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Amazon.co.jp ・本 (416ページ) / ISBN・EAN: 9784041087909
作品紹介・あらすじ
NHK Eテレ「100分de名著」 「グレーテルのかまど」で話題
シリーズ累計45万部突破!
第2回ニューベリー賞受賞。巨大カタツムリも登場する第2弾!
【動物と話せるお医者さんのゆかいな大冒険!新訳&挿絵付】
装画・挿絵:ももろ
※本書は、既刊の角川つばさ文庫版の表記や表現を大人向けに加筆修正し、全ての漢字にふられていたルビをへらしたものです。
●あらすじ
動物と話せるお医者さん、ドリトル先生。博物学者でもある先生は、世界中を探検する。
今回は、海をぷかぷか流されていくクモザル島をめざす船の旅。
助手のトミー少年やおなじみの動物たちと、謎の大学者ロング・アローを捜すことに。
世にもめずらしいカブトムシも大発見!?
裁判でブルドッグの証言を通訳したり、巨大カタツムリと海底旅行したりと、ゆかいなお話が目白押し。新訳シリーズ第2弾!
●新訳のここがポイント!
「ドリトル先生」といえば、先行の井伏鱒二訳(岩波文庫)を思いうかべる方も多いかと思いますが、あちらは1951~79年にかけて出版されたもので、時代の制約もあったせいか、原文どおりに訳されていないところも多くあります。ですが、本作ではそうした点を全て改めています。
・2巻の冒頭で、トミー少年がはじめて先生の家に入るとき、先行訳では「さあ、おはいり。靴なんかぬがなくてもよろしい」となっているが、新訳では「お入り! 靴のどろを足ふきマットで落としたりしなくていいから。どろんこのまま入っちゃいなさい」に。英国では靴をぬがない代わりに戸口の外に置いてある足ふきマットで靴の裏をこするのが礼儀であるため。
など、他にも多くの変更箇所がございます。英国の文化背景を知っていないと正しく訳せない下りが、本作では美しく訳されています。
感想・レビュー・書評
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ドリトル先生シリーズ2冊目は、完訳で新訳の河合祥一郎版で読んでみる。
挿絵も新たに描かれていて、とっても可愛いのですが、岩波で使っているヒュー・ロフティング本人の絵でないのは残念。著作権とかかなあ。
岩波の井伏鱒二から60年以上たち、当時は知らなかったイギリスの風習や、英語表現を修正して翻訳されています。現代感覚だと黒人差別的に感じる表現も、当時の風習や、ロフティングの本意はそこではないってことを踏まえてそのまま翻訳されています。
この巻は、読者と同じくらいの年齢の少年がドリトル先生の弟子になるため、児童書では(一巻の「アフリカ行き」ではなく)この巻が発刊されることもあります。
前巻「アフリカ行き」から五年経っていて、動物たちがちょっと年取ったのが寂しいような気もする…(でもシリーズ14巻続くんだから、いつまでも元気ですよね)
「湿地のほとりのパトルビー」に住む九歳のトミー・スタビンス少年の家は大変貧しく学校にも行っていません。怪我をしたリスを拾ったところ、猫肉屋のマシュー・マグからドリトル先生のことを教えてもらいました。
ドリトル先生と知り合いになれたトミーは、先生が少年の自分を一人前扱いしてくれること、先生が動物とお話ができること、そして先生の家にいるたくさんの動物たちがとっても気に入って「先生の助手にしてください」と頼みます。
ドリトル先生はトミーの両親のところに丁寧にご挨拶に行き、ご両親も認めてくれました。トミーは住み込みで助手のお仕事をしながらオウムのポリネシアに動物の言葉を教えてもらいます。動物の言葉は、声だけではなくて身動きもそうです。だからまずは観察すること!
