- KADOKAWA (2019年10月31日発売)
本棚登録 : 1737人
感想 : 203件
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784041086391
作品紹介・あらすじ
第73回日本推理作家協会賞 長編および連作短編集部門 受賞作
第41回吉川英治文学新人賞 受賞作
第162回直木三十五賞 候補作
首都圏の巨大ショッピングモール「スワン」で起きたテロ事件。
死者二十一名、重軽傷者十七名を出した前代未聞の悲劇の渦中で、犯人と接しながら、高校生のいずみは事件を生き延びた。
しかし、取り戻したはずの平穏な日々は、同じく事件に遭遇し、大けがをして入院中の同級生・小梢の告発によって乱される。
次に誰を殺すか、いずみが犯人に指名させられたこと。そしてそのことでいずみが生きながらえたという事実が、週刊誌に暴露されたのだ。
被害者から一転、非難の的となったいずみ。
そんななか、彼女のもとに一通の招待状が届く。集まったのは、事件に巻き込まれ、生き残った五人の関係者。目的は事件の中の一つの「死」の真相を明らかにすること。
彼らが抱える秘密とは? そして隠された真実とは。
圧倒的な感動。10年代ミステリ最後の衝撃!
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
第73回日本推理作家協会賞長篇および連作短編部門受賞作
第41回吉川英治文学賞新人賞受賞作。
第162回直木賞候補作
さいたま市に隣接する湖名川シティガーデン・スワンというショッピングセンター街で起きた無差別銃撃事件。
二十人以上殺した犯人三人は仲間割れと自害で死亡。
片岡いずみ16歳は拉致された中でただ一人無傷で一人生き残り、主犯格の犯人丹羽佑月に殺す順番を指名するように命じられ実際従ったとあとでその場で片目を失明したクラスメイトの古舘小梢によって暴露されます。
いずみと小梢はクラスメイトで、同じバレエ教室に通っていましたが、仲が良かった訳ではなくバレエ教室で主役を取り合うライバルでした。
いずみは心療内科に通いながらも何かを求めて事件の被害者の生き残りを集めて金曜の夜に開かれるようになったお茶会に参加します。
そこで語られる被害者たちの嘘。
なぜそんなに皆、嘘をつくのか。
最後にいずみの見たその日の真実が明かされますがいずみは悪くなかった。小梢も悪くなかった。どうして二人の間にこんなに距離ができてしまったのでしょう。
小梢のついた嘘。
以下ネタバレです。
いずみの最後のことば
ーたかがこの程度の悲劇。こんなふざけた理由で踊れなくなるなんてまっぴらごめんだ。たとえばわたしは記者会見の席に臨んでなお絶対に謝らない。それだけは口にしないと決めている。
踊ろう小梢。いつか一緒に。
『白鳥の湖』をスワンでやるのもいいかもしれない。貯水池にステージを組むのもありだな。
とても素敵な「物語」。
力を合わせ、悲劇を打ち負かしたヒロインたちのストーリー。
残る問題はどちらがオディールを踊るかだ。 -
大量殺人事件の生存者が葛藤するお話で斬新
サイコな犯人の動機なんてそっちのけ
嘘にまみれた証言 その意図は?
嘘だと願う その心は?
極限状態での行動は、その人の優先度の素が出るらしい
理性とは別
避難訓練しっかりやろうと思いました
-
はぁ〜面白かった!!
よかった!
