ライオン・ブルー (角川文庫)

Kindle版

β運用中です。
もし違うアイテムのリンクの場合はヘルプセンターへお問い合わせください

  • KADOKAWA (2019年12月24日発売)
3.19
  • (5)
  • (17)
  • (22)
  • (14)
  • (1)
本棚登録 : 263
感想 : 18
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (480ページ) / ISBN・EAN: 9784041086322

作品紹介・あらすじ

関西某県の田舎町、獅子追町の交番に勤務する制服警官・長原が拳銃を持ったまま姿を消した。県警本部が捜査に乗り出すも、長原の行方は見つからない。同期の耀司は獅子追への異動を志願、真相を探ろうとする。やがて町のゴミ屋敷から出火し、家主の毛利が遺体で見つかった。事件性なしとされるが、数週間後、警ら中に発砲音を耳にした耀司はヤクザの金居の銃殺死体を目にする。さらに現場に落ちていた凶器が、長原の持ち去った拳銃だと判明し――。
怒濤の展開が待ち受ける、乱歩賞作家渾身の警察ミステリ。スピンオフ短編「蛇の作法」を特別収録。

――第31回山本周五郎賞最終候補作

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 呉勝浩『ライオン・ブルー』角川文庫。

    終盤に繰り広げられるある意味で掟破りの展開には驚かされた。静かな小さな過疎の街で起きた事件を描いた、かなり捻った異色の警察小説。随分と思い切ったものだ。

    拳銃を持ったまま失踪した獅子追交番に勤務する制服警官・長原の事件の真相を探るために獅子追交番への異動を志願した長原の同期の耀司が着任するやいなや次々と変死事件が発生する。

    『ライオン・ブルー』の前日譚となる短編『蛇の作法』を特別収録。

    本体価格800円
    ★★★★

  • この作者の本を読むのは5冊目。
    最初に呼んだのは「スワン」で、ひりひりするような緊迫感に圧倒された。
    「ライオンブルー」も読み始めは良かった。
    けれど次第に読むペースが下がった。
    それでも投げ出さなかったのは既に100ページくらいまで読んでいたから。
    少しずつ読んで、結局一か月以上の時間を要した。
    1冊の本を読み終えるのに、こんなに時間を要したのは初めてのことだ。

  • ・あらすじ
    澤登耀司は同期の現職警察官失踪事件の真相を探るため獅子追交番に赴任してきた。
    過疎化した田舎町はある権力者一族に牛耳られており、同期失踪の真相を探る中で耀司は街を二分する開発計画に巻き込まれていく。
    そして、失踪した同期の拳銃で開発反対派のヤクザが射殺されるという事件が起きる。

    ・感想
    ううう…呉先生の作品ってどれもおもしろくってすごい。
    読んでる時ずっとヒリヒリしてた。

    爆弾は常識や倫理という線の上をたまに踏み外しながらも踏ん張りつつ「己の正義」を生きる刑事たちがいたけど、今作の耀司君は「己の役割」を果たすためだけにこれからも生きていくんだろう。
    毒を食らわば皿まで。しがらみや保身を捨て、外側へ一歩踏み込んで獣の道を歩むことにした耀司と彼が己に向ける銃口を必要とする晃光の関係も良い!
    こういうのすごく好きーーー。

    晃光は裏主人公なんだろうな。
    自分勝手で利己的な復讐心と執念を持つ晃光と守りたいもの、守らなければならないもののために晃光と手を組んだ長原。
    どっちも自分の中できちんと譲れない芯があった二人。
    でも耀司は人殺しでさえ「長原がそうしたかったから」という理由だけで実行できてしまう空虚な人間。
    過去や家族から逃げて自分の立つべき場所を失ってた耀司だからこそ長原や晃光に惹かれたんだろうなとも思う。

    故郷に対する複雑な気持ち、捨てきれない執着とか少し気持ちがわかるわーー。
    耀司のこれからは明るくはないだろうけど、ただ一つずっとすれ違ってたお兄ちゃんと和解出来そうな終わりだったのは一つの救いかもしれない。
    お兄ちゃんも辛い…ずっと今まで一人で背負ってきてたんだもん。

    呉先生の作品はこれで5作読んだけど、どれも面白過ぎる!!!
    どの作品も勧善懲悪でなく清濁併せ持つ強さをもつ人間臭さが魅力。

  • 記録

  • パイセン本。

    呉勝弘著『ライオン・ブルー』は、地方の片隅に潜む人間の矜持と業を、静謐かつ緊張感に満ちた筆致で炙り出した一作である。過疎化の進む獅子追町を舞台に、交番勤務の警官が小さな出来事をきっかけに町の奥深い闇へと足を踏み入れていく物語は、単なる警察小説の枠を超え、人と土地が抱える宿命を克明に描き出している。地方社会に息づく利権や沈黙、過去の罪が積み重なって生まれる濁流のような空気は、読む者の心を静かに圧し、正義と責任の意味を問い直させる。
    とりわけ、主人公・澤登耀司の苦悩は、誰もが持つ過去への後悔や、守るべきものへの覚悟を映し出す鏡であり、決して派手ではない行動の一つひとつが深い余韻を残す。結末に至るまでに織り込まれた人間関係のひずみと、町そのものが持つ生々しい存在感が、物語を単なる謎解き以上の重層的な体験へと昇華させている。
    読み終えたとき、救いよりも重みが胸に残る。しかしその重みこそが、人間の誠実さや希望の輪郭を浮かび上がらせる――そんな深い読後感をもたらす、現代社会への鋭い問いかけを秘めた傑作である。

