- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041085714
作品紹介・あらすじ
画家を目指す僕こと緑川礼は謎めいた美少女・千坂桜に出会い、彼女の才能に圧倒される。僕は千坂と絵画をめぐる事件に巻き込まれ、その人生は変化していく――。才能をめぐるほろ苦く切ないアートミステリ!
感想・レビュー・書評
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表紙の絵が女の子だと買ってしまう。まんまと出版社の策に(苦笑)。「才能をめぐる、ほろ苦く切ない青春アートミステリー」と帯にある。ボーイ・ミーツ・ガールでもある。画家を目指す画商の息子緑川礼。天才的な絵の才能を持つ謎めいた少女千坂桜。二人が絵画にまつわる事件を解決していく。
千坂が画集(なぜかそこにある)の絵をもとに推理していくのが新鮮。ここが「アートミステリー」か。これらの絵は実在し、カラー口絵として巻頭に掲載されている。著者の注釈も面白い。
千坂と緑川は、高校・芸大・社会人の時代に事件に巻きこまれるのだが、そこには秘密があった。これまでの事件はすべて伏線。終章で明らかになる秘密とは?
なかなか面白い。あと文庫版あとがきは、書下ろしで秀逸。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
絵画がトリック解明のきっかけになる連作短編集。全体を通してのストーリーもあるので1つの本としてかっちり構成されていますね。絵画の知識があるとより面白いかもしれません。
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何とも不思議な魅力にあふれた作品(^ ^
私の(どうやら)好きな「天才譚」でもあり、
アートを目指す、いや夢を追う全ての若者に共通の
苦悩と成長の物語でもあり、
また不器用な恋愛ものとも言える(^ ^
主人公である「画廊の息子」が、
高校時代から絵画にまつわる奇妙な事件に
繰り返し巻き込まれ、それを天才画家でもある同級生が
解決に導いていく...という連作短編集。
章が変わるごとに、高校生が大学生になり、
社会人になり...と、時間経過がある。
最終章で明かされる、過去の事件に見出せる共通点と、
それに伴う意外な黒幕像...という流れなのだが、
実は「意外な」黒幕は、読んでいるとある程度予想がつく(^ ^;
予想はつくんだが、すっかり感情移入してしまっていると、
「そうならないでくれ、予想が外れてくれ」と祈りながら
読み進めることになる...時点で、著者の術中にはまっている。
「そうならいでくれ」という祈りも空しく、
予想通りの悲劇に向けて一目散に...
と、ならないところが、この作者の巧いところ(^ ^
予想のナナメ上ではなく、
予想した結末を「蹴っ飛ばす」大団円(^ ^
ある種痛快な読後感(^ ^
いや、これは上質なエンタテインメントである(^o^ -
内面はまるで幼稚園児の美少女にすっかり懐かれちゃって参ったなこりゃ…やれやれ…と言いたい男の妄想が炸裂している感じでちょっと読み進められませんでした…。
有名絵画が推理のヒントになったと言うけど絵と推理の関連もあんまりないような。 -
青春とアートと日常ミステリが混ざった本作。謎めいた美少女、千坂桜と、画家を目指す主人公、緑川礼が出会うところから物語は始まる。終章に至るまでもアートミステリとして普通に面白かったが、その終章で物語全体に散りばめられていた真の謎が解明されるという構成は流石の似鳥鶏先生である。アートミステリと大々的に書かれていたので、もうちょっとアートが謎解きに積極的に関わってくるのかと思っていたが、アートはあくまで謎を解き明かすための着眼点に過ぎないところが少し拍子抜けしたかな。
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画家を目指す主人公が出逢った天才少女。彼女の才能に惚れ込む緑川と、何故か頑なに表舞台に出ようとしない千坂。そんな二人の周りで起こる不可解な事件とその顛末。
面白かったです。今回は美術関係のお話ということもあり、注釈がいつもより実用的(?)だった気がします。そんな中、「京極夏彦」の注釈が秀逸でした。 -
いつも通りあとがきおもしろい
絵画の蘊蓄も興味深かったけれど、謎解き部分はあまり好みではないかな -
ひとつの絵画にひとつのミステリー、ひとつひとつのお話は面白かったけどイマイチ私にはハマらなかったな…という感じ。急いで読み進めちゃったので、もうちょっと噛み砕いて読めば面白いのかも。
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似鳥さんの、シリーズものでない系列の作品が好きだ。シリーズ物はそれぞれにそのシリーズでやりたい大きなテーマを決めて、それにがっちりと取り組んでいるところが良いと思うが、それ以外の個々の作品は一つ一つ多様なテーマを扱い、それでいながらどれにも似鳥さんらしさが感じられて(多くの主人公には共通する性格があるように思われ)、どれも魅力的だ。
特にこの作品は、天才と出会った「ふつうに優秀な人」のアイデンティティの葛藤をリアルに描いていて、天才の天才ぶりも嘘くさくなく、本当にいそうなところが良い。
女の子がとても魅力的で、彼女にひきつけられる主人公に強く共感させられた。能力を持つ人たちの天真爛漫さと、影の面のバランスもとても良い。その陰にしてもプロットの必然性にも支えられ、真実味をもって感じられる。
推理小説としては、プロの探偵でもない素人が数々の事件で探偵役を引き受けることになるという、推理小説にありがちな約束事の違和感をテーマにして、それを謎解きに使ってしまうというのが斬新だった。
「青藍病治療マニュアル」とともに、彼の中で特別に好きな作品。
著者プロフィール
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