よかったって言っていいのかな
読了後はしばらく考える。
悲しい、とは違うか
怒り、でもないような
とにかくやるせない気持ち
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
『自分は被害者だと思っていた。
だけど、そうじゃなかった』
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
国内最大級のショッピングセンター『スワン』
大勢の人で賑わう日曜日の昼下がり
そこへ改造銃と日本刀を持った男が2人
悲劇は突然始まる
【無差別銃撃事件】
死者21名 重軽傷者17名
一番多くの死者を出したスカイラウンジで、
犯人と接しながらも生き延びた高校生のいずみ。
しかし、同じく事件に遭った同級生の梢が 週刊誌に当時の様子を暴露したことにより 被害者であるはずのいずみの置かれた状況は一変する。
そんなとき、いずみのもとへ一通の招待状が送られてくる。指定された場所にいたのは同じようにテロ事件で生き残ったいずみを含めた5人の男女。
招待状の差出人・ テロ事件で亡くなった吉村菊乃の息子に雇われたという弁護士の徳下。「お茶会」と名付けられたその会の目的は『菊乃の死の真相を探る』こと。
5人の証言を頼りに テロ事件のあったその時間 その場所で「何が起こっていたのか」を知りたいというものだった。4回にわたって行われる「お茶会」で一体 何が見えてくるのか。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
まず 30ページにも及ぶ犯人視点の描写が怖い。いとも簡単に人を殺していく2人。逃げ惑う人々。どこに逃げればいいんだ?走りたくても腰が抜けて立ち上がれない、隣で撃たれて倒れる人。どんどん近づいてくる犯人。読んでるだけでパニック起こしそうになる。
普通の精神状態ではいられなかった状況。
そこで『自分の取った行動』が問われる。
真意のわからない謎の「お茶会」
本当のことを喋ればボーナス3万円
黙秘でも 嘘をついていても 参加費1万円
次々と語られるあの日の証言
嘘をついているのは誰か
はたして本当のことを話している者はいるのか
そもそも自由参加である「お茶会」
思い出したくもない出来事を話すこの会に
休むことなく参加する5人の目的は何なのか。
あぁぁ、本当に!
憤り!これ!!
お茶会が進んで真実が明らかになるにつれて感じること。
ある人が言った
「犯人がわるい-ではいけないの?」
この言葉があとからじわじわじわじわくる。
あぁぁーー、本当よ!
顔の見えない悪意
やり場のない怒りの矛先
誰にも言えない罪
『じゃああの時どうすればよかったの?』
理不尽そして理不尽!!
何が?ってそれは読んで欲しい!
そして いずみが「お茶会」で演技を続ける理由。『自分は被害者だと思ってた』『乗り越えられるとは思ってない、でもあきらめるなんて、馬鹿げてる』
いずみが下した決断に胸が締めつけられた。
とにかくやるせない。
でも続くんだ、いずみも 梢の人生も。
黒か白か 決めつけられる世の中で。
-
いやいやいやごめんなさいだなんてそんなそんなそんな。
今 ユッキーのレビュー 最初の方から読み返してたとこー。
最初の土下座登場は「十戒」...いやいやいやごめんなさいだなんてそんなそんなそんな。
今 ユッキーのレビュー 最初の方から読み返してたとこー。
最初の土下座登場は「十戒」かな笑
_|\○_2023/11/05 -
年内の間には理不尽な事にムキー!ってなりたいです(早く休みにならないかなあ…笑)
そうだ!いいね沢山ありがとうございます(о´∀`о)最初...年内の間には理不尽な事にムキー!ってなりたいです(早く休みにならないかなあ…笑)
そうだ!いいね沢山ありがとうございます(о´∀`о)最初の方は本当に記録目的なんで今思うと淡々と書いてましたよね、どんどん長くなってる…笑
そうそう!「十戒」から土下座し始めました!面白かったので笑。
┏○┓2023/11/05 -
わたしもレビュー同じく!
初めの頃はレビューともよべない笑
「向日葵の咲かない夏」なんて
深田恭子になりたいとか書いてあった
それでは ス...わたしもレビュー同じく!
初めの頃はレビューともよべない笑
「向日葵の咲かない夏」なんて
深田恭子になりたいとか書いてあった
それでは ステキな週末の午後をお過ごしください・.。*・.。*2023/11/05
-
-
怖い話だな、と思った
現実にあり得ることだから
ショッピングモール「スワン」で無差別殺傷事件が起こり、事件後その場に居合わせた主人公達を中心に、話が展開していく
事件現場に居合わせた人達が、それぞれ何を隠しているのか?
