紙屋ふじさき記念館 麻の葉のカード (角川文庫)

  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041087527

作品紹介・あらすじ

編集者の母と二人暮らしの百花は大学二年生。卒業後の目標がはっきりしない不安を抱えていた。ある日、叔母から紙こもの市に誘われ紙細工に魅了される。会場で叔母の知り合いの老舗紙問屋「紙屋ふじさき」の次男坊一成を紹介されるが、相性が悪いのか全く相手にされない。だが、手先が起用な百花が麻の葉の組子細工のカードを作ったことで次のイベントで「ふじさき」の手伝いをすることになり……。螺鈿のような貝殻の小箱のアイディアを提案した百花は記念館でバイトをすることになる(第二話 貝殻の小箱)。百花が子供のころに死に別れた、作家だった父親の思いも知ることになる(第三話 いろいろ紙ノート)。包装紙、マスキングテープ、ポストカード……いろいろな紙小物が作られて、作り手の心が添えらえると、人と人の絆が生まれていく。優しい絆の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 百香は、叔母に誘われ「紙こもの市」へ行ってから紙の世界に魅了される。
    そこから自分で紙を使ってカードを作る。
    それがきっかけで、紙屋ふじさき記念館でバイトすることになる話。

    紙好き、文具好きにはたまらない。
    本屋にしろ文具店にしろ半日は潰せるのでわくわく感も半端ない。

    物語は、人見知りする女子大生の百香と無愛想で頑固で偏屈な紙屋ふじさき記念館の館長との距離感も気になるところ。
    いったい2人は上手く仕事していけるのだろうか…と気を揉みながらも楽しめる内容でもあり、和紙にも詳しくなれる。

    紙はむかしから強い力を宿すもの。
    文字は言葉を形にしたもの、目に見えない重さがある、文字をのせる紙にはそれだけの力が宿っている。
    この言葉は、百香の亡き父が小説で書いていた。

    確かにそうだと感じる。
    なぜか、紙を触っていると安心するというのか、寛げるというのか。
    とにかく紙が好きなのだと改めて思った。
    最近、電子書籍にしようかと思っていたのだが、やはりまだまだ先になりそうだ。

  • 「活版印刷」シリーズの作者が描く「和紙」をテーマにした新シリーズ。
    大学2年生の百花は、陶器のお店を営む叔母の紫乃に連れられて、「紙こもの市」を訪れる。
    紙製品の展示会にテンションの上がる百花。しかし、紫乃の仕事の取引相手である紙屋ふじさきのブースを最後に訪れ、やる気のない藤崎一成に出会い、一気にテンションが下がってしまう。
    ブースは出しているものの、全く売る気のない一成。しかし、そこには百花の心を揺さぶる和紙の数々が…
    和紙を通じて、心も通いだす百花と一成の様子が丁寧に描かれる。
    今回の物語の舞台は「日本橋」。「活版印刷」の川越もいいけど、日本橋の街の描写もいい。
    出版社が違うから、直接「活版印刷」の話は出て来ないが、「細川紙」「楮」など「活版印刷」ファンには堪らないキーワードも。
    百花が家にあるもので、いろいろ和紙雑貨を作るシーンも思わず真似したくなる。

  • 紙の小物はいいですね。
    おしくて使えない気持ちよくわかります。
    そんな「紙」好きの気持ちを高める本でした。
    文庫では望むべくもないが、タイトルの部分のみ和紙とかの装丁本だと、所有欲をそそらるな。でも作るの大変だし売れないか。
    そんな想像までさせてくれる本でした。
    続きも期待しています。

  • 百花は、日本文学を学ぶ大学二年生。
    ある日、叔母の誘いで出かけた「東京紙こもの市」というイベントで、和紙の専門店「紙屋ふじさき」のブースにいた無愛想な青年・藤崎一成に紹介される。
    そこで魅了された美しい和紙を使って、組子細工の障子をイメージした麻の葉文様のカードを手作りした事から、百花は一成と共に次の「こもの市」に出品する商品を企画することに…

    人見知りだった百花が、家族や友人の後押しで、ものづくりの喜びを通して成長してゆく。


    『活版印刷三日月堂』で出会ったほしおさなえさんの新しいシリーズということで手に取った。
    百花と一成の成長物語であり、和紙をはじめとする手仕事礼讃の物語。

    つまらなくはない。私も文具大好き、紙大好き、もちろん本も好きなわけで、素晴らしい素材や工芸品にときめく百花の気持ちはよくわかる。
    ただ、失礼ながら、『三日月堂』の好評に目をつけて、それじゃもう少し若い女性、ハンドクラフト好きも喜ぶようにして、イケメンもセットして恋愛要素アリの青春にしましょうよ〜、という気配に、少々冷めてしまった。

    小説家の父と女性誌の編集者の母、洒落た器の店を営む叔母に、老舗一族のイケメン青年、自由が丘に住んで銀座でアルバイト…
    浮わついたところのない作風に、ファンタジーかと思うような要素を盛りすぎて、平凡な夢物語に感じてしまったような。