ある時トミーの友達「世捨て人ルーク」が逮捕されました。ずっとむかしに人を殺して逃げ回っていたというのです。でもドリトル先生は、ルークの飼い犬ボッブと話をして、真犯人と真相を知りました。そこで裁判所に行って「犬を証人として呼んでください」といいます。これが認められ、ボップは裁判所の正式な証人になった初めての犬になり、ルークの嫌疑も晴れたのです。
ある日ドリトル先生のところに、アマゾンからムラサキ極楽鳥のミランダが訪ねてきました。ドリトル先生が尊敬している「偉大なインディアン博物学者ロング・アロー」が行方不明になったというのです。
ドリトル先生、トミー少年、オウムのポリネシア、犬のジップ、サルのチーチーは、ロング・アローが行方不明になったクモサル島に行くことになりました。
出港のときに「アフリカ行き」で知り合ったアフリカのバンポ王子が船を訪ねてきて「ぼくも船員にしてください」といいます。バンポ王子はオックスフォード大学に留学していたのです。
途中で寄ったスペインでは、野蛮な闘牛にドリトル先生は怒り心頭!興行主と「自分と、一番の闘牛士と対決して、自分が勝ったら二度と闘牛は辞めてほしい」という賭けをします。そして闘牛場に出ると牛たちと話をして素晴らしいショーを見せました。お客さんも大喜び。こうしてドリトル先生は野蛮な闘牛を辞める約束を取り付けたのです。
目的のクモサル島とは、海を漂う浮島です。ドリトル先生たちは嵐に合いながらもブラジル沖を流れているクモサル島に付きました。一行は島独特のカブトムシのジャビズリーを捕まえます。そのカブトムシの足には不思議な絵手紙が巻いてありました。
これは、行方不明の博物学者ロング・アローからの救助を求める手紙に違いない!
先生たちは手紙を読み解き、ロング・アローたちを助け出しました。
この後先生はクモサル島で大活躍。ついには王様に戴冠させられてしまいました。
「王になったら好きなことはできなくなってしまう…」と嘆くドリトル先生ですが、逃げ出すこともできません。そうして先生は島のために働き、動物学の研究は全くできなくなってしまったのです。
トミー、ポリネシア、バンポ王子はなんとかドリトル先生をイギリスに戻そうとします。
そのために「珍しい巨大ガラス海カタツムリが浜辺にいます!」と言って誘い出します。みんなに説得されても「道路や学校や畑や美術館を作ったばかりだ。島民を見捨てることはできない」というドリトル先生ですが、みんなに説得されてガラス海カタツムリに乗り込み、故郷に帰るのでした。
今回の動物
・オウムのポリネシア:「アフリカ行き」では故郷アフリカに留まったけど、ドリトル先生のところに戻ってきた。
・サルのチーチー:同じく「アフリカ行き」でアフリカに留まったけど、ドリトル先生に会いたくて女の子の服装をして密航して戻ってきた。
・アヒルのダブダブ:ドリトル先生の家の家政婦になって台所や家計のやりくりをする。
・犬のジップ:鼻がいい。
・ボクコチキミアチ:世界唯一の両頭動物。(四足動物の、頭と、お尻の部分が両方頭)岩波の井伏鱒二版では「オシツオサレツ」の名前だった。
・チープサイド:ロンドン雀。喧嘩っ早い情報通。
・ミランダ:ブラジル生まれ。ムラサキ極楽鳥。大変美しい。
・ガラス海カタツムリ:海に住む巨大カタツムリ。海底を這って移動。
・ボップ:町外れに住む「世捨て人ルーク」の飼い犬。 -
なんでもっと早く読まなかったんだろう、と後悔するくらい面白い。動物愛、そして、人間愛に満ちた変人、ドリトル先生のドタバタ航海、冒険記。
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933-L-2
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む〜、そういうことじゃないんだけどな〜って
古...
む〜、そういうことじゃないんだけどな〜って
古典を読む意味ってむしろそこにあるんじゃん!っていうね
『ドリトル先生』でも、現代感覚では確かに差別的といえる表現がありますが、価値観が変わった時代に上から目線で「この作者はダ...
『ドリトル先生』でも、現代感覚では確かに差別的といえる表現がありますが、価値観が変わった時代に上から目線で「この作者はダメ」と発禁で、なにも読み取らないってことのほうが許容が狭いと思いますよね。