明かされるたびに、どんどん前のめりに話に引き込まれていった
最後の最後まで、一番気になる真相が明かされずに引っ張られる
そしてその真相は、ショッキングだった
人は非常事態にどう行動するのか?
何を一番大事に思うかによって違うだろうし、パニックになって頭の中が真っ白になってしまうかもしれない
わかっていても身体が動いてくれないかもしれない
後から考えてもあれで良かったのだろうかと、正解がわからない時もあるだろう
もっとやりようがあったのではないかという自分への疑いが、拭いきれなかったりするかもしれない
その瞬間の行動や決断は、その場所の空気の流れ、感情の流れ、周りの環境や温度、全てによって作られる
そして、その状況をどんなに説明しても周りには伝えきれない
同じ場所と時間を共有していても、事実を共有していても
起こった事だけを説明するしかない
世間の目は厳しく、報道の仕方一つで、悪にも善にもされる
白か黒かの二択で評価されてしまう
初めは事件の悪は、犯人だった
次に対応の遅れがやり玉に上がった警察がバッシングにあう
次は警備員に移り、最後は主人公がスポットライトを浴びてしまう
主人公だって被害者なのに。。。
犯人が一番悪いのに。。。
こんな非常事態に遭遇した事はないが、生きていたら多かれ少なかれそういった周りにわかってはもらえない時ってあるよね、と思った
後味はスッキリしない作品だけど、読み応えがあった-
harunorinさん、こんばんは(^O^)
防刃手袋!?
思わず、検索しちゃいました
いやいや、ビックリ!
仕事用や護身用、さらに耐切創...harunorinさん、こんばんは(^O^)
防刃手袋!?
思わず、検索しちゃいました
いやいや、ビックリ!
仕事用や護身用、さらに耐切創レベルやら耐突刺レベルまであるとは
最近は備えに怠慢気味
harunorinさんを見習って、ちょっと気持ちを引き締めないといけませんね2023/08/02 -
おはようございます(*´꒳`*)
驚かせてごめんなさい。防刃手袋…確かに文字のインパクトありますよね笑
実物は軍手より少し丈夫くらいなもの...おはようございます(*´꒳`*)
驚かせてごめんなさい。防刃手袋…確かに文字のインパクトありますよね笑
実物は軍手より少し丈夫くらいなもので、防災用品の域を出ません。
今日も暑そうですねー ご自愛ください。2023/08/02 -
またまたおはようございます=(^.^)=
そうでしたか〜笑
機能性の高い防刃手袋している人がいたら、犯人もビックリ!
刺しても刺しても、ア...またまたおはようございます=(^.^)=
そうでしたか〜笑
機能性の高い防刃手袋している人がいたら、犯人もビックリ!
刺しても刺しても、アレ?アレ?って
漫画みたいな世界を勝手に想像しちゃいました(^.^)
って言っても、話は銃撃テロなんですけどね
でもでも、軍手より少し丈夫なものでも持っていれば十分何かに役に立つと思います!
今日も無理せず一日頑張りましょう2023/08/02
-
-
巨大ショッピングモール「スワン」で無差別銃撃事件が起こった
前代未聞の悲劇の渦中で、犯人と接しながら、高校生のいずみは事件を生き延びた
それから半年後、彼女のもとに一通の招待状が届く
集まったのは、事件に巻き込まれ生き残った五人の関係者
目的は事件の被害者のひとりの「死」の真相を明らかにすること
だが、そこで暴かれていく関係者たちの真相と隠している嘘
自分は被害者だと思っていた
だけど、そうじゃなかった
次はわたしだ
いつか、暴かれる…
罪を背負わないといけないなのか…
悪にならないといけないなのか…
なぜ!?
なぜ被害者が苦しむ…
悪いの犯人!
事件を起こした犯人!
