなしの恋」「二銭銅貨」……本格ミステリ界随一の騙しの達人が、江戸川乱歩の名作群を最先端テクノロジーでアップデートした、驚愕の翻案ミステリ短編集!"

感想・レビュー・書評

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  • 江戸川乱歩の名作をモチーフに、歌野晶午が翻案したミステリ短編集。

    翻案といえど乱歩らしさは薄れず、じっとり湿っていて淫靡な感じ。ただ、使われる小道具やギミックは大分現代風になっています。
    どれも何となく後味悪く、ホラー的な話も含まれます。そういうところも乱歩っぽい。

    個人的には『人間椅子』をモチーフにした『椅子? 人間!』がこの中では一番好きでした。じわじわと追い詰められていく恐怖を楽しめます。
    ある意味一番怖いのは、『D坂の殺人事件』をモチーフにした『Dの殺人事件、まことに恐ろしきは』のオチかもしれない。
    ちなみに、私は乱歩の短編では『人でなしの恋』が好きなのですが、それをモチーフにした短篇も収録されています。
    全編通し、様々な倒錯した性的嗜好の世界を楽しめます。

    これを読むなら、是非合わせて乱歩の短編も読んで頂きたいです。青空文庫で読めるので!
    一編ずつ、続けて読むのも楽しそう。いつかやってみたいです。

  • 江戸川乱歩の名作群を現代風にアップデート!?
    乱歩オマージュ短編集。
    椅子の中に人間はいるのか?「椅子?人間!」
    あのD坂と同じ動機なのか?「Dの殺人事件、まことに恐ろしきは」
    人間以外への恋の果てには「人でなしの恋から始まる物語」
    乱歩読んでたらより楽しめる作品!

  • やっぱり、元のお話を読んでしまっているといくらどんでん返しが待っていても素直にビックリできない残念さはある。ただ、江戸川乱歩のキモチ悪さは少しも薄れていない。

  • 初めての歌野晶午。
    グロくてホラーな感じでちょっと好みではないけれど、ストーリーはとても面白かった。
    気味悪いけれど、先が気になってどんどん読めてしまう。
    誠に恐ろしかった…笑

  • 後味悪い!けどそれが乱歩ぽくて良い

  • どの作品もどんでん返しがあって面白かった。「陰獣幻想」が一番インパクトあった。流石歌野晶午。短編集は読みやすい。

  • タイトルの短編が一番怖かった。乱歩のオマージュなのでわかってはいたけど、いやミスどころではないのでちょっとあわない。最後の人でなしの恋で救われた。

  • 個人的に「人間椅子」が面白かったかな。。

    人間の復習って怖いね
    いつどこで監視されているか・・無断で家に入っていたとは・・・
    鍵を忘れた時として外に家のカギを隠しておくってよくないねぇ~
    「ここに家の鍵あります!!」とアピールしているもんだねぇ~

  • 2025/03/13 読了。
    面白い…のですけど、オリジナルの良さを再認識するような面白さでした。

  •  ある夏の終わり、〈私〉は軍艦島の世界遺産登録を記念して行われることになったプロジェクションマッピングイベントに参加するため、長崎港に到着したものの、台風の影響で船は出なかった。落ち込む〈私〉に一人の男が話しかけてきた。目的がなくなり、市内を一緒に回ることになった、その途中、彼と彼から紹介されたスマホの画面の向こうにいる『彼女』の身の上について聞かされる。美しい『彼女』はアイドルユニット『マイヨジェンヌ』のメンバー、ヴィーナスだ、と彼は言う。だけど〈私〉は彼の話に違和感を覚えて――「スマホと旅する男」

     職を失い、定年一歩手前で主夫になった太郎。テレビ局のプロデューサーとして順調なキャリアを送る妻は若い男と不倫し、夫婦仲はもう冷え切ってしまっていた。子どももいないふたりの家に家族が増えることになった。認知症になった妻の父親だ。うまくいかない義父への介護に憎しみを募らせていく中で、太郎は一篇の小説と出会った。江戸川乱歩の「お勢登場」だ。――「「お勢登場」を読んだ男」

