ハーモニー (4) (角川コミックス・エース)

  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041086667

作品紹介・あらすじ

ミァハの手がかりを追ってチェチェンにやってきたトァン。示された座標をたよりに、ついにその場所へとたどり着く……。三巷文による漫画版「ハーモニー」、完結

感想・レビュー・書評

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  • #日本SF読者クラブ 早逝の作家伊藤計劃氏の最高傑作ともいわれる。というか残念なことに発表された作品が少なすぎる。
    第40回星雲賞日本長編部門、第30回日本SF大賞受賞作のコミカライズ。劇場アニメ版をコミカライズしたといったほうが近いか。「虐殺器官」と同じ時系列に属する(本作が後)。

    新型コロナウイルスが蔓延するなかで、「新しい生活様式」だの「自粛警察」やらを見るにつけ、これを見返すと背筋がゾッとする。そして、「自意識=わたし」が消滅する。

  • いよいよチェチェンに降り立った、トァン。
    人間たちは、たえず自然を押さえ込み、都市を築き、社会を築き、システムを築いた。身体を数値に置き換え、わたしというものはノイズにすぎない。つまり、かつての人間には怒りや喜びや悲しみが必要だったのであって、さらには自分が人間であるという思い込みが必要だったのだ。
    まさに、iphoneの登場から、身体のデータ化、そして自分自身をソーシャルネットワーク上に晒し、シンギュラリティを経て、おそらく存在そのもの、自分そのものとは違う人格が一人歩きしている時代が来る。現代が、まさに、この時代背景と完全に合致している。それを伊藤計劃は、予想していたのだ。この本自体も必読だが、漫画であっても十分に伝わってくる。
    ついにミァハに会えたトァン、そして完全な世界に、意識のない世界に連れて行こうとしたミァハに、父親を殺された復讐をするトァンは、銃でミァハを撃ち抜く。最後に、見届けた意識の最後、そして、人類の意識の最後。ハーモニー計画は実行された。「行こう、ハーモニーの世界へ。」
    名作です。

  • 意識を消滅させ、社会システムを再構築って考えてみればNPCしか居ない世界でそこには「迷いもなければ選択もない 選択もなければすべてはそう在るだけだ」は実に冷酷ではあるが、非常に合理的で完成された調和の保たれた世界で「この社会にとって完璧な人類を求めたら魂は最も不必要な要素だった」も認めたくなくないが、認めざるを得ない実情で此方の不都合で不合理だらけな理性をゴリゴリに削り取り、屈させていく御冷ミァハの独白は相変わらず痺れる。終わりも静謐でいて悲壮を伴った美しい情景であって好きコミカライズでした。

  • 小説は読んでいましたがこちらも素晴らしいの一言です。三巷文先生は漫画雑誌での活躍を既に知っており、ストーリーの構成や作風がとても自分好みで作画を担当されたと聞いた時には運命を感じました。

    表情の描写が特に上手くシリアスな内容にとてもマッチし、それでいて近未来の街並み・技術・watchmeによって数字に置き換えられた一人称視点・対比するように描かれた美しい自然・寂れ朽ちたミァハが生まれた場所など、風景の描写も人間の意識を核とした深い世界観を読者に引き込んでいくような素晴らしい作画だと思います。

    もっとこの絵でメリーバッドエンドと言える美しい世界観を見てみたかったです。


  • COVID-19のパンデミックに居合わせた文脈での読書の一環。首相が政治的声明を発する隣に「医療」の「専門家」が同席する状況から連想して、伊藤計劃の原作を再読してみることを思い立ったのだが、せっかくだからコミック化された方を読んでみようと思い立った。コミックという別メディアへの移植がうまく行われているなと感心した。etmlの扱いについて評価の高いレビューが多いのも納得。
    「新しい生活様式」という曰く言いがたい語感の言葉が現れ、それが間違っていると言うつもりは毛頭なく、抗うつもりも毛頭ないが、ただこの咀嚼しきれないモヤモヤな感じは何だ、と思ってしまった今こそ、この作品の読みどきかもしれない。

  •  小説版と流れがほぼ変わらずコミカライズされ、とても良質なーーSF小説の漫画版たるものだと思いました。
     Booklive!という電子書籍で閲覧していたのもあって、2巻が出てからもう2年から3年近く、続きが出ないものだから、てっきり打ち切りにでもあってしまったのだろうか、と思い悩んでいた矢先の最新刊発売でした。

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