犯人が悪い…、ではいけないのか?-
ultramanさん
その通りです!
犯人は好き勝手暴れてどんどん殺して!
なぜ生き残った被害者が苦しまないといけないの!
なぜーーーっ!っ...ultramanさん
その通りです!
犯人は好き勝手暴れてどんどん殺して!
なぜ生き残った被害者が苦しまないといけないの!
なぜーーーっ!って叫びたいです!2024/03/29 -
bmakiさん
そーなんですよ
被害者の側になったら苦しくて苦しくて…
私もみなさんの本棚でよく見かけて最近何冊か読んでみました^_^
買...bmakiさん
そーなんですよ
被害者の側になったら苦しくて苦しくて…
私もみなさんの本棚でよく見かけて最近何冊か読んでみました^_^
買いたいリストから購入になりそうですかねw2024/03/29 -
2024/03/29
-
-
引き込まれてしまいました
この生き残った彼女が隠している真実は何?
無差別殺人で生き残った人と殺された人
事件をテレビや新聞、週刊誌で知る世間の人たち
誰でも自分じゃなくて良かった…
家族が巻き込まれなくて良かった…
そう思うのは当たり前だとは思う
でも報道は真実か?
最近は特に真実だと思っている人は少ないはず
それに便乗してただ非難する人には腹が立ちます
近頃のワイドショーにも(๑¯ ³¯๑)
まぁ観ないけど…
この主人公の強さには参りましたよ
小説ですからね…目を背けずに事件と向き合う彼女の姿はちょっと綺麗すぎるかもしれない
だけどこんなやり方でも乗り越えたらいいじゃないか!
前に一歩でも…いや…顔を上げることができるだけでもいい!!
そんな作品でございました(゚´ω`゚)゚。
-
2025/05/09
-
2025/05/09
-
犯人狡い!
大量殺人するだけして、おさらばするのは!
残った人は、誰が悪いわけでもないのに(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
犯人狡い!
大量殺人するだけして、おさらばするのは!
残った人は、誰が悪いわけでもないのに(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
2025/05/10
-
-
読書備忘録797号。
★★★★☆。4.5にした。笑
テーマがすごく重い。
スワンの意味が深い。
郊外の大規模ショッピングモール、湖名川シティガーデン・スワン。
そこで、無差別殺人テロが起きた。
死者21人。
3人の犯人は仲間割れで1人死んで、残り2人は自害。
そして半年後。
テロを生き残った数人がお茶会に集められた。
お茶会の主催者は被害者の高齢女性、吉村菊乃の息子。
菊乃は犯行が行われているフロアから離れているスカイラウンジにいたにも関わらず、スカイラウンジから出て殺されていた。
犯人が自ら撮影した動画と監視カメラの映像から、菊乃の行動に謎が多く、生き残った方々から真実を導くことが目的のようだ。
そして、無差別テロの現場で何が起きたのか、徐々に真実が明らかになっていく・・・。
お茶会参加者の女子高校生、片岡いずみ。
事件の当日、同じクラッシックバレー教室に通う同級生の古舘小梢から呼び出されてスワンに行った。いずみと小梢は結果として生き残った・・・。
ただ、小梢は片目を失い、病院で引き籠る。
そしていずみは小梢からの告発がきっかけで、社会から叩かれた。
無差別殺人事件で生き残った業。
被害者遺族からは、なぜ身内が殺され、お前が生き残ったのか・・・、と。
無関係な第三者からは、ああしていれば、こうしていればと無責任な誹謗中傷。
それを背負うにはあまりにもか弱い女子高生。
ただ、エンディングで希望が見える。果たして乗り越えられるのだろうか。さあ踊ろう、オデット。私はオディール・・・。
フォローさせて頂いている方が完璧な感想文を記されているので書く気力が全く起きない。笑
そっちを読んで余韻に浸ろう・・・。-
こんにちは(^^)
これすごく気になってるやつです!!