     ということで本書は、全七編の短篇集です。全篇、江戸川乱歩の作品を現代風にアレンジするという点で統一されています。どれも切れ味の良い結末と底意地の悪さが光っていて、表題作や「「お勢登場」を読んだ男」あたりはその容赦のなさに思わず笑ってしまうくらいでした。安穏とした読み心地を許さない作者らしさのようなものを強く感じて、とても好ましかったです。個人的に一番好きなのは、幻想小説的な美しさもある「スマホと旅する男」で、続いて、主人公の生来の気質が結末と密接に絡む「陰獣幻戯」かなぁ、という感じです。

  • 乱歩傑作集を読んだあとだったので
    タイムリーでとても面白かった

  • 短編集で読みやすい。

    歌野さんの作品はあまり読んだことがなかったけど、私好みのどんでん返し系が多くて、今まで読んでこなかったことを後悔。

    江戸川乱歩の作品とリンクしていて、原作を知っている人ならさらにおもしろいんだろうなぁと思う。

    個人的に好きだったのは「Dの殺人事件、まことに恐ろしきは」と「赤い部屋はいかにリフォームされたか?」

    歌野さんの作品をコンプリートしたいと思った。「人でなしの恋からはじまる物語」だけ自分で読んだだけではオチがわからなかったから星4。

    作品は星5じゃ足りないくらい。

  • 翻案小説という言葉を初めて知りました。
    江戸川乱歩の作品を読んだことがないのですが、あらすじは書いてあるので、イメージは掴めました。
    どれも現代的に書かれてるので、すっと入ってきましたが、それにしても気味が悪いというか、ぞっとする話が多い。
    ジャンルはホラーになるのかな。
    ずっと避けてたジャンルですが、やはり苦手。
    原作も読んだ方が楽しめるものなんだと思いますが、ちょっと読む勇気はないかも。

  • 有名な乱歩作品を現代風にアレンジした翻案物の短編集。
    しっかり乱歩を踏襲してあり、現代の技術を使ってあり、と面白かった。
    乱歩をまた読もうかなぁ…

  • 江戸川乱歩の作品をモチーフにした短編集。
    乱歩らしくじめっとした感じのミステリーやホラーでじんわりと怖さがくる。
    どの作品もとても面白くて、初めての著者だったけど他の本も読んでみたいと思った。

  • 陰獣幻戯が一番面白かった

    ただ全体的に読みにくかった

  • 乱歩の現代アレンジ。どれも良かった。「赤い部屋〜」が実際にありそうで好き。(いや、ないけど。)

  • 乱歩のオマージュ短編集。
    乱歩の元ネタを読んで、歌野版を読み、2倍楽しめた。
    元々乱歩にハマった時期があったのだがお勢登場と押し絵の旅する男の収録されている文庫は持ってなかった。残念。
    乱歩の変態っぷり、歌野の巧みさを改めて思い知った。

  • 短編集なのに読み疲れてしまった。
    面白いと思えたのは、2つのみ。

  • 図書館にて。
    こういうのパロディってるていうのかな?タイトルで買ったんだけど、確かにこういうのって心踊るよね。
    だけど、正直展開や犯人が全部わかってしまう。う~ん。
    まあ、最後の後味の悪い感じ、世にも奇妙な物語的な、そういうのが好きな人には良いかも。私は読後感悪いの苦手で、結構想像したら気持ち悪くて夢見が悪かった。でも最後の話はそんなことなくて、本一冊通したら安心できました。笑

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著者プロフィール

1988年『長い家の殺人』でデビュー。2004年『葉桜の季節に君を想うということ』で第57回推理作家協会賞、第4回本格ミステリ大賞をダブル受賞。2010年『密室殺人ゲーム2.0』で第10回本格ミステリ大賞をふたたび受賞。

「2022年 『首切り島の一夜』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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