    続きは…見かけたら、読むかも。

  • シリーズ一作目。日本橋にある「紙屋ふじさき記念館」が舞台。和紙のコーディネーターや記念館の館長でもある藤崎さんと、大学生の百花が主な登場人物。
    「菓子屋横丁 月光荘」シリーズの木谷先生もちょこっと登場する。

    記念館といいながら全く宣伝や案内・手入れ等をしていなかったものを、百花が拙いながらアイデアを出してイベントで売る商品を開発したり、友達の知恵も借りながらSNSで発信したり頑張る。紙に詳しく情熱がありながらも記念館に関してはやる気がなさそうだった藤崎さんも、百花の一生懸命さに乗せられだんだん変わっていく…という感じ。
    文具好きがワクワク出来るストーリーでもある。竹尾のショールームとか、ゾクゾクするほど楽しかったなと思い出したり。

    ・紙は理論上の平面とは違う。乾燥して水分は抜けているな、もとは繊維が溶けた水(重なりあった森)でそれが圧縮されている。厚みがあり立体。
    ・紙は昔から強い力を宿すもの。文字は言葉を形にしたもので目に見えない重さがある、文字をのせる紙にはそれだけの力が宿っている
    …というような言葉が印象に残った。

    百貨店くらいしか行ったことがない日本橋を巡ってみたくなった。
    就職したて時、そんなこと普段はしない父に、平日夜待ち合わせてその辺りの百貨店の特別そうなレストランに連れていってもらった。あれはどこだったんだろう?とずっと思っていたけれど、日本橋髙島屋の特別食堂だったかもしれない、とこの本を読んで思った。

  • 表紙のイラスト通りの雰囲気の物語。

    もうちょっとストーリーに深みが欲しい。
    二巻目も借りているので、どうなってるか期待。

  • 【収録作品】第一話 麻の葉のカード/第二話 貝殻の小箱/第三話 いろいろ紙ノート
     活版印刷や古地図ともつながる世界観。古くからある物作りに対する敬意と愛情を感じる。物欲も刺激されるが。

  • 紙の展示&紙グッズの開発やコーディネイトをしている記念館のバイトをすることになった女子大生。不愛想な館長とうまくやっていけるのか?冒頭のイベントの描写笑ったー。なんらかのおたくなひとたち、こんな雰囲気だよね。私もパン祭りのときとかこのぐらい高ぶる。シリアスすぎず、よい雰囲気でした。おすすめです。
     何に使うのかわからない。かわいさだけが爆発している。
    「紙屋ふじさき記念館 麻の葉のカード」(角川文庫・ほしおさなえ)p13より

  • 文章が、読みやすい。知らなかった世界の詳しい描写も、丁寧で、想像力をかき立てられる。主人公の気持ちになって、わくわくしながら、読める本。

    • あきちさん
      ほしおさなえさんは、いいなと思ってる作家さんのひとり。知らなかった世界を、詳しく描きながら、文章が、とても読みやすい。紙こものって、どんなも...
      ほしおさなえさんは、いいなと思ってる作家さんのひとり。知らなかった世界を、詳しく描きながら、文章が、とても読みやすい。紙こものって、どんなものだろうって、主人公の気持ちになって、わくわくしながら、読める。
      2022/08/17
    • marumaruchanさん
      コメントありがとうございます。未知の色々な世界を楽しめますよね。文房具を見るのもこれまでよりワクワク感が増えました。
      コメントありがとうございます。未知の色々な世界を楽しめますよね。文房具を見るのもこれまでよりワクワク感が増えました。
      2022/08/19
  • ほしおさなえさんの、手仕事のシリーズ。今回は、和紙。
    廃れていく和紙産業をなんとかしたいと願う、藤崎薫子が作った紙の博物館。そこで働く孫の一成は、和紙には殊の外思い入れを持っているが、何しろ愛想がないので接客には向いていない。定期的に開かれる「紙こもの展」でもブースは賑わう事がない。そこに紙小物の好きな百花が加わって・・・。
    百花の発想を、形にしていく一成と、百花を支える大学のメンバーたち。和紙職人や、創作活動をする人たちの熱も伝わってきます。
    手仕事というジャンルで描き続けるほしおさん、ご自身も活版印刷と和紙の紙小物を手掛けていらっしゃるようです。
    好きなものを、形にする。それは文学でも同じなのかもしれません。

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著者プロフィール

1964年東京都生まれ。作家・詩人。95年「影をめくるとき」が第38回群像新人文学賞優秀作受賞。2002年『ヘビイチゴ・サナトリウム』が、第12回鮎川哲也賞最終候補作となる。16年から刊行された「活版印刷三日月堂」シリーズが話題を呼び、第5回静岡書店大賞(映像化したい文庫部門)を受賞するなど人気となる。主な作品に「菓子屋横丁月光荘」シリーズ、『三ノ池植物園標本室(上・下)』など。

「2021年 『東京のぼる坂くだる坂』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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