あんまり詳細見ないで読みたいタイプなんで
薄目でレビュー見ました笑
読んだらゆっ...こんにちは(^^)
これすごく気になってるやつです!!
あんまり詳細見ないで読みたいタイプなんで
薄目でレビュー見ました笑
読んだらゆっくりレビュー読ませてもらいます(^^)2024/02/05 -
こんにちは!
これまためっちゃ気になってるやつ!!
さっき思わずスワンと同じようなコメントしてしまいました笑
あーどんどん読みたい本が溜...こんにちは!
これまためっちゃ気になってるやつ!!
さっき思わずスワンと同じようなコメントしてしまいました笑
あーどんどん読みたい本が溜まっていくー!!
2024/02/06 -
2024/02/06
-
-
爆弾がめちゃくちゃ面白かったので、過去の代表作の本作を読む。無差別殺人のリアルな描写の前半と後半は生き残った被害者のその後、どちらも読み応え充分。
-
-
「スワン」とは、とあるショッピングモールの名前。
首都圏の巨大ショッピングモールが占拠され、無差別殺人が起きた。
多数の死傷者を出した事件で、生き残った人間が後に集まり‥
最も多くの被害者を出したスカイラウンジにいた高校生のいずみ。
犯人と接しながら、次に殺す人間を指名せよと言われて応じたために生き残ったと半年後に暴露されてしまう。
そこにいた同級生で怪我をして入院していた小梢に、である。
被害者から一転、非難されることになったいずみ。
だが、事情はもっと複雑なものだった。
いずみのもとへ、当時のことを語り合おうという招待状が届く。
関係者5人が集まって、それぞれ一部しか知らない事実を話し、あの時の一つの死の謎を解こうというのだ。
そこでも真実が語られるとは限らないのだが。
いずみはある決意を秘めて、そこへ向かう。
そして、明らかになった事態の無残さ‥
無差別殺人事件の現場にいる時にどうしたらいいのか、そんな心の準備も出来ようがない。
とっさに人間性が出る可能性はあるが、重要なことが何もわからなかったり、身動きが取れない立場に置かれる可能性が高そう。
思いもよらない経験を飲み込んで、悲劇も誹謗も乗り越えて行こうとする強い意志とたくましさ。
まぶしいです。 -
イマイチ事件の動機がわからなかった。
途中は面白かったたけに、最後の結末はもったいないように感じました。 -
パニックになった時の心理状態
テロ事件など、人はパニック状態でどの様な行動が取れるだろうか。日頃訓練している人でも瞬時の行動は予期せぬ行動に出るかもしれない。そんなテロ事件に巻き込まれ生き残った女子高校生は次なる事件に巻き込まれ、誰も知らない新たな証言のシナリオを作る展開は興味深い。生き残ったものだけが知る真実は、往々にして加害者なのに被害者となりうる可能性も大だ。それは残された被害者家族の複雑な心境に変化が生じるからだ。文中で気になる弁護士の言葉「実際の仕事は被告人の最大限に守る事、依頼人がどんな人物であろうとも」(どんな人間であろうと犯罪者の味方) -
「あのときこうすればよかった」「なんであんなことをしてしまったんだろう」
そう思うことは今までも数え切れないくらいあったし、多分これからもあるのだろうけど、そのたびに自分は、この小説のことを思い出すことになると思います。
物語のプロローグとなるのは、スワンというショッピングモールで起こった無差別銃乱射事件。この事件の実行犯を中心に描かれるおよそ60ページの地獄絵図。
なんと言っても、この60ページのラスト近くで描かれる狂気が凄まじい……。心臓がバクバクと胸打ち、読んでいるこちらも気分が悪くなるような極限状況。
そして場面は変わり事件から数ヶ月後、事件の生存者5名が集められ始まった「お茶会」。それは、乱射事件の死者の中の一つの不審な死を解き明かすために始められた、とのことなのですが……
