さよなら僕らのスツールハウス (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041086339

作品紹介・あらすじ

「スツールハウス」。それは、崖の上に建つシェアハウスの名前。
腰かけ(スツール)のように、若者たちが一時期を共有する場所。
そこには確かに、青春と謎があった。

元カノの結婚式に送った写真に秘めたメッセージ。
無人のシャワールームで起きた事件。
ともに暮らした仲間からの相談……。
一見バラバラの謎と、15年住み続け、「主(ぬし)」と呼ばれた女性、素子の謎。
全てが解かれたとき明らかになる、切なく優しい真実とは。
心の奥を刺激する青春ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 前半は個人的にはつまらないな…と思って読んでましたが中盤から面白くなった。
    なんなとなく10代向けの甘い恋愛小説かと思って読んでましたけどどちらかというと、大人向けの切ない小説って感じかな?
    こんなスツールハウスで青春を過ごせたら一生の宝物になるでしょうね。

  • 1つのシェアハウスを題材にして、代々の住人たちがつづるオムニバス形式のミステリー。1つの家ではないけど、アパートよりは密な関係。そんな距離感が面白い。
    残念なのは、せっかく舞台を用意しているのに、どれも回想話ばかりで、リアルタイムの住民の話がないことかな。


  • 私の青春は、永遠に生き続けるのだ。

    1章のメッセージ・イン・ア・フォトは、文章だからこそ出来るトリックが含まれてて岡崎さんらしさがあると思った。
    .
    シェアハウスの住人はどんどん移り変わっていくけれど一人一人に想い出があって、話の中でも関わる人の視点によって新たなものが見えてきて、物語の脇役が実は主役で。
    .
    1冊の中で何十年も時間が経過してて、その間に知らない時間が流れていて、まるで真の主人公の視点に立った気持ちだった。彼女がやっと立ち上がれてよかった。
    .
    人との繋がりや過去の想い出の儚さや美しさを感じた作品。
    .

  • 世界における個の立ち位置の変遷を巡る物語,なのだが,主人公が一人だけモラトリアムから抜け出せない痛々しさしか感じられない.さらに,物語の落としどころは,何だか作者本人の創作活動への迷いの投影にも感じられる.

  • 甘すぎず切なすぎず
    忙しい日でもきっとサラサラリと読める作品。

    読書は勉強のためにではなく
    面白ければそれでいい。

    あと一歩とか、ちょっとだけ進もうかな、
    そんな前向きな気持ちに。
    そして他にもどんどん本を読もう、と思えた物語。

  • サイン本だ!!と思わず購入。
    素敵な場所だなぁと思いながら読んでました。

  • シェアハウスを舞台とした,連作短編ミステリー.
    登場人物が(少数の重なりはあるものの)次々と変わり,年代もそれにつれて移っていく.
    第一話「メッセージ・イン・ア・フォト」 結婚する元カノに送った優しいメッセージ.結構泣けます.
    第2話「シャワールームの亡霊」 howdunit と whydunit を考えさせるミステリー.最後,前田君がなかなか男前.
    第3話「陰の花」 月下美人を使ったアリバイ作り.抱えている悩みやコンプレックスあるいは嫌悪感は,他人にはわからないし,誤解もされやすい(ミステリーとしてはこっちがメインか).
    第4話「感傷用」 スツールハウスの主の謎が明かされる.素子にとって文鳥は「感傷用」だった.うーん,姓が変わった理由はまったく予想できませんでした.
    第5話「さよなら私のスツールハウス」 もう一人のスツールハウスの主の正体も明かされる.第4話で気づくべきなんでしょうけど,これもまったく予想外.

  • 青春に立ち止まっていられない、その時だけの輝きがある。誰しもが楽しかった時代を思い出せるようなそんな小説。

  • シェアハウスに住んでいた人たちのお話し。面白く。

  • これまた何とも分類が難しい一冊(^ ^;
    「謎解き要素」は色濃く通底していので、
    一応ミステリにカテゴライズしてはみたが、
    謎解きはメインではない。

    崖地に建つシェアハウス「スツールハウス」。
    そこにかつて住んでいた人たちが、
    同窓会を開いたり相談事があって呼び出したりで
    再会して、さて...という短編集。

    一作ずつ独立したストーリーで、主人公も異なる。
    が、微妙に章をまたいで登場する人物が出てくるので、
    話に繋がりはないが「連作感」は感じる。

    基本的には「昔住んでた人たち」の話なので、
    「現在の」スツールハウスでの生活は登場しない。
    それがちょっと不思議な感じ(^ ^;

    皆往時を懐かしみつつも、それぞれに今の暮らしがあり、
    当時も今も気持ちのすれ違いがあったり、
    思い違いやわだかまりを抱えていたり...
    掘り下げていくと一筋縄ではいかない(^ ^;

    それを解決したりしなかったり(^ ^;
    他の章で「オチ」へのヒントが匂わせてあったり(^ ^
    通して読むと初めて浮かび上がってくる
    意外な設定に驚かされたり(^ ^

    仕掛けも種明かしも周到だが、技巧に走った印象はない。
    むしろ粋で洒脱な読後感(^o^

    強いて一冊通しての「テーマ」を探ろうとしてみると、
    「過去のしがらみからの卒業と新たな旅立ち」
    みたいな、こっぱずかしい話になってしまうか(^ ^;
    それを「粋に」仕上げる作者の筆力は、
    さすがの一言である(^ ^

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著者プロフィール

1986年福岡生まれ。京都大学法学部卒。2012年、第10回『このミステリーがすごい!』大賞隠し玉に選出された『珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』でデビュー。翌年同作で第1回京都本大賞受賞、累計250万部を超える人気シリーズに。この他の著書に『夏を取り戻す』、『貴方のために綴る18の物語』、『Butterfly World 最後の六日間』など多数。

「2022年 『下北沢インディーズ ライブハウスの名探偵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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