  • 警官が銃を持ったまま行方不明となり、その行方を捜すためあえて異動志願した同僚の男。その土地にある田舎独特の仲間意識や人間関係、そして怪しげな先輩や同僚などに振り回されつつも奮闘する話。前半はいかにもな感じの嫌な人間ばかりの中で手がかりを探すために奮闘している感じが普通のミステリー小説っぽい感じではあったものの、後半であることが判明してからは怒涛の展開に。全体的に「正義とはなにか」みたいな哲学がテーマっぽい感じで繰り広げられていたような印象。あと、本編が終わった後に、途中に出てきた刑事のスピンオフが載っていたけど、そこまで印象深い刑事とは思わなかったけど、作者が気に入ったキャラなのかな?

  • ハードボイルドの警察小説とでも言うか、謎解きよりも動機に焦点が当てられた一冊。
    登場人物はなかなか魅力的。主人公は耀司のはずなのに、最後には晃光の方が印象に残る不思議な感覚。それから、文庫版に一緒に掲載されてた短編も本編ときっちり繋がってて、読み応えあり。
    呉さんは、守備範囲広いなあ。

  • 謎解きより、田舎町特有の人間模様、そこに生きる男たちの心の動きに重きが置かれている印象。読み応えがあった。

  • 架空の町「獅子追町」に生きる警官らの生き様を描く物語。前半の凡庸さと結末の強引さがやや気になるものの、全体的には良く出来たエンターテインメント作品。

    どんでん返しと事件の真相は驚愕ではもののズルさと飛躍しはやや興ざめさせられる。とはいえ田舎の陰湿さや息苦しさ、それらと狡猾に付き合いながら歪んだ理想郷に向けて己の信念を持つリアリストたちの攻防はなかなか読み応えがある。

  • 最初のどんでん返しはミステリとして素晴らしい。この「今まで読者が読んできた世界が反転する」感覚はミステリに不可欠だと思う。

    だが、主人公のナルシスティックな自分語りがうざったい。甲子園のトラウマがどうとか、兄との確執とか、はっきり言ってどうでもいい。

    もう一人の主人公ともいえる晃光の人物造形はなかなか良く、終盤明かされる彼の狂気じみた野望もダークヒーロー的で面白いのだが、結局それも過去のトラウマが元になっているあたりは正直がっかり。

    お話としては本格ミステリ的であり、聞き込みで徐々に真相に迫っていく警察小説的な要素あり、バイオレンスなノワール物の趣きあり、となかなかに魅力的なのだが、どうにも主人公の語り口が私には合わなかった。

  • いまいち

  • 大変面白く読ませていただきました  悪を悪で撃つ ハードボイルドではなく警察小説で 話を進めている辺りは面白いと思います 只 この小説を読んでスカッとは絶対しない この小説はこの一編だけでは終らず続編が有る事は?

  • 話が暗い。そして複雑。
    あんまり好きではなかったなぁ。

  • 面白かった!
    流石 #石田衣良 オススメ!

    サクサクと読める文章に、思いもよらなかった展開。
    今まで結構、小説を読んで来たけどこの手法は無かったですね。
    スワンも読んでみよう♪

  • 『スワン』が面白かったので、ちょっと期待して読んだのだが、
    これは正直微妙だった。

    田舎の閉鎖的などんよりとした感じは好きだったのだが、
    いまいち盛り上がりに欠ける。

    しかし、おまわり悪ばっかだなー!

  • 帯には「巧なストーリーテリング、精妙なプロット」と書いてありますが、物語の構成を楽しむことができませんでした。読んでる途中も、最後も、後味悪くて、好きじゃないです。

  • 同期の失踪した警官の真相を探るため、故郷の町に異動してきた主人公をめぐる複雑な人間関係と閉鎖的なムラ社会。果たして事実は誰かを救うことなのか。乱歩賞作家の渾身の警察ミステリー。
    不穏な気配を感じる導入部やよく練られたプロットに期待感をもって読み進めたが、中盤以降は個人的には盛り上がりに欠けた。主人公をはじめ登場人物に人間性の深みがないように感じる。話言葉が平板で個性がないのも一因か。

全17件中 1 - 17件を表示

著者プロフィール

1981年青森県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒業。現在、大阪府大阪市在住。2015年、『道徳の時間』で、第61回江戸川乱歩賞を受賞し、デビュー。18年『白い衝動』で第20回大藪春彦賞受賞、同年『ライオン・ブルー』で第31回山本周五郎賞候補、19年『雛口依子の最低な落下とやけくそキャノンボール』で第72回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)候補、20年『スワン』で第41回吉川英治文学新人賞受賞、同作は第73回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)も受賞し、第162回直木賞候補ともなった。21年『おれたちの歌をうたえ』で第165回直木賞候補。他に『ロスト』『蜃気楼の犬』『マトリョーシカ・ブラッド』などがある。

呉勝浩の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×