このお茶会の場面はいかにもミステリらしい。主催者、参加者、みんなそれぞれに思惑や事情があり、なにか秘密を抱えている様子。それだけに各証言どこまで信じていいのか、読んでいるこちらは疑心暗鬼に。
また犯人に銃を突きつけられ、次の犠牲者を選べと迫られた片岡いずみ。この作品の主人公で語り手になる彼女も、最初から嘘をついてこのお茶会に臨みます。
その嘘の真意も読者には見えなくて、どういうこと、と思いながら読み進めてしまいます。
そして徐々に明らかになってくる、事件当日の生存者のそれぞれの行動と思い。死と恐怖が渦巻く極限状況の中で、時に恐怖に囚われながら、時に正義心から、そして自分の身を守り生きぬくために、それぞれがその日取った行動。
そしてその行動が招いた結果。当人たちが抱えざるをえなかった罪と消えない後悔。そのあまりに壮絶な描写と思いに引き込まれ、中盤以降は本能のまま、ただただページをめくっていたような気がします。
徐々に明らかになる真実と人々の思いもとにかく読ませるのですが、事件に対する世間の反応の描き方も読んでいて辛い……。
当事者でもないのに結果論だけで物事を決めつけ、生存者や当時の関係者の中からスケープゴートを探し出し、そして血祭りに上げていく。その描写たるや……。
理不尽で残酷な悲劇が突然に襲いかかる、どうしようもない現実世界。そして無責任で無理解な世間。そうしたものに晒され追い込まれた関係者の言葉や感情も、強く胸を打ちます。
『こんなふざけた出来事を、どうやって受け入れたらいいんだ?』『犯人が悪い。それではいけないの?』『あのときにもどしてくれ』
そして描かれる自責の念。
『できたかもしれないという可能性』『やりようがあったんじゃないかという自分への疑い』
誰かを助けようとしたり、あるいは自分が生きようとしたり、そんな必死の思いも事件後は徐々に薄れ、思い出されるのはあまりに惨すぎる結果。そして終わりのない自責の念。
一方で世間は当人の思いも、現場の状況も本気で想像しようとすらせず、自分の中の狭量な常識に当てはめ、白か黒かを判断してしまう。それをここまでリアリティと迫力を持って描けることに、ただただ衝撃を受けました。
どれだけ後悔しても現実や世間を呪っても、時間は戻らず現実も世間も変わらず生は続く。それを重厚にまざまざと描きながらも、読後感は決して悪くありません。それも本当にスゴい……
明らかになる最後の救いのない真実。それすらも塗りかえ、立ち上がろうとするいずみの決意。そのとき取った行動にどんな思いがあろうとも、正解も間違いも結局は結果でしか示されない現実。それに対し、いずみが取る最後の反抗。
彼女の決意と思いを読んだとき"感動"とか“衝撃”とか、一言で済む言葉では言い表せないし、言い表したくもない強い情動が、心の中で溢れかえりました。
現実はあまりにも理不尽だし、そのときの決死の選択が常に正しいわけでもない。それどころか、それが周りからの非難の的になることも、自分を縛る鎖にもなりえます。そうやって失いかける現実や世間への信頼。それでも現実に膝をつくことなく生きるために、人は何ができるのか。
久々に心が打ち震えるような、物語体験が出来ました。こういう体験ができるからこそ、自分は小説を読むことをやめられないのです。
第73回日本推理作家協会賞
第41回吉川英治文学新人賞 -
直木賞候補作ということで期待して読んでみた。
ショッピングモール『スワン』で突然起こった無差別銃撃事件。21人の死者を出した事件は犯人の自殺によって幕を閉じる。
その後、事件で母親を亡くした吉村の命を受け、弁護士の特下が事件の真相を探るべく、生き残った5人を集め、奇妙な集会が始まる。
やがて、真相に近づいてきた頃、5人のうちの1人の男性の行方がわからなくなって・・・。
