越年 岡本かの子恋愛小説集 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 52
感想 : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041085615

作品紹介・あらすじ

12月のある日、加奈江は同僚の男から突然平手打ちをされる。しかも男はそのまま退職してしまった。加奈江は悔しさのあまりその男を探して銀座を歩き回るが…(「越年」)。恋愛にまつわる傑作短編を収録!

感想・レビュー・書評

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  • 「金魚撩乱」が個人的には一番好みだった。圧倒的な筆力で紡ぎ出される豪華絢爛な艶やかさにいつの間にか取り込まれてしまい、うっとりするほど素晴らしい。淡い恋心が年を重ねるごとに狂気を孕み、妄信が突き抜けていくと虚無が訪れ、絶望の果てに金魚が優雅に泳ぐさまがまた妖しく物語を彩って、読み終わった後しばらく余韻に浸っていた。

  • 8編からなる短編集。
    恋愛小説集と副題にあるが、甘さとはほど遠い、独特で少し奇妙な、幽かに漂うような恋情ばかりである。
    呆気にとられたまま置いてけぼりをくうような「気の毒な奥様」、胡散臭いと思っていた老人の思いもよらぬ正体に息を飲む「家霊」。
    タイトルにもなっている「越年」や「夏の夜の夢」は若者たちの恋心を扱っているが、それこそ夢の中の出来事のようなつかみどころのないような雰囲気がある。
    短編の名手ともいうべき一冊。

  • 表題作含む短編8編収録。初めて岡本かの子は読みましたが巻頭を飾る「金魚繚乱」からして私の好みどストライクでした。兎に角、文章が美しい。水や緑の匂い、花の色、水中を泳ぐ煌びやかな金魚達。描かれる豊かな香りと色彩は官能的で男女の複雑な心理を時には鮮明に、ある時は靄に包まれたかのように遠近感をもって綴られています。「気の毒な奥様」はユーモアな掌編で思わずクスリと笑ってしまいました。「夏の夜の夢」の風景は幻想的で美しい。1番のお気に入りは「過去世」。兄弟の倒錯した愛憎を描いた本作は文章の間から立ち昇る淫靡な色気が壮絶。もっと岡本かの子の作品を読みたくなりました。

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著者プロフィール

東京都生まれ。跡見女学校卒。1906年与謝野晶子に師事し「明星」に投稿。のち「スバル」同人として活躍。1910年画学生岡本一平と結婚、翌年太郎を出産。1929年から7年間渡欧。帰国後、1936年に芥川龍之介をモデルとした『鶴は病みき』で作家デビュー。以来、短編を中心に多くのすぐれた作品を残した。1939年没。

「2019年 『越年 岡本かの子恋愛小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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