黒医 (角川文庫)

  • KADOKAWA (2019年12月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784041086308

作品紹介・あらすじ

努力と競争を過剰にもてはやす「ネオ実力主義」が台頭し、働かないヤツは人間の屑、と糾弾される社会で、思いがけず病気になってしまった男。(「人間の屑」)
気軽に受けた新型の出生前診断で、胎児の重い障害を宣告されて中絶するか悩む夫婦。(「無脳児はバラ色の夢を見るか?」)
医療や技術の進歩の先に見える、幸せな人生は幻想なのか。救いなき医療と社会の未来をブラックユーモアたっぷりに描く7編で綴る作品集。
解説・吉村萬壱

感想・レビュー・書評

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  • 作者が医者なんで、医療が前面に出てるのは、そうやけど医療ミステリーやないな。イヤミスでもない。
    後味が悪いという意味では、かなりやけど…
    世間の矛盾というか、気にしながらも、どうにもなってないのを強烈に皮肉る感じ。
    タイトルも何かありそうな感じ。
    「無脳児…」は、タイトルからして、おい!そんなタイトルええんか!って思うけど…中身は、間違いでしたで済ませられんオチ。
    何にしても、絶対はないのは分かるけど、医者に言われると不安になる…そうしか言えんのやろうけど。
    「のぞき穴」は、安易に電車で読めない…覗かれたら、色んな文言で誤解されそう…
    にしてもあかんやろ!この医者!

    って感じの短編集7つでございます〜

  • 久坂部羊『黒医』角川文庫。

    7篇収録の医療の未来を描いたブラック短編集。

    爆発的な高齢者増加により貴重な働き盛りの若者が優遇される未来、生まれてくる子供が抱える障害に右往左往する夫婦、少年時代に女性器に異常な興味を持った産婦人科医……

    現実と創作の境目が解らなくなりそうなブラックな短編ばかりだが、物足りなさを感じる。

    本体価格640円
    ★★★★

  • 医療をテーマにした7つの短編集。
    出生前診断によって胎児に重い障害があることが分かった夫婦の葛藤と残酷すぎる結末を描いた「無脳児はバラ色の夢を見るか?」、医療が発達することによって死ななくなった老人が膨れあがり若者を圧迫する「占領」、成り行き上骨髄バンクに登録することになった主人公が本当にドナーに選ばれてしまう「命の重さ」どれも本当にあってもおかしくない物語だと思った。
    「のぞき穴」が強烈に気持ち悪くて印象に残った。好き勝手やって勝手に安らかに召されてるんじゃないよ…!!

  • 医療の進歩や医師の考え方等、様々な要素が入った医療系短編集。
    医療が進んでも完璧等なく、どんなに優秀で評判の良い医師でも、何かあるかも…
    そんな風に思ってしまう話を医師である作者が書いているのが凄いといつも思う。

    2025.3.2

  • なんというか…面白くもないし、すっきりするわけでもないし、腹が立つわけでもない。もちろん感動なんかしない。どうしてこんな本を書くの?

  • +++
    努力と競争を過剰にもてはやす「ネオ実力主義」が台頭し、働かないヤツは人間の屑、と糾弾される社会で、思いがけず病気になってしまった男。(「人間の屑」)気軽に受けた新型の出生前診断で、胎児の重い障害を宣告されて中絶するか悩む夫婦。(「無脳児はバラ色の夢を見るか?」)医療や技術の進歩の先に見える、幸せな人生は幻想なのか。救いなき医療と社会の未来をブラックユーモアたっぷりに描く7編で綴る作品集。
    +++

    どの物語も、そう遠くない未来に実際に起こりそうで怖い。さらには、大人になり切れない大人が増えている気がしてならない昨今、医者でさえも例外ではないと、改めて気づかされて、空恐ろしくもなる。何に頼ればいいのか不安になるが、しょせん医者も人間であるということだ。ブラックすぎるユーモアで、到底笑えないが、自分の身は自分で守らねば、との思いを改めて強くさせられる一冊でもある。

  • もう少し尖ったものを想像していたら、ある程度の設定が読めてしまう話が多く若干物足りなさがあった

  • 誰も悪くはない、ないからラストはポッカリ穴が開く「無脳児─」。嫌らしさにゾクっとする「のぞき穴」。この男にとって最高の自己満足、まさに黒医。この二篇は出来がいいと思った。見えない部分が綺麗じゃないことは誰しもわかってる。この短編をどこか楽しんでいる君も黒いんだよって? それもわかってる。

  • ここそこに著者の考えている本音がちらほら出てくる

  • 初めて読んだ気がしないと思ったら、‹反社会品›の文庫本だった
    名前変えて文庫本にするの、知らなかった
    でもやっぱり読んでしまった【のぞき穴】は私の地元の海岸のことだったので、題材にされて嬉しいような悲しいような…
    いろいろブラックすぎて二度よみでも満足しました!