この物語の面白いところは、核とも言える無差別銃撃事件は物語の序盤で終結を迎える。その後、生き残った5人が集められ、事件の真相を暴いていくというストーリーなのだが、誰が嘘をついているのか。そして、なぜこの5人が集められたのか。徐々に真相に近づいていくに従って、先へ先へと気になってしまった。
そして、終盤に差し掛かった頃、もう1つの事件が起きてしまう。
ただ、その時には犯人も読めてしまったし、そこまで意外性もなかったのも残念。また、著者の企みと読み手が受ける衝撃にはかなりギャップがある作品だったように感じた。 -
悪者は犯人だけで良くないか。被害者たちに常に正しい行動を求めるのは酷ではないか。極限の状況で起きた事件が舞台だが、私達は日常的に同じ過ちを繰り返していないだろうか。
-
ロイヤル・バレエの「白鳥の湖」を録ってあって、よく見るんだけど、「なんで王子(ここではワディム・ムンタギロフ)はオディールとオデット(マリアネラ・ヌニェス一人二役)の区別がつかないかなあ」と思ってしまいます。
この本は、最近読んだ小説の中で一番面白くて、
春分の日一日で読んでしまいました。
あまりお出かけしない方が良いと言われていますし。
直木賞を逃したそうで、選評を読んでみました。
大先生たち、厳しいですね。
ちょうどその後子守歌がわりに聞いたYouTubeのテレフォン人生相談で、回答者の精神科医高橋龍太郎先生がこう言っていました。
「あのね、人間ていうのは白か黒じゃなくて、
グレーの中で生きているの」
そうですね。
だから誰のことも責められない。 -
武装した男たちがショッピングモールで殺戮を始めた。その犯人のうち一人はスカイラウンジにて少女(いずみ)を捕らえ、彼女に選ばせつつ何人も殺していった。犯人たちは最後に自殺をする。事件より半年後、モールにいたという5人が、ある被害者の家族の弁護士より召集された。家族の死を明らかにするため、事件のことを生き残った人に聞きたいという。5人の中には、黙秘するものもあれば、嘘をつくものもいた。また、いずみは事件の被害者・梢の証言により、犯人に誰を殺すか指名され、そのことで生き延びたとと週刊誌に報じられ、非難の的となった。死の真相を含め、いくつかの謎が解明される。直木賞候補作。
始めより衝撃的な殺戮シーンで始まり圧倒され、犯人たちについての物語かと思ったら、そうでなかった。事件は、60ページくらいで終わり、その後は5人がその時どう行動していたか、お茶会メンバーの話と梢の話が淡々と続いてゆき、勢いが違くてチグハグを感じた。読んでいるうちに事件は明らかになってゆくけれど、この本でも感じたことは、ネットやらマスコミの怖さかなあ。非難する人は無責任すぎるし、想像力を持ってくださいねと思うのよね。表面的なもので終わらせず背景にあるものをね。 -
「反省は無意味で、後悔は傲慢だ」
理不尽な無差別テロ事件を生き残った登場人物たちの真実を描いた1冊。
罪を抱えつづける苦しみは、罰を受けるより何倍もつらいという言葉の意味を、まざまざと見せつけられた。
暴かれることへの恐怖。
いくら言い訳をしても、人のせいにしても、結局逃げ出すことはできない苦しみ。
自分の当時の行動がひとつでも違っていたら、犠牲は少なくなったのかもしれない。
そんな考えに支配されながら生きていかなければならないつらさ。
そんなことわかるわけないのに。
どうにもできないのに。
そうでない方の可能性を考えてしまう、疑ってしまう。
「できたかもしれない」という可能性を。
正しくても間違っていても、そんなの結果論だ。
その時々で反射的に決断をくだしていく以外にどうしょうもない。
そこに悪意は存在しないのに。
悲劇の勝ちになんかさせない。
そう決意したかのような物語のエンディングは、すべてが消え失せる「消失点」を描きながら、「終わらない」ということも同時に告げているようだった。
著者プロフィール
呉勝浩の作品