  • 初読みの作家さん。
    医療系短編7話。
    人間の屑/働けなくなった男性の本音。
    無脳児はバラ色の夢を見るか?/
    新型の出生前診断でお腹の赤ちゃんに重い障害があるのが分かった時。
    占領/超超超高齢者社会になった日本の未来。
    不義の子/優秀な遺伝子。
    命の重さ/「骨髄バンクのドナー登録」の顛末。
    のぞき穴/女性器を美化と嫌悪する産婦人科医。
    老人の愉しみ/日頃の鬱憤がテレパシーに。

    どの話も面白いけど
    障害児の話は凄く思うことがある。
    私の子供も障害があるので…
    それと骨髄バンク、
    結局自分の意志がないから振り回されるんだよ、と。

  • 久坂部羊ワールド満載だが、読み慣れてしまったからか、スムーズな展開。

  • ひゃ〜

  • 久坂部羊 著「黒医」、2019.12発行。期待しましたが、2016.8刊行の「反社会品」のタイトルを変更し(なぜ変更するのですか?)文庫化したものでした。人間の屑、のぞき穴、老人の愉しみなど7つの短編が収録されています。改題前の「反社会品」読んでましたが、読んでて、内容を思い出すと言いますか、あまり好きな内容でなかったことに気づきました。著者のブラックユーモア、はまることもありますが、本作品は私にとっては読後感の悪さが目立ちました。

  • この作家さんはお医者さんでもあるので、医療や医者の裏側的な事が描かれていて面白かった。
    高齢化社会や妊婦の出生前診断、不妊治療や老人の死についてなど重いテーマだけどブラックユーモアがきいていて軽いタッチで読めた!
    短編だったのでサクッと一気読みしました!

  • 皮肉とブラックユーモアが効いた医療·介護ミステリ短編集
    医療制度や出生前診断など、最近のトピックスも取り入れられていておもしろかった!

  • ①人間の屑:あまり印象に残らず。
    ②無脳児は…:出生前診断の話。私には出産経験がないが、もしそういう機会があったとして、出生前診断をして、障害があるといわれたら、出産は出来ないと思ってるので、この話のように診断に誤りがあったとかだと、怖いなー。
    ③占領:老人優遇社会。20歳と45歳を行き来しちゃう男性が、将来の老人優遇社会を目の当たりにする。
    ④不義の子:一卵性双生児なら遺伝子同じなんだからどっちが父親でもいいじゃん、と個人的には思ったし、最終的には嫉妬深い主人公もそれに近い感情になったと思ったら、、、
    ⑤命の重さ:頼まれたら嫌とは言えない公務員が、上司に頼まれて骨髄バンクにドナー登録し、ドナーに選ばれる。家族に猛反対されつつもドナーの役割を果たすが…
    主人公が報われない。かわいそう。
    ⑥のぞき穴:気持ち悪い
    ⑦老人の愉しみ:テレパシー

    個人的には「無脳児は…」「不義の子」「命の重さ」がおもしろかった。

  • 7話の短編集。相変わらず風刺が効いてる。が、格別に記憶に残るものはなかった。

  • 短編集で読みやすくてサクッと読めた。
    命の重さが響いたけど、人間の葛が面白かった。

  • 医療をテーマにしており、作者も医者なので設定に矛盾などを感じず素直に読める。
    対立する立場を描いており、自分だったらどちらの立場かを考えながら読んだ。生々しい話もあるが医者の苦悩が少しわかる気がした。
    骨髄ドナーについて興味を持って調べた。今までの自分の知識が刷新されたので読んでよかった。

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著者プロフィール

医師・作家・大阪人間科学大学教授

「2016年 『とまどう男たち―死に方編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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